男性側(夫側)で離婚問題を進めるときに、「女性側のほうが有利ではないか」、「妻の言い分が優遇されてしまっているのではないか」と感じることが多いのではないでしょうか。
本来、法律問題が男女どちらかに有利にはたらくことはなく、男女平等なのは当然です。しかし、離婚問題にかぎっては、女性側(妻側)に有利に考えられてしまう部分が、残念ながら存在しているのが実情です。
とはいえ、不利な状況からのスタートだったとしても、男性側(夫側)が知っておくべき法律知識を活用すれば、悪い結論を回避できるケースも多くあります。特に、相手の弁護士や調停委員から、「DV夫・モラハラ夫」に代表されるようなあやまったイメージを持たれたとき、きちんと反論していかなければなりません。
今回は、離婚問題にお悩みの男性に向けて、男性側(夫側)が離婚のとき知っておきたい知識を、離婚問題にくわしい弁護士がまとめて解説します。
男性側が離婚するまでの流れ
男性側が離婚を望むとき、離婚が成立するためには、次の3つの方法があります。
そして、この3つの方法の離婚は、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟という順番で進みます。これは、「調停前置主義」というルールがあって、離婚訴訟を起こすためには、その前に離婚調停を申し立てて、不成立となっていなければならないからです。
はじめに、離婚までの流れについてわかりやすく解説しておきます。
離婚協議
離婚協議の段階は、裁判所が関与することなく、夫婦の間で話し合いをする段階です。話し合いによって合意ができたら、離婚届を提出すれば離婚成立となります。
離婚協議は、妻本人もしくは妻の依頼した弁護士からの連絡により始まります。突然の連絡に冷静になれないこともあるかもしれませんが、適切な対処が望まれます。
離婚にともなうお金の支払いなどの約束があるときは、後に紛争化しないよう、離婚協議書という書面を作成します。
離婚に反対する妻を説得し、慰謝料や財産分与などの一定の金銭を支払うこととを合意するときは「お金だけ払って離婚できない」という事態を避けるため、離婚届と支払いを引きかえにしておくのが重要なポイントです。たとえ離婚協議書が完成しても、離婚届を出すまでは離婚は成立しないからです。
離婚の協議をスタートするとき、同居のまま行うケースは珍しく、多くは別居して話し合いをします。
このとき、親権・監護権を争いたい男性は、妻が一方的に子どもを連れ去って別居してしまわないよう注意が必要です。幼い子どもの場合、残念ながら男性側が不利な状況です。子どもを連れて別居されてしまうと、親権・監護権を得るのは到底困難になってしまいます。
子どもの連れ去りには、すぐに監護者の指定・子の引渡しの審判(及び審判前の保全処分)を申し立てて、家庭裁判所の手続きで助けを求めることが重要です。
離婚協議書の公正証書化
離婚協議の結果、離婚の合意が成立したときには、離婚協議書を作成します。このとき、合意した金銭が約束どおり払われなかったときには、すぐに強制執行(財産の差押え)ができるよう、公正証書にしておくこともあります。公正証書にしておけば、裁判で判決をとらなくても、強制執行(財産の差押え)をすぐに実行できます。
ただし、離婚問題では男性側(夫側)が女性側(妻側)に金銭を払う義務を負うケースが多いため、男性側(夫側)で対応する際には、妻から求められた公正証書の作成に、必ずしも同意しなければならないわけではありません。公正証書はあくまで、「お金を払ってもらう側」のメリットのためにあるからです。
例外的に、公正証書を作成することによって「離婚を拒絶していた妻が、離婚に応じてくれる」とか、「妻側の相場よりも高すぎる要求が抑えられる」といったこちら側にもメリットがあるときは、公正証書化に応じてもよいと考えます。
公正証書を作成する際には、必ず「今後、一切の債権債務がない」という「清算条項」を記載し、離婚後の更なる金銭請求を回避できるようにしておいてください。
離婚調停
離婚調停は、家庭裁判所で調停委員を介してする話し合いの手続きです。調停で離婚することを合意できれば、合意内容に沿った調停調書が作成されます。
離婚調停では、調停委員に話を聞いてもらいながら進めることとなります。感情的になって妻の悪口ばかりつたえると、あやまったイメージを与え、男性側が一方的に悪者にされてしまうおそれがあります。特に、女性側(妻側)に弁護士がついているとき、印象操作をうまく行ってくることが予想されるため、注意が必要です。
このような事態に陥ってしまわないよう、調停の申立てをされたら、必ず出席し、冷静に自分側の主張を調停委員に伝えるようにします。妻側の言い分があまりに一方的だったり、求める離婚条件が過大なときは、調停を不成立に終わらせ、訴訟に移行することも検討してください。
離婚訴訟
離婚調停で話し合いがまとまらなかったとき、離婚を希望する側が家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。
離婚訴訟に至るケースとは、離婚問題のなかでも、相当話がもつれた事例です。離婚裁判に進んでしまうケースには、次の例があります。
- 夫婦のいずれかが、どうしても離婚に反対しており、復縁を求めるケース
離婚協議、離婚調停はいずれも、夫婦双方の合意がなければ離婚が成立しません。夫婦の一方がどうしても復縁を求めるときは、離婚訴訟で判断してもらう必要があります。 - 親権について争いのあるケース
子どもの問題は、金銭解決が難しいため、激しい争いになります。男性側では、子どもの問題について不利なことが多いですが、事情によっては親権・監護権を獲得できるケースもあります。 - 財産隠しが疑われるケース
財産分与は、婚姻期間が長いほど高額化する傾向にあり、財産隠しが疑われる場合には徹底した財産調査が必要です。離婚訴訟まで進むと「調査嘱託」の手続きを利用することができます。
離婚調停では、調停の場に本人が出席し、そこで話すことが重要視されていましたが、離婚訴訟は少しイメージが違います。離婚訴訟では、提出する主張書面、証拠が重要視されており、書面中心に審理が進みます。そのため、離婚訴訟では、弁護士に依頼しているときには本人は出廷しないことがほとんどです。
離婚協議、離婚調停よりも証拠が重視され、証拠のない事実は家庭裁判所に認めてもらうことはできません。そのため「訴状などに書いてある妻の言い分は嘘ばかりだ」と反論したいのであれば、今まで以上に証拠収集が大切です。
男性側の離婚における「離婚原因」の知識
男性側で離婚問題を進めるとき、離婚したい側、離婚したくない側のいずれでも離婚原因について知る必要があります。
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法定離婚原因とは
さきほど解説したとおり、離婚の流れは離婚協議、離婚調停、離婚訴訟と進みます。いずれの段階でも夫婦双方が離婚に合意すれば離婚が成立しますが、「あなたが離婚したいが妻は離婚してくれない」という事例、逆に「妻が離婚請求してきたが、あなたは復縁したい」という事例の場合、民法に定めた法定離婚原因(民法770条1項)がなければ、離婚訴訟でも離婚は認められません。
判決で離婚が認められるために必要となる、民法で定める5つの法定離婚原因は、次の通りです。
民法770条1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
民法(e-Gov法令検索)
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
それぞれの法定離婚原因についてわかりやすくまとめておきます。
不貞行為 (1号) | 不貞行為は、配偶者以外の異性との肉体関係のことです。デートや食事など、肉体関係に至らない交際は、通常、不貞行為には含まれませんが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたることがあります。 不貞行為を証明するためには、探偵の報告書、不貞相手とのメールやLINE、ラブホテルへ入る写真・動画などが証拠となります。 |
悪意の遺棄 (2号) | 悪意の遺棄は、正当な理由なく夫婦の相互扶助義務、同居義務に反することです。一方的に別居して、生活費を負担しないといったことが典型例です。 ただし、正当な理由のある別居は悪意の遺棄とはならず、離婚に向けた別居は、よほど相手の生活が困窮しない限り悪意の遺棄とは評価されないことが通常です。 「先に自分から別居しても不利にならない理由」についてこちらの解説も参考にしてください。 |
3年以上の生死不明 (3号) | 生死不明な状態が3年以上続くことが離婚原因となります。ただし、連絡があって生きていることはわかっており、単に居所がわからないに過ぎない場合にはこれにあたりません。捜索届を出しても居所がわからないなど、相当な努力をしている状況が必要です。 |
強度の精神病 (4号) | 単にうつ病や適応障害といった精神病にかかっているというだけでなく、その病状が強度である必要があります。医師の診断書をもとにして裁判官が判断します。精神病を理由に離婚が認められるためには、離婚後の生活が困窮してしまわないよう面倒を見るなどの条件が必要となります。 「精神疾患を理由に離婚するときの注意点」についてこちらの解説も参考にしてください。 |
婚姻を継続し難い重大な自由 (5号) | 婚姻関係が破綻していて、回復の見込みがないことをいいます。よく主張されるのが、長期の別居、性格の不一致、価値観の相違、セックスレス、親族との不和などです。 いずれも、他の4つの離婚原因と同程度に重大なものである必要があります。 |
「離婚したい」男性側の場合
「離婚したいけれど、妻が離婚してくれない」という場合、つまり、「離婚したい」という希望を持つ男性側(夫側)の場合には、裁判官に夫婦関係の「破綻」を認めてもらうため、さきほど解説した離婚原因が妻側に存在することを証明しなければなりません。
妻側からの暴言、暴力などが存在する場合には、その証拠をとっておいてください。家庭内の出来事について裁判所で認めてもらうためには、「言った言わない」の水掛け論になってしまわないよう証拠が重要となります。特に次のような証拠収集が有効です。
- 妻の暴言をボイスレコーダーで保存する
- 妻の暴力で受けた傷の写真をとる
- 診断書を取得する
- 日常的に日記をつけておく
- 周囲の第三者にこまめに相談しておく
また、別居期間が長ければ長いほど、夫婦関係が破綻していると認められやすくなります。
他に明らかな離婚原因がないときには、別居期間を重ねて離婚しようとするとき「2年~5年」程度の別居期間が必要となります。男性側にも不貞などの離婚原因が存在するときには、有責配偶者として、少なくとも「8年~10年」程度の別居期間が必要となってしまいます。
このように「離婚してくれない妻」と戦うときは、妻を説得するために粘り強く話し合う必要があります。別居してすぐに安易に「すでに破綻している」と考えて他の女性と肉体関係を持つなどの不用意な行動は、離婚成立を遅くしてしまうおそれがあるためしないようにしてください。
「離婚したくない」男性側の場合
妻側から離婚請求をされたり、まだ言い出されてはいなけれども離婚されてしまいそうだという男性の場合で、「離婚したくない」、「復縁したい」と望む場合には、さらに問題は困難を窮めます。
「離婚したくない」男性のケースでは、はじめに、あなた側に離婚原因があるかどうかを検討する必要があります。不貞行為(不倫・浮気)や暴力など、離婚原因と認められやすい事情があるとき、どれほど反対したとしても離婚訴訟で離婚が認められてしまうおそれがあります。
逆に、性格の不一致などの事情しかないときは、離婚を拒否し続ければ、離婚せずに済むこととなります。
いずれの状況でも、妻が思いなおさない限り「一生離婚しない」というのは不可能です。離婚するかどうかは「妻の意思次第」といっても過言ではありません。最終的に、復縁は法的に保障できるものではありませんが、少しでも可能性を上げるためには、次の2点がポイントとなります。
- 離婚を拒否し続け、離婚の成立をできる限り遅らせ、時間的余裕を確保する
- 離婚までの時間の中で、妻に考え直してもらえるよう、改善点や復縁への思いを伝え続ける
たとえ離婚訴訟に勝利してもそれは「離婚の拒否」に成功したというだけで、決して「復縁しなさい」という命令が下ったわけではありません。
離婚を強く求める妻に対して、「離婚したくない」という思いを伝えなければならないとして、「直接話せばわかってもらえるはず」というのは危険な考え方です。DV・モラハラ気質だと評価されてしまっても仕方ありません。復縁を望むときは、何ごとも「妻の立場」を尊重して考えるべきです。
「妻側に弁護士が付いた後は、直接交渉はできない」という実務のルールを理解し、尊重した上で、妻に対して自分の気持ちを正直に伝えるための手紙を書く方法が有効です。
男性側が検討すべき「離婚条件」の知識
男性側で離婚を進めるにあたっては、「離婚とお金」の問題(婚姻費用・慰謝料・財産分与・養育費)、「離婚と子ども」の問題(養育費・親権・監護権・面会交流)といった離婚条件について妻との間で取り決めておくことが必要です。
離婚の条件は、離婚後に決めることもできますが、離婚時に決めるほうがおすすめです。男性側では、離婚条件としてのお金は払う側になることが多く、将来にも影響する問題なので、離婚する前に入念に話し合っておかなければなりません。
婚姻費用
婚姻費用とは、離婚成立までの期間の生活費のことです。男性側で離婚を進めるとき、夫の収入が妻を上回っているときには、夫から妻へ婚姻費用を払わなければなりません。そのため、離婚協議、離婚調停などの争いが長期化してしまうと、婚姻費用を払う男性側の損失が大きくなってしまいます。
婚姻費用の相場は、養育費・婚姻費用算定表により、子どもの人数と年齢、夫婦の収入差により算出します。婚姻費用には、妻の生活費や交際費、医療費のほか、子どもに関する費用(養育費、教育費)などが含まれます。
多くのケースで婚姻費用は男性側が支払うことが多く、女性側にとって交渉の武器として使われます。話し合いによる支払を拒否しても、婚姻費用分担請求調停を申し立てられると、一定額の支払いを覚悟しなければなりません。
婚姻費用にともなう不利な状況を打開するために、男性側でチェックしておくべき有利な主張には、次のものがあります。
- できるだけ支払時期を遅らせる
- 住居費(住宅ローンの負担、自宅賃料の負担)を考慮するよう主張する
- 妻子の携帯代・通信費の負担を考慮するよう主張する
- 失業中であり現実的に支払いが困難であることを主張する
- 妻子が実家(もしくは他の男性)に養なわれていることを主張する
これらの主張は、一般的には不利である男性側の婚姻費用の問題について、男性側に有利な事情として考慮される主張です。
婚姻費用は、実務的には請求時(調停申立て時)までさかのぼって支払うよう命じられることが通常です。そのため、婚姻費用に大きな争いがあるときは、調停申立てがなされるまで払わずにおくのが有効です。ただし、この場合、調停で婚姻費用が決まったときにまとめて支払わなければいけないため、その分の資金は貯めておく必要があります。
慰謝料
慰謝料とは、離婚の原因を作った側が支払うべき損害賠償です。夫婦のいずれにも非がないときは慰謝料は発生しません。
慰謝料が認められる行為とは、前述したような離婚原因を作り出すような行為です。典型例は、DV(家庭内暴力)、不貞行為(不倫・浮気)がこれにあたります。
とはいえ、慰謝料の相場はおよそ100万円~300万円程度とされており、養育費や財産分与に比べて少額にとどまることも少なくありません。感情的には争いたいポイントではありますが、離婚問題を解決するため、経済的合理性の観点から戦略的に考える必要があります。
相場を大きく超える過大な慰謝料を請求されたり、やってもいない行為を主張して慰謝料請求されたりしている事案では、絶対に慰謝料を支払うという合意をしてはいけません。
古いイメージではDVや不貞行為は「男性が加害者、女性が被害者」という意識がありますが、最近では逆のケース(いわゆる「逆DV・逆モラハラ」)も珍しくありません。このような固定観念で見てくる弁護士が妻側についたときや、調停委員にそのような発言をされたときは、イメージを覆すため、客観的証拠に基づいた反論をしっかりしなければなりません。
また、女性側(妻側)が離婚を有利に進めようと、DV・モラハラ被害だと訴え、警察に通報したりシェルターに逃げ込んだりなど過剰に反応してくるとき、DV冤罪・偽装DVの被害にあってしまわないよう対策が必要です。
財産分与
財産分与とは、結婚期間中に夫婦が協力して作り上げた財産を公平に分配するための手続きです。
財産分与は、婚姻期間が長期であったり、作り上げた財産が多額であったりするほど、相当高額になることがあります。せいぜい数百万円の慰謝料に対して、熟年離婚などのケースでは財産分与が数千万円から1億円を超えることもあります。
男性側で財産分与の問題を考えるとき、支払う側となることが多いです。家庭を支えてもらったという「内助の功」に報いて公平に分担しなければならないものの、不公平を防ぐため、次のような重要なポイントに注意してください。
- 特有財産(婚姻前に取得した財産と、婚姻期間中に自己の名において取得した財産)を控除するよう主張する
- 自分の貢献度が大きいと考えるときは、2分の1ルールの原則を修正するよう主張する
- 妻側のへそくりや隠し財産について、財産の調査を徹底して行う。
- 住宅ローンが残っている不動産(特にオーバーローンの不動産)を分与の対象外とするよう主張する
どうしても財産分与を支払いたくないときは、次の解説も参考にしてみてください。
家計の管理を妻に一任しており、どれくらいの貯金が家庭にあるのかを把握していない夫も多いです。そのため、財産分与になったとき思いのほか貯金額が少ないのではないかと疑念を抱くときは、隠し財産がないかどうか調査を行わなければなりません。同居しているうちに、銀行名・支店名程度は把握しておけば、別居後に弁護士が調査する助けになります。
また、上記のような清算的財産分与以外に、扶養的財産分与にも注意が必要です。離婚後に妻の生活が困窮してしまうようなケースでは、例外的に、弱者救済を目的とした扶養的財産分与が認められてしまうことがあります。
扶養的財産分与を命じられないようにするためには次のような主張が有効です。
- 妻が退職したのは結婚したからではなく、前から転職を検討していた
- 妻の能力であれば離婚後に十分な収入を得られる職に就くことができる
- 妻の実家が裕福である
養育費
養育費とは、離婚後の子どもの生活費のことです。養育費もまた、養育費・婚姻費用算定表に照らして、子どもの人数と年齢、夫婦の収入差により算出されます。
婚姻費用が妻子の生活費であるのに対して、「離婚後は、夫婦は他人」ですから、養育費に含まれるのは子どもの養育にかかる費用のみです。そのため、通常、養育費は婚姻費用に比べて低額です。
とはいえ、養育費は子どもが20歳まで(もしくは大学終了の22歳まで)支払うことが通常であり、長期に渡りますから、1か月分の少額な差でも、総額だと相当な金額となります。そのため、少額であっても少しでも低額となるように交渉しておくようにしてください。
親権・監護権
親権・監護権の問題は、離婚後の子どもの面倒をどちらが見るかという問題です。未成年の子どもがいるとき、親権について定めなければ離婚をすることができません。
子どもの問題については、残念ながら女性側にとって有利、男性側にとって不利な状況と言わざるを得ません。特に、子どもが幼ければ幼いほど「母性優先の原則」がはたらき、親権・監護権について妻側の有利に判断される可能性が高いです。
なお、子どもが幼いときなど、母親が養育・監護したほうが適切だと考えられるとき、監護権と親権とを分ける方法(親権を父、監護権を母に属する)にはメリット・デメリットがあるため、よく検討するようにしてください。
面会交流
面会交流とは、親権・監護権をとらなかった親が、子どもと会って交流することです。面会交流の問題は、離婚前の別居段階でも生じます。
さきほど解説したとおり、親権・監護権の問題について女性有利に判断されがちではありますが、離婚したからといって親子関係が消滅するわけではありません。そのため、少しでも子どものためになる努力を男性側目線で行うのであれば、より有利な条件で面会交流を勝ち取ることが大切です。
男性側だと「子どもの問題」は不利?
子どもに関する問題は残念ながら女性側有利と解説しました。とはいえ「子どもに対しては愛情があるのは当然」という一般論があてはまらない妻もいます。子どもを虐待するケースでは、女性が加害者となっている事例も珍しくありません。
子どもにとって不利益の大きい母親のときは、なんとしても親権・監護権を取りたいと考えるのは当然です。
男性側(父側)で親権・監護権を獲得したいと望むならば、「母性優先の原則」を例外的に修正する必要があります。このとき重要なことが、養育環境をきちんと整備し、「父側で育てても問題ない」ということを家庭裁判所にしっかりアピールすることです。日中仕事をしている場合には、実家の家族の協力が重要です。
そして、妻側からのDV・モラハラ・虐待から父子を守るため、子どもを連れて別居をすることとなりますが、「子どもの連れ去り」だといわれないよう、妻からのDV・モラハラ・虐待を証拠に残し、正当な理由があると主張していかねばなりません。
まとめ
離婚問題のなかでも、不利な状況からのスタートとなりやすく、法律的にも難しい問題が多いのが「男性側の離婚」の特徴です。そのため、男性側の離婚問題について弁護士に依頼するときは、弁護士選びが重要です。
不利な状況でもあきらめず戦って、妻側の弁護士の不合理な主張に対して、徹底して否定し、有利な解決に向けてあきらめず取り組んでくれる弁護士に依頼するのがおすすめです。
当事務所のサポート
弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題について多数の解決実績があります。もちろん、男性側のご相談者も多くいらっしゃり、解決に向けたサポートをさせていただいています。
男性側の離婚問題にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
男性側の離婚のよくある質問
- 男性側の離婚は、不利ですか?
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法律は、男女平等であり、男性側だからというだけで離婚問題で不利にはなりません。ただし、男性側のほうが不倫・浮気やDV・モラハラしているなど責任のあるケースであったり、親権問題であったりなど、事実上、男性側のほうが不利な状況からのスタートとなる事案では、注意深く進めなければなりません。詳しくは「男性側の離婚について知っておきたい全知識【弁護士解説】」をご覧ください。
- 男性側だと、子どもの問題は不利ですか?
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離婚と子どもに関する問題は、特に子どもが幼いうちは母親側が優先されやすく、残念ながら男性側の不利な状況があります。ただし、主夫のように男性が母性を発揮する家庭も増えています。女性側にDV・モラハラや虐待があるときなど、男性側でも親権を戦うべきケースも増えています。詳しくは「男性側だと『子どもの問題』は不利?」をご覧ください。