離婚・男女問題

離婚調停が不成立で終わった後の流れと、離婚訴訟までの進め方

2021年7月13日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之(第一東京弁護士会所属)です。当事務所は「離婚問題」に注力し、豊富な実績を有しています。離婚は身近な問題ですが、実は多くの法的リスクを内在しています。

自身での解決が難しいとき、法律の専門知識を活用することで速やかに解決できることがあります。ぜひ一度当事務所へご相談ください。

離婚調停不成立流れ離婚訴訟

離婚調停で話し合いをしても夫婦が合意に至らないとき、離婚調停は「不成立」となり、終了します。調停が不成立になったとき、その後の流れをよく理解し、有利に進めていかなければなりません。

離婚へと向かう流れは、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟という順で進みます。

「調停前置主義」というルールがあり、離婚訴訟を起こす前には必ず離婚調停をしなければなりません。そのため、離婚調停が不成立で終了したとき、離婚を強く望む側では離婚訴訟を起こすかどうかを検討することとなります。

今回の解説では、

  • 離婚調停が不成立で終了するときの流れ
  • 調停不成立で終了したあとの選択肢と、適切な対応方法
  • 調停不成立で終了したあとでも有利に進めるためのポイント

といった離婚調停が不成立で終わってしまった方に知ってほしい法律知識について、離婚問題を多く取り扱う弁護士が解説します。

離婚調停の不成立とは

離婚調停不成立流れ離婚訴訟

離婚調停の不成立とは、離婚調停のなかでは調停を成立させることができず、手続きを終了することです。

離婚調停は、家庭裁判所で行われる法的手続きですが、あくまでも夫婦間の話し合いを重視した制度であり、合意がまとまらない限り、調停を成立させることができません。

調停不成立までの流れ

離婚調停の期日では、夫婦が互いに調停委員と話をしながら離婚条件の調整を行います。

それぞれの求める離婚条件が、ある程度譲歩可能なときには、調停委員が調整をし、合意するための話し合いを促進してくれます。このような期日における話し合いは、合意が成立する可能性のある限り、何期日か続行されます。

しかし、夫婦の一方が相場を超える高額な請求に固執したり、調停委員の説得に応じなかったりといったケースでは、これ以上期日を続行しても調停成立とならない可能性が高くなるため、調停委員会の判断により、調停不成立となります。

調停不成立となると、調停の席上で「調停不成立です」と伝えられ、調停が終了します。調停委員や裁判からの詳しい説明はなく、書面の送付などもされません。

調停不成立となる典型的なケース

調停不成立となるのは、夫婦間の合意を成立させることが、離婚調停のなかではどうしても難しいと調停委員が判断する場合です。

離婚調停となっている時点で、夫婦間の話し合いでは解決できなかったということであり、ある程度対立が激化するのは当然です。多少のハードルがあっても、調停委員は調停を成立させようと説得し、尽力してくれます。それでもなお、次のような例では、調停不成立となることが多いです。

調停不成立となる例

  • 一方が復縁を求めている
    離婚条件であれば多少の譲歩で調整できることがありますが、そもそも「離婚するかどうか」について決定的な対立があるとき、譲歩は困難です。
    (参考情報:復縁したい人が離婚請求に対応するための全知識)
  • 夫(または妻)が初回期日から調停に出席しない
    調停への参加は任意であり、ペナルティはありません。参加しないことは、話し合う意思がないことを示しており、合意の可能性は到底ありません。
  • 不倫・DVなど、離婚原因となる事実に決定的な対立がある
    不倫・DVなど、離婚原因について一方の責任が強いほど、相手はこれを否定する傾向にあります。客観的な証拠が十分でないとき、合意が困難なことがあります。
  • 相場を超える高額の請求に固執している
    財産分与・不貞慰謝料などは、幅はあるものの一定の相場があります。相場を超える請求に固執しているとき、合意が困難なことがあります。
  • 子どもの親権・監護権に争いがある
    金銭請求と異なり、子どもの問題についてはゼロイチの問題であるため、中間的な解決で譲歩することができません。
  • 一方の財産隠しが疑われる
    財産分与は、財産が多いほど多額の請求となります。財産隠しが疑われるとき、信頼関係が築けず、話し合いを進めることが困難です。
    (参考情報:財産分与で夫婦共有の財産を調べる方法)

金銭請求のみであれば、大きな金額の差がない限り、離婚調停の話し合いにより溝を埋められることが多いです。

しかし、DV・モラハラ事案で加害者に自覚のないときや、子どもの親権・監護権のようにお金で解決できない対立は、離婚調停で解決できる可能性が低く、調停不成立となることが予想されます。

調停不成立以外で、離婚調停が終了する場合

離婚調停が終了するケースには、離婚調停が成立するケース、調停不成立以外のパターンがいくつかあります。

離婚調停を申し立てた側は、相手の同意なく、離婚調停を取り下げることができます。離婚調停を取り下げると、離婚調停は終了します。復縁をすることとなったときや、調停外で離婚の合意ができたときなどには、離婚調停を取り下げることがあります。

なお、離婚調停を取下げたときでも、調停内で一定の話し合いを行っていれば、「調停前置主義」を満たし、離婚訴訟を起こすことができます。

その他、調停を行うのに適しないと調停委員が判断したとき(家事事件手続法271条)や、当事者が死亡して婚姻が解消されたときにも、離婚調停は終了します。

参考解説

離婚調停が不成立となった後の進め方

離婚調停不成立流れ離婚訴訟

離婚調停が不成立で終わってしまったとき、次の4つの選択肢から、自分の求める方針にとって最も有利なものを選択する必要があります。

どの方針が最適かは、特に「離婚訴訟を起こす」ことを選んだとき、離婚を認めるという勝訴判決となる可能性がどの程度あるか、という基準で判断することが重要です。

適切な選択をするためには、離婚についての法律と裁判例の知識を理解しておかなければなりません。

再び離婚協議を行う

調停不成立となった後の1つ目の進め方は、夫婦間で再び離婚協議を行うことです。

離婚調停が不成立となったときには、再度夫婦間で話し合いをすることができます。このとき、調停を任せていた弁護士との委任契約が終了していれば、本人間で話し合いをすることとなります。

離婚調停では、およそ1ヶ月に1回の期日が開かれ、その都度話し合ってきましたが、協議であれば特に期日や期限をきにせず話し合いをすることができます。離婚調停で合意に至らなくても、あきらめず粘り強く説得したり、条件を変えて交渉したりすることで、離婚条件について合意に達することがあります。

調停不成立となったあと、再度協議を行うときには、次のことに注意してください。

  • 離婚調停で相手が弁護士を依頼していたとき、調停不成立の後の交渉も弁護士が依頼を受け続けるか確認する
  • 離婚調停で合意できなかった条件に固執せず、柔軟に検討する
  • 協議が長引きそうなとき、先に協議中のルール(同居か別居か、生活費の支払いなど)を決めておく

離婚訴訟を起こす

調停不成立となった後の2つ目の進め方は、離婚訴訟を提起することです。

「調停前置主義」という考え方があるため、まずは離婚調停で話し合いを行ってからしか離婚訴訟を提起できませんが、調停が不成立となったのであれば、その後は離婚訴訟を起こすことができます。

離婚訴訟では、離婚調停と違って、民法770条1項に定められた「法定離婚原因」が存在する限り、相手の同意がなかったとしても判決で離婚を認めてもらうことができます。このとき、家庭裁判所は、子どもの親権・監護権、慰謝料、財産分与などのその他の離婚条件についても判断を下します。

民法770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

したがって、離婚調停が不成立に終わったとき、離婚訴訟に進めるのが適切かどうかは、「法定離婚原因を証明できるかどうか」で判断します。法定離婚原因が証明できなければ、離婚訴訟を起こしても、請求が棄却されてしまい、離婚することはできません。

そのため、調停不成立となったとき、すぐに離婚訴訟を起こすのか、それとも協議に戻ったり、一旦冷却期間を置いたりといった方法がよいのかについて、弁護士による専門的アドバイスを受けることが有益です。

なお、離婚調停が不成立で終了した後、2週間以内に離婚訴訟を起こすと、調停申立て時に支払った申立手数料を、離婚訴訟の手数料に充当することができます。

参考解説

再び離婚調停を申し立てる

調停不成立となった後の3つ目の進め方は、再び離婚調停を申し立てることです。

離婚調停を申し立てる回数に制限はなく、何度でも調停を行うことができます。一旦は調停不成立により終了してしまっても、時間を置いたり、調停外での交渉を継続したりしているうちに状況が変化し、再度の離婚調停で離婚することができることがあります。

再び離婚調停をしたほうがよい状況の変化には次のような例があります。

  • 相手に別のパートナーができた
  • 子どもが大きくなって独り立ちした
  • 自分に新しいパートナーができ、子どもが生まれた
  • 相手が職に付き、離婚しても収入面で困らなくなった

また、離婚理由には、不貞行為などの積極的な理由以外に、「長期間の別居により、もはや夫婦としての実態がなくなったこと(破綻していること)」を離婚理由とするケースがあります。

そのため、離婚調停が一度は不成立になっても、別居期間を十分に積み重ねて、夫婦としての実態がなくなった(破綻した)状態となった後で、再び離婚調停をするという例がよくあります。特に、不貞をしてしまったなどの有責配偶者(破綻について責任のある配偶者)のとき、少なくとも8〜10年の別居期間を積み重ねることが必要とするのが、裁判例の実務です。

参考解説

審判離婚を求める

調停不成立となった後の4つ目の進め方は、審判離婚を求めることです。

審判離婚とは、離婚調停が不成立となったときに、裁判官の判断により、審判によって夫婦を離婚させるという決定です。

調停で合意はできなかったものの対立が少ないときや、どうしても夫婦の一方が調停に出席できないときに、裁判官の裁量により審判離婚が選択されることがありますが、とても稀であり、例外的な手続きと考えてください。

なお、審判離婚には異議申立てをすることができます。

調停不成立の後、離婚訴訟を有利に進めるためのポイント

離婚調停不成立流れ離婚訴訟

最後に、離婚調停が不成立に終わった後、離婚訴訟を有利に進めるために理解しておきたいポイントについて、弁護士が解説します。

できるだけ調停不成立を避ける

一旦不成立となった調停のやり直しはできません。調停不成立を撤回してもらったり、異議申立てしたりもできません。せっかく離婚調停をしたのですから、調停不成立で終了する前に、十分な話し合いを尽くし、できるだけ調停不成立を避ける努力をすることが大切です。

離婚を求める側では、調停不成立となった後は離婚訴訟を起こすことになりますが、時間と手間が多くかかりますから、見通しなく安易に不成立とすべきではありません。まして「訴訟になったら隠していた切り札を出そう」などと出し惜しみすべきではなく、離婚調停に全力をそそぐべきです。

できるだけ調停不成立を避けるためには、離婚調停があくまでも話し合いの延長であることを理解し、求める離婚条件に順位付けをし、柔軟な譲歩を検討することが大切です。

あなたが一定の譲歩をし、離婚調停を成立させようという姿勢を示すとき、相手が一方的で独りよがりだと、こちらに対する調停委員の心象がよくなり、味方をして相手を説得してくれることが期待できます。

有責配偶者が、離婚訴訟を起こすべきか

離婚訴訟で離婚を勝ちとるためには、民法770条に定める「法定離婚原因」があることを証明しなければなりません。例えば、不貞行為が離婚原因だと主張するときは、夫婦以外の異性との肉体関係について証明しなければならず、ラブホテルに出入りした写真・動画といった証拠を入手しておく必要があります。

そして、自分が不貞を行ってしまったなど、有責配偶者(破綻について責任のある配偶者)であるとき、離婚訴訟でも離婚は容易には認められず、少なくとも8〜10年以上の別居期間を必要とするものとされています。

ただし、有責配偶者でも離婚が絶対にできないわけではなく、相手に不利益がないなど一定の条件のもとに離婚を認めた例もあります。また、有責配偶者でも、訴訟提起をして離婚に向けた強い意思を示すことによって、相手が離婚条件に応じてくれる可能性も上がります。

離婚調停の内容を離婚訴訟でも主張する

離婚調停が不成立で終了し、その後すぐに離婚訴訟を起こしても、離婚調停の内容が離婚訴訟に引き継がれることはありません。離婚調停を行う「調停委員会」と、離婚訴訟を行う家庭裁判所の裁判官は別の裁判体が担当するからです。

そのため、離婚調停であなたの行った有利な主張、証拠があるのであれば、離婚訴訟でも再び同じ主張立証を行っておくことが必要です。

離婚調停で、有利な流れで進んでいたときには、調停の各期日でどのようなやりとりがされ、どのような指摘があったかなどについて、書面にまとめて訴訟で提出することがおすすめです。

DV・モラハラが問題となっているケースで、離婚調停の席上で相手が暴れたり騒いだりして調停の進行を妨害したといった事情があるときには、このような点が裁判所に伝わるよう、離婚訴訟でもきちんと伝えていく必要があります。

離婚訴訟のデメリットに注意する

離婚訴訟は、離婚調停とは違って強制的に離婚を実現することのできる協力な手続きですが、その分デメリットもあります。

離婚を求める側では、法定離婚原因があるときには、調停不成立となったとき離婚訴訟を起こす決断をしますが、このときデメリットをきちんと理解して決断することが大切です。

離婚訴訟のデメリットには、次のようなものがあります。

離婚訴訟のデメリット

  • 公開の手続きである
    離婚調停が非公開なのに対して、離婚訴訟は公開の手続きです。夫婦間の問題は他人に知られたくないことが多く、プライバシー面で大きな不利益となるおそれがあります。
  • 審理期間が長い
    離婚調停はおよそ3〜6ヶ月程度で終了するのに対し、離婚訴訟は6ヶ月〜1年程度かかります。期日間の話し合いで状況が動くことは期待できず、月に1回程度開かれる期日を中心にゆっくりと審理が進みます。
  • 費用がかかる
    弁護士を依頼しているとき、離婚調停にかかる費用よりも、離婚訴訟にかかる費用のほうが高いことが一般的です。
  • 厳密な立証が必要となる
    離婚調停では話し合いが重視され、必ずしも完璧な証拠が求められないことがありますが、離婚訴訟では証拠が重視され、証拠による立証のできない事実は認めてもらえません。

法定離婚原因があり離婚を勝ちとれるというメリットと、以上のデメリットを比較し、離婚訴訟に進むべきかを検討してください。

以上のデメリットがとても大きく感じ、離婚訴訟には進まないという決断をするときには、一旦別居期間を置いて考えたり、再度2人で離婚協議をしたりといった、より穏当な解決を目指す道もあります。

離婚問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

離婚調停不成立流れ離婚訴訟

今回は、離婚調停が不成立に終わった後の適切な対応について、弁護士が解説しました。

調停不成立で終了した後の選択肢には、①再び離婚協議を行う、②離婚訴訟を起こす、③再び離婚調停を申し立てる、④審判離婚を求めるという4つの選択肢がありますが、いずれも一長一短で、メリットとデメリットがあります。

そのため、自分の方針にしたがって、有利になるよう戦略的に考えていかなければなりません。離婚についての戦略はケースバイケースで、離婚理由や、手元にある証拠によっても変わります。

早期に弁護士を依頼することで、離婚を有利に進め、少しでも早く希望する解決に達するため、法的なアドバイスやサポートを受けることができます。離婚問題にお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之(第一東京弁護士会所属)です。当事務所は「離婚問題」に注力し、豊富な実績を有しています。離婚は身近な問題ですが、実は多くの法的リスクを内在しています。

自身での解決が難しいとき、法律の専門知識を活用することで速やかに解決できることがあります。ぜひ一度当事務所へご相談ください。

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