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離婚の相手が依頼した弁護士から連絡が来たときの6つの対応方法

離婚の相手が依頼した弁護士から連絡が来たときの対応方法について、知っておきたいポイント解説します。

離婚について夫婦間で争いが起こったとき、すでに別居済みのときは、突然相手の弁護士から手紙や電話で連絡がきて、交渉がスタートします。適切に対処していかなければ、思わぬ不利益を受けてしまいます。

相手が弁護士に依頼していたときには、突然弁護士から連絡がくることとなり、驚いてしまうのではないでしょうか。弁護士からの連絡は、一般の方には見慣れない内容証明という特殊な郵便形式でとどくため、不安を感じて相談に来られる方も多くいます。

しかし、突然の連絡にあせってしまったり、パニックになってしまって適切な対応ができないでいると、離婚をめぐるトラブルが更に拡大し、こちら側にとって不利になってしまうこともあります。

\この解説の動画(約4分)/

この解説でわかること
  • 離婚を求める相手の弁護士からの連絡は、内容証明で来ることが多い
  • 弁護士から連絡がきても、落ち着いて冷静に対応する
  • 相手に主張をわかりやすくつたえるため、回答書を作成する
目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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相手の弁護士からの連絡は、内容証明か電話

案内する女性

相手の弁護士から連絡を受けるときは、内容証明が送られてくるか、もしくは、突然電話がくるかのどちらかのパターンが通常です。

それぞれの連絡のパターンごとに、どのように対応すべきかについて解説します。

内容証明で連絡がきたら?

離婚問題で、相手方配偶者(夫または妻)が弁護士を依頼したときは、弁護士からの連絡は、内容証明という形式で送られてくるのが一般的です。はじめに、この内容証明とはどのようなものなのかについて解説しておきます。

内容証明は、郵便形式の1つです。一般の方になじみのある郵便形式だと、普通郵便、書留、速達などが典型です。

内容証明は、「いつ郵便を配達したか」という事実とともに、「どのような内容の郵便物だったのか」ということについて、郵便局が証拠に残しておいてくれる郵便の方法です。

内容証明とは
内容証明とは

内容証明(日本郵便株式会社)

弁護士は、裁判の専門家であり、「裁判では証拠が重視される」ということをよく理解しています。そのため、離婚問題においても、郵送物を送るときには、証拠としての価値がとても高い内容証明の方法を利用することで、できるだけ証拠化して進めるわけです。

「証拠に残す」という重要な効果とともに、弁護士が内容証明を送る付随的な高価として、「離婚に向けた強い覚悟を示し、プレッシャーを与える」という意味もあります。

弁護士から送られてきた内容証明には「XX日以内に回答をしなければ、調停、裁判などの法的手続きに進まざるを得ない」などの記載があるのではないでしょうか。このようなプレッシャーに動揺しては、相手の思うつぼですから、冷静な対応が大切です。

相手の弁護士から電話連絡がきたら?

前章で解説したとおり、相手が弁護士を依頼したときには、まずは内容証明が届くことが多いです。内容証明を送った後で電話連絡をすることで、「本当に弁護士かどうかがわからない」といった反論を防ぐ効果もあるからです。

しかし、次のような例外的なケースでは、先に電話連絡が来ることもあります。

  • 同意を得ずに別居をして、すぐに安否を伝える必要があるとき
  • DV・モラハラ・虐待が離婚理由で、危険性が高いとき
  • あなたの別居先を相手に伝えていないとき
  • 相手の電話番号を着信拒否したり、メールアドレスやLINEをブロックしたりするとき

内容証明ならまだ考える時間的余裕もありますが、電話だとその場で対応しなければなりません。突然弁護士から電話がくると焦ってしまうでしょうが、冷静に、ポイントを押さえて対応しなければなりません。

どうしても不安な方は、知らない番号からの電話には応答せず、着信のあった電話番号をネット検索してみてください。法律事務所からの電話であればたいていの場合は検索に引っかかります。折り返しをするか、もしくは、先に法律相談をして準備をととのえるのもおすすめです。

知らない番号から着信があったら
知らない番号から着信があったら

万が一弁護士からの電話に出てしまったときも、

  • 「その電話でなにかしらの結論を出さなければならないわけではないこと」
  • 「相手の言うことにすぐに同意してしまわないこと」

という2点を意識して対応してください。

念のため、電話口の相手が本当に相手の依頼した弁護士なのかを確認するため、弁護士の氏名、法律事務所名、登録番号を確認しておいてください。

かかってきた電話が弁護士からだと確認できたら、今後のやりとりは、電話で済ませるよりも、書面できちんと証拠に残しながら進めるほうがおすすめです。

さきほど解説したとおり、郵便ではなく電話で連絡が来る理由には、あなた側の事情であるものもあります。特に支障がなければ、自分の所在をつたえ、主張を書面で送ってもらえるよう求めてください。

なお、悪質なDV・モラハラがあったケースなど、住所を教えると危険があるケースでは、こちらも弁護士を窓口にする手が有効です。

離婚の相手方・弁護士からの連絡への6つの対応方法

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

次に、離婚問題の相手方が依頼した弁護士から、内容証明で「受任通知」を受けとったときの対応について、次の6つのポイントを解説します。

今回解説する対応方法の全体に共通することとして、最も大切なのは、あせらず冷静に判断することです。

なお、適切な対応かどうか不安なときは、ぜひ弁護士にご相談ください。

内容証明をよく読む

まず、相手の主張を理解するため、送られてきた内容証明をよく読む必要があります。相手から送られてきた書面から、多くの情報を読みとることが、より有利な対応への近道となります。

弁護士から最初に送られてくる受任通知には、次のような項目が記載されています。

  • 相手の依頼した弁護士の情報
    氏名、法律事務所の住所、連絡先など
  • 本人から離婚問題について交渉の代理権を与えられたこと
  • 相手の離婚問題についての方針
    離婚したいか、したくないかなど
  • 相手の求める離婚条件
    解決金、慰謝料などの金銭支払、財産分与、親権・養育費など
  • 離婚問題の交渉をする際に求めるルール
    直接の連絡・接触の禁止、不倫相手と別れてほしいことなど

連絡を無視しない

次のポイントが、「弁護士からの連絡を無視してはいけない」ということです。

弁護士からの連絡ともなると強い恐怖を感じたり、回答するのが面倒で放置してしまったりしがちです。しかし、連絡を放置したり無視したりすると、離婚問題の解決が遠のくだけでなく、解決においてあなたが不利になるおそれがあります。

離婚問題を争う相手方が「弁護士に依頼した」ということは、つまり、「無視されたり、希望する解決にならなかったりするときは、調停、裁判などの法的解決を求める意思がある」ということを意味します。そのため、弁護士から届いた内容証明を無視すると、直接弁護士から電話がきて回答を求められたり、場合によってはすぐに離婚調停をおこされて法的手続きに発展して泥沼化してしまったりします。

離婚までの流れは、離婚協議・離婚調停・離婚訴訟の順に進みますが、先の段階に進むほど長期化し、弁護士費用や訴訟費用などの経済的負担も大きくなってしまいます。

まずは話し合いでの早期解決できないか試すためにも、弁護士からの最初の連絡には、決められた期限までに回答しておくべきです。

配偶者(パートナー)に直接連絡しない

相手の弁護士から突然連絡がきたとしても、配偶者(パートナー)本人に直接連絡してはいけません。

弁護士名義で自分にとって不利な内容の書面が届いた方から、法律相談において「弁護士が言わせているのではないか」、「本人に直接話せばわかってくれるはずだ」という質問を受けることがあります。

しかし、相手が弁護士を代理人として選任し、交渉の窓口に指定してきたとき、これにしたがって誠意ある対応をすべきです。相手からの受任通知にも「今後の交渉は弁護士が担当し、直接の連絡は控えてほしい」と記載されるのが通常です。交渉窓口の指定があるにもかかわらず相手方本人と直接連絡をとろうとすることには、次のリスクがあるからです。

  • 自分に対する心証が悪化し、感情的対立から離婚協議がうまく進まない。
  • 「しつこい」、「自己中心的」、「非常識」といったイメージを与える。
  • 同居中にDV・モラハラがあったのではないか(DV・モラハラ気質なのではないか)と推認させる事情となる。

相手方が離婚をせざるをえなくなった理由として、DVやモラハラの存在を主張するときは特に注意が必要です。「DV・モラハラの危険がある」と主張されると、反論したくなることは当然ですが、このように主張されて弁護士がついたにもかかかわらず直接連絡をとろうとする行為は、「実際にDVやモラハラをしていたのではないか」という悪い印象を強くしてしまいます。

直接連絡するリスク
直接連絡するリスク

この点は、離婚協議がうまくいかずに離婚調停、離婚訴訟へと進んだとき、家庭裁判所の調停委員や裁判官から不利な指摘を受けることにつながります。

主張を正確に伝える回答書を準備する

相手から送られてきた文書の検討が済んだら、次に、自分の主張を正確に伝える回答書を用意します。

相手方から来た通知の内容を、もう一度冷静に確認してみてください。通知書には、離婚問題について相手方が希望する解決の内容や、その理由が記載されています。「相手方がどんな請求をしているのか」によって適切な回答は異なります。そのため、まずは相手の主張を理解することが大切です。

回答書に書いておくべき内容は、次のようなものです。

  • 請求内容への反論
    例:慰謝料が高すぎる、親権がほしいなど
  • 事実に対する反論
    例:記載された内容が事実ではない
  • 回答期限・回答方法についての要望
    例:回答期限を延長してほしい、支払いを分割にしてほしいなど

相手方の受任通知に記載された主張や理由が、到底受け入れられない要求や、事実でない記載がある場合であっても、感情的になってしまわず、冷静に否定するようにしてください。

なお、次章に回答書の文例をのせておきますので、自身で作成するときには参考にしてみてください。

弁護士との対面交渉には用心する

交渉のなかで、弁護士と対面で話すのであれば、十分に用心して進めなければなりません。

相手方の受任通知に対して回答をすると、相手方の弁護士が、面談での交渉を申し出てくるときがあります。しかし、相手方が弁護士に依頼して連絡をしてきたときに、あなた自身だけで弁護士と対面交渉することはおすすめではありません。

弁護士は交渉のプロであり、相手のペースに飲まれてしまうおそれがあります。万が一、対面交渉したとしても、納得できない内容の合意書には絶対サインをせず、こちらも弁護士に相談してからにするようにしてください。

離婚問題に強い弁護士に相談する

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

離婚問題において、相手方配偶者(夫または妻)から突然の連絡を受けたとき、回答を弁護士に相談し、対応を依頼することが有効です。

相手方の弁護士と直接交渉して、有利な条件を勝ちとれるのか、不安が大きい方もいるのではないでしょうか。こちら側も弁護士に依頼し、弁護士同士で交渉してもらうことで、知識と経験を活かし、有利な解決を勝ちとることが期待できます。

今回の解説は、離婚を求める相手から連絡が来た方に向けて記載しています。そのため、有利な条件で離婚したい方だけではなく、離婚には応じたくない(復縁したい)方にもあてはまります。

「離婚に応じたくないのだから、弁護士からの連絡は無視して、相手に連絡を取り続ければよい」という考え方は、相手の感情を逆なでし、問題を拡大させ、泥沼化させる原因ともなります。少なくとも、このような誠意のない交渉態度では、信頼関係を回復して復縁するのは難しいでしょう。

離婚の相手方への回答書【書式】

書式・ひな形

離婚の相手が、交渉を弁護士に依頼し、弁護士から内容証明で連絡がきたときには、こちらからも書面で回答するのがおすすめです。「言った言わない」の問題を避け、あなたの反論をきちんと証拠化しておくことができるからです。

弁護士から内容証明で突然の連絡をうけたとき、相手方へ送付しておくべき回答書の文例を紹介しておきます。

回答書(例)

XXXX年XX月XX日

XX法律事務所

弁護士XXXX先生

〒○○○ー○○○○ 東京都中央区銀座XX-XX-XX

弁護 太郎

拝復 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、XXXX年XX月XX日付で貴職より送付いただきました「受任通知」と題する書面について、当方の回答は以下の通りです。

まず、当方としましても、夫婦関係関係をこれ以上円満に継続していくことは困難であると考えており、近々離婚をするということに異存はありません。

しかしながら、「受任通知」によれば、離婚理由について当方の不倫、DV及び度重なるモラハラ発言にあると主張するようですが、当方としては事実の認識が大きく異なり、到底承服しかねます。したがって、貴職の提案する条件を前提とする離婚には応じかねますし、当然ながら、同様の理由による慰謝料請求にも応じかねます。

とはいえ、当方としましても、離婚調停に進む前に話し合いの機会を持ち、早期に離婚を成立させたいという気持ちがあります。

つきましては、希望する離婚条件について、当方の弁護士と相談の上、改めてXXXX年XX月XX日までに連絡致しますので、しばらくお待ちください。

敬具

なお、この回答書は、あくまでも例であり、実際に送るときには、個別のケースに応じた追記・修正が必要です。

上記の例では、具体的な反論は書いてありません。具体的な反論を行うためには、法律の専門知識が必要であり、かつ、最初の回答書の段階ですべてを完璧に書いておくことは難しいですから、一度弁護士に相談した上で対応することがおすすめです。

まとめ

今回は、別居後に、相手の弁護士から突然連絡が来たケースにおいて、適切な対応方法について解説しました。

弁護士から直接連絡が来ること自体、人生であまりないことでしょう。その上、内容証明という特殊な形式で送られてくると、焦って冷静な対応ができない方も少なくありません。不適切な対応をして不利な状況におちいってしまわないよう、対応のポイントをよく理解するようにしてください。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題を得意としており、多数の解決実績があります。

弁護士から連絡がきたとき、当事務所であれば、最短で即日の相談予約も可能であり、不用意な回答をしてしまうことなくまずは法律相談をすることができます。突然弁護士から連絡が来てしまったとき、ぜひ一度ご相談ください。

離婚問題のよくある質問

離婚の相手の弁護士から突然連絡がくるのは、どのようなケースですか?

離婚の相手(夫または妻)が弁護士を依頼したとき、内容証明が送られてくるか、電話連絡が来ます。いずれも落ち着いて冷静に対応することが大切です。もっと詳しく知りたい方は「相手の弁護士からの連絡は、内容証明か電話」をご覧ください。

離婚の相手の弁護士から連絡がきたとき、適切な対応方法は?

離婚の相手の弁護士から届いた書面をよく読み、こちらの主張を正確につたえるために、回答書を作成するようにしてください。もっと詳しく知りたい方は「離婚の相手方・弁護士からの連絡への6つの対応方法」をご覧ください。

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