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離婚に伴うお金の問題とは?金銭トラブルを防ぐ方法と請求のポイント

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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離婚を考えたとき、多くの人が「お金の問題」に直面します。

離婚時のお金の問題として、財産分与、婚姻費用、養育費、慰謝料といった項目は、離婚に向けた話し合いや調停・訴訟でも争点になりやすいテーマです。また、借金や浪費、金銭感覚の違いなど、お金の問題は離婚原因に深く関わることもあります。

離婚条件について、気持ちや感情の争いは大きいでしょうが、現実問題として「離婚とお金」の問題を解決しなければ、納得のいく離婚にはなりません。法律知識のないまま進めると、トラブルになったり不利な条件に合意したりして、後悔が残るおそれがあります。特に、離婚時に請求すべき金銭について理解しておかないと、不利益を被ってしまいます。

今回は、離婚に伴うお金の問題と、金銭トラブルを防ぐためのポイントについて、弁護士が分かりやすく解説します。

目次(クリックで移動)

離婚に伴うお金の問題とは

喧嘩する男女

はじめに、離婚に伴うお金の問題について、基本を解説します。

離婚は婚姻関係の解消にとどまらず、お金の問題も解決しなければなりません。代表的には、夫婦で築いた財産を分ける「財産分与」、離婚原因の責任を追及する「慰謝料」、子供がいる場合の「養育費」、別居中の生活費である「婚姻費用」、老後の年金を分ける「年金分割」などがあります。

また、住宅ローンなどの負債の整理が必要になったり、財産分与や養育費、婚姻費用について自身が支払う側となったりすることもあるため、「もらえるお金」だけでなく「支払うお金」も把握し、適正な金額で清算することが重要です。

これらの金銭的な問題は、離婚後の生活に大きな影響を及ぼすため、十分な知識がないまま話し合いを進めると、本来請求できる権利を見逃したり、不利な条件で合意したりするおそれがあります。また、相手が財産を隠したり、処分したりするケースもあるため、離婚を考え始めた時点で、速やかに相手名義の財産や収入に関する資料を入手しておく必要があります。

離婚時に請求できる主なお金

次に、離婚時に請求できる主なお金について、一覧にして解説します。

離婚では、相手に対して金銭を請求できる場面があります。代表的なものとして、財産分与、慰謝料、養育費、婚姻費用、年金分割の5つが挙げられます。それぞれ請求できる条件や目的、金額の決め方が異なるため、順に解説していきます。

離婚時に請求できるお金【一覧】

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に公平に分ける制度です。

預貯金、不動産、有価証券、自動車、生命保険の解約返戻金、退職金などが対象とされ、夫婦いずれの名義かにかかわらず、実質的に「共有財産」といえるものが分与されます。一方で、婚姻前から有していた財産、相続・贈与により取得した財産は「特有財産」とされ、分与の対象外です。

財産分与の割合は、夫婦間の貢献度の公平を図るため、原則として2分の1ずつとされています。専業主婦(主夫)として収入がなくても、家事や育児による貢献が考慮されます。

離婚時の財産分与」の解説

慰謝料

慰謝料とは、違法行為によって精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償です。

離婚の場面で慰謝料が認められる代表例として、不貞行為やDV、悪意の遺棄といった有責行為が一方にあるケースが挙げられます。例えば、不貞行為によって離婚した場合、配偶者と不倫相手に慰謝料を請求できます。慰謝料の金額は、婚姻期間や行為の内容、悪質性、精神的苦痛の程度などを考慮して決められますが、不貞行為の慰謝料の場合、50万円〜300万円程度が相場となっています。

ただし、全ての離婚のケースで慰謝料が認められるわけではなく、単なる性格の不一致や価値観の違いでは、慰謝料は発生しません。

慰謝料請求を認めてもらうには証拠が必要なため、できる限り多額の請求をしたいのであれば、事前に記録や資料を集めておくことが大切です。

養育費

養育費とは、未成年の子供を監護・養育するために必要な費用のことを指します。

離婚しても親子関係はなくなりません。離婚時に親権を取得しなかったとしても、扶養義務は残り、子供と離れて暮らす親は、その生活費や教育費を負担する必要があります。支払期間は、子供が成年(満18歳)に達するまでが基本となりますが、大学進学などを考慮し、20歳や22歳、大学卒業までといった終期を定めて合意するケースが多いです。

養育費の金額は、父母双方の収入や子供の人数・年齢を考慮し、「養育費・婚姻費用算定表」に基づいて決めるのが一般的です。

婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係にある間の生活費を分担するためのお金です。

夫婦は、互いに協力扶助義務を負っているため、たとえ別居していても離婚が成立するまでは、収入の多い配偶者は他方に対して婚姻費用を支払う義務があります。婚姻費用には、配偶者の生活費のほか、子供の養育費も含まれるため、一般に離婚後の養育費よりも高額になります。金額については養育費と同じく「養育費・婚姻費用算定表」を参考に決められるのが通常です。

なお、夫婦の協力扶助義務に基づく婚姻費用は、離婚成立と同時に終了し、その後は子供がいる場合には養育費の支払いへ移行します。

別居中の生活費の相場」の解説

年金分割

年金分割とは、婚姻中に納めた厚生年金の納付記録を夫婦間で分割し、将来の年金額に反映させる制度です。年金そのものを分けるのではなく、記録を分割する点が特徴です。年金分割には、夫婦の合意や裁判所の手続きで割合を決める「合意分割」と、第3号被保険者であった配偶者が一定の条件を満たすことで相手の同意がなくても請求できる「3号分割」の2種類があります。

離婚時に支払うこととなる主なお金

離婚では、相手にお金を請求するだけでなく、自身が支払う立場になるケースもあります。

慰謝料や養育費を請求されて支払う場合のほか、財産分与の結果として相手に金銭を支払うこともあります。特に、住宅ローンや借金がある場合、財産分与についてどのように扱うべきか、事前に整理しておくことが必要となります。

慰謝料を支払う場合

婚姻関係を破綻させる原因を作った「有責配偶者」は、慰謝料を支払う側となります。

例えば、不貞行為やDVといった離婚原因となる違法行為が自らにある場合、相手から慰謝料を請求される可能性があります。この場合、有責配偶者からの離婚請求は信義則上制限されるため、早期の離婚を希望すると、相場を超える支払いを求められるケースもあります。

ただし、離婚時に発生する慰謝料には一定の相場があります。例えば、不貞行為の慰謝料は50万円〜300万円程度が目安とされます。相手から過大な請求をされた場合、安易に受け入れるべきではなく、妥当な額かどうかを確認し、減額交渉を試みるようにしてください。

財産分与で相手に金銭を支払う場合

財産分与では、夫婦の共有財産を公平に分けることを目的とします。

このとき、夫や妻の単独名義の財産であっても、夫婦の協力によって築いた財産は分与の対象となります。そのため、婚姻後に自身の名義で蓄えた財産が多い場合、分与する側となります。財産そのものを全て現物で折半する必要はなく、総額で調整してバランスを取ることができます。その結果、自宅などの不動産、自社株や事業用資産など、分割しにくい財産を取得する側は、他方に対して代償金を支払うこととなるケースもあります。

離婚までの流れ」の解説

養育費を支払う場合

未成年の子供がいて、子供と離れて暮らす場合、養育費を支払う側となります。

養育費の支払いは親としての扶養義務の一環であり、離婚原因やその責任、親権の帰属とは関係なく発生します。養育費は子供の健全な成長を支えるためのお金であるため、一度約束したら、途中で支払いを滞らせるべきではありません。

強制執行認諾文言付きの公正証書、調停調書などの債務名義があると強制執行の対象となるほか、給与を差し押さえられる範囲が通常の4分の1から2分の1に拡大されたり、将来分を一括して差し押さえることができたりといった特別な扱いがあるなど、保護が図られています。

住宅ローンと財産分与

離婚時には、住宅ローンや借金などの負債についても整理する必要があります。

住宅ローンが残っている自宅をどちらが取得するか、一方が住み続けるか、ローンの返済をどちらが行うかといった問題について、離婚時に協議しておかなければなりません。負債については、住宅ローンのように夫婦の共同生活のために負担したものは財産分与の対象とされる一方で、個人的な目的による借り入れは対象外です。なお、離婚協議の中で「相手がローンを支払う」と取り決めても、金融機関には主張できず、契約上の債務者が引き続き返済義務を負う点に注意が必要です。

離婚手続きや新生活に向けて必要な費用

離婚に伴うお金の問題は、相手との間でやり取りする金銭だけではありません。

離婚を成立させるための手続きそのものにかかる費用や、離婚後の新生活をスタートするための費用もあらかじめ準備しておいてください。また、交渉を有利に進めるには、弁護士に依頼するためにかかる費用も見積もっておきましょう。

新生活のための費用(引越し・初期費用・家具家電など)

離婚後の新生活には、まとまった費用が必要となることが少なくありません。

新たな住まいを構える方にとって、引越し費用や新居の初期費用、新しい家具家電をそろえるための費用などがかかります。これらの初期費用は、100万円前後かかることも珍しくありません。婚姻期間が長く、家具家電が共有だった場合に、別居に伴って自分だけが費用がかかることに不公平感を抱かないよう、財産分与を適正に実施することが必要となります。子供が幼い場合、新しい生活環境を整えるための出費はさらに増える傾向にあります。

弁護士に依頼するための費用

夫婦間の話し合いで速やかに離婚ができればよいですが、離婚条件について争いがある場合、協議が難航することも少なくありません。感情的な対立が激しいケースでは、弁護士を代理人とする方が円滑に進み、早期の離婚が実現できる可能性があります。

また、協議が決裂する場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、不成立となった場合には離婚裁判(離婚訴訟)に進むといったように、法的な手続きを利用する必要があります。このように、離婚までの手続きが難航するほど、費用が嵩む傾向にあります。

当面の出費を抑えるため、弁護士に依頼しないという選択も考えられますが、それによって相手の不当な要求を飲んでしまったり、離婚トラブルが長期化して精神的負担が増大したり、離婚後の養育費の支払いが滞ったりしてしまえば本末転倒です。将来の不安を解消して適正な金銭を獲得するには、まずは無料相談から弁護士のアドバイスを求めるのが適切です。

離婚裁判の費用」の解説

離婚時のお金のトラブルを防ぐ方法

離婚では、お金に関する話し合いが長期化したり、離婚後に新たなトラブルが発生したりするケースが少なくありません。こうした紛争を防ぐには、事前の準備が大切です。以下では、離婚に伴うお金に関するトラブルを防ぐためのポイントについて解説します。

財産を事前に把握しておく

金銭面の協議を円滑に進めるには、夫婦の財産を事前に調査することが不可欠です。

預貯金や不動産だけでなく、株式、投資信託、生命保険、退職金、暗号資産なども財産分与の対象となる可能性があるため、整理しておかなければなりません。離婚後に初めて判明した財産があると、争いが再燃するおそれがあるため、離婚前に全体像を把握しておきましょう。

相手の財産を調べる方法」の解説

離婚後の生活設計を計画しておく

離婚後の生活に困窮しないよう、生活設計をあらかじめ計画しておきましょう。

離婚後の収入と支出を具体的に書き出した上で、必要な資金、相手に請求すべき金銭、親の援助などを踏まえて計画を立てておきましょう。特に、専業主婦(主夫)であった人は、再就職の準備や公的支援の活用なども視野に入れ、シミュレーションしておく必要があります。

感情的にならず話し合う

離婚では感情的な対立が激しくなりやすいですが、お金の問題については冷静な話し合いが必要です。怒りや不満から過大な要求をしたり、相手の提案を無視したりすると、かえって協議が長期化し、解決が難しくなってしまうこともあります。

当事者同士で解決が難しい場合は、家庭裁判所に調停を申し立てたり、弁護士を代理人として交渉したりすることで、冷静な解決を図ることができます。

離婚協議書・公正証書を作成する

夫婦間で離婚条件について合意できた場合、口約束だけで済ませるべきではありません。

財産分与や慰謝料、養育費などの内容を離婚協議書に残せば、後日の認識違いや紛争を防ぐことができます。特に、養育費の支払いや、財産分与や慰謝料が分割払いとなる場合などは、将来にわたって継続的な支払いがある場合、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するのがおすすめです。公正証書があれば、支払いが滞った場合に、裁判を経ることなく強制執行を利用できます。

離婚協議書を公正証書にする方法」の解説

離婚に伴うお金の問題を弁護士に相談すべき理由

離婚に伴うお金の問題は多岐にわたりますが、互いに影響し合っています。

財産分与、慰謝料、養育費といった離婚条件について、離婚時に協議されますが、個別に考えるのではなく、離婚後の生活設計を見据え、バランスを踏まえて交渉する必要があります。その中で、それぞれに一定の相場があり、法律や裁判例を踏まえて協議しなければなりません。

一方で、離婚の協議は感情的になりやすく、冷静な対応が難しいことも珍しくありません。その結果、本来受け取れるはずのお金を請求し損ねたり、不当な要求に応じたりといったように、金銭トラブルが拡大してしまうおそれがあります。弁護士が代理人となって交渉すれば、法律や家庭裁判所の実務に基づいた妥当な解決を実現することができます。

さらに、合意内容を離婚協議書として書面化し、必要に応じて公正証書にすることで、将来の支払いが滞った際にも迅速な対応が可能になります。

当事務所では、離婚問題を数多く取り扱った経験をもとに、離婚に伴うお金の問題について、法律や裁判例を踏まえた戦略的なアドバイスを提供できます。元家庭裁判所長を経験した弁護士が在籍しているため、裁判所の判断の傾向も踏まえ、有利かつ納得できる解決を目指せます。離婚に伴うお金の問題でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

離婚に強い弁護士とは?」の解説

【まとめ】離婚に伴うお金の問題

今回は、離婚に伴うお金の問題について注意すべきポイントを解説しました。

離婚に伴うお金の問題は、財産分与や養育費、婚姻費用、慰謝料などが主となりますが、それ以外にも多岐にわたります。離婚条件として金銭の支払いを約束することは、将来の生活にも直結する重要な問題です。特に、夫婦生活を長く続けるほど、いざ離婚したときに請求すべき金額は増えることが多く、その分だけ感情的な対立が起こり、トラブルが加速しやすくなります。

「将来の生活が困窮してしまうのではないか」といった不安が離婚を決断する支障とならないよう、離婚に伴うお金の問題についてよく理解しておきましょう。離婚時の金銭トラブルを回避し、スムーズに解決するには、事前に正しい情報を収集し、冷静に話し合うことが大切です。

財産分与や養育費など、将来も継続する可能性のある金銭支払について、後からトラブルとなることを防ぐため、弁護士による専門的なアドバイスを受けるのが安心です。

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