離婚・男女問題

モラハラは証拠が重要!モラハラの証拠の集め方と離婚までの流れ

2021年6月8日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之(第一東京弁護士会所属)です。当事務所は「離婚問題」に注力し、豊富な実績を有しています。離婚は身近な問題ですが、実は多くの法的リスクを内在しています。

自身での解決が難しいとき、法律の専門知識を活用することで速やかに解決できることがあります。ぜひ一度当事務所へご相談ください。

モラハラの証拠

モラハラの被害を受け、「もうこれ以上我慢できない」というとき、離婚を考える方が多いのではないでしょうか。モラハラ被害で精神的苦痛を負ったときには、離婚とあわせて慰謝料請求も行うこととなります。

典型的なモラハラとして暴言、嫌がらせ、無視などがありますが、暴力や不倫などの離婚理由に比べて、残念ながら証拠が残りづらいです。モラハラは口頭のやりとりだけで終わってしまうなど形に残りづらいため、事後的にモラハラの責任追及をしても「やっていない」、「そんなことは言ってない」、「そういう言い方ではなかったはずだ」などとごまかされてしまうからです。

モラハラ夫・モラハラ妻ほど、離婚や慰謝料請求に応じるわけがないことは、モラハラ被害に日常的にあっていれば容易に想像がつくことでしょう。そのため、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟などでモラハラを争点とするときにはモラハラを証明する証拠の入手がとても重要です。

そこで今回は、

  • モラハラを証明するのに役立つ証拠はどのようなものか
  • モラハラ離婚を有利に進めるための証拠
  • モラハラでもらえる慰謝料を増額するための証拠

といった「モラハラの証拠」の問題について、離婚問題を数多く取り扱う弁護士が解説します。

モラハラを証明する重要な7つの証拠

モラハラの証拠

モラハラとは、モラルハラスメントの略称であり、暴言や無視、精神的虐待などの嫌がらせ行為のことをいいます。具体的には、相手の人格を否定したり、個人の尊厳を侵害したりといった行為により精神的苦痛を与えます。モラハラが継続すると、精神的な支配やマインドコントロールにもつながります。

「モラハラの被害を受けている」と感じたときは、すぐに証拠収集を始める必要があります。モラハラの証拠収集は、モラハラを理由に離婚を求めるときはもちろん、離婚をしない場合でも、モラハラを止めたり、慰謝料請求をしたりする際に活用することもできます。

冒頭で解説したとおり、モラハラを理由とした離婚や慰謝料請求の際には証拠がとても重要であることから、はじめに「モラハラを立証するのに役立つ重要な証拠」として、次の8つを解説します。

モラハラは証拠に残りにくく、十分な証拠を集めることはとても難しいものです。

そのため「モラハラを証明する重要な証拠にどのようなものがあるか」を理解していただいたとしても、「その証拠を集めれば十分だ」、「モラハラの証明に必要な証拠だけを収集すればよい」という気持ちでいては、離婚調停や離婚訴訟などでモラハラを認めてもらえないおそれがあります。

そのため、今回の解説を参考にしながら、自分で証拠収集の対応をするときには「モラハラの証拠となる可能性が少しでもあるものは、全部収集、保管しておこう」という覚悟で準備をする必要があります。役立つ証拠が多くて困ることはありません。

①モラハラ発言の録音

暴言、人格否定発言、罵詈雑言、誹謗中傷などの「言葉の暴力」はモラハラにあたります。言葉によるモラハラを証明するためには、録音データが重要な証拠となります。

「バカ」、「死ね」、「役立たず」といった具体的な発言だけでなく、舌打ちやため息、咳払いといった威圧的な発言についても録音により記録化することができます。

一言だけを切り取るのではなく前後の会話も録音し、どのような文脈でモラハラ発言が行われたかを説明できるようにしておくことも重要なポイントです。暴言部分のみを切り取った短い録音だと、後から編集・改ざんしたのではないかと疑われ、証拠としての価値が下がってしまうこともあります。会話の一部始終を録音し、モラハラ発言に至った経緯まで証拠化しておくことにより、モラハラの悪質性をより際立たせることができます。

モラハラ発言を録音しておけば、後から「言っていない」という言い逃れをすることができなくなります。モラハラの証拠となる録音をとるためには、ボイスレコーダーを準備するほか、スマートフォンを手放さずに用意しておくことでも収集できます。モラハラは、日常生活のなかで突発的に起こることが多いため、すぐに録音できるよう準備しておくか、常時録音しておくことがおすすめです。

「モラハラとはいえ、勝手に録音してもよいのか」という相談もありますが、モラハラ被害にあったことを証明するためであれば、秘密で録音をしていてもプライバシーの侵害にはならず、裁判でもその録音を証拠として取り扱ってもらうことができます。

②モラハラ行動の録画

モラハラが、言葉によるものに留まらず、物にあたる、物を投げる、無視をする、馬鹿にした態度をとるといった行動にまでエスカレートすることがあります。行動を伴うモラハラでは、録画データが重要な証拠となります。

録画の場合も、録音の場合と同様に、いつモラハラ行動が起こっても録画することができるように準備しておくとともに、モラハラ行動の一部始終を撮影しておくことが重要です。

③日常的につけた日記

モラハラ行為の被害にあったことを記した日記もまた、モラハラの事実を立証する重要な証拠となります。

録音・録画といった直接的な証拠は、突発的に起こりがちなモラハラ問題において、入手が困難なこともあります。このようなとき、被害者側の努力によって収集可能な証拠が「日記」なわけですが、日記は被害者がつけるものであることから、証拠価値を上げるためには次のような工夫が必要となります。

  • モラハラ行為が起こった都度、こまめに日記をつけておく。
    :後からまとめて日記をつけてしまうと、被害者の記憶による部分が大きく、事実を証明する証拠として価値が低いと評価されてしまうおそれがあります。
  • 手書きで日記をつける。
    :パソコンやスマートフォンでつけた日記は、あとから追記、修正が容易であり、その当時の被害状況をあらわしたものと評価されないおそれがあります。手書きであれば後から追記、修正をすることが難しいため、証拠価値が高まります。
  • モラハラの起こった日時、場所、行動を具体的に明記する。
    :モラハラ加害者がモラハラを否定したとき、モラハラ行為を詳細かつ具体的に記録しておくほうが、証拠としての価値が高まります。
  • モラハラ以外に、その日に起こったことや周囲の状況、自分の気持ちもあわせて記録しておく。
    :モラハラ行為だけを記録している日記は不自然であり、「モラハラをでっちあげるために作成されたのではないか」という疑念をもたれるおそれもあります。通常の日記と同様、モラハラ以外の事実も記載しておくことは、証拠としての信用性を高めることができ、かつ、後から自分が思い出す手助けにもなります。
  • ブログ、SNSを証拠にすることもできる。
    :ブログや、TwitterなどのSNSで日記をつける場合には、あとから追記、修正や改ざんをしたと疑われないよう、必ず作成日を明確にして記録しておくことが重要です。この点で、あとから作成日を変えたり、過去の日付の投稿を作成したりできるツールを利用して日記をつけてはいけません。

特に、日記をつけることによるモラハラの証拠収集では、モラハラの具体的な行為を、詳細かつ説得的に、裁判所に説明できるようにしておくことがポイントです。そのため、「5W1H」を意識し、「いつ、どこで、誰が、誰に対して、どのように、何をしたか」という点を意識してください。

④モラハラ相手とのやりとりの記録(メール・LINE・SNSなど)

モラハラの中には、直接的な言動だけでなく、メールやLINE、SNSのメッセージ機能などで命令したり人格否定したりといった態様もあります。このようなとき、モラハラ行為そのものであるメール、LINE、SNSの記録が最重要の証拠となります。連続で何度も長時間の通話を繰り返したり、着信を残し続けて応対を強要したりといった行動もモラハラになります。この場合、着信履歴自体がモラハラの証拠となります。

また、モラハラが口頭で行われたとしても、その延長線上としてその後のメールやLINEにその痕跡が残されていることもあります。

メールやLINE、SNSの記録は、モラハラ加害者側はすぐに証拠隠滅のために消してしまうことが多いため、モラハラ被害者側で確実に保存しておかなければなりません。突然消えてしまわないよう、確実な証拠保存のためには、スクリーンショットを保存した上で、紙に印刷しておくことがお勧めです。

バックアップをとってパソコンにメール送信しておいたり、クラウド上に保存しておいたりすること大切です。

⑤モラハラ加害者が壊した物の写真

モラハラ加害者が、突然感情的になって、物にあたる、物を投げるといった行為に出ることがあります。直接身体に暴行を加えなくても、これらの行為はいずれも危険であることが明らかであり、モラハラにあたります。アルコール依存症で、酒に酔って暴れるというケースもあります。

モラハラ夫、モラハラ妻が壁を叩いて穴をあけたり、夫婦の記念品や親の形見など、配偶者(パートナー)が大切にしている物を壊してしまったりしたとき、その被害状況をすぐに写真にとっておくことが証拠収集につながります。

⑥家族、友人の証言

同居の家族などの目撃者の証言もまた、モラハラの証拠となります。

子どもが一定の年齢に達している場合には、同居している子どもの目撃証言が重要な証拠となることがあります。ただし、子どもの年齢が低い場合には証言の信用性が低くなってしまう場合もあるほか、モラハラによる子どもへの悪影響の心配がある点には注意が必要です。

また、モラハラ被害にあってしまったときには、一人で抱え込まず、家族や友人に相談することがおすすめです。モラハラの早期の段階で第三者に相談をし、注意してもらうなどの行動を起こすことで、モラハラに歯止めをかけ、反省をうながし、夫婦関係を修復できる場合もあります。

モラハラのできるだけ早い段階で家庭の外にいる人に相談をしているときには、「モラハラの相談を受けていた」というそれらの人の証言が、モラハラの重要な証拠となります。

⑦警察への相談記録、110番通報記録

心身への影響が大きい悪質なモラハラでは、警察へ相談をすることも検討しなければなりません。

モラハラについて警察への相談を行っていた場合には、警察の相談記録が、モラハラの重要な証拠となります。あらかじめ警察へ問い合わせをし、モラハラの証拠として保存しておいてほしいと依頼しておくようにしてください。あわせて、110番通報をしている場合には、その記録も警察に残るようになっています。

ただし、警察へ通報するほどにモラハラが悪化しているときには、もはやそれほど時間的な猶予があるとはいえず、証拠収集にも長い時間をかけることはできません。

悪質かつ強度のモラハラの被害を受けているときには、家庭内暴力(DV)に発展して問題が拡大する前に、迅速な証拠収集とともに、別居が必要となります。

⑧診断書、カルテ、通院履歴

モラハラ被害は、家庭内暴力(DV)によるケガとは異なり、その被害が外見からはみることができない点に特徴があります。

しかし、被害者を苦しめるのは、目に見える肉体的暴力だけではありません。モラハラを受け続ければ、精神的苦痛を負い、うつ病、適応障害、パニック障害などの精神疾患(メンタルヘルス)にかかってしまう人も多くいます。

眠れなくなったり、常に頭痛や吐き気がするなど、モラハラ被害による精神症状がからだにあらわれたときには、精神科、心療内科などを受診し、診断書を出してもらうようにします。そこまで悪化してはいない場合でも、カウンセラーに通いアドバイスを求めることも検討してください。

受診した際の診断書、カルテ、通院履歴などは、モラハラを受けていたことの重要な証拠となります。医師には、配偶者(パートナー)からのモラハラが原因であることを伝え、カルテに書き留めておいてもらうようにしてください。

モラハラの証拠収集が難しい4つの理由

モラハラの証拠

モラハラを理由に離婚、慰謝料請求を検討している方に知っていただきたいこととして、「モラハラの証拠収集はとても難しい」ということです。

「モラハラかもしれない」と気付いた時点で、手遅れになる前に早急にモラハラの証拠収集をスタートできるよう、「なぜ、モラハラの証拠収集が難しいのか」という理由について解説しておきます。

精神的苦痛は目に見えない

モラハラの証拠収集が難しい1つ目の理由は、モラハラによる精神的苦痛が目に見えづらいことです。

たとえば、家庭内暴力(DV)であれば、暴力によってケガをすれば目に見える被害が生じます。写真にとったり診断書をもらったりすることで、家庭内暴力(DV)の証拠を残すことができます。暴力をふるったり物を投げたりと家の中で大暴れすれば、近所の人もその大きな物音に気付いて、証言をしてくれる可能性があります。

しかし、モラハラの場合、言動だけで行われます。悪質なモラハラは、陰湿に隠れて行われることがほとんどです。そのため、モラハラで精神的なダメージを負っても、その症状は目に見えず、うつ病、適応障害など精神疾患(メンタルヘルス)の診断書をとるなどの証拠収集の工夫が必要です。

モラハラは突発的に起こる

モラハラの証拠収集が難しい2つ目の理由は、モラハラが突発的に起こることです。

先ほど解説したとおり、モラハラの証拠として役立つものにとして録音や録画があります。しかしいずれも、モラハラがいつ起こるかわからないため、常時かまえて準備をしておかなければ証拠収集に失敗してしまうおそれがあります。

夫婦喧嘩のように、突発的に起こったモラハラがしばらくの間続く場合もありますが、多くのモラハラは、日常的に、嫌がらせや暴言、罵詈雑言、誹謗中傷などが繰り返し行われます。無視や冷遇など、態度にしかあらわれないモラハラは、録音すら困難です。

被害者にモラハラ被害の自覚がない

モラハラの証拠収集が難しい3つ目の理由は、被害者にモラハラ被害を受けたという自覚がないことです。

モラハラ被害者の中には、恒常的なモラハラを受け続けた結果、いわば洗脳状態となり「モラハラを受けてしまう自分が悪いのだ」、「自分がミスをして怒らせてしまった」など、モラハラ被害者である自分を責めてしまう人も多くいます。モラハラ夫、モラハラ妻が、相手の間違いや些細なミスをあげつらい「お前が悪い」、「お前のためを思っていっている」といった精神的プレッシャーをかけ続けることもこのような状況を助長します。

モラハラ被害者は、冷静な判断ができない状態に陥っていることが少なくありません。モラハラ被害者が、被害を受けているという自覚がなければ、証拠収集に着手しないのは当然であり、まずは「何がモラハラにあたるのか」を知ることが重要です。

加害者にもモラハラの自覚がない

モラハラの証拠収集が難しい4つ目の理由は、加害者側においてもモラハラをしているという自覚がないことです。

モラハラ加害者が、モラハラをしているという自覚があれば、証拠収集をしはじめればモラハラを止めてくれるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。悪気なくモラハラをしている加害者の場合には、証拠がなければ、言った言わないの水掛け論になってしまいます。

モラハラ加害者に対して、モラハラをやめてもらおうと「それはモラハラだ」、「やめてほしい」と指摘をしようものなら、ますますモラハラ加害者を増長させ、罵詈雑言、屁理屈を並べ立てられることも少なくありません。モラハラ加害者は外交的で外面はよく、口が達者なことも、モラハラの証拠をとりづらくしている要因の1つです。

モラハラの証拠を得たあとの対応方法

モラハラの証拠

モラハラの証拠をきちんと収集できると、モラハラ被害者側においてもさまざまな対抗手段を打つことができるようになります。

そこで次に、モラハラの証拠を得たあとの対応方法について解説します。

モラハラの証拠は重要ですが、証拠収集を重視するあまりに加害者を刺激し、かえってモラハラが悪化してしまうことがあります。

重要な証拠の収集といえども、自分の心身に代えることはできませんから、無理は禁物です。危険を感じるときは、たとえ証拠収集がまだ十分ではなかったとしても、弁護士に相談して交渉をしてもらうなど、次の対策を進めていく決断をすることも必要です。

特に、集めた証拠をモラハラ加害者に発見されると、破棄されてしまったり、刺激して更にモラハラがひどくなったりすることが予想されます。

そのため、証拠収集と保管は、適切な手段でこっそりバレないように、かつ、スピーディに行い、できれば早めに別居をすることがおすすめです。コピー(写し)をとっておいたり、データでクラウド上にアップしておくなどの対策をしておくことも有効です。

弁護士に相談する

モラハラは、被害者・加害者いずれも「モラハラだ」という自覚がないケースがあることを先ほど説明しました。さらには、家庭内のできごとであるため外からは見えづらく、親族や近隣住民もモラハラに気づかないことがあります。

そのため、モラハラの証拠を入手したあとは、離婚や慰謝料請求を有利に進めるために、早めに弁護士へ法律相談することが有益です。

収集したモラハラの証拠が十分であれば、弁護士に相談することにより、離婚問題を有利に解決し、悪質なモラハラに対しては慰謝料請求をするといった方法を依頼することができます。この法律相談のときに、モラハラという見えづらい被害について弁護士にわかりやすく、かつ、臨場感をもって説明するためにも、証拠を持参するようにしてください。

モラハラが継続している状態では、当事者間での話し合いは困難です。無理に離婚や慰謝料の交渉を進めようとしても、さらにモラハラが悪化してしまうおそれがあります。弁護士に依頼して交渉の窓口になってもらうことが、心身の健康を脅かすことなくモラハラ相手と交渉をするための重要なポイントです。

あわせて、各自治体の女性センター、男女共同参画センター、配偶者暴力相談支援センターの相談窓口や、モラハラ治療を専門にする医師、カウンセラーなどの専門家の指導を受けることも有益です。

モラハラを止めさせる

どのような理由があったとしてもモラハラは許されません。モラハラは、被害を受けた人の尊厳を傷つけ、大きな精神的ダメージを与えます。そして、直接の被害者だけでなく、それをそばで見ていた子どもにも、「人を馬鹿にしたり怒鳴ったりしても許されるのだ」という無意識の悪影響をあたえてしまうおそれがあります。

そのため、モラハラ加害者に対してモラハラを指摘し、モラハラを止めさせることが重要です。モラハラのない健全な夫婦関係を回復するということです。

このとき、モラハラ加害者は、モラハラを指摘されても開き直ったり嘘をついたりすることがありますから、モラハラの証拠をきちんと示し、説得的に説明する必要があります。

モラハラを理由に離婚する

しかし、モラハラ加害者の中には、モラハラを止めさせようとしてもかえって増長して嫌がらせを増幅させたり、そもそもモラハラをしているという意識すらない人もいます。このような悪質なモラハラに対して、証拠を示して理詰めで説得することは逆効果です。

この段階に至ると、もはやいびつな夫婦関係の修正は難しく、モラハラを理由に離婚せざるを得ません。

モラハラを理由に離婚のプロセスは、まずは話し合いによる「離婚協議」、当事者間での話し合いが難航すれば「離婚調停」そして「離婚訴訟」という順に進行します。そして、家庭裁判所でモラハラの事実を認めてもらい、早く離婚を成立させたり有利な慰謝料を勝ち取ったりするためには、モラハラの証拠が重要です。

なお、離婚協議、離婚調停によってはモラハラ加害者の同意が得られない場合には、離婚訴訟において「法定離婚原因」(民法770条1項)が存在することを証拠によって立証しなければなりません。

法定離婚原因には次の5つがありますが、モラハラは、「悪意の遺棄」もしくは「その他婚姻を継続し難い事由」にあたるかどうかを検討することとなります。

法定離婚原因(民法770条1項)

  • 配偶者に不貞行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかではないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他、婚姻を継続しがたい重大な事由

モラハラの慰謝料を請求する

モラハラ被害を受け、これにより精神的苦痛を負った場合には、加害者に対して慰謝料請求をすることができます。慰謝料とは、不法行為によって負った精神的苦痛を慰謝するための金銭であり、民法710条に次のとおり、財産以外の損害の賠償として定められています。

民法710条(財産以外の損害の賠償)

他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

モラハラで請求できる慰謝料の金額は、モラハラの態様、悪質性、モラハラ行為の回数、頻度、継続した期間、モラハラ被害者が受けた被害の程度、モラハラ被害者の反省の有無などによって増額・減額されます。ただし、いずれにしても「モラハラ行為の存在」と「それによる被害」を証拠により証明しなければなりません。

「重要な証拠がどれだけ手元にあるか」によって、請求できる慰謝料額も変わってきます。

モラハラの慰謝料について加害者が話し合いで任意に支払ってくれることは期待できず、裁判によって請求することになる場合に、裁判所での審理では証拠が非常に重要視されるからです。

モラハラの証拠が得られなくても離婚する方法

モラハラの証拠

本解説を参考に進めてもなお、モラハラの証拠が得られないことがあります。特に、モラハラが悪質であるほど、モラハラ加害者は「証拠をとられないようにしよう」と巧妙な手口で嫌がらせをしてきます。そして、残念ながら、モラハラの被害がひどすぎて耐え切れず別居をしてしまった場合、これ以上モラハラの証拠をとることができない場合があります。

このように、「モラハラ被害がひどければひどいほど、証拠の入手が困難となってしまう」ということもありうるわけですが、証拠が手元にないからといって、有利な離婚をあきらめなければならないわけではありません。

モラハラを受け続けると、気力と体力が吸いとられ、何もする気が起きなくなってしまうかもしれません。しかし被害者が無気力となり証拠収集をやめてしまうとますますモラハラは加速します。「モラハラの後は突然優しくなる」、「一時的な問題だから自分が我慢すればよい」などと信じて証拠収集をやめてしまうことはおすすめできません。

結論をもうしあげると、モラハラの証拠が十分ではなかったとしても、離婚をあきらめなければならないわけではありません。そこで最後に、モラハラの証拠が十分に得られなかった場合でも離婚する方法を解説します。

協議離婚・調停離婚で解決できるよう粘り強く説得する

証拠が十分に手元にないと、法的に「モラハラがあった」と認めてもらうことが難しいことがあります。このことは、離婚訴訟において、法定離婚原因が存在せず、相手方が反対しているときは強制的に離婚ができないことを意味します。

しかし、証拠が十分でなかったとしても、モラハラに関する具体的な事実をしっかりと伝え、粘り強く話し合いを続けることによって、離婚を成立させることができる場合が少なくありません。このように、話し合いで決まる離婚である「協議離婚」、調停による離婚である「調停離婚」であれば、法定離婚原因を証拠によって立証することは必要不可欠ではありません。

家庭裁判所で行う離婚調停を利用することによって、中立的な調停委員が双方の話を聞き、調整してくれることが期待できます。調停委員に状況をよく理解してもらえれば、調停委員が仲介することにより、相手を無暗に刺激することなく、離婚するよう説得してくれることが期待できます。

モラハラ夫、モラハラ妻との協議離婚、調停離婚をうまく進めていくためには、決してあきらめず、相手の責任を追及したり否定をしたりするのではなく、客観的な事実を伝えて粘り強く交渉し、離婚することを最優先に考えることが重要です。

弁護士を窓口にして交渉する方法が有効

モラハラを理由に離婚したいケースにおいて、モラハラ加害者とモラハラ被害者との間には上下関係が存在し、相手と直接話し合うことが難しいことがほとんどです。

特に、モラハラの証拠を十分に得ることができなかったようなケースでは、モラハラ加害者の理不尽な言い訳、弁明を許してしまいかねず、直接交渉では言い負かされてしまったり、威圧されてしまったりして、言い分をきちんと伝えることができない場合も多いものです。

そこで、弁護士を依頼し、弁護士を交渉の窓口として、離婚の協議、離婚調停を進めてもらう方法が有効です。弁護士に依頼することで、モラハラのように証拠の入手が難しいケースであっても、離婚を成立させるために法律の知識を駆使して、あなたの味方となって交渉をしてもらうことができます。

モラハラによる離婚問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

モラハラの証拠

今回は、険悪となった夫婦関係でよく問題となりがちな「モラハラ」の問題について、「どのような証拠が重要か」という観点を中心に解説しました。

モラハラは、肉体的な暴力と違って目には見えづらいものですが、確実に心身をむしばんでいきます。モラハラを理由に離婚をするときや、モラハラで慰謝料請求をしたいとき、あらかじめ弁護士に相談た上で、モラハラを立証する証拠を収集することが重要です。

「証拠が集まったら弁護士に相談しよう」というのでは、モラハラによる苦痛が大きく、耐え切れなくなってしまうおそれがあります。そうすると、大切な証拠収集が行えず、離婚、慰謝料請求において有利な結果が望めなくなってしまうおそれがあります。

当事務所では、モラハラによる離婚に関する豊富な実績をもとに、個別のケースでどのようなモラハラの証拠収集が有用であるかをアドバイスし、被害者側に有利になるよう、相手方との交渉をサポートすることができます。モラハラに悩まされている方は、一人で悩み続けず、ぜひ、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

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