離婚調停・離婚協議中に「手紙」を出す意味と書き方

離婚調停、離婚協議はいずれも、「離婚をするかどうか。」、「どのような条件で離婚をするか。」についての「話し合い」です。

離婚協議が、当事者同士の話し合いではうまくまとまらず、弁護士を介した離婚協議や、裁判所における離婚調停に発展してしまったとき、自分にとって有利な条件での離婚の話し合いを進めるためには、戦略的な考え方が必要となります。

その中で、離婚協議、離婚調停を進める最中に、相手方に対して「手紙」を出すことが戦略上有効となるケースがあります。しかし、「手紙」が有効な場合でも、書き方によってはかえって感情的な対立を加速させるデメリットもあります。

そこで今回は、離婚調停、離婚協議中に当事者に対して「手紙」を出すことの有効性と、その場合に手紙の書き方、内容等について、離婚問題に強い弁護士が解説します。

1. 離婚の争いにおける「手紙」のメリット

インターネットが普及し、メールやチャット、LINEやメッセンジャー等が、個人間のコミュニケーションで一般的に利用されています。そのため「手紙」で連絡することは、年賀状や暑中見舞いなどを除いては、少なくなってきたのではないでしょうか。

しかし、離婚の争いにおいては、「手紙」というアナログな手段によって伝えることが、戦略上とても重要となることがあります。そこで、まず初めに、離婚の争いにおける「手紙」のメリットを弁護士が解説します。

1.1. 直接会わずに思いを伝えられる

夫婦間で直接会って思いを伝えあえるのであれば、離婚協議中、離婚調停中であってもその方が良いです。

しかし、離婚に関する争いになっているとき、直接会って思いを伝えることが難しい場合があります。あなたの側は「会って伝えたい」と思っても、相手方(配偶者)が、「会いたくない。」「弁護士を通してほしい。」という場合、直接会って思いを伝えることはできません。

特に、弁護士がついて直接の面会が困難な状況の中、「直接会って伝える。」ことに固執すると、あなたの思いを伝える機会がなくなってしまうおそれがあります。

離婚協議、離婚調停中に手紙を送る方法によって、直接会わなくても、あなたの思いを夫(または妻)に対して伝えることができます。

1.2. 気軽でなく、本気度を伝えられる

メール、LINE、メッセンジャー、SNS等のコミュニケーション手段はとても便利ですが、その分、気軽に送ることができてしまうために、「軽く見られる。」傾向にあります。

相手となる夫や妻にとっても、離婚の話を進めるにあたっての相当な「覚悟」があるでしょうから、それを上回るほどの本気度を伝えなければ、伝達内容はうまく伝わりません。

離婚協議、離婚調停といった人生の一大事に直面しているときに、夫婦の一方に対して大切な思いを伝える手段として、このような手軽で、ともすれば「軽々しい」と思われかねない方法が適切ではないことがあります。

特に、お互いに弁護士がついた後で、「直接思いを伝えたい。」場合、手紙を交付する方法によって行うことが、「離婚したい。」もしくは「離婚したくない。」という強い思いを「本気度」を持って伝えるのにお勧めです。

1.3. 伝達内容にミスが少なくなる

気軽に送ることのできる連絡手段ですと、伝達内容にミスが生じてしまうことが少なくありません。手紙の場合には、出す前に何度も推敲を重ね、見直しをすることができますので、ミス少なく伝達することができます。

お互いに、離婚協議、離婚調停にかける本気度の高い中で、手紙によって思いを伝えようという場合に、ほんの少しのニュアンス、イメージの違いが、伝える内容に大きく影響してしまいます。

自分の伝えようと思った伝達内容が、全くミスなく伝わるような文言となっているかどうか、手紙を出す前に、十分に内容を見直し、確認をしなければなりません。

「この手紙を読んで、どのように感じるか。」は、独りよがりにならず、第三者の意見を参考にしたり、離婚問題の取扱い経験の豊富な弁護士のアドバイスを受けたりすることがお勧めです。

2. 離婚協議中の「手紙」に書いておくべき内容

離婚協議中に出す「手紙」の有効性を理解していただいた上で、どのような内容の手紙を出したらよいのかについて、弁護士が解説します。

「手紙」が有効となるのは、適切かつ必要な内容が、その手紙の中に記載されているからこそです。相手を責めるような手紙や、感情的に逆なでする手紙は、逆効果なこともあるため注意が必要です。

弁護士が、全て代わりに「代筆」することも可能ですが、「思いを伝える」という目的のためには、具体的な内容はできる限り、当事者である本人自身が考えた方が効果があがります。

2.1. 反省内容・改善内容

離婚協議、離婚調停が思うように進まない理由は、夫婦間における感情的なすれ違いにあることが多くあります。

離婚に関する争いが激化しているとき、夫婦間で起こった問題点についての反省や、今後の改善点を記載した手紙を送ることが、良い効果をもたらすことがあります。

離婚原因として「モラハラ」を主張されているとき、自分の行為を客観的に理解し、謝罪していることが、「モラハラをした」とされる側にとって有利な事情となることもあります。

特に、相手方(夫または妻)が離婚を求めているのに対して、自分は離婚をしたくないというケースでは、今後の具体的な改善点なくしては、復縁は到底困難です。改善点は、「改善の努力をする」というだけにとどまらず、「何をするのか。」、「いつまでに改善するのか。」という点がわかるよう、具体的に記載することがポイントです。

2.2. 楽しかった過去の思い出

夫婦生活がうまくいっていた時代の、過去の楽しかった思い出について振り返ったり、夫婦のなれそめや交際当時の出来事を思い返すことによって、お互いに譲歩をすることができる気持ちになることがあります。

離婚協議、離婚調停にまで発展した夫婦間で、手紙の内容にまで過去の嫌な思い出や、相手の責任追及、批判を記載すれば、話し合いがうまく進まなくなってしまうのは当然です。

2.3. 子どものこと

「楽しかった過去の思い出を手紙に記載する」というポイントと共通しますが、「子どものこと」について書いた手紙が効果的なことがあります。

子どもについての話題は、夫婦共通の話題であり、かつ、夫婦いずれにとっても楽しく前向きな話題だからです。離婚協議、離婚調停中であっても、子どもの将来に関する話題は避けて通れません。

たとえ夫婦が離婚をしたとしても、子どもの両親であることは変わりません。夫婦の離婚後も、面会交流、養育費等の関わりがあり続けるほか、親がなくなれば相続問題も発生します。

3. 離婚協議中の手紙の渡し方は?

離婚協議中に、手紙を渡すときの方法について解説します。

離婚協議中であっても、まだお互いに弁護士を選任していない段階であれば、手紙を当事者間で直接渡すことができます。「これから別居する。」というタイミングの場合には、置手紙の方法によって相手に手紙を読んでもらうこともできます。

義理の両親(相手方配偶者の両親)が間に入って仲裁してくれている場合には、本人への交付を依頼する方法もあります。

ただし、離婚協議中でも、既にいずれかに弁護士がついている場合には、弁護士を通じて手紙を渡した方がよいでしょう。特に、相手が弁護士をつけ、直接の連絡を拒否しているときに、弁護士を飛び越えて本人に直接連絡することは、良い心証を与えません。

弁護士がついている離婚協議中に、できる限り本人同士が会うのと同様の方法で連絡をとりたいという場合に、弁護士同士で協議の上、特別に、対面や手紙で直接本人同士で連絡をとってもらうことがあります。

離婚協議中に、このように本人同士での連絡が例外的に可能かどうかは、自分の側の弁護士に手紙を渡して交渉してもらうのがよいでしょう。

4. 離婚調停中の手紙の渡し方は?

すでに離婚協議がうまく進まず、離婚調停に発展しているケースの場合には、離婚調停中に、調停委員を通じて手紙を渡してもらう方法が最も確実です。

離婚調停中であっても、弁護士同士で協議をしたり、弁護士同士で手紙をやり取りしたりすることも可能ですが、相手方の弁護士が、必ず相手方に対して手紙を交付してくれるかどうか、確実とはいえないためです。

また、相手方(夫または妻)が離婚を強く望んでいたり、特定の離婚条件に強く固執していたりするケースでは、相手方の依頼する弁護士も、手紙を渡しはするものの、考え直すように説得することはまずありません。

相手方(夫または妻)の離婚やその条件についてのこだわりが強ければ強いほど、中立的な立場にある調停委員に手紙を託したほうが、手紙に書かれた思いが正確に伝わる可能性が高いといえます。

ただし、これらいずれの方法によって手紙を渡したとしても、読んでもらえるかどうか、また、心を動かす効果があるかどうかは、内容次第と言わざるを得ません。

5. まとめ

今回は、離婚協議、離婚調停といった離婚の争い中に、手紙を渡す方法や手紙に書くべき内容などについて、弁護士が解説しました。

離婚の争いは、離婚協議から離婚調停、離婚訴訟へと発展していきますが、手紙を出すことによって思いを伝えたいと考える場合には、できるだけ早期の段階で手紙を出したほうが効果的です。

争いが激化し、既に相手の考え方が固定してしまった後では、折角手紙を出したとしても、相手(夫または妻)の思いを変えることは困難です。

離婚の争いについて、「離婚をするかどうか」、「どのような離婚条件で離婚するか」等の争点を有利に進めるため、戦略的に「手紙を出したい」と考える方は、ぜひ一度、離婚問題を多く取り扱う弁護士のアドバイスをお聞きください。

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