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離婚を求める相手が弁護士を依頼後は「直接交渉」できない?

離婚請求されて弁護士をつけられてしまったときの対応方法について解説します。この解説は、夫側でも妻側でもいずれでもあてはまります。

離婚を求める相手が、突然、弁護士を依頼して内容証明などで離婚請求してきたとき、

  • 「直接本人と会って話をしたい」
  • 「直接話せばわかってくれるのではないか」

と相談に来られる方がいます。なかには、

  • 「つい先日まで仲良くやっていた」
  • 「弁護士がついたら突然変わった」
  • 「弁護士がけしかけているのでは」

と質問される方もいます。

しかし、弁護士が報酬などの「金目当て」でけしかけて離婚請求させたり慰謝料請求させたりしているという可能性はきわめて低いです。むしろ「夫婦関係が円満だと思っていたのはあなただけ」という反論を食らってしまう前に、直接交渉を強行するデメリットを理解しなければなりません。

この解説でわかること
  • 相手に弁護士がつき、交渉窓口を指定されたら、直接交渉してはいけない
  • 直接交渉すると不利な証拠となり、離婚の交渉がうまく進まない
  • 弁護士に連絡して希望を伝え、本人には手紙を渡してもらう

なお、正しい対応を詳しく知りたい方は、「離婚の相手が依頼した弁護士から突然連絡が来たときの対応方法」の解説もあわせてご覧ください。

目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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離婚を求める相手の弁護士が、直接交渉をさせない理由

相手が別居をスタートして離婚を求めているとき、その代理人となった弁護士から手紙が届くことがあります。弁護士からの手紙は、内容証明という特殊な形式で、配達日と内容を証拠に残すようにしておこなわれます。

弁護士からの内容証明による連絡の目的は、「離婚の希望をつたえ、離婚の協議をはじめること」にあります。そのため、弁護士からの連絡は、失礼な対応はなかったとしても、離婚に向けた強い覚悟とプレッシャーを伝えてくるのが通常です。内容証明という見慣れない形式に驚いて、あせってしまう方もいます。

内容証明とは
内容証明とは

離婚についての交渉を多く経験した「プロ」である弁護士と対峙するにあたり、冷静で適切な対処をすることは、一般の方には難しくて当然です。そして、弁護士の内容証明には、その末尾に「本件については当職が窓口となりましたので、直接の連絡はお控えください」といった文言が記載されているのが通常です。

では、なぜ、相手の弁護士は直接連絡をさせないのでしょうか。弁護士が直接交渉を拒否する理由には次のものがあります。

  • 弁護士が窓口となり、法律知識・裁判例の知識を生かして有利に進めたい
  • 依頼者の交渉の手間、精神的ストレスを取り除きたい
  • DV・モラハラや虐待の被害が拡大するのを防ぎたい

いずれの理由も、離婚を求めている相手側の都合であり、あなたには関係ないことのように思えます。それでもなお、このように弁護士から連絡が来るタイミングに至ったら、直接交渉することはおすすめできません。

相手本人との直接交渉をすべきでない4つの理由

案内する女性

突然、相手の弁護士から内容証明などの手紙がきたとき、これを無視して直接本人と交渉してはいけないと解説しましたが、こう説明してもない、「本当に相手の気持ちなのか、信用ができない」、「直接会って確かめたい」という相談を受けることがあり、気持ちはよく理解できます。

しかし、繰り返しですが、相手方代理人である弁護士の指示を無視し、直接連絡を取って交渉しようとすることはおすすめできません。相手本人と直接交渉すべきでない理由を、次の4つにわけて解説します。

なお、弁護士職務基本規程というルールで、弁護士は、相手に代理人がついたときは直接連絡してはならないと定められています(弁護士職務基本規程52条)。そのため、厳密にいえば、本人はこのルールには拘束されませんが、それでもなお、以下の理由で、直接交渉はひかえるべきです。

【理由1】相手の感情を刺激する

相手方配偶者の弁護士が「直接の連絡をしないでください」と書面に書いてくるのは、弁護士が勝手に決めたルールではありません。そうではなく、「相手方配偶者(夫または妻)が定めたルール」だと考えてください。つまり、相手本人も、そのように書面に書くことについて了解をしているはずなのです。

本人が「直接連絡をとりたい」と言っているのに、弁護士がそれを抑えて直接連絡を禁止しているということはありません。

弁護士は、離婚したい側から法律相談を受けるとき、次のように伝えます。これは実際に当事務所が「相手から連絡が来たらどうしたらよいのか」と質問されたときに回答する内容の一例です。

弁護士のアドバイスの例
弁護士浅野英之

弁護士に依頼後は、離婚についての交渉はすべて弁護士にお任せください。

法律知識、裁判例の知識を生かしたほうが有利に解決できます。依頼者本人が直接交渉してしまうとそのメリットを十分受けることができません。交渉窓口が2つになると、誰と交渉をしたらよいか相手も混乱し、離婚も遅れてしまいます。

万が一、相手から直接連絡が来ても応じてはいけません。間違って電話に出てしまったときは「弁護士に任せた」とだけ伝え連絡を拒否してください。

そのため、もし本人に連絡をしたり「会って話したい」と伝えたりしても、電話は着信拒否、メール・LINEはブロックされている可能性が高いです。もし連絡がとれても、「弁護士にまかせているから、弁護士に連絡してほしい」といわれるだけです。

むしろ、相手方配偶者も納得のうえで決めたルールに違反し、直接の連絡を強要すると、ますます相手本人の感情をさかなでします。「自分に対する理解がない」、「交渉に対して不誠実だ」、「尊重してもらえていない」という印象を抱かせ、円満な話し合いができなくなるおそれがあります。

相手の感情を刺激し、敵対心をあおることは、有利な条件での離婚を望む方針でも、離婚を拒否して復縁を望む方針でも、いずれにせよ希望どおりの解決から遠ざかってしまいます。

【理由2】自分に不利な証拠になる

相手が直接の接触を拒否したにもかかわらず頻繁に連絡をとろうとしていた事実は、こちら側にとって不利な証拠として利用されてしまうおそれがあります。

特に、相手が離婚を求めている理由に、「執拗につきまとわれている」、「頻繁な連絡を強要されている」といった問題点の指摘があるとき、離婚協議中のこのような問題行動が、同居中にも同じような問題行動を繰り返していたことの証拠として利用されてしまいます。

協議離婚による話し合いで解決できず、離婚調停、離婚訴訟へと発展する場合、度重なる着信履歴、メールの履歴、LINEのトーク履歴や、その問題ある記載内容といったものは、よく証拠提出されます。

「同居しているのであれば直接話せるのだから、頻繁に電話やメール・LINEをすることはない」というご反論もあることでしょう。しかし、実際には同居中でも、とても高い頻度で、威圧的なメール・LINEを繰り返し送る人も存在します。

証拠によってしか事情を知ることのできない家庭裁判所にとってみれば、弁護士がついた後でも相当な頻度で直接の連絡を繰り返しているようなときには、「執着心の強い、問題のある人物だ」というイメージが強く残ってしまいます。

【理由3】DV・モラハラだと思われる

相手方が離婚を求める理由が、DV・モラハラにあるとき、ますます、直接の連絡はひかえたほうがよいケースといえます。

本当にDV・モラハラをしてしまっていたという自覚があるときは、再発させないためにも直接接触すべきでないのは当然です。しかし、相手の主張が嘘のとき、つまり、DV冤罪のときでも、直接の連絡はおすすめできません。

DV冤罪だと、「相手の弁護士も嘘を聞かされているから、どうしても本人に一言いってやりたい」という怒りがわくことは理解できます。しかし、電話、メールの連絡だけでなく、実家や転居先を探し当て、訪問する、といった行為は、「ストーカー」というイメージを持たれ、DV、モラハラという妻側の主張にとって有利な証拠として利用されます。

直接連絡するとDV・モラハラがあったと思われる
直接連絡するとDV・モラハラがあったと思われる

当事務所への法律相談には、「自分はDVなどしていない。直接話し合って、主張を真実のとおりに正したい」と相談される方もいます。しかし、このような戦い方は、本人に直接接触せずとも弁護士を通じてでも行うことができます。弁護士が窓口となったにもかかわらず直接交渉をしようと試みることは「DV・モラハラの可能性のある危険人物」という印象を強くするだけです。

DV・モラハラの冤罪について戦うためには証拠が重要です。詳しくは次の解説もご覧ください。

【理由4】相手の対抗手段は豊富にある

離婚を要求する相手に弁護士がついて、突然、直接の連絡を禁じられた方の中には、「弁護士が付いていなければ仲直りできていたはず」、「復縁したいのだから直接連絡をとってもよいはず」と相談される方もいます。

しかし、離婚問題について相談する先は、弁護士だけではありません。特に、DVやモラハラを主張するケースでは、支援団体や公的団体、カウンセラーなど、離婚についての悩みを聞き、味方になってくれる窓口は多くあります。最悪の場合、DVがあったと思われて警察が動いてしまうケースもあります。

直接連絡への相手の対抗手段は豊富
直接連絡への相手の対抗手段は豊富

「突然弁護士から通知がきて、連絡がとれなくなった」というのは当方側の認識であり、実際には相当前から弁護士へ継続的に相談していた可能性も高いと考えておくべきです。

直接本人に連絡をして交渉をして、千に一つ、万に一つもうまくいくのであれば、弁護士としてはおすすめできませんが自己責任で行うことを止めることはできません。しかし、直接連絡をされてしまった相手方においても対抗策はたくさんあり、すぐに離婚調停を申し立てられてしまえば、ますます問題がややこしくなることが予想されます。

直接交渉できないとき、弁護士にどう対応したらよいのか

弁護士浅野英之

以上のとおり、離婚を求める相手に弁護士がついた後は、直接の交渉を進めようとしてはいけないということを理解した上で、ではどう対応したらよいのか、という点を解説していきます。

相手に弁護士がついてしまったことで、離婚問題を数多く扱い、法律の知識と経験、交渉力といった強い武器を手にしてしまったわけです。このような相手に対して自身で連絡することに不安を感じるときは、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

連絡方法は問わない

相手の弁護士への連絡方法としてはふさわしいのは、受任通知に書かれた連絡先(法律事務所の住所、電話番号、FAXなど)です。なお、弁護士情報提供サービス(日弁連)で連絡先を調べることもできます。内容証明などで送られた受任通知には、弁護士名、法律事務所名とともにに住所、電話番号、FAX番号などが記載されているのが通常です。最近では、メールアドレスを書く弁護士もいます。

電話で連絡するときは、ホームページで業務時間を調べ、業務時間内に電話をするとスムーズです。弁護士は、仕事として連絡窓口となっているわけですから、相手方本人に直接連絡をする場合と違って、業務時間内の常識的な範囲の連絡であれば、特に遠慮する必要はありません。

法律事務所の住所も書かれていますが、弁護士は裁判所に出廷したり出張していたりなど、事務所に四六時中いるわけではありません。訪問して面談を希望するときにも、電話でそのことを伝えて日程調整するようにしてください。

まずは率直な希望を伝える

自分も離婚したいと希望していたとしても、求める離婚条件には差があることがほとんどです。また、離婚理由として挙げられている事実関係にも、争いたい部分、納得いかない部分が多いはずです。相手が依頼した弁護士は、相手の味方ですから、送られてきた通知書には相手の意見・主張しか反映されていません。このような書面が納得のいかない内容であるのは当然です。

弁護士は、交渉の窓口として、伝えられた内容についてはすべて依頼者である相手方本人に報告をします。直接連絡することはできないものの、相手に必ずそのまま伝えてほしいときは、手紙を渡してもらう方法が有効です。

言いたいことや、離婚方針についての希望があるときは、率直な気持ちを、まずは相手の弁護士につたえるようにしてください。希望を伝えるだけですから、法律のことをあまり難しく考える必要はありません。

ただし、自分にとって不利なことを言うべきではなく、また、双方の希望が大きくかけ離れていて話し合いによる解決が困難なときは、離婚調停をすみやかに申し立てるべきケースもあります。

面会交流を求める

相手方配偶者と離婚するとしても、親子関係はなくなりません。相手方がDVやモラハラを主張するとしても、子どもに悪影響のない限り、子どもに対する愛情は示し続けるべきです。

相手方が子どもを連れて別居をしたケースでは、相手方と直接交渉してはならないことに変わりはないですが、「子どもと会わせてほしい」と強く求めることは重要です。

離婚に至るまでの間にも子どもとの交流を深めるために、面会交流が必要であり、話し合いで解決しないときは、面会交流調停を申し立てる方法が有効です。

離婚を望まないときも適切に対応する

「離婚自体には争いがなく、離婚条件について話し合いたい」という場合のほか、「そもそも離婚はしたくない」という場合にも、相手の弁護士への適切な対応は同じです。そして、直接話し合いを強要してはならない点も同じです。

とはいえ、実際には、当事務所においても、直接話し合って復縁に成功したという解決事例もあります。

このようなケースで、相手方の感情を害せず、直接の話し合いを実現するためには、相手方の弁護士を通じて「直接会って話したい」ということを伝え、伝言をお願いすることです。このときは「直接会ってもよいかも」と思ってもらえるように、謝罪すべき部分、譲歩できる部分、今後改善したい部分についても伝え、自分の要求だけになってしまわないようにしてください。

このような対応は「弁護士を介して話す」という相手のルールを守りながら、最終的には「2人で直接話す」という当方の目的を実現するのに有効です。相手方の主張に対する理解と、それにあわせた改善がポイントとなります。

同居中の離婚協議でも適切に対応する

同居中のまま離婚協議を開始することも、事例としては少ないながら存在します。

同居中なわけですから同じ家に住んでおり、弁護士から内容証明郵便が届いても「一緒に住んでいるのだから話しかけて当然ではないか」、「もう一度当事者間で話し合ってみたい」というご相談が寄せられます。

しかし、同居中でも、相手に弁護士がついた以上は直接交渉はせず、弁護士を通じて連絡すべきという点に変わりはありません。そして、別居中の場合と同じく、話しかけて直接交渉しようとしても「その件は弁護士とやってほしい」といわれるだけです。

なお、離婚前の別居から離婚に進めていくときの注意点については次の解説もご覧ください。

こちらも弁護士を窓口とする

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

最後に、離婚を望んでいる相手が弁護士をつけてきて、直接話し合うことができなくなってしまったとき、こちら側でも弁護士を依頼して、弁護士同士で交渉をしてもらうという手が有効です。

弁護士は法律の専門家であり、交渉の専門家です。特に離婚問題を得意としていれば、過去にも多くの離婚調停、離婚訴訟の経験があるため、あなた自身で弁護士と話し合っても、有利に話し合いを進めるのはなかなか難しいと感じることが多いのではないでしょうか。

あなたの側でも弁護士をつけ、代理人間で交渉してもらうことで、離婚条件をできるだけ有利に進めたり、あるいは、相手方側からの離婚の要求に対して拒絶したりすることができます。

なお、両親や友人に仲介、同席をお願いしようとする方もいますが、第三者の同席は話し合いをこじらせるためおすすめできません。

まとめ

別居をした配偶者(夫または妻)から、弁護士をつけて受任通知を送られ、離婚請求されたとき、「直接の連絡はひかえてほしい」と通知書に書かれていることが通常です。交渉の窓口を弁護士に指定されたとき、直接交渉を求めることはあなたにとっても不利になってしまうことを解説してきました。

弁護士からの要望にそむいて直接連絡をとろうとすることは、自分も離婚自体は望んでいる(離婚条件をより有利にしたい)場合にも、自分は離婚を望まない(復縁を求めたい)場合でも、いずれの方針でも大きなデメリットとなります。

今後、話し合いによる解決が難しいときは離婚調停、離婚訴訟へと発展していくことを神輿、不利な証拠を残さないよう適切な対応を心がけてください。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所
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弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題に注力してサポートを提供しており、離婚についての交渉に精通しています。

離婚について配偶者(やその代理人弁護士)との交渉を弁護士に任せようと検討している方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

離婚協議のよくある質問

相手に弁護士がついたら、なぜ直接交渉してはいけないのですか?

離婚の当事者である夫(または妻)が直接交渉してはいけないのは、相手の感情を害したり、自分に不利な証拠となるなど、離婚についてうまく進まなくなってしまうからです。もっと詳しく知りたい方は「相手本人との直接交渉をすべきでない4つの理由」をご覧ください。

直接交渉できないとき、相手についた弁護士にどう対応したらよいですか?

離婚を求める相手に弁護士がついたとき、まずは内容証明などに書かれた連絡先に連絡し、率直な希望を伝えるようにしてください。もっと詳しく知りたい方は「直接交渉できないとき、弁護士にどう対応したらよいのか」をご覧ください。

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