円満離婚ならば、離婚後も良好な関係を維持しやすくなります。
離婚は人生の転機であり、対立が深まれば夫婦のストレスはもちろん、子供にも悪影響です。納得できる形で離婚を成立させることは、精神的・経済的な負担を軽減する上でも重要です。
円満離婚では、話し合いで条件を整理できるので費用を抑えることができます。しかし、「円満」に固執すると、自分の意見を十分に主張できず、不利な条件で合意してしまうリスクもあります。
今回は、円満に離婚する方法と切り出し方、離婚理由の伝え方について、弁護士が解説します。感情に流されず、冷静に進める参考にしてください。
- 円満離婚を成立させるには、冷静な対話と互いの納得がポイント
- 相手を責めず、感謝を伝え、適切なタイミングと場所で切り出す
- 円満離婚だからと過信することなく、合意内容は公正証書化する
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円満離婚とは
円満離婚とは、夫婦が冷静に話し合いを重ね、協議によって合意し、裁判や調停に発展することなく離婚を成立させることを指します。
はじめに、円満離婚の基本的な知識について解説します。
円満離婚は協議離婚によって実現する
円満離婚は、手続きとしては「協議離婚」に分類されます。
最もスムーズに離婚が進むケースであり、調停や裁判といった家庭裁判所の関与なしに、夫婦間の話し合いのみで成立します。
離婚には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つがありますが、日本では大多数(約9割)の夫婦が「協議離婚」しています(厚生労働省:令和4年度「離婚に関する統計」の概況)。協議離婚なら、合意した内容に沿って離婚届を提出することで、速やかに離婚を成立させられます。

円満離婚は、協議離婚の中でも特に感情的な対立が少なく、争わずに合意に達するケースです。
円満離婚を成立させるには、離婚とその条件について互いの納得が不可欠であり、そのためにも、夫婦の信頼に基づいた冷静なコミュニケーションが求められます。
円満離婚するには、子なしなら争点も少なく、あとは夫婦の信頼関係が維持できるかによります。子ありの場合には、親権などを一方があきらめられるか、離婚後も子供のために協力関係を築けるかどうかがポイントとなります。
なお、似た言葉に「円満調停」がありますが、これは夫婦関係の修復を目指す家庭裁判所の調停手続きであり、離婚に向けたものではありません。
「離婚までの流れ」の解説

円満離婚のメリットとデメリット
円満離婚には、メリットとデメリットがあるので、それぞれ解説します。
円満離婚のメリット
円満離婚の最大のメリットは、感情的な対立を避けられる点です。
調停や裁判と違い、冷静な話し合いの末に離婚する場合、相手の意見や価値観を尊重しながら合意に至るので、攻撃的なやり取りを避けたい夫婦にとって大きな利点です。子供がいる夫婦は、離婚後も親同士の協力関係を維持する必要があり、円満に別れる方が、離婚時の約束(養育費や面会交流など)も履行されやすくなります。
調停や裁判を経ずに協議で進める分、手続きがスムーズで費用負担も少なく済みます。
「子供がいる夫婦の離婚」の解説

円満離婚のデメリット
一方、円満離婚はデメリットもあります。
「穏便に」という気持ちが強すぎると本音を伝えられず、言いたいことを我慢した結果、不満が残るリスクがあります。納得できない離婚条件なのに譲歩し、権利を放棄すれば、後悔が残ってしまいます。
円満離婚を目指すあまり、相手の不貞や財産隠しなどを調査せず、見逃してしまうリスクもあります。本来請求できた慰謝料などを取り逃さないため、穏便に進めたい場合でも、重要な離婚条件については確認を怠らないでください。
「離婚で後悔する理由」の解説

円満離婚までにかかる期間の目安
円満離婚は、平均すると数週間〜3ヶ月で離婚成立となるケースが多いです。
夫婦が協議し、合意によって離婚する方法なので、調停や裁判に比べて期間が短いのが特徴です。通常、調停離婚は3ヶ月〜6ヶ月、裁判離婚は1年以上に及ぶケースも珍しくない中、円満離婚なら、順調に進めば速やかに離婚できます。
もっとも、話し合いの回数や準備期間によっては、想定より時間がかかる家庭もあります。養育費や親権といった子供に関する取り決めで意見が食い違うと、合意形成に時間がかかるだけでなく、そもそも「円満」とは言えない状態ともなりかねません。
なお、協議が整った後、離婚届の提出や戸籍の変更、住民票の移動といった手続きにかかる時間も見込んで、余裕を持ってスケジュールを立てておきましょう。
「協議離婚の進め方」の解説

円満離婚する方法と切り出し方

円満離婚を実現するには、その方法と切り出し方が重要です。
離婚条件を検討するだけでなく、相手(夫や妻)と子供の立場に配慮した伝え方で進めるのが、円満な離婚に向けた第一歩となります。
離婚後の生活設計を立てる
円満離婚を目指すには、離婚後の生活をイメージすることが大切です。
住居や生活費、仕事、収入の確保といった経済面についての計画を立てておけば、不安な気持ちから相手が離婚に消極的になることを避けられます。子供がいる場合、親権や面会交流、育児や教育の方針についての不安も払拭しておきましょう。
専業主婦(主夫)だと、離婚後の収入確保も必須となります。離婚によって生活が大きく変化することを見越し、経済的な自立の準備をしなければなりません。
離婚後の生活設計について、切り出す前にしっかりと準備すれば、話し合いの場でも冷静に説明でき、相手の納得も得やすくなります。
「離婚計画の立て方」の解説

円満離婚の事前準備をする
円満離婚を目指すなら、相手との対立が生じづらい努力をすべきです。
相手の性格や価値観に配慮し、どのような伝え方が適切かを考えてください。準備が整わないまま感情的に進めると相手の反感を買い、交渉がこじれる原因になります。
離婚理由についても事前に整理しましょう。不貞などの「法定離婚事由」が存在する場合と、性格の不一致や価値観のズレといったケースとでは、伝え方も変えるべきです。いずれにせよ、円満に離婚したいなら相手を一方的に責めるのではなく、「なぜ離婚したいのか」を説得的に伝えるべきです。
財産の洗い出しも事前に行いましょう。共有財産と特有財産を明確にし、財産分与の対象について夫婦の共通認識があれば、協議がスムーズに進みます。


円満に離婚を切り出すタイミングと場所
円満離婚を実現するには、「いつ」「どこで」切り出すかも重要です。
避けるべきなのは、仕事で疲れているときや体調の悪いとき、夫婦喧嘩の後といったタイミングです。冷静な話し合いが難しい場合、一旦落ち着いてから伝えるべきです。伝える場所も重要で、リラックスして話ができる、プライバシーが確保された場所を選びましょう。自宅のリビングで、子供や親族がいない状況で話すのがお勧めです。
メールやLINEで切り出すのは誠意が伝わらず、誤解を招いたり、怒らせたりするリスクがあります。円満に離婚したいなら、できるだけ表情や口調が伝わり、相手の反応も観察できる、対面のコミュニケーションを重視すべきです。
なお、相手のDVやモラハラがあるようなケースは、対面での協議は困難ですし、もはや円満離婚も難しいでしょう。
「モラハラやDVから逃げるための別居」の解説

離婚したい理由を正直に伝える
円満離婚で難しいのは、「なぜ離婚したいか」を理解してもらうことです。この際に重要なのは「何を伝えるか」以上に、「どう伝えるか」という点です。
穏便に終わらせるには、「あなたが悪い」と非難するのではなく、「私はこう感じている」と自分視点でのメッセージを伝えることです。「私は、関係継続が難しいと考えている」と伝えれば、責任の押し付けにもなりません。価値観や将来の方向性の話でも、相手の人格否定はせず、「自分とは合わない」という伝え方にしましょう。
泣いたり怒ったりせず、感情的にならないよう注意してください。相手が感情的になりやすいときは、手紙やメールなどで伝える手段も有効です。文章にすることで落ち着いて受け取ってもらえるし、自分の気持ちの整理にも役立ちます。
円満離婚を成功させるには、「本音を伝えること」だけにこだわらず、「相手を傷つけないこと」とのバランスを取らなければなりません。
「性格の不一致」は必ずしも法的な離婚理由にはならないので、対立が深刻化なケースで裁判離婚を目指すには不十分ですが、相手の共感を得て円満に離婚するには有効です(詳細は「離婚理由として使いやすい例(円満に進めやすいもの)」で後述)。
「妻が別れてくれないとき」の解説

これまでの感謝と謝罪を伝える
最後に、結婚生活に対する感謝を伝えましょう。
円満離婚を成功させるには、「結婚生活を全否定しない」ことが重要なポイントです。共に過ごした時間、家族として築いた信頼関係を認め、双方が「離婚」という選択を受け入れやすくなるよう配慮すべきです。
例えば、「これまで支えてくれてありがとう」「良い思い出があり感謝している」など一言添えれば、相手の気持ちも整理され、円満離婚に繋がります。「自分にも至らない点があった」といった謝罪も、相手の心を開きやすくします。
感謝と謝罪の気持ちを言葉に表現し、誠意ある伝え方を心がけてください。
「復縁したい人の全知識」の解説

円満離婚を進めるためのポイントと注意点

円満離婚を目指しても、感情がぶつかり、うまくいかないこともあります。婚姻期間が長いほど、不満や誤解が積み重なり、思うように進みません。
以下では、争いを避け、納得のいく離婚をするためのポイントを解説します。
相手を傷つけずに離婚を切り出す
離婚を切り出すにあたり、「全く刺激無く」というのは難しいでしょう。
しかし、円満離婚を実現するには、相手を傷つけないよう配慮し、誠意のある伝え方を心がけるべきです。例えば、「あなたが配慮してくれなかった」と責任を押し付けるのではなく、「私はこの関係が苦しいと感じる」と表現することで、相手を否定せずに自分の気持ちを伝えられます。
過去の失敗を責める発言は、感情の衝突を生み、話し合いを困難にしてしまいます。離婚は「過去の清算」ではなく「未来の選択」として前向きに伝えることが大切です。
離婚を決意していても、対立ではなく話し合いを重視する姿勢で接すれば、今後の生活や子供にも良い影響をもたらします。
「相手が依頼した弁護士から連絡が来たとき」の解説

時間をかけて焦らず話し合う
円満離婚のために重要なのは、一度で結論を出そうとしないことです。
離婚は、人生の大きな決断であり、相手にとっても容易には受け入れられないでしょう。焦って進めたり急かしたりすれば、感情的な対立の原因にもなりかねません。
したがって、段階的に進めるのが大切で、初回は気持ちを伝えるに留め、相手の反応を見ながら、次回は条件面の話をする、というように徐々に進めれば冷静さを保ちやすいです。子供がいる場合や高額な財産がある家庭では、なおさら時間を要します。
ゴールが離婚だとしても、信頼関係を保って進めなければ、円満離婚は実現できません。焦って話せば、それだけ驚きや混乱、怒りを沸き立たせてしまいます。時間を置き、相手の気持ちも整理してもらいながら、建設的な対話を心がけましょう。
「離婚成立に必要な別居期間」の解説

互いの意見や価値観を尊重する
円満離婚では、相手の意見や価値観を尊重する姿勢が大切です。
一方的に意見を押し付けると、紛争に発展しかねません。最終的には離婚に至るにせよ、これまで共に生活してきた相手への尊重の気持ちを忘れず、合意形成を目指してください。
自分の希望や不満を押し付けるのでなく、相手の言い分を理解しようと試みれば、譲歩も得やすくなります。親権や財産分与といった対立の生じやすい争点ほど、「自分の主張を通そう」と欲張らず、「お互いが納得できるポイントを見つけられるか」に注力すべきです。
円満に離婚するには、譲歩や妥協も必須となります。子供の親権のように、どちらも譲れない争点があると協議で解決できず、調停や裁判をせざるを得ません。損しないためにも、感情的な問題だけでなく、裁判手続きではどのような判断になりそうか、弁護士に相談して、専門的な見通しを聞くことも不可欠です。
「親権争いに母親が負ける場合」の解説

決定した事項は公正証書に記録する
話し合いで合意に至った場合、必ず文書に残しておきましょう。
口頭の約束だけで離婚すると、後になって「言った・言わない」の水掛け論となり、折角の円満離婚がトラブルを生みかねません。具体的には、離婚協議書を作成しておきましょう。養育費や財産分与などが、将来支払われなくなるおそれのあるケースは、離婚協議書を公正証書化することで、裁判を経ずに強制執行を可能にしておく方法が有効です。
速やかに合意するだけでなく、その合意した内容を確実に履行してもらえる状況を整えることも、円満離婚における重要なポイントです。
「離婚協議書を公正証書にする方法」の解説

当事者だけで解決困難なら弁護士に相談
円満離婚は、弁護士を介さずに進めることも可能です。
しかし、感情的な対立が避けられなかったり、あと一歩で条件の折り合いが付かなったりするケースでは、弁護士が感情的なもつれを解くことで、円満に離婚できる可能性がまだ残されていることも少なくありません。
特に、切り出し方や伝え方で、相手の怒りを招いてしまった場合、弁護士に依頼することで状況が好転するケースがあります。弁護士は、第三者として、客観的な立場から法律知識に基づくアドバイスを行い、話し合いの場を整える役割を果たします。
円満離婚を目指す場合でも、あえて弁護士を入れることでスムーズに進む事案は少なくありません。もちろん、その後に調停や裁判に発展した場合も、継続してサポートを受けられます。
「弁護士に相談する前の準備」の解説

離婚理由として使いやすい例(円満に進めやすいもの)

円満離婚では、相手に納得してもらいやすい理由を選ぶことが重要です。
不貞やDVといった明確な原因がない家庭ほど、角が立たない理由を伝える方が相手を刺激せず、円満に別れやすいからです。
よく使われるのが「性格の不一致」です。
性格の不一致は、あくまで「自分と合わない」という意味であり、相手を否定せずに離婚したい理由を説明できる点で、円満離婚には適しています。
単なる不一致だと、一度は結婚しているわけで、説得力に乏しい面があるので、長年の結婚生活の中で成長や変化があり、価値観やライフスタイルが変わったことを理由にするケースもあります。例えば「歳を重ねる中で、人生に求めるものが少しずつ変わった」といった例です。特に、定年退職や子供の独立といったタイミングで話しやすい理由です。
なお、民法770条1項に定める「法定離婚事由」には当てはまらないため、円満離婚できず、調停や裁判に発展する際には、法律に従って考え直す必要があります。
「会話が減った」「すれ違いが続いている」「距離を感じるようになった」など、実感に基づく理由も有効です。これらは、一方的な主張ではなく、お互いの関係の中で起きた変化として共有しやすく、感情的な対立が避けられます。
物理的な距離によるすれ違いも、伝えやすい理由の一つです(例:転勤や単身赴任、海外移住など)。一方に明確な非がないケースほど、相手を攻撃しない理由で離婚を切り出すことで、話し合いの空気を和らげ、円満な合意形成を促進できます。
「好きな人ができたので離婚したい」の解説

円満離婚のために話し合うべき離婚条件

円満離婚だとしても、合意すべき離婚条件は多岐にわたります。
後のトラブルを避けるためにも、少なくとも次の点について丁寧に話し合い、離婚協議書に残しておくのが望ましいです。
- 財産分与
結婚後に築いた「共有財産」が分与の対象となる一方、結婚前から持っていた財産や相続・贈与で取得した財産は「特有財産」として対象外です。不動産や預貯金、車、保険の解約返戻金や株式などを、原則2分の1の割合で分与します。 - 養育費、親権・監護権、面会交流
子供がいる場合、親権や監護権、養育費、面会交流などの取り決めが欠かせません。子供の将来に直結するので、子の福祉(利益)を最優先に決定します。円満離婚なら、別れた後も子供のために協力体制が築ける場合も多いでしょう。 - 慰謝料
不貞やDVなど、一方に責任がある場合には慰謝料の請求が可能です。不貞の慰謝料だと、一般に50万円〜300万円が相場の目安です。ただし、円満離婚を優先し、「お互いに責任は問わない」と取り決めるケースもあります。 - 年金分割
婚姻期間中に厚生年金に加入していた場合、将来受け取る年金額の一部を分ける制度です。
夫婦の関係性が良好だからと過信し、条件を曖昧にしたまま離婚すると、後でトラブルになりがちです。感情的な対立がないにせよ、話し合うべきことはしっかり議論することが重要です。言いづらいことを我慢せず、しっかりと指摘し合う姿勢こそ、真の「円満離婚」と言えるでしょう。
「離婚に伴うお金の問題」の解説

円満離婚にかかる費用

円満離婚は、協議離婚の一種であり、裁判手続きを伴わない分、費用を抑えられるメリットがあります。話し合って離婚届を出すだけなら、「実質ゼロ円」で完了できます。
ただし、離婚届の提出そのものに費用はかからないものの、将来のリスクを低減させるために、一定の負担が生じることがあります。
まず、公正証書の作成費用です。
養育費や慰謝料、財産分与などの取り決めを確実に履行させるには、公正証書を残して強制執行を可能にしておくのがお勧めです。公証役場での手数料は、記載する金額に応じて変動します(日本公証人連合会「手数料」参照)。
離婚後の生活準備にかかる費用も忘れてはなりません。引越しや家財道具の購入費、新居の契約費用など、生活再建のために出費が生じるケースもあります。子供がいる場合、教育費や転園・転校の費用がかかる可能性があります。
円満離婚でも、弁護士に部分的に依頼するケースもあります。弁護士費用は、事案の難易度や対応範囲によって異なりますが、離婚協議書の作成のみ任せるなら10万円程度、離婚協議を代理で依頼するなら60万円〜80万円程度が相場です。
円満離婚ならコストは比較的低く抑えられますが、将来を見据えた準備やリスク回避のため、一定の支出は覚悟した方がよいでしょう。費用を節約しすぎるあまりにトラブルが拡大し、円満に離婚できなくなっては元も子もありません。
「離婚の弁護士費用の相場」の解説

円満離婚についてのよくある質問
最後に、円満離婚についてのよくある質問に回答しておきます。
円満離婚でやってはいけないことは?
円満離婚を実現する上で避けたいのは、感情的な言動です。
離婚したい気持ちが強すぎて、一方的な伝え方をする人がいますが、話し合いは進みづらくなってしまいます。責めたり、非難したりする態度は、かえって相手の反発を招き、円満離婚を目指すには逆効果です。嘘や隠しごとも、大きなトラブルを生みます。特に、財産隠しが判明すると信頼は一気に失われ、争いを避けられなくなります。
親同士の対立に子供を巻き込むのも避けるべきです。子供を味方に引き込もうとしたり、片方の親の悪口を吹き込んだりする行為は、子供を深く傷つけます。
周囲に相談しすぎることも、円満な離婚を遠ざけるので、相談するにしても信頼できる少数の人に留めるべきです。情報が漏れると相手の不信感を招き、円満に進みづらくなってしまいます。
「離婚で不利になる言葉」の解説

子ありの夫婦の離婚の切り出し方は?
子ありの夫婦は、子供への影響を最小限にする切り出し方が大切です。子供がいるからこそ、円満離婚をするメリットは大きいです。
離婚による精神的なダメージを避けるため、話し合いは子供の前では行わないでください。親権や面会交流についても、自分の考えを押し付けるのでなく、子供のためを思って話し合う姿勢を、夫婦で共有しておくことが大切です。
一方で、親権について双方とも譲らない場合、円満離婚は実現できず、調停や裁判に進む可能性が高くなります。
「円満」と言えるには、子供への説明のタイミングにも配慮が必要です。年齢や理解力を加味し、「両親に変わらず愛されている」と安心させられる説明が求められます。
「親権争いは母親が有利?」の解説

円満離婚後に相手の不貞が発覚したら?
円満離婚後に相手の不貞が発覚するケースがあります。
円満に別れることを優先して調査や責任追及を諦めていたとすれば、後悔が残るでしょう。この場合、慰謝料請求が可能なケースもあります。
清算条項付きの離婚協議書を取り交わしても、「不貞の事実を知らなかった」なら、新たな請求が可能です。清算条項は、離婚時に知れていた事実についての権利関係を清算するに過ぎません。
なお、不法行為に基づく請求は、加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間で時効が成立します。したがって、相手が不貞を隠していたことが明らかになったら、迅速に請求する必要があります。
「不倫相手に慰謝料を請求する方法」の解説

円満離婚を弁護士に相談する最適なタイミングは?
「夫婦で円満に話し合うなら弁護士は不要」と考える人もいます。
しかし、円満離婚を目指す場合でも、感情的な対立があったり、条件面に疑問があったりするケースでは、早めの相談が結果を大きく左右します。
次のような状況なら、円満に終わりたいケースでも弁護士に相談すべきです。
- 話し合いが平行線を辿るとき
意見が噛み合わない場合、感情の衝突を避けるためにも第三者の客観的な視点が役立ちます。 - 相手が感情的・攻撃的なとき
相手がこちらの話を受け入れない場合、弁護士を通して負担を減らし、冷静に向き合う余裕を持つことが大切です。 - 法律知識が不足しているとき
基本的には円満に進んでも、このまま進めてよいのかと不安に思う人もいるでしょう。財産分与や養育費、慰謝料といった点について「この条件で合意して損はないのか」と迷うときは、弁護士に相談してください。
無料で初回相談できる法律事務所もあるので、気軽に相談してみましょう。
代理で交渉してもらうケースではなくても、不安や疑問を解消するだけでも心に余裕が生まれ、より良い選択が可能です。
「離婚に強い弁護士」の解説

まとめ

今回は、円満離婚について詳しく解説しました。
離婚は人生の節目ですが、必ずしも「争い」によってのみ実現するものではありません。夫婦が仲良しだった頃を思い出し、敬意と配慮をもって進めれば、円満離婚することも可能です。
円満離婚を実現するには、離婚後の生活を見据えた準備、適切なタイミングや伝え方といったポイントを押さえる必要があります。そして、当事者同士では感情的な対立が激化しそうなときは、弁護士を介して伝えるのもスムーズです。
感情だけで動かず、将来を見据えた冷静な決断ができれば、結果として自分はもちろん、相手や家族、子供にとっても良い結論となるでしょう。
- 円満離婚を成立させるには、冷静な対話と互いの納得がポイント
- 相手を責めず、感謝を伝え、適切なタイミングと場所で切り出す
- 円満離婚だからと過信することなく、合意内容は公正証書化する
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協議離婚は、夫婦の話し合いで離婚条件に合意し、離婚届を提出することで成立します。この手続きは比較的簡単で迅速に進められる一方、難しい法律問題があっても自分達で乗り越えなければなりません。
合意内容が曖昧なままだと後にトラブルが生じるおそれがあるので、「協議離婚」の解説を参考にして進めてください。

