離婚において、男性が不利な立場に立たされるケースが多いと言われます。
男性側で離婚問題を進めると、「妻の言い分しか聞いていないのではないか」「不当な扱いを受けている」と感じることがあるのではないでしょうか。法律問題は、男女どちらか一方の有利に働くことはありませんが、特に、親権の取得や財産分与、養育費の交渉といった点で、不公平に感じる場面に直面する男性は少なくありません。
たとえ不利な状況でも、法律知識を理解し、事前に必要な準備をすることで、離婚を有利に進めることは十分に可能です。弁護士や調停委員、裁判官から「男性だから」と不利なイメージを押し付けられそうなとき、速やかに対処する必要があります。
今回は、男性が離婚で不利になりやすい理由と、有利に進めるための具体的な方法について、弁護士が解説します。
- 男性側の離婚は不利になりやすいが、有利にするための方法と戦略がある
- 男性が親権を獲得するには、日常的な育児参加とその証拠が重要
- 男性が離婚を有利に進めるには、感情的な行動を避けることが大切
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男性が離婚で不利になる場合

はじめに、男性が離婚で不利になるケースと、その理由を解説します。
法律そのものが男性に不利な定めとなっているわけではないですが、離婚の場面では、事実上不利になる危険があります。男性が離婚で不利にならないためには、家庭での役割を見直すなど、同居中から早めに行動を起こさなければなりません。
離婚の危機を少しでも感じたら、将来を見据えた証拠収集、弁護士などの専門家への相談を早めに行うことで、不利な状況の打開に努めてください。
親権が取れないケース
日本における親権の現状は、母親が優位な傾向にあります。
離婚時の親権が母親に認められるケースが多いのは、特に子供が幼いとき「母性優先の原則」が働くからです。また、多くの家庭では、未成年の子の養育を、主に母親が担います。裁判所が「子の福祉(利益)」の観点から、現状維持を重視して判断する結果、日常的な育児を母がしていると、父が親権を得るのは非常に難しいです。
親権の決定では、子供との日常的な関わりや養育実績も見られます。しかし、父親が仕事で忙しく家事や育児への協力が限定的だと、「子供の安定した生活を継続するには母親が適切」というように、事実上、男性側の不利に判断されることが多くなります。
「父親が親権を取る方法」の解説

財産分与や養育費の交渉で不利になる場合
財産分与は、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を公平に分ける制度です。
一般に、夫の収入の方が多い家庭では、財産分与は夫から妻に払われる形となります。妻が専業主婦であったり、扶養の範囲内でパート勤務していたりするとき、たとえ収入が少なくても家庭生活を支える貢献があったものとみなされます。その結果、夫婦の取り分は2分の1ずつが原則となり、夫の金銭的な負担が大きくなってしまいます。
養育費についても、「養育費・婚姻費用算定表」に従って算出するにあたり、収入が高い男性ほど支払う金額も高くなり、不利な立場に置かれていると感じることが多いでしょう。
離婚原因が男性側にあるケース
男性側が浮気や不倫をした場合、それが離婚原因とされる可能性が高いです。
このとき、男性側が、婚姻関係の破綻の原因を作った側(有責配偶者)とみなされ、離婚交渉における立場が弱くなります。有責配偶者からの離婚は、8年から10年程度の別居期間を経なければ認められないとするのが裁判実務であり、同時に、慰謝料の請求も認められやすくなるからです。
DVも同じく「有責配偶者」と評価される理由となるところ、男女の力の差からして、男性側は「夫婦喧嘩に過ぎない」と思っていても、DVによる被害が証明されてしまう危険があります。
「法定離婚事由」の解説

仕事を理由に家庭を顧みなかった場合
仕事中心の生活を送る男性は、家庭での役割が限定的で、協力が十分ではないとみなされ、そのことが離婚時に不利に考慮されるリスクがあります。妻の「夫が家庭を顧みない」という不満が調停委員や裁判官に受け入れられると、離婚において男性側の支障となります。
現代では、夫婦が対等に家事や育児を分担することを求める家庭も多いので、全く協力がないと、離婚において不利に考慮される要素となってしまいます。特に、小さな子供がいる場合、父親が育児に関わる時間が少ないと、親権を得るのはかなり厳しいと考えてください。
たとえ忙しくても、仕事を言い訳にすることなく、家事や育児に積極的に協力する姿勢を示さなければ、男性側が離婚で不利になる理由となってしまいます。
「親権争いは母親が有利?」の解説

男性が離婚を有利に進める方法と注意点

次に、男性が離婚を有利に進める方法と注意点を解説します。
男性側が離婚を望む場合、まずは協議による話し合いを行い、妻の同意が得られた場合は離婚協議書を作成して離婚届を提出します。しかし、話し合いがまとまらないときは家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。更に、調停でも合意に至らない場合は、最終手段として離婚裁判(離婚訴訟)を提起する流れとなります。
このように協議、調停、訴訟といった手続きの過程で、男性が離婚を有利に進めるための方法や注意点には、男性側特有のポイントがあります。
協議を男性有利に進める方法
まず、離婚協議を有利に進めたいなら、事前準備が欠かせません。
裁判所が関与せず、夫婦間の話し合いで合意に達すれば、離婚届を提出することで協議離婚が成立します。男性側だと、別居した妻やその弁護士からの連絡で交渉がスタートすることが多いですが、突然の連絡にも動揺せず、冷静に対処することが肝心です。
妻側に不倫や浮気などといった問題行動があるなら、証拠を確保しておけば離婚の協議を有利に進められます。不貞行為の証拠としては、探偵による調査報告書、不貞相手とのメールやSNS上のやり取り、写真や動画などが有効です。また、また、男性側であっても、育児や家事に積極的に関わっていたことの記録を集めれば、親権に関する交渉を有利に進める助けとなります。
男性側の離婚に強い弁護士に早期に相談しておけば、法的に有効な準備を、できるだけ早い段階から進める整えておくことができます。
「男性側の離婚に強い弁護士の選び方」の解説

男性に有利な離婚協議書の作り方
金銭の支払いなど、離婚に伴う約束がある場合は、後の紛争を防ぐため、離婚協議書を作成すべきです。財産分与や慰謝料を支払う合意をすることが少なくない男性側では、「お金を払ったのに離婚が成立しない」という事態を避けるため、離婚届と引き換えに支払うことが重要です。
離婚協議書を公正証書化すれば、未払いがあったとき裁判を経ずに強制執行できるメリットがありますが、「お金をもらう側」のための手段なので、男性側の立場では必須ではありません。むしろ、妻側が公正証書にすることを望むとき、不利な条件で応じてしまうと後の負担が増す危険があります。
離婚協議書には、「今後、一切の債権債務がない」とする清算条項を必ず定め、離婚後に追加で請求されるトラブルを防ぐようにしてください。適切な離婚協議書を作っておけば、離婚後のトラブルを最小限に抑え、有利な条件で解決を図ることが可能です。
「離婚協議書の書き方」「離婚協議書を公正証書にする方法」の解説


親権を得るための具体的な対策
親権争いは男性に不利なケースが多いですが、あきらめてはいけません。
離婚の協議は、多くの家庭では別居した後で行われます。親権について争いのあるケースでは、妻が一方的に子供を連れて別居する場合が多いですが、このことが、男性側が親権について不利な状況に置かれる理由となっています。親権争いでは、これまでの監護実績が重視されるので、同居中から積極的に育児に関与し、子供との信頼関係を築くことが不可欠です。男性側であっても、食事や風呂、宿題の手伝いや学校行事への参加など、日常的な関わりを増やすことで育児の実績を積み、親権を勝ち取ることは不可能ではありません。
万が一、妻に子供を連れ去られてしまった場合は、子の引渡し審判、子の監護者の指定審判とそれぞれの審判前の保全処分(いわゆる「3点セット」)を家庭裁判所に申し立てることで、法的手続きを通じて早急に対処することが重要です。
「連れ去り別居」の解説

離婚調停を男性有利に進める方法
協議がうまくいかないとき、離婚調停を有利に進める方法を知っておきましょう。
離婚調停は、家庭裁判所で調停委員を介して調整を行う手続きです。調停では感情的にならず、冷静かつ論理的に主張を行うことが求められます。男性側が感情的になって妻の悪口ばかり言うと、調停委員に「DV夫」「モラハラ夫」といった誤ったイメージを抱かせ、一方的に悪者にされる危険があります。特に、妻側に弁護士が付くと印象操作されやすいので注意が必要です。
申し立てられた調停には必ず参加し、調停委員に対して誠実な態度で臨むことも大切です。具体的な証拠に基づいて主張すれば、男性側だからといって不利にはなりません。むしろ、妻の言い分が一方的だったり、求める離婚条件が過大だったりするときは委員が調整してくれたり、それでも決裂するときには調停を不成立に終わらせることもできます。
「調停委員を味方につけるには?」の解説

離婚裁判(離婚訴訟)を男性有利に進める方法
調停が不成立に終わったとき、離婚裁判(離婚訴訟)を有利に進めるには、客観的な証拠を提出することが非常に重要です。
特に、妻が強硬に離婚に反対して復縁を求めているケースでは、民法770条1項に定められた「法定離婚事由」を証明する証拠が必要となります。法定離婚事由とは、①不貞行為、②悪意の遺棄、③三年以上の生死不明、④強度の精神病、⑤婚姻を継続し難い重大な事由の5つで、該当する場合は妻の同意がなくても離婚を成立させることができます。
離婚裁判は、書面中心で審理が進み、弁護士に依頼しているときは本人は出廷しないことがほとんどです。裁判官に理解してもらいやすい書面を作成することが重要なので、離婚問題に精通した弁護士のサポートを受けるのが賢明です。
「離婚裁判の流れ」の解説

男性が離婚で不利にならないための心構え

男性側で離婚を進める際、不利にならないための心構えを知る必要があります。
感情的にならず冷静さを保つ
離婚は感情が高ぶりやすい場面です。特に男性からすると、妻の言い分ばかりが通るかのように感じて激昂する人もいますが、かえって交渉を悪化させ不利になるおそれがあります。特に、怒りや焦りから相手を攻撃するような言動を取ると、モラハラやDVといった相手の主張を補強する証拠として利用されてしまいます。
冷静さを保つには、自身の希望を明らかにし、論理的に伝える準備をすることが大切です。感情が高ぶった場合は一度話し合いを中断し、頭を冷やす時間を取りましょう。事前に弁護士に相談して、法的な観点から論点を整理してもらうのも役立ちます。
「離婚を弁護士に相談する前の準備」の解説

男性目線で目標に即した方針を決める
自分の目標を明確にし、それに基づいて方針を決めることが重要です。「早く離婚したいのか」「離婚を回避して復縁したいのか」など、自身の気持ちを整理し、方向性を定めましょう
離婚したい男性の場合
「離婚したいが、妻が応じてくれない」という状況では、夫婦関係が「破綻している」ことを裁判官に認めてもらう必要があります。そのためには前述の通り、民法770条1項に定める「法定離婚事由」が妻側にあると証明しなければなりません。例えば、妻による暴力や不貞行為などがあるときは、証拠を確保しておくことが重要です。
家庭内で行われた出来事は、証拠がなければ「言った言わない」の水掛け論になってしまいます。例えば次のものが、証拠として役立ちます。
- 妻の暴言を録音したボイスレコーダー
- 妻の暴力によるケガやアザの写真
- 医師の診断書
- 日常的に記録した日記やメモ
- 周囲の第三者(友人や親族)の証言
更に、別居期間が長いほど夫婦関係の破綻が認められやすくなります。
明確な離婚原因がない場合、通常は3年から5年、有責配偶者なら8年から10年の別居期間が必要となります。このように「離婚に応じない妻」と戦うときは、粘り強く話し合う姿勢が求められます。なお、別居後に安易に「破綻した」と決め付けて他の女性と関係を持つと、離婚成立を遅らせるリスクがあるので慎重に行動してください。
「妻が別れてくれないとき」の解説

離婚したくない男性の場合
妻から離婚を切り出されたが「別れたくない」と考える男性の状況は、より複雑です。
この場合、自身に離婚原因があるか確認してください。不貞行為や暴力など、裁判で離婚が認められる事情があるなら、拒否しても離婚が先延ばしになるだけです。逆に、妻側の離婚理由に確たるものがないなら、拒み続ければ離婚を回避できる可能性があります。
性格の不一致など、裁判離婚が認められる可能性の低い理由しかないなら、拒否することで離婚成立をできるかぎり遅らせ、復縁に向けて努力する時間を確保したり、離婚条件について自身に有利になるよう交渉したりすることができます。
「妻が出て行ったけど離婚したくないとき」の解説

復縁したい男性の場合
裁判で離婚が拒否できるとしても、あくまで「離婚が成立しない」というだけであり、「復縁できる」というのとは違います。法的手段では、復縁を強制することはできません。妻の気持ちが変わらない限り「一生離婚しない」というのは現実的ではなく、いずれは離婚せざるを得なくなります。
そのため、復縁したいなら、離婚成立を遅らせた上で、妻に考え直してもらえるよう、自身の過去を振り返って改善を提案したり、復縁への思いを伝えたりする必要があります。信頼を壊すのは一瞬ですが、積み上げるのは時間がかかるので、復縁を求める戦いは長期化を覚悟しなければなりません。
復縁を目指す場合こそ、気持ちを押し付けることなく、妻の立場を尊重し、慎重な対応を心がけてください。
「復縁したい人が理解すべき全知識」の解説

男性の味方になってくれる弁護士のサポートを早めに受ける
男性側で離婚問題に直面した際、一人で抱え込むのは非常に危険です。精神的な負担が増えるだけでなく、冷静に判断できなくなるおそれもあります。早めに家族や友人など、信頼できる人に状況を打ち明け、相談することで精神的な支えになってもらう必要があります。
法的なサポートが必要な場合は、離婚問題に詳しい弁護士に早めに相談してください。法的な検討は、早期に開始するほど対策を講じやすく、有利に進める助けとなります。
「離婚に強い弁護士とは?」の解説

離婚条件ごとの男性側に有利な主張

最後に、離婚時の条件ごとに、男性側に有利な主張について解説します。
子供の問題については不利になりやすいので、ポイントを理解し、証拠に基づいて適切に主張しなければなりません。男性側は、離婚時の条件としてお金を払う方になることが多く、養育費などは将来も支払いが続くので、離婚時に入念に話し合いをすべきです。
婚姻費用
婚姻費用は、離婚成立までの間、夫婦が互いの生活を維持するために分担する費用です。収入の多い方が少ない他方に払うので、夫から妻への給付となることが多く、離婚の争いが長期化すると、男性側の負担が重くなります。逆に、女性側にとって、「離婚しないと婚姻費用の支払いが蓄積していくこと」は交渉の武器となります。
婚姻費用について、男性側が有利に進めるための主張は次の通りです。
- 妻の収入を正確に証明する
妻に収入があるときは、給与明細や源泉徴収票、確定申告書や課税証明書などを提出させ、収入を正確に把握することで負担額を抑えられます。 - 支出の妥当性を争う
算定表を超える金額を要求されたら、相手が「生活費」と主張する額が過剰な可能性があります。支出を証明する資料(家計簿や領収書など)の提示を求めましょう。 - 住居費を考慮するよう求める
夫側が、妻の居住する住居の住宅ローンや賃料を負担しているとき、婚姻費用の算出時に考慮するよう求めるべきです。 - 破綻についての妻の責任を強調する
不貞行為など、婚姻関係を破綻させた原因が妻にある場合、婚姻費用の減額を主張できる可能性があります。この場合、あわせて慰謝料も請求可能です。 - 現実的に支払い困難であると主張する
前年の収入を参考にした額を妻側が請求するけれど、失業中や転職後であるなど、現実的に支払いが困難であると主張することも検討してください。
これらの主張をすることで、一般的には不利とされる男性の婚姻費用の問題について、男性側に有利な事情も考慮した現実的な解決策を実現することができます。
「別居中の生活費の相場」の解説

慰謝料
慰謝料は、離婚原因となる精神的苦痛に対する損害賠償であり、不貞やDVなどの有責行為があった側が支払うものです。離婚に伴う慰謝料は、100万円〜300万円程度となる例が多いですが、悪質性や責任の程度によって増減するので、事実関係に争いがあるなら減額交渉をすべきです。
慰謝料について男性側が有利に進めるには、次のような主張が効果的です。
- 事実関係を争う
やっていない行為の責任を追及されているなら、断固として否定し、相手の提示する証拠の信用性を争うべきです。 - 証拠不足を指摘する
相手の主張が証拠に基づいていない場合、その点を徹底的に争います。 - 責任の軽減を主張する
離婚原因が相手にもある場合(例えば、性格の不一致や妻側の問題行為が発端となっているなど)、男性側の責任を軽減すべきと主張することができます。 - 精神的苦痛の程度を争う
相手が主張する精神的苦痛が過大である場合、慰謝料の減額を求めることができます。
不貞やDVは「男性が加害者、女性が被害者」というイメージが根強く、これが男性に不利な状況をもたらす理由となっています。しかし、この固定観念は現在では当てはまらず、女性の浮気や不倫は珍しくありませんし、夫に暴力を振るう妻もいます。
女性側の弁護士や調停委員、裁判官のイメージを覆すには、客観的な証拠に基づいた説得的な反論を行うことが重要です。


財産分与
財産分与は、婚姻期間中に築いた財産を夫婦間で公平に分ける制度です。夫婦共同で築いた財産を2分の1ずつに分与するのが原則ですが、夫の方が収入や資産が多いとき、一般には、男性側が支払うこととなる家庭が多いです。
財産分与について男性側が有利に進めるには、次のような主張が効果的です。
- 特有財産の主張をする
自分が婚姻前に取得した財産、婚姻期間中に自己の名において取得した財産(相続や贈与など)は、分与の対象外であることを主張しましょう。 - 財産の分与割合を調整する
貢献度が大きく異なるときは、2分の1ルールの原則を修正するよう求めることができます。ただし、家事や育児の貢献が考慮されるため、「専業主婦である」という主張のみで財産分与を無くすことはできません。 - 隠れた財産を調査する
妻が財産を隠していたり、へそくりがあったりする可能性があるなら、徹底して財産の調査を行うことで、男性側の取り分を増やすことができます。 - 住宅ローンを考慮するよう求める
残ローンのある不動産は、ローン分を控除して分与するのが基本です。また、オーバーローンの不動産は、財産分与の対象外とすることが多いです。
家計の管理を妻に一任し、貯金額すら把握していない夫も多いですが、「収入に比して貯金額が少ない」と感じるなら隠し財産がないか調査してください。同居しているうちに、銀行名・支店名などを把握しておけば、別居後に弁護士が調査する助けとなります。
「離婚時の財産分与をしない方法」の解説

養育費
養育費は、離婚後の子の養育に必要な費用であり、親権を持たない親が負担します。多くの家庭では、母親が親権を得ているので、夫が払う側となることが多いです。
養育費について男性側有利に進めるため、次の主張を検討してください。
- 収入を正確に主張する
養育費の金額は、夫婦の収入差に基づいて算定されるので、男性側の収入について正確な資料を提示しましょう。養育費の支払いは長期にわたるので、収入に変動があるときは状況にあわせて決め直すことも検討してください。 - 子供の扶養者がいることを主張する
妻が、離婚後に再婚を予定しており、子と再婚相手が養子縁組をするときは、新たな扶養者がいることを主張して、自分の負担を下げることができます。 - 支払い時期や期間の調整を交渉する
経済的に余裕がない場合、支払いを段階的に増やす条件を提案するケースがあります。子供の進学状況などによって、終期を適切に決めなければなりません。
養育費は、成年(満18歳)に達するまで、もしくは、20歳から22歳頃まで(教育の終了まで)と定めることが多く、1ヶ月分の争いは少額な差だったとしても、総額だと相当な金額となります。
「養育費が支払われないときの対応」の解説

親権・監護権
親権は、子供の養育や財産管理に関する親の権利や義務であり、その一部である監護権は、日常的な子供の世話や教育を行う権利や義務のことです。残念ながら、女性側が親権を有するケースが多いですが、男性側で有利に進めるには、次の主張を検討してください。
- 安定した養育環境を準備する
父親の方が安定した環境を提供できるという主張が役立ちます。 - 育児実績を記録して提示する
父親と子供の関わりが深いことを示すため、育児に参加した証拠(写真、日記、学校行事の記録など)を用意し、裁判所に提出しましょう。 - 妻の育児能力や養育環境の問題点を指摘する
妻の育児能力に問題があったり、養育環境が不適切(例:虐待がある、実家の親との仲が険悪であるなど)であったりする場合、その点を主張すべきです。
男性側では、親権と監護権を分け、いずれか一方を取得することを目指す人もいますが、デメリットもあるので、あくまで「子の福祉(利益)」を最優先に検討してください。
「監護権とは」の解説

面会交流
面会交流は、親権を持たない親が子供と会う権利です。親権は女性が取得することが多いのに対し、離婚後も親子関係がなくなるわけではなく、男性側としては有利な条件で面会交流を実施してもらうことが重要となります。
面会交流について男性側が有利に進めるには、次のような主張が効果的です。
- 具体的な面会スケジュールを決める
両親間で対立するときは、将来の面会交流を確実なものとするために、「月2回、隔週末」など、具体的なスケジュールを離婚時に合意しておくべきです。 - 子供の成長における父親の役割を強調する
父親が子供にとって重要な存在であることを具体例を挙げて説明することが役立ちます。 - 妻が面会交流を不合理に制限していると主張する
相手が面会交流を不当に制限している場合、そのことを裁判所に示すことで、男性側に有利な判断を勝ち取ることができます。父親によるDVや虐待などといった正当な理由がない限り、「子の福祉(利益)」の観点からも、面会交流は実施すべきです。
まとめ

今回は、男性側の離婚問題について、詳しく解説しました。
離婚は人生の転機ですが、特に男性にとって、親権や財産分与などで不利になる可能性がある点が特徴です。法律知識をもとに準備を徹底することで、不利な状況でもあきらめずに戦いましょう。
証拠を確保し、冷静に交渉を進めるためには、男性側こそ特に、弁護士などの専門家の力を借りることが重要なポイントです。妻側が不合理、不当な主張をしているなら、断固として否定し、有利な解決に向けて戦略的に進めなければなりません。特に、子供の問題については、自分の価値観や一方的な意見を押し付けるのではなく、話し合って建設的な解決策を見出すべきです。
男性側の離婚のように困難な状況でも、経験豊富な弁護士であれば十分にサポートできます。一人で悩まず、まずは弁護士に相談してください。
- 男性側の離婚は不利になりやすいが、有利にするための方法と戦略がある
- 男性が親権を獲得するには、日常的な育児参加とその証拠が重要
- 男性が離婚を有利に進めるには、感情的な行動を避けることが大切
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離婚を検討する際、男性に特有の課題や悩みを理解してください。離婚は男女いずれにとっても重要ですが、特に不利な状況に陥りやすい男性側では、早めの準備が欠かせません。
男性側の離婚について、具体的な解決策を知りたい方は、「男性側の離婚」に関する解説を参考にしてください。