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離婚までの流れと、3種類の離婚(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)

「離婚する」と決断しても、夫婦関係はパートナーあってのものなので、自分だけですぐ離婚できるわけではありません。

離婚をする方法には、大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。離婚の多くは、夫婦間の話し合いで成立する「協議離婚」ですが、離婚条件に争いがあるなど、話し合いでは円満に離婚できないケースもあります。

離婚の協議がトラブルに発展しそうな場合や、話し合いが難航しそうなときは、離婚問題に強い弁護士に、ぜひお早めにご相談ください。離婚問題に強い弁護士は、法律知識と経験を活かし、配偶者(パートナー)の主張・反論を予想しながら、あなたにとって有利な解決、方針の見通しをアドバイスすることができます。

今回は、3種類の離婚(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)と、離婚が成立するまでの具体的な流れについて、離婚問題にくわしい弁護士が解説します。

この解説でわかること
  • 離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類がある
  • 調停前置主義というルールがあるため、離婚訴訟の前に、離婚調停をしなければならない
  • 最適な離婚手続きを選ぶことが、早期の離婚につながる
目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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3種類の離婚(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)とは

離婚とは、夫婦が婚姻関係を解消することです。離婚には、その手続きの進め方によって、次の3種類の方法があります。

  • 協議離婚
    夫婦の話し合いで離婚条件を決め、離婚協議書を作成し、離婚届の提出によって離婚する方法
  • 調停離婚
    家庭裁判所で行われる離婚調停によって離婚する方法
  • 裁判離婚
    調停が不成立に終わったとき、離婚裁判によって離婚する方法(離婚裁判であれば、相手が離婚を拒否しても判決により強制的に離婚可能)

なお、離婚の争いは「調停前置主義」がとられるため、離婚について争いとなる場合には、下記の順序のとおり、「離婚の協議→離婚調停→離婚訴訟」の順番で進みます。

離婚成立までの流れ
離婚成立までの流れ

離婚問題の多くは、弁護士に相談されることなく、家庭裁判所の手続きを利用することもなく、夫婦の合意で成立しています。つまり、離婚の多くは、協議離婚で成立しているのです。行政の統計(参考:厚生労働省「人口動態調査」)をみても、離婚の9割は協議離婚で、残り1割が調停離婚、裁判離婚、ごく少数がその他の離婚(審判離婚、認諾離婚、和解離婚)となっています。

あなたが、納得いく離婚としたいときには、上記3種類の離婚手続きのうち、どの段階で解決したらよいかについて、事前に方針検討しておかなければなりません。

以下では、各離婚の手続きについて、その方法や離婚までの流れ、注意点などを解説していきます。

協議離婚までの流れ

ハート

協議離婚は、夫婦の話し合いによって離婚条件を決め、離婚を成立させるという方法です。離婚の9割方が協議離婚であることからもわかるとおり、離婚を成立するための一番簡単な方法です。

協議離婚のメリット・デメリット

夫婦が完全に破綻しており離婚に争いがないケース、求める離婚条件に差がないケースなど、争いの少ない場合に、当事者間で離婚を進められるのが、協議離婚のメリットです。このとき、かならずしも弁護士に依頼しなくても離婚できます。

それほど対立を先鋭化させず、手間なく簡単に別れることができるのも協議離婚ならではのメリットです。

協議離婚のデメリット
協議離婚のデメリット

しかし、協議離婚では、弁護士に相談すらしていないケースも少なくないので、本当であれば得られたであろう金銭を請求しないまま離婚してしまっていたり、離婚協議書すら作らずに離婚してしまい、約束どおりに慰謝料や養育費が払われずに将来のトラブルが拡大したりといったデメリットがあります。

DV・モラハラ気質の相手だと、そもそも話し合いが成立しなかったり、心身に危険が及んだりするリスクがあります。

協議離婚の手続き

協議離婚の手続きは、次の流れで進めることが通常です。

  1. 離婚条件について夫婦間で話し合い、合意が成立する
  2. 離婚協議書を作成する
  3. 離婚届を提出する

まずは話し合いで離婚できないかどうか確認するため、「離婚したい」と配偶者(パートナー)に伝え、交渉を開始してください。協議離婚で離婚問題を解決するためには、夫婦での話し合いがしっかりとまとまるのが大前提です。

夫婦の希望に差があり、話し合いがまとまらないとき、「離婚だけ先にすすめてしまおう」と思って協議離婚することは、単にトラブルを先延ばししているに過ぎません。

協議離婚で損をしないためには、必ず合意した内容について離婚協議書を作成し、未払いのおそれがあるときには、離婚協議書を公正証書化し、強制執行(財産の差押え)の準備をするようにしてください。

以上の手続きがすべて滞りなく終了した後ではじめて、離婚届を提出し、協議離婚を成立させることができます。交渉中に勝手に離婚届を出されないよう不受理申出をしておく方法も有効です。

協議離婚が成立しないとき

相手が離婚を拒否して復縁を求めていたり、求める離婚条件が相場よりも高かったりするケースでは、話し合いでは合意できないため、協議離婚は成立しません。

このとき、話し合いせずに離婚を成立させてしまうのは、離婚について相手に責任のあるケースでは「離婚に応じてあげる」という交渉のカードを失うことも意味しており、有利な解決にはつながりません。逆に、話し合いが平行線なのにいつまでも「いつか合意が成立するのでは」と期待することもおすすめできません。

協議離婚が難しいときには、家庭裁判所の法的手続きに移行します。このとき、前章で解説したとおり、離婚問題は「調停前置主義」というルールが適用されるため、離婚裁判をすぐに起こすことはできず、まずは離婚調停を申立てます。

調停離婚までの流れ

矢印

調停離婚とは、離婚の意思を伝えて交渉をしても相手の合意が得られないとき、家庭裁判所へ離婚調停の申立てをし、調停の中で成立する離婚のことです。

例えば、配偶者(パートナー)が感情的になって冷静な話し合いができないとき、DV・モラハラがあり直接会うのが難しいとき、離婚条件に折り合いがつかず相手が譲歩してくれないときといったケースでは、早期に交渉を切り上げ、調停を申し立てるのがおすすめです。

離婚調停では、男女1名ずつの調停委員、1名の裁判官からなる調停委員会が、夫婦の話し合いをとりもち、合意成立に向けて尽力してくれます。

調停委員会とは
調停委員会とは

調停離婚のメリット・デメリット

離婚調停では、裁判官、調停委員という第三者が話し合いを進行します。相手が相場とかけはなれた解決に固執するとき、調停委員は中立・公平な視点から説得してくれ、法的に妥当な解決へ導いてもらいやすいメリットがあります。直接顔をあわせなくてよいため、ストレスも軽減できます。

また、裁判離婚に比べれば柔軟な解決が可能で、必ずしも厳密に法律どおりの解決でなくても調停離婚を成立させられるメリットもあります。そして、成立すれば判決同様の強い効力があります。例えば、必ずしも法定離婚原因(民法770条1項)がなくても、相手が合意すれば調停離婚できます。

一方で、離婚調停はまだ話し合いの延長であり、相手がどうしても譲歩しないとき、調停は不成立で終了してしまいます。特に、子どもの親権など、金銭などでは代替できない重要な条件について合意が整わないとき、調停離婚は成立させられません。

調停離婚の手続き

調停離婚までの手続きの流れは、次のように進みます。

  1. 離婚調停の申立て
  2. 調停期日の指定
  3. 離婚調停の第1回期日
  4. 離婚調停の続行期日
  5. 調停離婚の成立、調停調書の交付

離婚調停の期日では、調停委員が夫婦の間に入って、言い分や気持ちを代わりに相手に伝えてくれます。交互に調停委員に話を聞いてもらいながら、合意形成を目指して調整を続けます。

調停で主に争点となるのは、離婚条件、離婚調停に至った交渉経緯といった点ですが、調停員は中立・公平な立場であり、事実について真実を明らかにするというよりは、話し合いによって妥協点を探すという手続きです。

調停期日は、およそ1ヶ月に1回程度の間隔で指定され、調停離婚が成立するか、もしくは、互いに譲歩が難しく不成立が明らかになるまで続きます。

調停離婚が成立しないとき

調停期日を重ねても、どうしても夫婦双方が離婚すること、離婚条件について合意しないとき、調停不成立となり、離婚調停は終了します。調停不成立の後は、離婚を求める側が、離婚裁判を起こすことで、裁判で引き続き争うこととなります。

調停が不成立となったときでも、自動的に離婚裁判に移行するわけではありません。離婚裁判では勝訴することが難しい場合(破綻に責任ある「有責配偶者」の場合など)には、しばらく別居して待つという方針をとることもあります。

裁判離婚までの流れ

悩む女性

裁判離婚は、裁判所の判決によって強制的に離婚する方法です。

協議離婚、調停離婚があくまでも話し合いによる配偶者(パートナー)の合意を必要とするのに対し、裁判離婚は、法律上の要件を満たすかぎり、強制的に離婚を命じてもらえる手続きです。

裁判離婚のメリット・デメリット

離婚裁判のメリットは、法律上の要件を満たす限り、相手が離婚を拒否していても、裁判所の判断によって強制的に離婚できることです。

民法に定められた離婚の要件は次の5つであり、「法定離婚原因」と呼ばれます。

民法770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法(e-Gov法令検索)

この裏返しとして、たとえ離婚裁判を起こしても、法定離婚原因がないと離婚できないという点がデメリットとして挙げられます。特に、性格の不一致、価値観の違いなど、夫婦関係の破綻についての相手の非が少ないときには、離婚を認める判決を得るのは難しいケースもあります。

「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)についても、相当な重大性が必要とされ、当事者の気持ちだけでは離婚が認められないのが家庭裁判所の実務です。

自分の離婚したい理由が、法定離婚原因にあたるかどうか不安な方は、調停不成立となった時点で、訴訟を提起すべきかどうか、弁護士にアドバイスを求めながら方針決定するのがおすすめです。

裁判離婚の手続き

裁判離婚が成立するまでの手続きの流れは、次のとおりです。

  1. 調停が不成立で終了する
  2. 離婚裁判の提起
  3. 裁判期日の指定
  4. 離婚裁判の第1回期日
  5. 離婚裁判の続行期日
  6. 判決により、裁判離婚が成立

調停が不成立となったとき、それでもなお離婚したいと考える側が、離婚訴訟を提起します。離婚問題には「調停前置主義」というルールがあり、離婚裁判の前にかならず離婚調停をしなければなりません。

裁判期日では、夫婦当事者の主張立証を聞き、法律上の離婚の要件を確認するほか、本人尋問、証人尋問が行われたり、裁判所からの和解の勧告がなされたりします。

裁判で離婚が認められると、相手の意思によらず離婚を成立させることができます。ただし、判決に不服がある側の配偶者は、第一審判決に対して控訴して控訴審で判断してもらったり、控訴審判決に対して上告して上告審で判断してもらったりする権利があります。

裁判離婚が成立しないとき

前章で解説したとおり、法定離婚原因(民法770条1項)のいずれにもあてはまらないときには、裁判離婚を成立させることができません。相手の非が少ないときや、逆に、自分が不貞行為をしてしまっているなどの非があり「有責配偶者」となってしまうとき、長期の別居を経て、再度離婚裁判をするという方針をとることもあります。

たとえ一度は裁判離婚が成立しなかったとしても、「一生離婚することができない」、「かならず仲良くしなければならない」という強制を意味するものではないため、あきらめず交渉を続けるようにしてください。

その他の離婚

最後に、ごく少ない割合で存在するその他の離婚(審判離婚、認諾離婚、和解離婚)について解説します。

審判離婚

審判離婚は、調停時に例外的なケースで活用される、家庭裁判所の審判によって離婚する手続きです。

審判離婚は、調停離婚が成立しそうだが、あと少しだけ一方の譲歩が必要なときや、調停離婚が可能なのだが、夫婦の一方が調停期日に出席できないとき(病気にかかってしまったり、遠方にいるときなど)に利用されます。

なお、審判離婚に対し、夫婦のいずれかが不服のあるときには、2週間以内に異議申立てできます。

認諾離婚

認諾離婚は離婚訴訟で被告となった側が、原告の離婚請求を争わないときに成立する離婚です。

協議、調停と進んで裁判まできてしまっていても、時間の経過、夫婦をとりまく環境の変化、子どもの成長など、さまざまな事情の変更によって、これ以上は争いをつづけたくない、離婚に応じよう、といった気持ちになることがあります。このとき、離婚を請求された側が、相手の請求を認めれば、認諾離婚となります。

和解離婚

和解離婚は、訴訟中に和解によって成立する離婚のことです。

離婚問題がこじれて離婚訴訟にはなってしまったけれども、まだ和解の可能性があるというケースがあります。裁判官は、離婚裁判の手続き中でも、タイミングを見計らって、和解をすることができないかどうか、勧告を行います。

弁護士に相談すれば、最適な離婚手続きを選択できる

説明する男性

以上のとおり、離婚をするための手続きには複数の種類がありますが、どの手続によって離婚することができるかは、夫婦双方の希望する条件、交渉の経緯や問題点などによって選ばなければなりません。

そのため、離婚しようと思い立ったら、まずは弁護士に、できるだけ早い段階で一度法律相談しておくのがおすすめです。夫婦の話し合いが円満に進行し、協議離婚できる可能性があるときでも、離婚意思を表明して対立してしまうよりも前に相談するのが有益です。

離婚意思を表明し、争いになると明らかになってしまった後では、証拠の収集や有利な交渉が困難となることが多いです。事前に、「離婚とお金」の問題、「離婚と子ども」の問題について、希望する方針を弁護士に伝え、アドバイスを得ておいてください。

もちろん、夫婦間のことですから、当事者の話し合いだけでスムーズにまとまるケースもあります。しかし、夫婦の気持ちが、離婚の決意にまで至っているとき、お互いに譲歩しあって合意にいたるのはとても難しいことです。離婚問題を弁護士に相談したとき、弁護士は相談者の気持ちをじっくりとお聴きし、あなたの状況と希望にそった一番よい解決策を一緒に検討することができます。

かならずしも早期の離婚を焦らせるわけではなく、依頼者のお気持ちをよくお聞きしますのでご安心ください。夫婦関係をやり直したい、離婚を拒否して関係修復を目指したいという方も、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

今回の解説では、離婚するための手続きには協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類があることを説明し、それぞれの離婚ごとの、離婚成立までの流れについて解説しました。

あなたが「離婚しよう」と決断しても、配偶者(パートナー)との合意に至らないとき、協議離婚では解決できず、離婚調停、離婚裁判などの法的手続きが必要となることがあります。離婚問題が難航するときには、完全に離婚問題を解決するまでに多くの手間と時間、コストがかかってしまいます。

離婚問題について、できる限りあなたの気持ちを反映した有利な解決とし、かつ、早期に解決するためには、離婚問題に強い弁護士にご依頼いただくことが有益です。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験を蓄積し、みなさまのお力になれるようサポートさせていただいています。

離婚問題のお悩みを弁護士に相談いただければ、あなたの状況に応じて、最もよい「離婚までの流れ」をご提案できます。

離婚問題のよくある質問

離婚する方法には、どんなものがありますか?

離婚する方法は、主に3つで、協議離婚、調停離婚、裁判離婚です。統計上、離婚の大半が、協議離婚、つまり、夫婦間での話し合いで離婚が成立しています。もっと詳しく知りたい方は「3種類の離婚(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)とは」をご覧ください。

どの離婚で進めるのが方法が最適ですか?

離婚には主に3種類の方法がありますが、まずは離婚について話し合い、合意できるときには協議離婚、決裂するときには調停離婚を試し、それでも難しいとき裁判離婚を目指します。調停前置主義というルールがあるため、離婚の争いを進める流れは、かならずこの順番で行います。詳しくは「離婚までの流れと、3種類の離婚(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)をご覧ください。

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