離婚・男女問題

離婚協議書の書き方と、必ず記載すべき重要項目、作成方法【書式付】

2021年8月8日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

離婚協議書は、離婚の話し合いが終わり、いざ離婚に進むとき必ず作成するようにしてください。離婚協議書は、子どもやお金など、生活に密接にかかわる重要な離婚条件について、2人の約束を明記し、将来のトラブルを避けることができる重要な書面だからです。

口頭の約束でも、離婚届さえ出せば、離婚すること自体は可能ですが、離婚協議書を作成しておかないと、あとから、約束が履行されないおそれがあります。特に、財産分与や養育費など、あてにしていたお金がもらえないと、将来頭を悩ませることとなります。

離婚協議書を作成し、離婚後のトラブルを適切に回避するためには、離婚協議書に書いておくべき重要項目をきちんと理解し、漏らさず記載しておくことが重要です。あわせて、離婚協議書を公正証書にしておくことで、違反があったとき強制執行(財産の差押え)ができます。

今回の解説では、

  • 離婚協議書の書き方(書式)
  • 離婚協議書に必ず書いておいてほしい重要項目
  • 離婚協議書を作成する流れ

といった離婚協議書に関する法律知識について、離婚問題を多く取り扱う弁護士が解説します。

離婚協議書とは

離婚協議書とは、話し合いによる離婚(協議離婚)のときに、夫婦間の離婚に向けた合意事項を書面に記載して締結する書面のことです。

「離婚協議書」という題名で作成することが通常ですが、「覚書」、「合意書」など、その他の題名であっても、離婚条件に関する夫婦双方の約束を内容とするものであれば、離婚協議書の性質を持ちます。なお、夫婦いずれかの一方的な意思表示ではなく、合意を示すものであることが重要です。

離婚協議書がなぜ必要なのか

夫婦が離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。

調停離婚では調停調書、裁判離婚では判決書という書面が、離婚の証拠としてきちんと残ります。これに対し、協議離婚では、夫婦間の話し合いと約束により離婚するため、離婚協議書を作成しておかなければ、離婚条件などの大切な約束が、証拠に残りません。

離婚の話し合いが成立し、離婚する際には、離婚時にいくらのお金を支払うのか(財産分与、慰謝料など)、離婚後に継続的に支払うお金はいくらか(養育費など)、子どもの養育についてどのようにするのか(親権・監護権、面会交流など)といった重要な事項について合意を成立させているはずです。

重要事項について口約束しかないと、将来に元パートナーが約束に違反したとき、あらためて話し合いをし直し(場合によっては訴訟を行い)、約束を決め直さなければなりません。離婚協議書は紛争の蒸し返しを回避し、離婚時の問題を終局的に解決するために重要な書面です。

離婚協議書の書式

離婚協議書は、夫婦の話し合いの結果、合意に至った内容を記載するものであるため、法律上、どのような内容を必ず書かなければならない(もしくは、書いてはならない)というルールはありません。そのため、家族の事情に応じて、約束しておくべきことをある程度自由に書くことができます。

とはいえ、夫婦の離婚で問題になりやすい事情には、ある程度典型的なケースがあり、これらの問題をきちんと押さえている離婚協議書でなければ、作成するメリットが薄くなってしまいます。そこで、はじめに、離婚協議書の書式例を示しておきます。

離婚協議書

XXXX(以下「甲」という)と、YYYY(以下「乙」という)とは、離婚について次のとおり合意した。

第1条(離婚の合意) ※詳しくは次章で解説
甲と乙とは、本日、協議離婚することに合意した。離婚届については、XXXXが先に署名押印の上、証人2名を用意して署名押印させたものを、YYYYに交付し、20XX年XX月XX日までに乙が役所に提出するものとする。

第2条(親権者の指定) ※詳しくは次章で解説
甲乙間の未成年の子AA(生年月日:20XX年XX月XX日、以下「丙」という)について親権者を父と定め、未成年の子BB(生年月日:20XX年XX月XX日、以下「丁」という)について親権者を母と定める。

第3条(養育費の支払い) ※詳しくは次章で解説
甲は、乙に対し、子BBの養育費として、離婚の翌月から子が満22歳に達した後最初に到来する3月までの間、毎月25日限り、月額XX万円を、乙の指定する金融機関に振込送金する方法により支払う(振込手数料は甲野負担とする)。

第4条(面会交流) ※詳しくは次章で解説
甲は、子BBとの間で、月1回、3時間程度の面会交流を行うものとする。日程及び場所は、都度、甲乙間の協議によって定めるものとし、子BBが7歳になるまでは、事前に連絡の上、乙が送迎を行う。
また、甲は、子が7歳になった後は、年に2回、1泊2日の宿泊をともなう面会交流を行うものとする。

第5条(慰謝料の支払い) ※詳しくは次章で解説
甲は、乙に対して、本日限り、離婚の慰謝料として金XXX万円を、乙の指定する金融機関口座へ振込送金する方法により支払う(振込手数料は甲野負担とする)。

第6条(財産分与) ※詳しくは次章で解説
甲及び乙は、下記1記載の不動産について、売却し、その売却代金から未払いローン残高を控除した金額を2分の1ずつ取得するものとする。また、甲は乙に対し、下記2記載の甲名義の預貯金について、20XX年XX月XX日時点の残高の2分の1を支払うものとする。

1 不動産 (略)
2 預貯金 (略)

第7条(住宅の取り扱い) ※詳しくは次章で解説
甲及び乙は、下記記載の不動産について、離婚後は乙が居住することを合意した。
不動産に関する未払いの住宅ローン、租税公課その他一切の費用は甲が負担するものとし、乙は甲に対して、未払いの住宅ローンのうち半額を、ローン支払い期限のX日前までに甲の指定する金融機関口座へ振込送金する方法によって支払う(振込手数料は乙の負担とする)。

第8条(年金分割) ※詳しくは次章で解説
甲及び乙は、甲乙間の年金分割の割合を0.5とすることに合意した。

第9条(強制執行認諾文言) ※詳しくは次章で解説
債務者は、本証書記載の金銭支払いを怠ったときは、直ちに強制執行に服することを認諾した。

第10条(清算条項) ※詳しくは次章で解説
甲及び乙は、本件離婚が円満に解決したことを確認し、本離婚協議書に定めるほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

20XX年XX月XX日

(甲) XXXX 印
(乙) YYYY 印

なお、上記の書式例は、あくまでもサンプルであり、家族の事情に応じて、項目の取捨選択が必要となります。また、子どもが特殊な病気であるとか、一方に多額の財産があるなど、特殊な事情があるケースでは、それに応じた修正・追記が必要となることもあります。

離婚協議の段階から、弁護士を代理人として交渉を任せることにより、個別事情をしっかりと踏まえた離婚協議書を作成してもらい、有利な解決につなげることができます。

離婚協議書に記載しておくべき重要項目

前章で、離婚協議書はあくまでも夫婦の約束を示すものであるため、必ず記載しなければならない項目や、記載してはならない項目などはなく、家族の事情に応じた適切な内容とすべきことを解説しました。

とはいえ、離婚問題で特に争いの火種となるような事項については、離婚協議でしっかりと話し合われていることが通常なので、そのような点については、必ず離婚協議書に記載しておくべき重要項目といえます。

ここでは、離婚協議書に通常よく記載される重要項目ごとに、書式例と注意事項を解説していきます。

離婚することの合意

まず、最重要のこととして、「離婚をすること」に夫婦双方が合意していることについて、離婚協議書に必ず記載しておいてください。離婚条件についての話し合いが成立し、「離婚をすること」についてどちらも異議がなくならなければ、離婚協議書を作成することはできないからです。

この項目には、あわせて、離婚届をどちらが提出するか、どちらが先にサインをするかといった手続き面の取り決めを記載することがあります。

離婚届を2人で提出しに行く例もありますが、協議の段階でどちらかが離婚を拒否し復縁を求めていたときや、DV・モラハラがあり対面することがもはや難しいときなどにも、離婚届の提出に至るまでスムーズに進むようルールづくりが必要となります。

第1条(離婚の合意)

XXXX(以下「甲」という)と、YYYY(以下「乙」という)とは、本日、協議離婚することに合意した。離婚届については、XXXXが先に署名押印の上、証人2名を用意して署名押印させたものを、YYYYに交付し、20XX年XX月XX日までに乙が役所に提出するものとする。

親権者の指定

夫婦間に未成年の子どもがいるときには、親権者を定めなければ離婚をすることができません。親権者は、離婚届に必ず記載しなければならないこととされていますが、離婚協議書にも、確認のため親権者を書いておくようにします。

子どもが複数人いるときには、子どもの名前、生年月日を記載することにより、子どもを特定し、その子どもごとに親権者、監護権者などの取り決めを記載することが必要です。

第2条(親権者の指定)

甲乙間の未成年の子AA(生年月日:20XX年XX月XX日、以下「丙」という)について親権者を父と定め、未成年の子BB(生年月日:20XX年XX月XX日、以下「丁」という)について親権者を母と定める。

なお、親権者とは別に監護権者を定めるときには、離婚届には親権者しか記載欄がないことから、必ず離婚協議書に、監護権者を定めておくことが必要です。

第2条(親権者及び監護権者の指定)

甲乙間の未成年の子AA(生年月日:20XX年XX月XX日、以下「丙」という)について親権者を父と定め、監護権者を母と定める。

養育費の支払い

子どもの監護を行う親は、他方の親から養育費を支払ってもらうことができます。養育費についての話し合いが成立したときには、離婚協議書に、養育費についての次の項目を定めることが通常です。

  • 養育費の支払額
    :生活の安定のため、月額で定めることが通常です。家庭裁判所の実務で用いられている養育費・婚姻費用算定表が、支払額の目安となります。
  • 養育費の支払日
    :毎月一定期日に支払うよう定めることが通常です。支払者の給料日などを考慮して、一定の期日を定めます。
  • 養育費の支払期間
    :子どもが成熟まで支払うことが通常で、多くのケースでは子どもが20歳になるまで(もしくは、大学卒業まで)と定めます。
  • 養育費の支払方法
    :振込先、振込手数料の負担などを定めます。
第3条(養育費の支払い)

甲は、乙に対し、子BBの養育費として、離婚の翌月から子が満22歳に達した後最初に到来する3月までの間、毎月25日限り、月額XX万円を、乙の指定する金融機関に振込送金する方法により支払う(振込手数料は甲野負担とする)。

面会交流

離婚協議書において、子どもを監護養育しない親が、子どもにどのようにして会うことができるかについて定めるのが、面会交流に関する条項です。夫(または妻)が「子どもに会いたい」と希望するケースはもちろん、妻(または夫)が「子どもの健全な発育のため、父親としての責任を果たしてほしい」と求めるケースでも、面会交流について離婚協議書の定めが重要となります。

面会交流について、離婚協議書には次の事項を定めることが通常です。

  • 面会交流の回数、1回の時間数
    :面会交流について、一定の期間に何回程度行うかの目安(例えば「月1回」など)を記載することが一般的です。
  • 面会交流の日程の決め方
    :面会交流の日程の決め方は、争いにならず子どもにしっかり会えるときは、後日の協議に任せることも多くありますが、将来の紛争の可能性が高いときは、具体的な曜日(例えば「第1日曜日」など)を定める例もあります。
  • 面会交流時の具体的な方法
    :子の年齢にあわせ、具体的な方法を記載します。特に子が幼いとき、監護親がどのように協力するか(送迎、受け渡しなど)を記載するようにします。また、宿泊を伴う面会交流は争いになりやすいため、その可否を定めておくことがあります。
  • 面会交流時のルール
    :面会交流のときに問題行為が起こることが予想されるケースでは、やってよいことの制限、禁止事項などを記載することがあります。

親権で争いとなったなど、子どもをめぐる問題がトラブル化しやすいケースでは、面会交流の定めを事細かく決めておくようにしてください。逆に、双方とも子どもに愛情があるようなトラブルの可能性の低いケースでは、「面会交流の方法などは、個別に協議する」などと定める例もあります。

第4条(面会交流)

甲は、子BBとの間で、月1回、3時間程度の面会交流を行うものとする。日程及び場所は、都度、甲乙間の協議によって定めるものとし、子BBが7歳になるまでは、事前に連絡の上、乙が送迎を行う。
また、甲は、子が7歳になった後は、年に2回、1泊2日の宿泊をともなう面会交流を行うものとする。

慰謝料の支払い

離婚について一方の配偶者に責任があるとき、慰謝料の支払いを取り決めることがあります。例えば、夫(または妻)に不貞やDVの事実があるケースです。

慰謝料について離婚協議書に定めるときは、次の重要項目について漏らさず記載しておいてください。

  • 慰謝料の支払額
    :最重要なのは、慰謝料としていくら支払うかについて記載することです。なお、不貞の慰謝料の相場は100万円〜300万円程度とするのが実務です。
  • 何についての慰謝料か
    :離婚それ自体、原因となった不貞・DVなど、何に対して慰謝料を支払うのかを定めることが重要です。これは、後日、他の理由での追加請求を防ぐためです。
  • 慰謝料の支払日、支払い方法
    :慰謝料については、離婚時に一括して支払うこととするケースが多いですが、資力不足の場合などには分割支払いとする例もあります。あわせて、振込先などを定めます。
  • 慰謝料を支払わなかったときの制裁
    :慰謝料を約束どおりに支払わなかったとき、(分割払いのときには期限の利益を喪失して一括支払いとし)利息や違約金が発生するなどの制裁について定めます。

慰謝料は、離婚について一方の有責性を認めて支払うものであるため、協議の段階で相手に非を認めてもらう必要があります。そのため、満足のいく慰謝料を獲得したいときは、事前の証拠収集が重要となります。

なお、不法行為を理由とする慰謝料は「損害及び加害者を知ったとき」から3年のため、離婚にともなう慰謝料は、離婚時から3年間で時効となります。

第5条(慰謝料の支払い)

甲は、乙に対して、本日限り、離婚の慰謝料として金XXX万円を、乙の指定する金融機関口座へ振込送金する方法により支払う(振込手数料は甲野負担とする)。

なお、離婚にともなって「慰謝料なし」とするときには、「清算条項」によってすべての債権債務がなくなるわけですが、念のため確認的に、慰謝料を発生させないことを定めておくことがあります。

第5条(慰謝料の不発生)

甲及び乙の間に、離婚にともなう慰謝料は生じない。

財産分与

財産分与は、夫婦であった期間中、協力して維持・形成した財産について、公平の観点から分配する制度です。対象となる財産が多いほど、財産分与の支払いは高額となるため、確実な問題解決のためにも、離婚協議書に必ず記載しなければなりません。

財産分与についての離婚協議書の定めは、不動産、動産、債権(預貯金、生命保険、学資保険など)、借金(住宅ローン、自動車ローンなど)といった種類ごとに財産の特定を行い、どの財産について、いくらを分配するかを定めます。財産の特定は、登記簿謄本や預貯金通帳などにしたがい、正確に記載してください。

第6条(財産分与)

甲及び乙は、下記1記載の不動産について、売却し、その売却代金から未払いローン残高を控除した金額を2分の1ずつ取得するものとする。また、甲は乙に対し、下記2記載の甲名義の預貯金について、20XX年XX月XX日時点の残高の2分の1を支払うものとする。

1 不動産 (略)
2 預貯金 (略)

財産の種類や金額が多岐にわたるときには、財産目録を作成し、一覧表をつくることでわかりやすく定める方法が有効です。

財産分与の請求には期限があり、離婚から2年以内に行う必要があります。

なお、慰謝料と同様、財産分与を互いに請求しないとき、この条項を定めなければ「清算条項」により債権債務がなくなりますが、念のため確認的に、財産分与の支払いが生じないことを定めておくこともできます。

第6条(財産分与の不発生)

甲及び乙の間に、離婚にともなう財産分与は生じない

まとめ解説
財産分与について離婚時に知っておきたい全知識【弁護士解説】

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住宅の取り扱い

財産分与の中でも、特に激しい争いの種となるのが、住宅の扱いです。持ち家に住んでいるとき、持ち家が財産の中で相当大きな割合を占めていることが多いからです。

不動産を所有しており、かつ、財産分与の対象となるとき、その扱いは、離婚協議書の中で、特に慎重に、かつ、丁寧に定めておかなければなりません。特に、夫婦の一方が離婚後もその家に住み続けることを希望するケースや、住宅ローンの支払いが終わっていないケースでは、権利関係が複雑になります。

財産分与の割合は2分の1とするのが実務ですが、財産の大部分が不動産のとき、分け与える財産がなく、不動産に離婚後も居住せざるをえないことがあります。この場合でも、金融機関の承諾がなければ、住宅ローンの名義を変更することは困難であり、離婚協議書での調整が必要となります。

第7条(住宅の取り扱い)

甲及び乙は、下記記載の不動産について、離婚後は乙が居住することを合意した。
不動産に関する未払いの住宅ローン、租税公課その他一切の費用は甲が負担するものとし、乙は甲に対して、未払いの住宅ローンのうち半額を、ローン支払い期限のX日前までに甲の指定する金融機関口座へ振込送金する方法によって支払う(振込手数料は乙の負担とする)。

参考解説

年金分割

年金分割とは、夫婦の年金加入歴について、公平の観点から分割する制度のことです。妻(または夫)が、離婚をきっかけに仕事をやめ専業主婦(専業主夫)となった場合などに、年金の点で不利益を受けてしまうことを回避するために設けられた制度です。

年金分割の具体的な手続きについては法の定めにしたがうため、離婚協議書では、年金分割の割合(通常は0.5)のみ定めておくことが通常です。

第8条(年金分割)

甲及び乙は、甲乙間の年金分割の割合を0.5とすることに合意した。

公正証書化と、強制執行認諾文言

離婚協議書を公正証書化しておくことで、その効果をより強力にしておく方法が有効です。

公正証書とは、公証人が作成する公文書であり、文書の内容について証拠としての価値が高く評価されることに加え、違反があったとき、裁判により判決を取得しなくても、強制執行(財産の差押え)をすることができます。この公正証書の効力を、法律用語で「執行力」といいます。

本来、金銭請求についての未払いがあるときは、裁判をし、判決という債務名義を得なければ強制執行ができませんが、公正証書があれば、このようなプロセスを省略できるのです。これにより将来の支払いの確実性を増すことができます。

そのため、相手が離婚協議書を作成して離婚に同意しても、将来約束を破る可能性があると危惧するときには、離婚協議書を公正証書化しておくことがおすすめです。この際、強制執行をするためには、「強制執行認諾文言」を記載しておく必要があります。

第9条(強制執行認諾文言)

債務者は、本証書記載の金銭支払いを怠ったときは、直ちに強制執行に服することを認諾した。

また、公正証書を作成するためには、離婚協議書を作成し、公正証書の案分を作成して公証人のチェックを受け、公証人と面談するというプロセスがかかることから、離婚協議書の段階では、次のとおり、強制執行認諾文言付きの公正証書を後日作成することを約束しておく例もあります。

第9条(公正証書の作成)

甲及び乙は、本離婚協議書と同内容の、強制執行認諾文言付きの公正証書を後日作成することに合意した。

参考解説

清算条項

離婚協議書により、離婚についての争いを終局的に解決し、後日に禍根を残さないようにするのが、清算条項です。

清算条項では、離婚協議書に記載した取り決め以外には、2人の間に債権債務関係がないことを定めておきます。

第10条(清算条項)

甲及び乙は、本件離婚が円満に解決したことを確認し、本離婚協議書に定めるほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

作成日、署名押印

最後に、離婚協議書の末尾に、書面の作成日を記載し、両当事者の署名押印をします。

作成日は、離婚を合意した日付を特定することに役立ち、慰謝料や財産分与の期限の基準となる重要なものであるため、忘れず、正しい日付を記載するようにしてください。

本件離婚の合意が成立した証として、本離婚協議書を2通作成し、甲乙がそれぞれ1通ずつを保管する。

20XX年XX月XX日

(甲) XXXX 印
(乙) YYYY 印

離婚協議書を作成する流れと方法

最後に、離婚協議書を作成するときの流れと、具体的な方法について弁護士が解説します。

離婚協議書を作成する順序を誤り、離婚協議が不十分なまま書面作成に移ってしまったり、協議書作成前に届出をしてしまったりすると、離婚協議の交渉において相手から有利な条件が引き出せず、納得のいかない解決となってしまうおそれがあるため、注意が必要です。

夫婦間の離婚協議を行う

まず、離婚協議書を作成する大前提として、夫婦間で離婚条件について合意ができている必要があります。よく「離婚することには同意している」と相談してくる方がいますが、離婚条件について合意ができていなかったり、支払う金銭の額に乖離があったりするとき、合意は全く成立していないも同然です。

離婚協議で、重要な項目についての話し合いを忘れてしまわないためには、離婚協議書の書式を2人で見ながら、家族の状況に照らし合わせて順に話し合っていくことがおすすめです。

合意成立したら離婚協議書を作成する

離婚条件についての合意が夫婦間で成立したら、離婚協議書を作成します。離婚協議書は、手書きで作成しても有効ではありますが、改ざんなどのトラブルを防ぐため、パソコンで作成し、署名押印をする方法がおすすめです。

離婚協議書の作成について、間違いなく法的に拘束力あるものを作成するため、弁護士に依頼いただくことが有益です。

なお、夫婦間での話し合いによっては離婚条件についての合意ができないときには、離婚調停を申し立て、家庭裁判所で調停を行う流れとなります。「調停前置主義」というルールにより、離婚裁判より前に、離婚調停を行う必要があります。

離婚協議書を作成した後で、離婚届を提出する

離婚協議書は、必ず、離婚届を提出する前に作成、締結するようにしてください。公正証書化を検討しているときにも、必ず、公正証書を作成してから、離婚届を提出するようにします。

離婚届を出して離婚が成立した後で離婚協議書を作成することが許されないわけではないですが、既に離婚届を出してしまっていると、協議が円滑に進まないおそれがあります。

特に、離婚の成立後だと、夫婦関係の破綻に非のある側が思うように譲歩してくれず、慰謝料や財産分与などの金銭問題について、納得いく解決が得られないおそれがあります。これに対し、離婚成立前であれば、「離婚したい」という一心で、譲歩を得ることができ、有利な解決につながる交渉ができます。

離婚を求められている側からいえば、離婚協議書が完成するまでは離婚届を出してはならず、勝手に離婚届を出されてしまわないよう、離婚届不受理申出を役所にしておく方法が、交渉を有利に進めるために有効です。

参考解説

離婚協議書を、離婚後に変更できるか

残念ながら離婚協議書を作成せず、話し合いが不十分なままに離婚をしてしまったとき、離婚後であっても、離婚協議書を作成する努力をしておくことがおすすめです。離婚後でも、話し合いできるのであれば遅すぎることはありません。

特に、話し合いが不十分であったケースの中には、「怒りにまかせて離婚に応じてしまった」、「本当はもっと慰謝料、財産分与を請求したかった」といった相談例があります。

一旦は離婚の合意をし、離婚協議書を作成していた場合にも、事後的に大きな事情変更があるときには、離婚協議書に定めた離婚条件を変更することが許される場合があります。まずは、離婚条件の変更に相手が同意してくれないかどうか、再度話し合いを開始してください。

特に、養育費は、将来長期間にわたって支払いが続く上、収入や家庭環境が変化することにより見直しの必要があることがよくあります。事情変更があり、養育費を見直したいとき、養育費減額(増額)の調停を申し立てる方法が可能です。

参考解説

離婚問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

今回は、離婚をする前に、必ず作成、締結しておくべき離婚協議書について、その必要性、記載内容、作成方法などを弁護士が解説しました。

解説した書式例を参考に、家族の状況にあわせて修正し、適切な離婚協議書を作成することが、離婚後のあらたな紛争を回避することに役立ちます。

特に、慰謝料や財産分与、養育費などが高額化するとき、確実かつ終局的な問題解決のため、法的に適切な離婚協議書の作成について弁護士のアドバイスを受けることが有効です。

離婚問題についてお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

解説の執筆者

弁護士 浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院終了。

豊富な知識・経験に基づいた戦略的リーガルサービスを提供します。
専門分野の異なる複数の弁護士がタッグを組むことで、お客様にとって最も有利なサービスを、総合的に提供できることが当事務所の強みです。

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