モラハラ夫・DV夫から逃げる時、お勧めの別居先は?4つの判断基準

離婚を考えても、なかなかすぐに踏み切ることができない人も多いですが、モラハラ・DV(家庭内暴力)が激しいときには、「まずは別居」を優先しなければなりません。

モラハラ夫・DV夫との離婚を考える妻側で、別居時に検討しておかなければならないのが、「どこに別居するのか。」という点です。

別居先を検討するにあたり、実家や親せきの家、新しいマンションからシェルターまで、さまざまな選択肢がありますが、それぞれメリット・デメリットがあり一長一短です。適切な別居先を選択しなければ、余計なお金がかかり生活費を圧迫したり、今後のモラハラ夫、DV夫との離婚をスムーズに進めることの支障ともなりかねません。

そこで今回は、モラハラ夫・DV夫から逃げて離婚へと進みたい妻側の立場で、別居先を選択するときの判断基準について、離婚問題を多く取り扱う弁護士が解説します。

1. モラハラ・DVを受けたら別居すべき?

まず、別居先を探す大前提として、「別居をすべきかどうか?」という点について、弁護士が解説します。

モラハラ夫、DV夫との同居に強い恐怖感を感じたり、嫌悪感、不快感を強く抱いていたりする場合には、別居をすることがお勧めです。「離婚をしたい」と考えている場合はもちろんのこと、すぐに離婚を決断するわけではない場合であっても、一旦距離を置いて頭を冷やし、離婚をすべきかどうか冷静に考え直す機会が必要だからです。

モラハラやDVの被害に長期間さらされていると、同居しているままでは、「離婚をすべきかどうか?」について、客観的な判断をすることが出来なくなってしまっている方が少なくありません。モラハラやDVによる「洗脳」といってもよいでしょう。

モラハラ夫やDV夫は、口先では「改善する」、「反省した」と言ってきても、同居したままでは、また同じことの繰り返しになることが多くあります。

したがって、モラハラやDVの被害に遭っていると感じたときは、「離婚をする」という強い決意がまだできなかったとしても、ひとまず「別居する」という選択をすることが有益です。

2. 別居先を決めるときの4つの判断基準

別居先としてどのような選択肢があるかは、その人の状況によってさまざまですが、別居先を決めるときの判断基準を理解していただくことによって、「どの別居先が適切か?」を判断することができます。

別居をすることは、離婚することに向けた猶予期間であるといえます。そのため、離婚時に考えるべき、子どものこと、お金のこと、財産のことといった事情が、大きな判断基準となります。

これに加えて、モラハラやDVが酷い場合には、自分の身の安全のこともまた、別居先を決める際の重要な判断基準となります。

2.1. 夫のモラハラ・DVの危険性・悪質性

夫のモラハラやDVが重度であり、危険性が高い場合には、できるだけ今の自宅から遠く、なおかつ、夫には知られていない別居先を選択しなければなりません。

悪質なモラハラ夫、DV夫の場合には、自宅の近くや、既に知られてしまっている実家に逃げ込んだとしても、追ってきて連れ戻されてしまったり、更なる被害拡大の理由となってしまったりするおそれがあるからです。

生命の危険を感じるほどのDVの場合には、DV問題を多く取り扱っている弁護士や警察に相談の上、シェルターに避難することがお勧めです。

他方で、軽度のモラハラの場合や、離婚までは検討しておらず改善を促したい場合などには、その他の考慮要素を考えて自宅の近くや実家への避難を検討する場合もあります。

2.2. 別居時に必要となる費用

夫との別居をする場合に、別居に必要となる費用は無視できません。

夫婦がともに生活していれば1人分でよかった費用も、夫婦がそれぞれ別のところに住めば、2倍かかることとなります。本格的な別居となると、引っ越し費用や家賃、初期費用(敷金・礼金など)もかかります。

経済面において大きな負担をすることが難しい場合には、まずは実家や親せきの家に身を寄せて、本格的な別居に備えるケースもあります。

いずれにしても、別居をしたことによって今後の出費がかさみ、生活が立ち行かなくなってしまうことは避けなければなりません。特に、子連れでの別居の場合には、費用面について計画的な検討が必要です。

2.3. 夫からもらえる生活費(婚姻費用)

夫婦である限り、別居をしていたとしても、生活費を支払ってもらうことができます。これを「婚姻費用」といいます。

夫婦は、お互いに扶助する義務があることから、収入の多い配偶者は、収入の少ない(もしくは無収入の)配偶者に対して、一定の生活費を支払ってもらうことが裁判所の手続によって可能だからです。

婚姻費用の具体的な金額は、家庭裁判所において一般的に利用される算定表によって定められることが通常です。

しかし、日常的にモラハラやDVを繰り返す夫が、話し合いによって婚姻費用を支払ってくれるとは限りません。「婚姻費用を得られるかどうか」は、別居先を選定するにあたって重要な判断基準となります。

2.4. 子どもの育児・教育

子連れで別居をする場合には、子どもの育児や教育が、別居先を決めるにあたっての重要な考慮要素となります。

モラハラやDVで別居し、離婚をする場合であっても、子育てへの影響を少なくするためにも、育児に協力をしてくれる両親や親せきが近くにいる場合、協力者の近所であることが別居先の重要なポイントであることがあります。

また、夫婦の不仲にともなって学校を転校しなければならなくなってしまうと、子どもに大きな不安を感じさせてしまう可能性があります。子どもの心理的負担が大きすぎる別居は避けなければなりません。

夫によるモラハラ、DVの危険度がそれほど高くない場合や、少なくとも子どもに危害を加える可能性が少ない場合には、子どもの教育環境なども考慮して自宅からさほど遠くない場所を別居先とすることが、子どものためになることがあります。

3. 別居先は近いほうがよい?遠い方がよい?

別居先を選択するにあたって、1つの重要な要素が「現在の住居からの距離」です。

別居先が、現在の自宅から近いほうがよいのか、それとも、遠いほうがよいのかも、いずれも一長一短であり、ケースバイケースでの判断が必要となります。

弁護士にモラハラ・DVの法律相談をいただく事例の中でも、様々な考慮要素を検討した結果、自宅の近くにマンションを借りて別居したケースもあれば、自宅とは遠く離れた地に別居したケースもあります。

3.1. 別居先が近いことのメリット・デメリット

別居先が自宅から近いことのメリットは、これまでの生活を大きく変える必要のない点です。特に、子どもがいる場合には、別居先が遠くなると、転校が必要であったり、新しく保育園を探さなければならなかったりと苦労が多いところです。

一方で、別居先が自宅から近いと、夫に転居先を推測されやすく、居場所がバレた場合には、新たな暴力、暴行が再開されるおそれがあります。

子どもが転校しない場合、子どもの通学路で待ち伏せをして、子どもを連れ去ったり、後をつけて転居先を特定したりといった危険もあります。

自宅から近い別居先しか用意できない場合に、少しでもモラハラ、DVが再開されてしまう危険を避けるためには、夫に知られておらず、自分名義、親名義などにはなっていない別居先を選択してください。

危険度が高い場合には、シェルターの利用を検討してください。

3.2. 別居先が遠いことのメリット・デメリット

別居先が自宅から遠いことのメリットは、夫からのモラハラ・DVの危険度が高く、日常的に暴行、暴力が繰り返されていたような場合に、危険を回避することができる点です。

物理的な距離を話すことによって、モラハラ夫、DV夫が逆上して追いかけてきて、二次被害が起こることを防ぐことができます。

ただし、別居先が自宅から遠かったとしても、実家の近くであったりすると、別居先を推測して特定されやすくなるため、別居先が遠いからといって甘く見て安心しきってしまうことは禁物です。

一方で、別居先が自宅から遠いことのデメリットとしては、これまでの生活が激変してしまう可能性が高いという点があります。

DVやモラハラの危険度が高いためにやむをえず遠隔地に避難した場合、これまでの仕事が継続できなかったり、子どもの転校を余儀なくされてしまいます。

4. モラハラ・DV事例でお勧めの別居先は?

以上で解説をした、別居先・転居先を選択、決定する際の判断要素をもとに、実際のモラハラ・DV事例で、どのような別居先が選択されているのかについて、弁護士が実例をまじえて解説していきます。

離婚問題を多く取り扱う弁護士にご相談いただければ、相談者の状況に応じて、最も適切な別居先を選ぶお手伝いをすることができます。

4.1. 実家・親せきの家

夫が日常的に暴力をふるってくるためこれ以上の同居はできないものの、現実的に、費用面において新しくアパートやマンションを借りるのは困難である、というケースで、実家や親せきの家に避難することがあります。

実家や親せきの家に住まわせてもらう場合、もし一定の費用を入れることを求められたとしても、新たにマンションを借りる場合に比べて安く済むことが多く、敷金・礼金などの初期費用もかかりません。

しかし一方で、既に実家を知られている場合には、DV夫、モラハラ夫が実家に乗り込んできて、家族にまでその被害が拡大するおそれがあります。

DV、モラハラの危険度が高いけれども、どうしても知れている実家に避難せざるを得ない状況にある場合、警察に協力を求めたり、DV問題を多く取り扱う弁護士に相談したりしておくことがお勧めです。

4.2. 新たに借りたマンション

妻側も仕事をしていて収入があったり、実家の援助を受けることができたりする場合には、新たにマンションを借りて別居、転居をするケースがあります。

この場合、自宅からそれほど遠くない場所であっても、別居先を把握されづらく、実家の近くなどに転居しておけば、育児や家事の面でも両親の助けを得ることもできます。

一方で、新たに借りたマンションで一人暮らしをする場合、DV夫、モラハラ夫にその居場所を特定されて乗り込まれると、一人で対処しなければならないことからとても危険です。

居場所がバレて乗り込まれたり、近所で騒がれたり、子どもを待ち伏せして連れ去られてしまったりといった危険がある場合には、経済面に余裕があったとしても、実家に身を寄せるほうがよい場合もあります。

4.3. シェルター

夫の暴力、暴行が日常的に繰り返され、生命・身体の危険を感じる状況である場合には、シェルターへの避難を検討すべきです。

シェルターは、DV(家庭内暴力)・モラハラから避難する女性のために設けられた施設で、行政や民間団体が運営していることが多く、全国各地に準備されています。

シェルターでは、入居者の居場所が外に漏れることはなく、個人情報は厳格に管理されています。モラハラ・DV(家庭内暴力)の被害から逃れ、危険が去るのを待つことができます。

ただし、シェルターにいられる期間は限られており、ずっとシェルターで生活し続けられるとは限りません。そのため、DV(家庭内暴力)によって危険を感じてシェルターに避難する場合でも、その後にどこに転居するかを検討しておく必要があります。

5. 別居後、離婚を予定している場合の注意点

別居後に離婚を予定している場合には、別居するだけの理由があることを、客観的な証拠の形で残しておくことが重要です。

よく、「先に別居をしてしまうと、離婚の際に不利になるのではないですか?」という相談を受けることがあります。しかし、モラハラやDV(家庭内暴力)など、同居をすることが困難な理由が立証できれば、別居しただけで不利になることはありません。

むしろ、別居理由を明確にし、立証することによって、離婚調停や離婚訴訟を有利に進めることができるのはもちろんのこと、DV夫、モラハラ夫に対して慰謝料請求を行うこともできます。

離婚を予定してい別居をする場合には、戻る可能性は非常に低いわけですから、事前に、お金、子ども、財産といった面について、入念に準備してから決行する必要があります。

また、DV夫やモラハラ夫に、復縁を早めにあきらめてもらうためにも、別居をする前後にかならず、「別居をする意思」と「離婚をする意思」が強いことをしっかり伝え、理解を求めておいてください。

6. 別居後、離婚せずに復縁する場合の注意点

DVやモラハラが原因で、一時的に距離を離さざるを得ない場合であっても、その程度が軽度の場合には、直ちに離婚をするという決断ができない場合も少なくありません。

一時の感情で強く怒鳴ったりする夫でも、ある程度の期間別居して頭を冷やし、ほとぼりが冷めたときに話し合えば、復縁が可能な場合もあります。

ただし、別居後に、離婚をせずに復縁をする場合には、自分がこれまでの度重なるモラハラやDVによって、正しい判断を下せる状態にあるのかどうか、今一度自問自答していただく必要があります。一時的に優しくされたために復縁したものの、結局は、一時的な感情や酒などが原因でDV(家庭内暴力)を繰り返す夫もいます。

日常的にモラハラやDVを受け続けたことによって、モラハラ、DVの加害者が正しいのだという考え方に洗脳され、「自分が悪いのではないか」と思ってしまい、復縁してもDV、モラハラの被害に遭い続ける人が多くいます。

また、別居後に離婚せず、復縁をする場合には、別居中の子の面会交流についても、配慮が必要となる場合があります。

7. まとめ

今回は、夫によるDV(家庭内暴力)やモラハラが原因で別居をする場合に、どのような判断基準で別居先・転居先を決めたらよいのかについて、弁護士が解説しました。

別居先の選定には、様々な考慮要素があります。特に、DVやモラハラによって生命、身体に被害が及ぶ可能性が高い場合、大至急被害を回避しなければならない、という考慮要素を最優先にしなければなりません。

命の危険があるほどの重度のDV、モラハラでなかったとしても、その先に離婚を検討している場合、スムーズに離婚するために、費用面、協力してくれる両親、親戚、子どもの教育や育児などの考慮要素をもとに、最適な居場所を探す必要があります。

夫のDV、モラハラにお悩みの方、転居、別居や離婚をお考えの方は、ぜひ一度、離婚問題を多く取り扱う弁護士にご相談ください。

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