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離婚調停が不成立のとき、いつまでに離婚訴訟を起こしたらよい?

離婚調停が不成立に終わってしまったとき「いつまでに離婚訴訟(離婚裁判)を起こしたらよいのか」について解説します。言いかえると「離婚訴訟を提起するのに、期限があるのか」という問題です。

調停不成立で終わったときに、「いつまでに裁判を起こすべきなのか」という点には、 法律で決められたルールはありません。しかし、離婚では「調停前置主義」というルールがあって、訴訟よりも先に調停で話し合いをしなければならないところ、あまりに長期間(2年以上など)放置しておくと、調停を先に行った意味がなくなり、「もう一度調停で話し合いをするように」といわれてしまい、訴訟提起が認められないおそれがあります。

この点の判断基準でいえば、およそ1年以内を目安に訴訟提起しておけば、再度の離婚調停は不要と考えるのが実務です。

今回は、調停不成立となった後に、いつまでに離婚訴訟を起こすべきか、調停不成立から裁判までの期間の目安と、長期間空いてしまったときの対応方法について、離婚問題にくわしい弁護士が解説します。

この解説でわかること
  • 調停前置主義があり、離婚訴訟の前に離婚調停をしなければならない
  • 離婚調停が不成立となってから期間が空きすぎると、再度調停からスタートしなければならない
  • 離婚調停が不成立となった2週間以内であれば、調停の手数料を訴訟に充当できる
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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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離婚調停不成立から裁判までの期間の目安

時間

離婚調停が不成立となった後、離婚を求める側では、離婚訴訟を起こすかどうかを選択することとなります。

調停不成立となった後の対応には、離婚訴訟以外にも複数の選択肢があります。そのため、離婚訴訟するべきかどうかについては「勝訴できるか(離婚を認めてもらえるか)」という見通しから検討しなければならず、迷っていると時間が経ってしまいます。

ここでは、離婚調停不成立から裁判までの期間の目安について解説します。

なお、離婚調停、離婚訴訟それぞれの平均審理期間は、離婚調停は4〜6ヶ月程度、離婚訴訟は9〜12ヶ月程度が平均です。

【離婚調停の平均審理期間】

【離婚訴訟の平均審理期間】

法律上の定めはない

はじめに、調停不成立のあと、いつまでに裁判を起こさなければならないかについて、法律で決められた期間はありません。つまり、法律上は「いつまでに起こさなければならない」というルールはありません。

離婚訴訟を起こすタイミングは、次のようなさまざまな考慮要素をもとに、適切なタイミングを選択することとなります。

  • 離婚調停にかかった期間、これからの離婚訴訟にかかる期間
  • 離婚訴訟で勝訴できるか(離婚を認めてもらえるか)
  • 子どもへの影響の少ないタイミングはいつか

とはいえ、調停不成立の後も離婚を求め続ける以上、早めに離婚訴訟に進めるほうがメリットが大きいです。

かならずしも勝訴が確実なケースでなくても、離婚訴訟を提起することであなたの離婚に向けた強い思いを示し、相手があきらめ離婚に同意してくれる可能性を上げることにもつながるからです。

長期間空いてしまうと調停からやり直しとなることも

「調停前置主義」がルールとなった趣旨は、裁判で争う前に、調停でしっかり話し合ってもらおうという点にあります。

そのため、調停でせっかく話し合ったことが無駄になってしまうおそれがあるため、調停不成立から裁判まであまりに時間が経ってしまうと、再度離婚調停からやり直すよういわれてしまいます。

期間が経過して、状況が変わっていれば、もう一度調停をして話し合いをすれば、前の調停とは違った結論が出る可能性もあると、裁判所は考えるからです。調停で話し合ったときから長期間が経過し、事情が大きく変わってしまったり当事者の気持ちに変化があったりしたとき、もう一度離婚調停で話し合うほうが解決が早い可能性があるからです。

目安として、調停不成立から1年程度であれば、問題なく離婚訴訟を受け付けてもらえることが多いです。

逆に、離婚調停をしても相手が話し合にに応じる気持ちがまったくないことが明らかな場合には、長期間たった後でも、すぐに離婚訴訟することが許されるケースがあります。

2週間以内なら手数料を充当できる

離婚調停の不成立から2週間以内に離婚訴訟を起こしたときには、調停申立時に納めた印紙代を、訴訟提起の手数料に充当できます。

そのため、強く離婚を求めつづけていくという方針が固まっているときには、できるだけ早めに離婚訴訟を起こすのがおすすめです。

調停不成立から期間が空いてしまったときの注意点

ポイント

次に、離婚調停の不成立から期間が空いてしまったとき、どのような点に注意しておいたほうがよいかについて解説します。

調停不成立からおよそ1年以内に訴訟提起しておけば、訴訟を進めてもらえる可能性が高いと解説しました。離婚問題では、調停が不成立となっても、自動的に訴訟に移行するわけではなく、離婚を求める側であらためて訴訟を起こす必要があります。

長期間経過してから訴訟を起こすとどうなるか

調停不成立から2年など、長期間経過してから訴訟を起こしても、訴訟自体が許されないわけではありません。また、離婚に対して特に不利益があるわけでもありません。

しかし、「調停前置主義」がある理由は、離婚のような家族の問題について、夫婦間の話し合いを重視して決めるべきだという考え方があるからです。そのため、長期間経過してから訴訟を起こすと、その間に状況や相手の気持ちが変化している可能性があり、再度調停をすることによって解決できる可能性があることから、もう一度離婚調停を行うこととなります。

具体的には、家庭裁判所の職権で、その事件を調停に付すという手続きが行われます。このような家庭裁判所の手続きを法律用語で「付調停」といいます。

なお、調停不成立となった後、再び離婚調停を申し立てる方法と注意点については、次の解説も参考にしてください。

例外的に訴訟を進めてもらえるケース

調停不成立から長期間たった後で行われた訴訟が、調停に付されてしまう理由が、「話し合いの可能性を模索すべき」というものであることから、次の場合には例外的に、訴訟を進めてもらえる可能性があります。

その理由は、次のケースでは、そもそも再度離婚調停をして話し合いしても、あまり意味がないと考えられるからです。

  • 相手(夫または妻)が行方不明で、連絡がとれない場合
  • 相手が精神障害などにより話し合いができない場合
  • 相手の離婚拒否の姿勢が明らかであり、離婚調停しても成立する可能性がない場合

なお、離婚訴訟の流れ、手続きの進め方は、詳しくは次の解説を参考にしてください。

調停不成立となった経過を伝える

前章で解説したとおり、例外的に訴訟を進めてもらえるケースがあることから、調停不成立から期間を経過してしまったとき、離婚訴訟が許されるかどうかは、事情によって異なり、ケースバイケースだということです。

そのため、迷っていて長期間たってしまったときに、再び離婚調停をせずとも離婚訴訟を認めてもらうためには、調停不成立となった経過について、訴訟提起時に詳しく裁判所に伝えておくのがおすすめです。

離婚調停時の配偶者(パートナー)の交渉態度、求める離婚条件などを詳しく記録しておくことにより、再び離婚調停することに意味が薄いことを理解してもらい、離婚訴訟を進めてもらいやすくすることができます。

まとめ

離婚を成立させたい方にとって、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟という順に進める流れがあります。しかし、離婚調停で不成立になってしまうと、「訴訟にしても離婚は認められないのではないか」と悲観的になり、訴訟提起までしばらく期間が経ってしまう方は少なくありません。

夫婦で話し合うことに比べて、離婚調停には相当な手間がかかり、家庭裁判所で調停委員の話を聞くなど、通常とは違った環境に置かれ、ストレスを感じることでしょう。

しかし、離婚調停はあくまでも話し合いの延長であり、相手が離婚に応じる気がなければ調停不成立となるのに対して、離婚訴訟では、より踏み込んで裁判所の判断を聞くことができます。そのため、調停不成立だからといってあきらめるのは早く、できるだけ早めに離婚訴訟へ進むのがおすすめです。

当事務所のサポート

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弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題を得意分野としており、離婚調停、離婚訴訟といった法的手続きについても豊富なサポート実績があります。

離婚問題にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

離婚調停のよくある質問

離婚調停が不成立に終わりましたが、いつまでに離婚訴訟をしたらよいですか?

離婚調停が不成立になってから、いつまでに離婚訴訟をするかに、法律上のルールはなく、勝算や今後の見通し、相手の気持ちなどを踏まえながら、離婚を求めていく側が総合的に決めなければなりません。もっと詳しく知りたい方は「離婚調停不成立から裁判までの期間の目安」をご覧ください。

離婚調停が不成立になった後、しばらく期間が空いてしまったけど離婚訴訟できますか?

離婚調停が不成立になった後、1年以上の期間が空いてしまったとき、訴訟を申し立てても、先にもう一度調停をするよう裁判所から「付調停」の指示を受けてしまうおそれがあります。このとき、以前の調停がなぜ不成立になってしまったかといった理由を説明するのが有効です。詳しくは「調停不成立から期間が空いてしまったときの注意点」をご覧ください。

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