離婚・男女問題

別居の合意書とは?別居時に合意書が必要なケースと条項例【弁護士解説】

2021年6月9日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之(第一東京弁護士会所属)です。当事務所は「離婚問題」に注力し、豊富な実績を有しています。離婚は身近な問題ですが、実は多くの法的リスクを内在しています。

自身での解決が難しいとき、法律の専門知識を活用することで速やかに解決できることがあります。ぜひ一度当事務所へご相談ください。

別居の合意書

離婚に向けた別居を検討しているとき、「別居の合意書」、「別居の契約書」、「別居時合意書」などの用語を見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。

離婚に向けて別居をするとき、不倫・浮気、DV・モラハラなど、相手の非が原因で家をでていくときには、そのことを証明するための合意書を作成、締結しておくべきケースがあります。別居時の生活費(婚姻費用)を確保したいときにも、合意書を作成して別居をする方法は有効です。

そこで今回は、不倫・浮気、DV・モラハラなどが原因で離婚や別居を決意した方に向けて、

  • 別居の合意書を作成すべきケースと、その理由
  • 別居の合意書に必要な条項
  • 別居の合意書の作成を弁護士に依頼するメリットと、弁護士の提供するサービス内容

といった別居の合意書に関する問題について、離婚問題を多く取り扱う弁護士が解説します。

まとめ解説
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別居の合意書とは?

別居の合意書

別居の合意書は、夫婦が離婚に向けて別居するにあたり、別居後の夫婦間のさまざまな条件や今後の流れなどについての一定の合意を記載した書面のことです。別居時合意書、別居の契約書などということもあります。

別居をするということは、夫婦は離婚の危機にあるということであり、この段に至っては、もはや穏便に話し合ってなにがしかの合意に至ることは困難かもしれません。DV・モラハラが別居の原因となっているとき、当事者間で話し合いを継続することは、心身の危険をともなうおそれもあります。

しかし、次章で解説するように多くのメリットがあることから、少なくとも夫婦間で合意できる事項の範囲においては、別居時に合意書を作成しておくことが有効です。

別居の合意書を作成する3つのメリット

別居の合意書

別居の合意書を作成するメリットについて解説します。

別居の合意書は、「家を出て別居をする側のためにつくるもの」という意識が強いかもしれません。しかし、これらのメリットの中には、夫側・妻側のいずれの立場であっても平等に享受できるものもあります。そのため別居をする側だけでなく、別居をされる側においても、合意書作成に協力することには十分な意義があります。

【メリット1】相手の非を指摘し、反省をうながす

別居をして家を出る側にとって、突然、事前の合意なく別居を強行してしまうと、相手側において、自分の問題点に気づいてもらえないおそれがあります。

不倫・浮気、DV・モラハラのケースにおいて、非がある当事者の側では、自分が離婚原因をつくっていることに鈍感です。特に、DV・モラハラでは、加害者が自分の行動に問題があることを意識せずに行っていることが多いです。一旦は謝罪をしても、別居を解消するとすぐに再燃し、同じ行為を繰り返す人もいます。

別居の合意書を作成し、別居をせざるをえなくなった理由を明記することにより、別居の時点で、その後の離婚に至る際の責任についての合意を得ておけることが、別居の合意書を作成するメリットの1つとなります。

ただし、DV・モラハラの程度がひどく、悪質な場合など、あなたや子どもの生命に危険が及ぶようなケースでは、相手の責任を追及し、否定することに終始することは、更に危険度を高めるおそれがあります。

後に解説するとおり、このような悪質なDV・モラハラケースは、「別居の合意書をつくらないほうがよいケース」と考えられるため、別居前に合意をとることにこだわらず、速やかに別居を進めるべきです。

参考解説

【メリット2】離婚協議がスムーズに進む

別居前に事前に合意書を作成することにより、別居後の離婚協議を円滑に、かつ、速やかに進めることができるという効果が、メリットの2つ目です。

相手が自分の非を認める別居の合意書にサインをしていることは、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟の際にも、離婚原因を証明するのに役立ち、有利な離婚につながります。

別居後に弁護士を依頼し、弁護士を窓口として話し合いを進める場合にも、相手が自分の非を意識し、別居原因が自分にあることを理解していることは、その後の話し合いにおいて有利な効果を発揮します。

【メリット3】別居後の生活を守る

別居をしたとしても、まだ夫婦であるうちは「相互扶助義務」を負うことから、収入の高い配偶者は、収入の低い配偶者に対して別居中の生活費である「婚姻費用」を支払う義務を負います。

しかし、別居中の生活費である「婚姻費用」といえども、相手が協力的に支払ってくれなかったり適正な支払額に争いがあったりする場合には、「婚姻費用分担調停」という家庭裁判所における調停手続きで、「婚姻費用としていくら支払うのが妥当か」を決めてもらわなければなりません。

別居時に合意書を作成し、別居後に支払ってもらえる婚姻費用について合意をしておくことは、別居後に協力的に生活費を支払ってもらうために重要であり、ひいては、別居後の生活を守ることにつながります。特に、子どもをつれて別居し、子の養育をしなければならない場合、別居後の生活費がもらえるかどうかは、まさに死活問題です。

婚姻費用についての約束は、口約束ではあとから守られないおそれがあります。離婚調停、婚姻費用分担調停などの家庭裁判所の手続きに移行するときにも、客観的証拠である合意書が作成されていることは大きな意味を持ちます。

参考解説

別居の合意書に書くべき内容【書式・ひな形】

別居の合意書

別居の合意書を作成するメリットを最大限生かすためには、適切な内容の別居時合意書を作成、締結しなければなりません。適切な内容でなければ、相手に反省をうながしたり責任を明らかにしたり、別居後の生活費である「婚姻費用」を確実に得たりといった効果が不十分となってしまうおそれがあります。

トラブルを未然に防止する観点から、必要な事項については詳細に定めておかなければならない一方で、別居の合意書はあくまでも離婚前の一時的な合意であることから、できるだけ簡潔かつ明確に合意内容を定めておくことも大切です。

そこで、別居の合意書にどのような内容を欠いたらよいのかについて、条項例(書式・ひな形)を挙げて解説していきます。

【条項1】別居の経緯を確認する条項

第1条(別居の経緯)

夫及び妻は、妻が家を出て別居を開始する理由が、夫の不貞にあることを確認した。

「夫婦生活をこれ以上続けていけない」と考えて別居を決意したからには、それ相応の経緯、理由、原因があるはずです。しかし、別居の経緯、理由、原因について、のちに離婚の話し合いをする際に、両者の主張が食い違うことが多いです。

別居をする経緯、理由、原因があなた側ではなく相手側にあることを明らかにするため、別居時に作成する合意書にこれらを明記し、夫婦間の共通理解として確認しておくことが重要です。

この際、既に相手が認めている不倫・浮気やDV・モラハラの事実があるときは、できるだけ具体的に、日時・場所・行為態様を特定して記載しておくことが効果的です。

別居の合意書に、これらの非を確認しておくことで、別居後の条件や、別居後に離婚に至る場合の離婚条件について、その責任のある側にしっかりと譲歩を要求することができるからです。

【条項2】別居中の生活費(婚姻費用)

第2条(別居中の生活費)

夫は妻に対して、別居期間中、離婚に至るまでの間、毎月末日限り、月XX円の婚姻費用を、妻名義の口座に振込送金する方法により支払う。なお、子に進学、病気、事故などの特別の事情が生じたときには、妻は夫に対して上記金額に加えて特別の支出を求めることができる。

別居の合意書に記載しておくべき最重要事項が、別居中の生活費である「婚姻費用」に関する条項です。

婚姻費用を確実に支払ってもらうためには、婚姻費用について次の事項を合意書に盛り込んでおくことが効果的です。

  • 婚姻費用の金額
  • 婚姻費用の支払日(支払期限)
  • 婚姻費用の支払方法(振込の場合には支払先口座)

別居中でも、夫婦である以上扶養をする義務があり、その内容として「自己と同一程度の生活を保証する義務(生活保持義務)」があります。その主たる内容が婚姻費用なのです。特に、子どもの養育が必要な場合、婚姻費用は養育費の趣旨も含んでいます。

婚姻費用の金額は、家庭裁判所において利用されている養育費・婚姻費用算定表(裁判所)を用いて、子どもの年齢・人数、夫婦双方の収入差によって決めるのが一般的です。

上記の例のように、子どもの進学、病気、事故などの事情があるときに特別の支出を求めることができる「特別支出条項」を別居の合意書に記載しておくこともおすすめです。

【条項3】別居期間

第3条(別居期間)

別居期間は、XXXX年XX月XX日からXXXX年XX月XX日とし、期間満了日の1か月前から、夫婦は別居の解消が可能であるかについて協議を行うものとする。

別居をすることは、「必ず離婚をする」ことを意味するものではなく、しばらくの間距離をおく「冷却期間」を意味する場合もあります。この場合、どの程度の冷却期間が必要かは、夫婦の事情や、非のあるものの反省、改善の状況によっても変わります。また、期間の長短は個々人の感覚による部分も大きいです。

いずれにせよ、夫婦の間で、当面必要となる冷却期間について合意がとれる場合には、その期間を別居時の合意書に記載しておきます。これにより、別居をされる側から「同居義務違反」、「身勝手な別居」、「悪意の遺棄」といった主張をされるのを防ぐ効果があります。

とはいえ、定めた期間で別居を解消できるか、はたまた離婚に進むのかは、別居時にすべて決めてしまうのは困難です。そのため、感情的な対立が大きい場合などには「少なくとも○か月以上」や「当面の間」といった柔軟な定め方をしたり、「一定の時期になったら協議をして決めなおす」といった定め方をすることもあります。

なお、離婚に向けた別居の場合、その別居期間を積み重ねるほどに、離婚を裁判所で認めてもらいやすくなります。

参考解説

【条項4】子どもの環境(育児・教育・面会交流)

第4条(面会交流など)

夫は、別居期間中といえども、子どもに対して父としての義務を果たすものとする。そして、夫と妻とは、別居期間中、月に1回、夫と子どもとの面会交流を行うこととする。

別居中の夫婦にとって「お金の問題」と並んで重要な協議事項が、「子どもの問題」です。特に、夫婦が離婚をするのではなく、「ひとまず別居して距離をおく」という場合には、別居期間後に復縁が考えられる以上、子どもとのきずなを大切にしなければなりません。

そのため、別居をしたとしても親としての責任を果たすことを確認した上で、面会交流について定めることが有効です。

面会交流については、例えば次の事項を定めておきましょう。

  • 面会交流の頻度・回数
  • 面会交流の時間
  • 面会交流の方法
  • 面会交流時の注意事項・遵守事項

一方で、あまりに面会交流の頻度・回数が多すぎると、別居をして距離を置いている意味が薄れてしまうおそれがあります。特に、子どもが幼い場合、面会交流には同居親の協力が不可欠です。

いずれにせよ、面会交流をはじめ子どものことについて定めるとき大切なことは、親の一方的な思いを押し付けるのではなく、子どもの利益や子どもの気持ちを尊重して決めることです。

参考解説

【条項5】別居中の共有財産の処分

第5条(別居中の共有財産)

夫及び妻は、下記に定める財産が夫婦の共有財産であり、別居中といえども、相手の同意なく処分してはならないことを確認する。

① 自宅不動産(・・・県・・・市・・・所在の土地・建物)
② 上記不動産内の家具、家電

以上

「夫婦がしばらく距離をとり、冷却期間をおく」という趣旨で別居をするときには、別居にあたって全ての荷物を運び出しておく、ということは難しい場合が多いでしょう。

しかし、夫婦間の離婚に向けた思いに差がある場合に、残していった荷物を処分されてしまうおそれがあります。特に、貴重品や思い出の品など、処分されて困るものは必ず持ち出しておくようにしてください。

別居の合意書では、そもそも動かすことが困難な家・土地などの不動産、持ち出すことが困難な家具、家電、大きな物品などについて、夫婦共有の財産であることを確認し、勝手な処分を禁止することを約束しておくことが有効です。特に大切な財産があるときは、具体的に列挙して記載してください。

別居期間の経過後に離婚に向けて進むときにも、ここで定めた夫婦共有の財産については財産分与の対象となるべきものであり、少なくとも半分の取分は主張できると考えるべきだからです。

財産分与の手続きでは、別居時のタイミングでの財産額が問題となります。この点で、「ひとまず別居」というような進め方の場合、いざ離婚となったとき「財産分与の基準時がいつか」という問題が争いとなります。

また、財産の存在やその金額・価値については財産分与を求める側で立証しなければなりません。そのため、別居時の合意書にこれらの内容を記載しておくことは、事後にどのような財産があったかを証明する助けとしても重要です。

なお、別居時に財産を持ち出したとしても、財産分与の際に調整されることが通常です。

参考解説

参考解説

【条項6】別居中の不貞(不倫・浮気)

第6条(別居中の不貞)

夫及び妻は、本書面に定める別居が夫婦関係の破綻を意味するものではなく、別居期間中に他の異性と肉体関係を持つことが、民法にいう「不貞」にあたることを確認する。

あなたがやむを得ず別居をする理由が、相手の不倫・浮気にあるとき、別居を開始したことをいいことに、不倫・浮気を再発させたり繰り返したりするおそれがあります。

民法に離婚原因として定められた「不貞」とは、「婚姻中に他の異性と肉体関係を持つこと」をいいますが、夫婦関係が破綻している場合には「不貞」にあたらず、離婚原因とはならず慰謝料も請求できないとされています。

「別居中だから、既に夫婦関係は破綻している(そのため「不貞」にはあたらない)」という主張は、裁判上、認めてもらうことはそれほど簡単ではなく、少なくとも別居をして一定期間が立たないと、家庭裁判所は「破綻」とは認めない傾向にあります。このことを確認し、別居中でも「不貞」が成立しうることを指摘しておくために、その点を別居の合意書にも記載しておくことがおすすめです。

これにより、別居中に不倫・浮気が再燃したときに、有利な離婚へと進めたり、慰謝料請求をしたりするための証拠として、別居時の合意書を活用することができます。

【条項7】別居中の誓約事項

第7条(別居中の制約事項)

夫及び妻は、別居期間中、次の各項目を遵守することを誓約する。
・別居中に、やむを得ず連絡先を変更する場合には事前に報告する。
・別居中に、子どもに重要なことがあった場合には、必ず報告する。
・別居中の過度な飲酒、賭博、借金は控える。

合意書を作成した上でおこなう別居は、離婚原因ともなりかねない相手の行為の非を指摘するという意味を含んでいます。そのため、別居期間中だからといって自由に羽をのばしてよいわけではないことを明らかにし、問題行為の改善を求めるため、別居の合意書には、別居中に遵守すべき事項を定めておくことがおすすめです。

特に、別居理由が不倫・浮気やDV・モラハラなどの一方の非にあり、それを相手が認めて改善を誓っている場合には、そのことを書面化し、夫婦関係の再開にむけた誠実な努力をすることを誓ってもらうようにしてください。

あなたが別居を求め、相手が復縁を求めているようなケースでは、これを機に、夫婦生活で気になったこと、直してもらいたいことを別居の合意書に記載しておくとよいでしょう。

【条項8】合意書違反に対するペナルティ(制裁)

第8条(違反に対する制裁)

夫もしくは妻が、本合意書の条項に違反した場合には、離婚に同意するものとし、その場合の離婚条件は相手の要望に従うものとする。

別居時の合意書を作成し、互いに署名押印するからには、夫婦ともども、合意書に記載された内容を守らなければなりません。

別居時の合意書の拘束力を強め、互いに合意内容を守るようにするために、別居時の合意書に違反した場合のペナルティ(制裁)を記載しておくことが効果的です。

合意書の記載事項のうち、別居中の生活費である婚姻費用、子の養育費、不倫・浮気の慰謝料といった「お金の問題」に関する事項については、違反の制裁(ペナルティ)もまた金銭の増額など、金銭的な内容として定めておくことがおすすめです。

これに対して、必ずしも「お金の問題」だけでは解決できない場合や、相手が夫婦生活の継続、復縁を求め続けているときには、上記の例のように「違反した場合には、離婚に同意する。その場合の離婚条件は、相手に従う」と定めることが大きな抑止力となります。

「違反したら離婚をすること」を別居の合意書に定めておくことはとても効果的ですが、あくまでも抑止力となるだけであり、合意書に違反したからといってただちに離婚ができるわけではありません。

別居時の合意書に「離婚に同意する」と記載されていたとしても、実際に合意書に違反した相手が離婚を拒否し続けている場合には、離婚調停、離婚訴訟などの法的手続きに進めていく必要があります。

別居の合意書を作らないほうがよいケース

別居の合意書

ここまで解説したとおり、別居をするときには、離婚を決意しているケースはもちろん、ひとまず冷却期間をおきたいという別居のケースであっても、別居時に適切な内容で合意書を交わしておくことが役立つことが多いものです。

しかし一方で、別居の合意書を作成するメリットよりも、デメリットのほうが大きいようなケースでは、別居の合意書を作成することにこだわらないほうがよい場合があります。

離婚の決意が固いケース

「別居をすることを事前に伝えて合意書を作成する」というプロセスは、少なくとも別居時点では、まだ夫婦生活を継続する可能性が少しは残っていることを意味すると考えられます。

というのも、別居にあたって合意書を作成することは、別居時の生活費である婚姻費用を確保して別居後の生活を守るとともに、相手の不倫・浮気やDV・モラハラなどの問題行為を指摘し、反省を求めるといった効果を期待するものだからです。

そのため、離婚の決心が固いとき、相手の反省と改善をうながす意味はあまりなく、むしろ、厳しく責任追及をしていきたいという場合には、別居時に合意書を作成するのではなく、早急に別居をし、離婚の話し合いを進めていくべき場合であるといえます。

別居時の合意書は、あくまでも離婚に向かう前の一時的な合意であり、早急に離婚の話し合いを進める場合には、離婚時に「離婚協議書」という合意の書面を作成することが通常です。

むしろ、このような離婚の意思が固い場合にまで別居の合意書を作成することは、反省と改善次第では許す可能性があるように評価されてしまう可能性があります。そのため、その合意書の内容によっては、相手の問題行為を離婚原因と主張して有利に離婚をしようとしたり、慰謝料を請求したりといった行動とは矛盾してとられるおそれがあります。

生命・身体に危険があるケース

別居をせざるをえなくなった理由が、夫からの激しい暴力、暴言にあるようなDV・モラハラのケースでは、身の安全を守るため、いち早く別居を急ぐべき場合があります。

このような場合にまで、別居の合意書を作成することに固執していては、身の危険が顕在化してしまうというリスクがあります。また、DV・モラハラの加害者に対して別居の合意書を提案することは、更なる怒りに火をつけ、被害が拡大するおそれもあります。

強度かつ悪質なDV・モラハラを行う人は、一度は謝罪、反省をみせても、すぐに同じことを繰り返すことが多く、復縁は困難と考えざるを得ません。このような観点からも、DV・モラハラがひどいケースでは、別居の合意書を作成する意味がありません。

日常的に繰り返されるDV・モラハラの被害者となると、「相手の同意を得ずに別居をしたら、怒られるのではないか」、「自分が悪いのだから我慢をすれば」と自分を責め、結局別居をすることができないケースがあります。

しかし、相手に非がある場合に別居を進めることにはまったく問題はなく、かつ、別居について相手の同意も不要です。

相手が別居にどうしても納得しないケース

別居を思い立った理由が、相手の不倫・浮気やDV・モラハラなどの問題にあるとき、「別居をする」とあらたまって伝え、合意をとることには心理的ハードルが高いケースも多くあります。

このように悪質なDV・モラハラの被害にあっていたり、ましてや子どもの生命が危うかったりといったケースですぐに逃げるためには、離婚の合意書を作成するのではなく、一方的に置手紙を残して、なにもいわずに別居をするようアドバイスをします。

ただし、別居について事後報告となる場合にも、その置手紙の内容を工夫するなどして、別居の合意書を作成するのと同じような効果を生むことは可能です。

相手が別居にどうしても納得せず、置手紙をおいて一方的に別居を進めざるをえない場合には、別居前の準備段階から弁護士に相談しておくことが有効です。

参考解説

別居合意書の作成を弁護士に依頼するには?

別居の合意書

今回は、相手の問題点(不倫・浮気・DV・モラハラなど)を理由として、離婚に向けた別居を決意した方に向けて、別居時に作成すべき合意書のメリット、条項の内容などを解説しました。

別居の合意書には、別居中の生活費(婚姻費用)を確保したり、別居中の子の環境(育児・教育・面会交流など)を整えたりといった大きなメリットがあります。ひとたび別居を決断するに至ったといことは、もはや夫婦間の信頼関係は弱く、約束事はきちんと書面化しておくべきです。別居を解消するに至った場合にも、夫婦関係の修復を確実に進めるためにも、別居時の合意内容は記録しておくべきです。

しかしその反面、適切な内容で結ばないと、狙った効果を得られないおそれがあります。離婚調停、離婚訴訟などで有利に立ち回ろうとするのであれば、法的に有効な書面を作成しなければなりません。また、別居合意書を作成しないほうがよいケースや、別居合意書に固執することがかえって危険なケースもあります。

このような懸念点があることから、別居の合意書について自分で作成することが不安なとき、離婚問題を多く取り扱う弁護士に、その作成を依頼することが有効です。また、DV・モラハラがあるケースのように当事者間での話し合いが困難な場合には、弁護士を窓口として別居前後からの話し合いを担当してもらうことも効果的です。

当事務所へ、別居の合意書作成についてご依頼いただく場合、そのサービス内容と弁護士費用については次のとおりです。

サービス名内容ご費用
合意書作成(面談)原則として2時間以内の面談で事情をお聞きし、その面談時に合意書の文案を作成し、お渡しします。2万5000円
合意書作成(遠方)アンケートにて事情聴取を行った上で原案を作成し、送付します(その後、原則として2回以内のメールでの修正に対応します。)。2万5000円
相手方との交渉などの代理業務別居前後から、弁護士があなたを代理し、相手との交渉を行います。依頼内容によって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。

  • 事前の資料送付・検討や、法的な意見書作成については、別途ご費用をいただきます。
  • 電話・メールによる相談は行っておりません(遠方の場合、上記のとおりメールにて誓約書を作成させていただいております)。
  • 当日、必須の持ち物は特にございません。弁護士が詳しくお話を伺い、そのお話に沿って誓約書を作成いたします。

まとめ解説
離婚前の別居について知っておきたい全知識【弁護士解説】

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解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之(第一東京弁護士会所属)です。当事務所は「離婚問題」に注力し、豊富な実績を有しています。離婚は身近な問題ですが、実は多くの法的リスクを内在しています。

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