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離婚協議書の書き方は?記載内容と作成方法、注意点を弁護士が解説【テンプレート付】

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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離婚協議書とは、離婚時に夫婦で取り決めた内容を記載した重要な書類です。

協議離婚では、夫婦の話し合いによって、財産分与や慰謝料、親権や養育費、親子交流(面会交流)など、離婚後の生活に直結する様々な条件を取り決めます。このとき、口約束で済ませて離婚届を出すと、後から「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあるため、離婚協議書を作成し、証拠に残しておくことが非常に重要です。

離婚協議書に決まった書式はありませんが、離婚時に決めておくべき離婚条件を漏れなく記載しなければ、紛争を回避する効果を十分に発揮できません。そのため、まずはテンプレートを参考に、個別の事情に応じて追記・修正する方法がおすすめです。養育費の支払い、財産分与や慰謝料の分割払いといった将来の金銭支払いを約束する場合、履行されない場合に裁判を経ずに強制執行が可能となるよう、公正証書を作成すべきケースもあります。

離婚協議書では、財産分与の対象や支払期限、養育費の金額・支払期間、親子交流(面会交流)の方法などを具体的に定めなければ、離婚後に解釈をめぐって争いが再燃し、せっかく作成した協議書を十分に活用できなくなるおそれがあります。

今回は、離婚協議書の書き方や記載すべき内容、作成方法と注意点について、弁護士が解説します。自分で作成する際に利用できるテンプレート(ひな形)も紹介するので、離婚条件を書面に残す際の参考にしてください。

目次(クリックで移動)

離婚協議書とは

ペン

離婚協議書とは、夫婦が話し合いによって取り決めた離婚条件を文書にまとめたものです。

協議離婚では、夫婦双方に離婚する意思があり、離婚届が受理されれば離婚自体は成立するため、離婚協議書の作成が必須なわけではありません。しかし、離婚時には、財産分与や慰謝料、親権、養育費、親子交流(面会交流)といった離婚後の生活に直結する様々な条件を決める必要があるため、後になって争いが生じないよう、証拠化しておく必要があります。

そのため、合意した離婚条件を証拠として残し、離婚後のトラブルを防止するために、協議離婚をする際には必ず離婚協議書を作成しておくことが重要です。

離婚協議書を作成する目的

離婚協議書の目的は、夫婦間で合意した離婚条件を明確にし、将来のトラブルを防ぐことです。

離婚時は、夫婦間の金銭や子供に関する重要事項を話し合います。調停離婚では調停調書、裁判離婚では判決書に離婚条件が記載されるのに対し、協議離婚は夫婦の話し合いに基づくため、離婚協議書を作成しないと取り決めた条件が証拠に残らず、争いが起きやすくなります。

離婚協議書を作成し、支払う金額や期限、方法などを具体的に記載すれば、どのような条件で合意したかを客観的な証拠に残すことができます。そして、相手が約束を守らなかった場合、離婚協議書を証拠として支払いを請求し、訴訟などで有利な判断を得ることができます。口約束しかないと、改めて協議し直したり、調停や訴訟で決め直したりしなければなりません。

また、離婚協議書を作成する過程で離婚条件を一つずつ確認することで、夫婦間の認識違いをなくし、納得のいく離婚を実現できるという効果も期待できます。

協議離婚の進め方」の解説

離婚協議書の法的効力

離婚協議書には、夫婦が合意したことを示す証拠としての役割があります。

例えば、離婚協議書に「夫は妻に対し、財産分与として300万円を支払う」と定めて合意すれば、原則としてその内容に従う義務があります。約束した金銭を支払わない場合に、離婚協議書を証拠として訴訟を提起すれば、それに従った判決が下される可能性が高いと考えられます。

ただし、離婚協議書だけで、直ちに相手の財産や給与などを差し押さえることはできません。強制執行を行うには債務名義が必要であり、夫婦間で作成しただけの書面はこれに当たりません。一方、養育費をはじめ、将来の金銭支払いが予定される場合、強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておけば、不払いが生じた際に裁判を経ることなく強制執行することができます。

したがって、将来的に未払いが生じて争いになるおそれのあるケースでは、「離婚協議書を公正証書にする方法」を検討してください。

なお、離婚協議書に記載すればどのような内容でも有効になるわけではありません。公序良俗に反する内容などは無効となる可能性がある点には注意してください。

離婚協議書に記載すべき内容

ポイント

次に、離婚協議書によく記載される項目ごとに、内容や書き方、注意点を解説します。抜け漏れなく作成するためのチェックリストとしてご活用ください。なお、具体的な内容については「離婚に伴うお金の問題」「子供のいる夫婦の離婚」の解説を参考にしてください。

離婚に合意した旨

まず、夫婦双方が協議離婚に合意したことを明確に記載します。

あわせて、離婚届にサインする順番、証人をいずれが用意するか、誰が、いつまでに離婚届を提出するかといった点も決めておくと、離婚の手続きがスムーズに進みます。協議離婚は、離婚届を提出した時点で成立するため、届出まで見据えて合意する必要があります。

親権者

未成年の子供がいる場合、離婚後の親権について定める必要があります。

親権者の指定は、子供の氏名と年齢を記載し、親権者を「父」「母」「共同親権とする」というように明確に定めるのが適切です。子供が複数いる場合はそれぞれの子供ごとに定めます。親権は父母の都合ではなく、子の福祉(利益)を最優先にして決めなければなりません。

2026年4月施行の改正民法により共同親権制度が導入され、父母双方を親権者とする共同親権と、父母の一方のみを親権者とする単独親権のいずれかを選択できるようになりました。また、かつては親権者を定めない離婚届は受理されませんでしたが、法改正により、親権者指定の調停・審判を申し立てれば、親権者を決めなくても離婚を先行させることができるようになりました。

なお、共同親権を選択する場合、親権者の定めとともに、子の監護を主として行う者や、日常生活に関する事項、進学・転居・医療などの重要事項の意思決定などについても定めることが重要です。一方で、虐待や暴力があったり、父母が共同して親権を行うことが困難な事情があったりする場合、共同親権は適切でないケースもあります。

養育費

未成熟子がいる場合には、離婚後の養育費について取り決めておきましょう。

養育費は、子供を監護する親が、他方に対して請求できる子供の養育にかかる費用であり、離婚協議書には次のような事項を具体的に定めておくことが重要です。

  • 養育費の金額
    養育費・婚姻費用算定表」を目安に、父母双方の収入、子供の人数・年齢などを考慮して算定するのが実務です。
  • 支払日
    毎月一定期日を定めます。支払者の給料日などを考慮して「月末」などとする家庭が多いです。振込とする場合、振込先と手数料負担についても定めましょう。
  • 支払期間(養育費の終期)
    子供が成熟するまで支払うのが基本であり、成年(満18歳)まで、または大学卒業や満20歳、満22歳などと定める例が多いです。

子供の進学、病気や事故など、通常の養育費ではまかなえない費用が発生する可能性もあります。私学の入学費や学費、留学費用、高額な医療費などの特別費用が発生したとき、誰がどのように負担するかについても定めておくのがおすすめです。

親子交流(面会交流)

離婚後に子供と離れて暮らす親との親子交流(面会交流)について記載します。

親子交流は、親の都合や希望ではなく、子供の健全な発育のために行うものです。離婚協議書では、次の事項について具体的に定めておきましょう。

  • 交流の回数や頻度、1回あたりの時間
    一定の期間に何回会うのか、また、その際に交流を行う時間の目安などを記載します(「月1回2時間程度」など)
  • 日程の決め方、父母間の連絡方法
    両親が協力的な場合は「後日協議する」という例もありますが、争いになると予想される場合は具体的に定めることもあります(「毎月第1日曜日」など)。
  • 具体的な交流方法
    子供の年齢に合わせ、具体的な方法や場所を指定します。幼い場合は監護親の協力(送迎や受け渡しなど)、一定年齢以上の場合は宿泊の有無などを定める例があります。
  • 面会交流時のルール
    交流時に問題行動を起こすと予想されるときは、禁止事項を定めます。

ただし、交流の条件を細かく決めすぎると、子供の成長や学校行事、習い事、病気などで事情が変わった際に柔軟に対応できないおそれがあります。そのため、基本的なルールを決めながら、具体的な日時についてはその都度協議する方法もあります。

DVや虐待などが問題となっているケースでは、安全確保を優先し、面会交流の実施自体を含めて慎重に検討しなければなりません。

財産分与

婚姻中に夫婦の協力によって形成した財産がある場合、財産分与について記載します。

離婚協議書では、預貯金や不動産、株式、自動車、生命保険などの対象財産を確認した上で、誰がどの財産を取得するのか、金銭によって清算する場合はいくら支払うのかを具体的に決めます。例えば、金銭を支払う場合は、金額だけでなく支払期限や方法を明記します。不動産を一方が取得する場合、対象となる不動産を特定し、所有権移転登記の手続きや費用負担についても決めておくのがよいでしょう。財産が多岐にわたる場合は財産目録を作成します。

公正な分与を実現するには、財産分与について合意する前には、夫婦双方の財産を十分に調査することも重要です。相手名義の預貯金や有価証券などを見落としたまま合意したり、住宅ローンの残る自宅の処理が不十分だったりすると、後でトラブルになるおそれがあります。

特に、財産分与の中でも争いになりやすい住宅の扱いについては、別途の条項で定める例もあります。持ち家が財産の相当割合を占めるケースや、その自宅に離婚後も一方が住み続けることを強く希望する場合は、その扱いについて詳細な条項が必要となります。

離婚時の財産分与」の解説

慰謝料

離婚の原因について一方に責任がある場合、慰謝料について合意することがあります。

例えば、夫や妻に不貞行為やDVがあって離婚したケースが典型例です。慰謝料について合意する場合、離婚協議書には次のような事項を具体的に記載してください。

  • 慰謝料の額
    慰謝料額を記載します。協議離婚を円滑に進めるには、相場に従った額にするのがよいでしょう(不貞慰謝料の相場は100万円〜300万円程度が目安)。
  • 慰謝料請求の理由
    責任を明確にするため、不貞行為やDVといった慰謝料請求の理由について離婚協議書に明記する例があります。支払う側にとっても、追加請求を防ぐ効果があります。
  • 支払期限、支払方法
    一括払いの場合には支払日、分割払いの場合には支払期限ごとの支払額を記載します。分割払いの場合、未払いがあった場合に期限の利益を喪失して残額を一括で支払う旨を記載するのが通例です。支払方法は、振込送金とするのが一般的です。

慰謝料は、離婚について一方の有責性を表すものなので、協議段階で相手に非を認めさせるには確実な証拠が必要です。証拠がないのに相手の責任を認めさせることに固執したり、相場とかけ離れた高額の請求を続けたりすると、早期の協議離婚は困難になってしまいます。

なお、離婚するからといって必ず慰謝料が発生するわけではありません。性格の不一致など、一方のみに離婚の責任があるとはいえないケースでは、慰謝料請求は認められません。

年金分割

年金分割とは、婚姻期間中における厚生年金の保険料納付記録を分割する制度です(将来受け取る年金を半分にする制度ではありません)。年金分割には「合意分割」と「3号分割」があり、合意分割では按分割合について夫婦間の合意が必要なため、離婚協議書に定めておきます。

通知義務

養育費をはじめ、離婚後も継続する義務がある場合、住所や連絡先に変更があった際の通知義務を定めることがあります。相手の連絡先が分からなくなると、支払方法の変更や子供に関する連絡などが必要となった際に困ってしまうからです。

そのため、必要に応じて、住所、電話番号、メールアドレスなど一定の情報に変更が生じた場合には相手へ通知する旨を定めておくとよいでしょう。

公正証書化と強制執行認諾文言

前述の通り、離婚協議書を公正証書にすれば、裁判を経ずに強制執行が可能です。

公正証書を作成するには、公証役場での手続きを要し、一定の時間がかかるのが通常です。そのため、先に離婚協議書を作成して合意内容を明らかにし、この中で将来公正証書化を予定していることを定めるのが通例です。この場合、そのまま公正証書にできるよう、強制執行認諾文言についても記載しておくのがおすすめです。

清算条項

清算条項とは、合意した以外に債権債務がないことを確認する条項です。

離婚協議書で、財産分与や慰謝料などの支払いを約束したにもかかわらず、離婚後に金銭請求が繰り返されるようでは、離婚をめぐる紛争を終了させることができなくなってしまいます。清算条項を記載すれば、離婚に関する金銭の問題が解決済みであることを確認できます。

一般的には「本協議書に定めるほか、互いに何らの債権債務がないことを確認する」と包括的に定めることが多いですが、一定の協議事項が離婚後も残される場合、例えば「不動産の財産分与は、離婚後に別途協議する」などと定める例もあります。

なお、後でトラブルが再燃しないよう、十分に財産の調査を行ってから清算条項を設けるべきですが、一方で、調査してもなお隠された財産が発見できなかった場合などは、清算条項が付されていたとしても、離婚後の請求が許されることもあります。

相手の財産を調べる方法」の解説

離婚協議書の書き方【テンプレート・ひな形】

次に、離婚協議書の書き方について、テンプレート・ひな形を紹介します。

離婚協議書には法律で定められた書式があるわけではないものの、前述の通り、記載すべき内容には一定の決まりがあり、漏れなく作成するためにはテンプレートが役立ちます。離婚時によく争いになる事項が抜けていると、最終解決をさせるという目的が果たせなくなります。

離婚協議書のテンプレート・ひな形

離婚協議書のテンプレート・ひな形は、次の通りです。

離婚協議書

夫○○○○(以下「甲」という。)と妻○○○○(以下「乙」という。)は、離婚について協議した結果、次の通り合意した。

第1条(離婚の合意)

甲と乙は、本日、協議離婚することに合意した。離婚届に必要事項を記載して署名の上、乙が20XX年XX月XX日までに提出する。

第2条(親権者)
甲及び乙の間の未成年の子○○○○(20XX年XX月XX日生、以下「丙」という)の親権者を母である乙と定め、乙において監護養育する。

第3条(養育費)
甲は乙に対し、丙の養育費として、離婚日の翌月から丙が満22歳に達する日の属する月まで、毎月○万円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

第4条(親子交流)
乙は、甲が丙と月○回程度、親子交流を実施することを認める。日程及び場所は、子の利益を最優先とし、甲乙間の協議で定めるものとし、丙が7歳になるまでは、事前に連絡の上、乙が送迎を行う。丙が7歳になった後は、年に2回、1泊2日の宿泊を伴う交流を行う。

第5条(財産分与)
甲及び乙は、下記1記載の不動産を売却し、その代金からローン残高を控除した金額を2分の1ずつ取得するものとする。また、甲は乙に対し、下記2記載の甲名義の預貯金の20XX年XX月XX日時点の残高の2分の1を支払うものとする。

1 不動産 (略)
2 預貯金 (略)

第6条(慰謝料)
甲は乙に対し、本件離婚の慰謝料として金○○万円を、20XX年XX月XX日限り、乙の指定する金融機関の口座へ振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

第7条(住宅の取扱い)
甲及び乙は、前条1記載の不動産に、離婚後も乙が居住することを合意した。当該不動産に係る住宅ローン、租税公課その他一切の費用は甲の負担とし、乙は甲に対し、未払いの住宅ローンの半額を、ローン支払い期限のX日前までに甲の指定する金融機関の口座へ振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。

第8条(年金分割)
甲及び乙は、婚姻期間中の厚生年金の年金分割について、按分割合を0.5とすることに合意し、その手続きに必要な協力をする。

第9条(通知義務)
甲及び乙は、養育費その他本協議書に基づく義務の履行に必要な範囲において、住所、連絡先その他必要な事項に変更が生じた場合には、相手方に通知する。

第10条(強制執行認諾文言)
債務者は、本証書記載の金銭支払いを怠ったときは、直ちに強制執行に服することを認諾した。

第11条(清算条項)
甲及び乙は、本協議書に定めるもののほか、本件離婚に関し、互いに何らの債権債務がないことを確認する。

以上の合意を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名押印の上、各1通を保有する。

令和○年○月○日

(甲)
住所 ○○○○
氏名 ○○○○ 印

(乙)
住所 ○○○○
氏名 ○○○○ 印

テンプレートをそのまま使用するのは避ける

離婚協議書のテンプレートはあくまで例であり、そのままコピーするのはおすすめできません。離婚時に決めるべき内容は家庭によって異なるため、子供の有無や年齢、夫婦の収入、保有する財産、住宅ローンの有無、不貞行為やDVの有無などによって、必要な条項も変わります。

また、テンプレートに必要な項目が含まれていても、具体的な書き方が不十分であれば、離婚後に「どちらの解釈が正しいのか」をめぐって争いになる可能性があります。特に、財産分与が高額になる場合、住宅ローンの残る自宅がある場合などは、争いになりやすいため注意が必要です。

離婚協議書は、離婚後の権利義務を定める重要な書面です。テンプレートはあくまで参考として利用し、個別の事情に応じた条項を作成しましょう。内容に不安がある場合、署名・押印する前に弁護士へ相談し、合意内容や条項に問題がないか確認することをおすすめします。

離婚協議の段階から、弁護士に交渉を任せることで、個別事情を踏まえて有利になるよう交渉し、その経緯を離婚協議書に反映することができます。

離婚に強い弁護士」の解説

離婚協議書を作成する方法と流れ

次に、離婚協議書を作成する方法と流れについて解説します。

離婚協議書を作成するには、まず夫婦で離婚条件を話し合い、合意できた内容を書面にまとめ、確認の上で双方が署名・押印する流れになります。先に離婚届を出してしまうと相手が非協力的となり、条件交渉が難しくなるおそれがあるため、必ず離婚前に作成してください。

STEP

離婚条件について夫婦で話し合う

まずは、離婚時に決めるべき条件について、夫婦で話し合います。

未成年の子がいる場合、離婚後の親権や養育費、親子交流(面会交流)について協議します。夫婦の財産状況や離婚に至った原因に応じて、財産分与や慰謝料、年金分割などについても話し合います。金銭の取り決めるでは、金額だけでなく、支払期限や支払方法、分割払いの有無などについても具体的に合意しましょう。

離婚を急ぐあまり、十分な話し合いをしないまま条件を決めることは避けましょう。決めるべき事項に漏れがあると、離婚後も争いが継続してしまいます。特に財産分与については、夫婦の財産を十分に把握してから話し合うことが大切です。

夫婦だけでは合意できない場合や、提示された条件が適正か判断できない場合には、弁護士に相談することも検討してください。

離婚までの流れ」の解説

STEP

合意内容を離婚協議書にまとめる

離婚条件に合意できたら、話し合った内容を離婚協議書にまとめます。

離婚協議書に決まった書式はないものの、抜け漏れのないよう、テンプレートを利用し、夫婦ごとに必要な条項を追記・修正して作成するのがおすすめです。完成した協議書を、無料相談で簡単に弁護士に見てもらうのもよいでしょう。なお、協議では離婚条件の合意に至らないとき、離婚調停を申し立てる流れとなります。

離婚調停の流れと進め方」の解説

STEP

内容を確認して署名・押印する

離婚協議書の文案を作成したら、夫婦双方で内容を確認し、署名・押印します。

後から変更することは難しいため、内容に問題がないかどうか、慎重に確認してください。清算条項がある場合、未解決の財産や請求が残っていないかについても確認する必要があります。特に、相手が作成してきた協議書には注意しましょう。

STEP

離婚届を提出する(離婚成立)

離婚協議書の締結が完了したら、その後に離婚届を提出します。協議書の完成前に勝手に離婚届を出されないよう、離婚届不受理申出の活用も有効です。

なお、養育費などの不払いに備えて公正証書を作成する場合は、公正証書化の手続きについても離婚届の提出前のタイミングで行うべきです。

離婚届を勝手に出すのは問題?」の解説

離婚協議書を作成するときの注意点

次に、離婚協議書を作成するときの注意点について解説します。書き方を誤ると、無用なトラブルを引き起こすため、注意して進めてください。

離婚届を提出する前に作成する

離婚協議書は、離婚届を提出する前に作成しておくのがおすすめです。

協議離婚は離婚届が受理されれば成立するため、離婚協議書がなくても離婚は可能です。しかし、先に離婚を成立させると、相手が話し合いに応じなくなり、財産分与や養育費などの条件を決めるのが難しくなってしまうおそれがあります。特に、相手が早期離婚を希望している場合、離婚に応じるのと引き換えに、有利な条件に合意してもらえる可能性もあります。

なお、離婚後でも財産分与などの請求は可能ですが、離婚の時から5年(2026年3月31日以前の離婚の場合は2年)という期限があるため注意してください。

離婚後の財産分与」の解説

不利な条件で安易に合意しない

早く離婚したいとしても、十分に検討せず不利な離婚条件に合意するのは避けるべきです。

例えば、相手から「すぐに離婚したいなら財産分与は放棄してほしい」「離婚に応じる条件としてこちらの作成した協議書にサインしてほしい」などと求められるケースがあります。しかし、本来請求できるはずの財産や権利を把握していないと、大きな不利益を受けるおそれがあります。

離婚協議書を作成する方法と流れ」の通り、離婚協議書は、夫婦で合意した内容を書面にしたものです。相手から離婚協議書の形で提案を受けた場合、不利な内容が含まれていないか精査しなければなりません。弁護士への相談は、署名・押印する前に行うようにしてください。

曖昧な表現は避けて具体的に記載する

離婚協議書の内容が不明確だったり、文言が曖昧だったり、見方によって様々な意味に解釈できてしまったりすると、離婚協議書を作成してもトラブルを収めることができません。例えば、「養育費を適宜払う」と記載したり、財産分与の割合を定めたのに対象財産の特定が十分でなかったりといったケースは、その協議書を読むだけでは合意内容を理解することができません。

離婚協議書では、曖昧な表現を使うのは避け、誰が見ても同じ意味に取れるよう、具体的かつ明確に記載することが重要です。

離婚協議書が無効になる場合」の解説

公正証書作成にかかる費用や手間を考慮する

離婚協議書を公正証書にすれば、強制執行できるメリットがある反面、手数料などの費用がかかったり、公証人との事前打ち合わせや書類の準備に時間がかかったりといったデメリットもあります。 そのため、公正証書にするかどうかは、事案に応じた判断が必要です。

なお、公証人は中立な立場で文書を作成するだけで、有利な条件を引き出すためのアドバイスは行わないため、内容に不安がある場合は弁護士に相談することをおすすめします。

離婚協議書の作成を弁護士に相談するメリット

弁護士法人浅野総合法律事務所

離婚協議書は自分でも作成できますが、弁護士へ相談するのがおすすめです。

離婚協議書は、離婚後のトラブルを防ぐ役割があるところ、弁護士に相談すれば、離婚条件が法的に適正かどうか、夫婦の事情に応じた内容になっているかを確認でき、離婚後のトラブルを防止できるからです。また、万が一支払いが滞ったり、事情が変化したりといった事態になっても、状況に応じた適切な対応をすることができます。

そもそも離婚するかどうかやその条件について夫婦間で意見が対立している場合、弁護士に相手との交渉を任せることもできます。

当事務所では、離婚問題を数多く取り扱い、離婚協議書の作成についても豊富な実績があります。単に夫婦の合意内容を書面にするだけでなく、離婚後の紛争が再燃する可能性を考慮し、個別の事情に応じた適切な条項となるよう心がけています。

当事務所には、家庭裁判所長を務めた経験を有する弁護士も在籍しているため、協議書の内容をめぐって将来、調停や訴訟などの法的手続きに発展する可能性も見据え、裁判実務の観点から検討できることも当事務所の強みとなっています。

離婚協議書についてのよくある質問

最後に、離婚協議書についてのよくある質問に回答しておきます。

離婚協議書は自分でも作成できる?

離婚協議書は、夫婦が自分達だけで作成することが可能です。

インターネット上のテンプレートやひな形を参考にしながら、合意した離婚条件を記載して、署名・押印すれば、有効な離婚協議書を作成できます。

ただし、適切な離婚条件は家庭によって異なるため、テンプレートを使用する際は注意が必要です。例えば、夫婦の状況や婚姻関係を破綻させた責任の有無、収入や財産の多寡、子供の有無や年齢といった事情が、離婚条件を左右することがあります。

一度合意すると、一方の都合で勝手に変更できないため、作成前によく確認すべきです。相手から提示された協議書は、こちらにとって不利な内容が含まれているおそれもあるため、十分な確認なく署名・押印することは避けるべきです。

離婚協議書は手書きでも有効?

離婚協議書は、手書きで作成しても有効です。

ただし、内容が読みにくかったり、記載漏れがあったときの追記や修正が難しかったりするため、パソコンで作成する方がおすすめです。また、手書きの場合でも、鉛筆やシャープペン、消えるボールペンなどの使用は控えましょう。

離婚協議書に印鑑は必要?

離婚協議書は、印鑑がなければ無効になるわけではありません。

夫婦双方の合意があれば、原則として効力が認められます。ただし、本人の真意に基づくものであることを示すために、双方が押印しておくことが有効です。押印があれば、本人が署名したことが推定され、後から成立を争われるリスクを減らせます。

重要な書類なので、実印を押して印鑑登録証明書を添付するのが正式ですが、認印でも構いません。ただし、シャチハタやスタンプ印は避けるようにしてください。

離婚協議書を作成するタイミングは?

離婚協議書は、必ず離婚前に作成することが重要です。

夫婦の間で話し合いがまとまった段階で速やかに作成してください。期間を空けると相手の気が変わり、合意できなくなるおそれがあります。また、離婚後になって離婚協議書を作成しようとしても相手が非協力的となることが少なくありません。

離婚協議書は後から変更できる?

夫婦双方が合意すれば、離婚協議書を後から変更することは可能です。

変更する場合にも、口頭だけで済ませず、変更内容を「合意書」「覚書」といった書面に残しましょう。また、養育費などについては、離婚後に収入の大幅な増減や子供の進学などの事情変更が生じた場合、相手との協議が決裂する場合は、家庭裁判所の調停・審判を通じて増額・減額を請求することができます。

離婚協議書と契約書の違いは?

離婚協議書も契約書も、締結する当事者の合意を表す点は共通します。

離婚協議書は、離婚に関する取り決めを記載した書面です。夫婦間の合意を文書化したもので、財産分与や親権、養育費といった家庭に関する内容を書きます。これに対し、契約書は、金銭や物品のやり取り、業務の遂行などのルールを定める文書です。

離婚協議書も、広い意味では契約書の一種ですが、その内容が離婚に特化している点が特徴です。

離婚協議書と誓約書の違いは?

誓約書は、作成者となる一方が、他方に対して誓約し、差し入れる文書です。

夫婦間で用いられる例としては、不貞行為をした夫が妻に対し、「今後は二度と不倫をしません」といった内容を記載する「浮気・不倫の誓約書」があります。

これに対し、離婚協議書は、夫婦双方が話し合いの上で合意した離婚条件をまとめる文書であり、双方の合意を表すものとして署名・押印する双方向的なものです。

離婚協議書が守られない場合はどうすべき?

離婚協議書が守られない場合、まずは書面に基づく履行を相手に求めます。

それでも支払いを拒否されたり、無視されたりするときは、訴訟などの法的手続きによって請求することを検討してください。離婚協議書だけでは直ちに給与や預貯金を差し押さえられるわけではありませんが、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、これを債務名義として強制執行を申し立てることができます。

離婚協議書をなくした場合はどうなる?

離婚協議書を紛失しても、それだけで夫婦の合意が無効になるわけではありません。

通常は、協議書を2通作成して各自1通ずつ保管するか、少なくとも相手にコピーを渡しているため、自身の手元のものを失くしたら、相手に写しをもらうことができます。ただし、手元に離婚協議書がないと、合意内容の証明が難しくなります。相手が写しを交付せず、記載内容に争いが生じると、不利な結果となってしまうおそれがあります。

万が一にも紛失しないよう、離婚協議書を作成したら速やかにコピーを取るとともに、スキャンをデータで保存しておくのがおすすめです。公正証書であれば公証役場に原本が保存されるため、紛失や改ざんを予防できるメリットがあります。

【まとめ】離婚協議書の書き方

今回は、離婚協議書の書き方について、基本的な法律知識を解説しました。

離婚協議書は、夫婦で合意した離婚条件を明確にし、離婚後のトラブルを防ぐために重要な書面です。財産分与や慰謝料、親権、養育費、親子交流(面会交流)、年金分割などについて合意した場合、口約束で済ませず、具体的な内容を離婚協議書に残しておくのが適切です。

離婚協議書には決まった書式がなく、自分で作成することも可能です。しかし、テンプレートをそのまま使用するだけでは夫婦の事情に合わないおそれがあります。また、離婚協議書を作成する前提として、そもそも適正な離婚条件で合意するために話し合いを行う必要があります。一度合意した後になって、「相場より低かった」と気付いても、条件を変更するのは難しいです。

離婚協議書の作成は、離婚に向けた最終段階であるため、離婚条件に不安がある方や、相手からの請求に納得がいかない方は、署名・押印する前に弁護士へご相談ください。

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