夫や妻のアルコール依存症に悩み、離婚を考える夫婦は少なくありません。
アルコール依存症は本人の健康に害があるだけでなく、家族にも深刻な影響を及ぼします。配偶者に対する暴力や暴言、経済的な困窮を生み、更には養育環境への悪影響や子の虐待など、家庭生活を脅かす様々な問題に発展してしまいます。アルコール依存症による弊害は大きく、疲れ果てて「このまま結婚生活を続けるべきか」と思い悩むのも無理はありません。
今回は、アルコール依存症と離婚に関する注意点と具体的な対応方法、慰謝料請求のポイントについて、弁護士が解説します。
- アルコール依存症が強度なら、法定離婚事由となり、離婚することができる
- アルコール依存症を理由に別居する前に証拠を集めておく
- アルコール依存症での離婚が、親権の獲得に悪影響とならないよう注意する
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アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、お酒の飲み方を自分でコントロールできず、飲酒を優先してしまう状態を指し、「アルコール中毒(アル中)」とも呼ばれます。
厚生労働省によれば「アルコール依存症は、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態で、精神疾患のひとつ」と定義されています(厚生労働省「アルコール健康障害対策」)。単に飲酒の量や頻度が多いだけでなく、アルコールに対する強い精神的、身体的な依存症状が見られるのが特徴です。
アルコール依存症の判断は、WHO(世界保健機関)の定める基準(ICD-10)が有名です。これによれば、以下の6項目中3項目以上が、過去1年の間に同時に1ヶ月以上続いた、または、繰り返し出現した場合に依存症と判断されます。
- 激しい飲酒渇望
飲酒したいという強い欲望あるいは切迫感がある。 - 飲酒コントロールの喪失
飲酒行動(飲酒の開始・終了、飲酒量の調節)に関して、自分の意志で制御することが困難である。 - 離脱症状
断酒あるいは減酒したときに、離脱症状(手が震える、汗をかく、眠れない、不安になる等)がある。 - 耐性の増大
お酒を飲み続けるうちに、次第にお酒に強くなった、あるいは高揚感を得るのに必要な飲酒量が増えた。 - 飲酒中心の生活
飲酒のために本来の生活(仕事、家族との交流、友人との付き合い、趣味等)を犠牲にする。アルコールの影響からの回復に要する時間(酔いからさめる時間)が長くなった。 - 問題があるにもかかわらず飲酒
心身に明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、飲酒を続ける。
上記の通り、単に「酒好き」「酒癖が悪い」という程度は超えています。初期は、お酒を飲まないと落ち着かないといった軽い精神的な依存症状からスタートしますが、徐々に悪化して中期になると、飲酒をやめると離脱症状(手の震え、発汗、不眠、いらいらなど)が現れます。後期になると、飲酒をやめると幻覚や幻聴が出現し、日常生活に重大な支障をきたします。
本人には自覚がなく、積極的に治療を受けようとしない傾向があるため、家族や周囲のサポートが重要であり、早期発見と治療が不可欠です。以下のアルコール依存症の簡易チェックツール(CAGE)も参考にしてください。

「離婚に強い弁護士とは」の解説

アルコール依存症を理由に離婚できる?
次に、夫や妻のアルコール依存症を理由に離婚できるかどうか、について解説します。
離婚問題でのアルコール依存症の扱い
アルコール依存症になると家庭生活より飲酒を優先してしまうので、離婚率は高いとされます。夫婦の話し合い(協議・調停)で合意が成立すれば、アルコール依存症を理由に離婚できます。「迷惑をかけた」という気持ちがある相手なら協議に応じる可能性がありますが、症状が重度だと協議や調停が困難な人もいます。
協議や調停で合意が得られない場合、離婚裁判を通じて離婚を認めてもらうには、民法770条の定める以下の法定離婚事由のいずれかに該当する必要があります。
- 不貞行為(浮気や不倫)
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病で回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
アルコール依存症そのものは「強度の精神病」と認定されるのが困難なケースが多いですが、次章の通り、症状の重さやケースによってどのような主張をすべきかが異なります。
「法定離婚事由」の解説

アルコール依存症で離婚できる具体例
法定離婚事由に「アルコール依存症」と明記はされていませんが、家族に重大な影響を与える症状なら、悪意の遺棄、強度の精神病、婚姻を継続し難い重大な事由のいずれかに該当して離婚することができる可能性があります。
悪意の遺棄にあたるとき
夫婦は相互扶助義務があるので、アルコール依存症で家庭をかえりみないとき、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当する可能性があります。例えば、次のケースです。
- お酒ばかり飲んで仕事をしない
- 仕事を辞めて収入を失い、家計を支えない
- 家事や育児に全く協力しない
- お酒の購入費が生活費を圧迫している
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居・相互扶助義務を果たさないことを指すので、アルコール依存症の配偶者が生活費を出さず、その行動によって家庭生活を破綻させるとき、離婚理由となります。

裁判例(東京地裁平成16年2月2日判決)も、アルコール依存症が「悪意の遺棄」にあたるとして離婚請求を認めています。
被告は嫉妬深くて酒癖が悪く、酒を飲んでは暴れることを繰り返していたが、平成14年6月16日、原告が暴力を振るうなら出て行って欲しいと訴えたところ自宅に戻らなくなり、生活費を全く入れなくなった。そのため、原告はパートに出て収入を得てはいるものの、生活保護によって原告及び子供らの生活を支えることを余儀なくされている。
3 前項(2)の事実は民法770条1項2号(悪意の遺棄)の離婚原因に該当するというべきであるから、原告の本訴離婚請求には正当な理由がある。
東京地裁平成16年2月2日判決
強度の精神病にあたるとき
アルコール依存症は精神疾患の一種ですが、統合失調症やうつ病のように「回復の見込みがない強度の精神病」には該当しないのが通常です。治療や支援によって改善の可能性があるので、治療の努力を優先すべきと考えられているからです。
ただし、アルコール依存症による幻覚や妄想がある場合や、暴力的な行動が繰り返され、治療の意思も全く見られない場合は、「強度の精神病」(民法770条1項4号)の離婚原因に該当することとなります。
「精神病を理由とする離婚」の解説

婚姻を継続し難い重大な事由にあたるとき
アルコール依存症によって次のような問題が生じたとき、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として離婚が認められるケースがあります。
- 飲酒後の暴力行為(DV)
- 暴言や心理的虐待が繰り返される(モラハラ)
- 配偶者の依存症が原因で夫婦関係が破綻した
DVやモラハラがあるときは特に、次のような証拠を集めることで、離婚を認定してもらいやすくなります。
- 暴力を振るったときの録音・録画
- 暴力を振るった際にお酒を飲んでいた写真
- 医師の診断書
- アルコール依存症の治療記録
ただし、飲酒しての暴力には歯止めが効かないことが多く、証拠収集よりも身の安全を優先すべきときは、速やかに別居するのがお勧めです。なお、別居が長期間にわたることについても「婚姻を継続し難い重大な事由」の一事情であると評価されます。
アルコール依存症のみでは離婚できない場合
残念ながら、アルコール依存症だけが理由では離婚できないこともあります。
アルコール依存症は、治療可能な疾患とされるため、裁判所では配偶者に治療の努力が見える場合、家族にも協力や支援が求めることが多いです。そのため、アルコール依存症と診断されただけで、直ちに離婚理由が認められるとは限りません。
しかし、症状が重度であったり、意志のコントロールが効いていなかったり、共同生活を続けることで配偶者や子供に大きな支障があったりするケースでは離婚が認められる場合もあるので、状況に応じた判断が必要です。弁護士に相談し、状況に応じた対処をしてください。
「離婚までの流れ」の解説

アルコール依存症が離婚に与える影響

次に、アルコール依存症が離婚に与える影響を解説します。
アルコール依存症は、離婚の直接の原因になることはもちろん、それ以外にも、離婚時の夫婦関係や離婚条件に、様々な影響を与えます。
子供の親権への影響
アルコール依存症の親がいる家庭が、子供に悪影響なのは当然です。
例えば、旦那が飲酒して妻に暴力を振るうと、子供も恐怖や不安を感じます。家庭内の会話が減れば、愛情不足を感じてしまいます。親がアルコール依存症で失職すると、安定した生活環境は確保できません。心理的な負担が増大し、学校でも友人を作りづらくなる子もいます。相手がこのような状況だと、「子供と関わらせたくない」「子育ては任せられない」と思うのも当然です。
劣悪な環境に長いこと置かれると子の発育に悪影響なので、離婚して環境を改善することが重要です。離婚時に親権を争う際、裁判所は「子の福祉」を最優先に考慮します。安定した居住環境、教育環境を提供できるかどうかが基準となるため、アルコール依存症の親が親権を得ることは難しく、特に暴力や暴言がある場合、親権獲得は極めて困難だといってよいでしょう。
アルコール依存症になった相手に親権・監護権を渡さないためにも、「育児に悪影響のある重度のアルコール依存症であること」を、わかりやすく裁判所に伝える証拠を準備してください。
- 子供の前で泥酔している写真や動画
- 飲酒して虐待した写真や動画
- 子供のケガの写真、診断書
- 保育士や教師などの第三者の証言
「子供のいる夫婦の離婚」の解説

養育費や財産分与への影響
アルコール依存症の配偶者と離婚するとき、主たる収入源が相手であった家庭は特に、離婚後の生活設計が重要となります。通常の離婚では、離婚時の財産分与や離婚後の養育費を受け取れますが、アルコール依存症で職を失ったり、浪費して財産が減ってしまっていたりすると、経済的に十分な補償を受けられないおそれがあるからです。
離婚後の住居費や生活費、子供の教育費といった金銭の確保について十分に検討してください。再就職するなど、収入を安定させる努力が必要となります。養育費については、離婚協議書を公正証書化したり調停や審判で決めたりなどして、強制執行できる工夫をすべきですが、相手がアルコール依存症だと、最悪は「養育費は確実なものではない」と覚悟すべきです。

なお、離婚後の経済的負担を軽減するために、依存症の相手に期待できないときは、児童扶養手当や生活保護など、公的支援制度の活用も検討してください。
「離婚に伴うお金の問題」の解説

アルコール依存症の夫や妻と離婚する方法

次に、アルコール依存症の夫や妻と離婚する方法と手順を解説します。アルコール依存症の相手と離婚するには、相手の病気に配慮しながら慎重に進める必要があります。
離婚の意思を伝える
まず配偶者に、離婚したい理由を冷静に伝えましょう。
アルコール依存症の相手には感情的にならず、家庭生活に及ぼす影響について、事実を淡々と説明するのがポイントです。それでもなお、アルコール依存症の配偶者は話し合いに応じず、感情的に反発してくる可能性が高いです。その場合、直接の話し合いは避け、弁護士を窓口とすることを検討してください。
協議離婚が成立する場合は、財産分与や親権、養育費などを取り決めて離婚協議書を交わし、離婚届を提出します。
「協議離婚の進め方」の解説

離婚に応じない場合は別居する
アルコール依存症の相手が離婚に応じないときは、一旦別居するのが効果的です。
早めに別居しておけば、アルコール依存症の相手でも、冷静になって考え直してくれることもあります。そうでなくても、できるだけ長期の別居実績を積み重ねておくことで「長期間の別居」を理由に破綻を認めてもらいやすくなります。
別居中は配偶者との連絡を断つなど、関係が完全に断絶したことを証拠に残しておくと、破綻しているとみなされやすくなります。飲酒中の動画や写真など、同居中にしか入手できない証拠は、できるだけ別居前に集めましょう。
なお、アルコール依存症の相手と別居するとき、逆に「悪意の遺棄」をしたとみられないよう、相手の生活にも配慮すべきです。
例えば、しばらく生活費を負担したり、扶養的財産分与を払ったり、生活保護の受給をサポートしたりといった手が考えられます。
「離婚前の別居の注意点」の解説

身の安全を確保する
飲酒して殴られたり蹴られたり、物を投げつけられたりして命の危険があるとき、速やかに別居しなければなりません。DVやモラハラが併発するケースでは、離婚の同意が取れなくても早急に別居して距離を離すべきです。
DVが深刻なら、安全確保のために警察やシェルターの活用も検討してください。
離婚調停・離婚裁判に進む
話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることが次のステップです。調停では調停委員が仲介し、双方の合意を目指します。更に、調停が不成立となった場合は離婚裁判(離婚訴訟)を検討します。
裁判で離婚するには法定離婚事由が必要です(詳しくは「アルコール依存症を理由に離婚できる?」参照)。



弁護士に相談する
アルコール依存症の配偶者との離婚トラブルは、感情的対立が生じやすく、離婚調停や離婚裁判といった法的手続きを伴う可能性が高いものです。そのため、弁護士に相談するのがお勧めです。
弁護士を活用すれば、アルコール依存症の相手との直接交渉を回避でき、財産分与や養育費といった点についても、法的に妥協しない請求をすることができます。
「離婚相談の準備とメモ」の解説

アルコール依存症を理由に離婚する際の慰謝料請求
次に、アルコール依存症による離婚時の慰謝料について解説します。
アルコール依存症によって、DVやモラハラ、虐待に発展したときは、不法行為(民法709条)となり、慰謝料を請求できる可能性があります。
暴力があった場合、慰謝料の相場は50万円〜300万円程度が目安となりますが、暴力の内容や頻度、被害者の精神的苦痛の程度によって増減します。離婚してもしなくても請求はできますが、離婚せざるを得ないケースの方が高額となります。一方で、モラハラは証拠収集が難しく、暴力よりも低額に留まる傾向があります。

飲酒を理由に、配偶者に対する慰謝料請求を認めた裁判例は、次のものがあります。
- 東京地裁平成28年6月30日判決:300万円
離婚前、数年間はほぼ毎晩飲酒し、顔を殴打するなど。 - 東京地裁平成16年2月2日判決:100万円
暴力、わがまま、飲酒やパチンコによる浪費癖、精神障害のある子の養育への無理解など。 - 東京地裁平成16年1月15日判決:300万円
仕事せずに朝から飲酒、競馬。暴力を振るい物を投げつける。育児に無関心で、病気になっても看病しない。
より高額の慰謝料を認めてもらいたいなら、次のような証拠の準備が重要です。証拠が多いほど、裁判や調停での説得力が増します。
- アルコール依存症の診断書や医師の意見書
アルコール依存症が確認された診断書や、医師の意見書は重要な証拠です。これにより、依存症が家庭に及ぼす影響を客観的に示すことができます。治療の記録なども有用です。 - 配偶者の問題行動の記録
アルコール依存症が原因で生じた暴力やモラハラの証拠を集めます。例えば、ケガやあざの写真、医師の診断書、暴力や暴言の録音や録画、警察やシェルターへの相談記録などが役立ちます。 - 日常生活の記録
その他、日常生活や家庭の状況を記録した日記やメモも、状況をわかりやすく説明する役に立ちます。
慰謝料請求は、離婚と共に求めるときには、離婚問題の解決と同様に、まずは協議・調停で話し合い、決裂する場合には裁判で請求します。また、必ずしも離婚と同時に請求する必要はなく、その場合には、離婚調停でななく、損害賠償請求訴訟で争います。
なお、裁判で慰謝料が認められてもなお、相手が支払いを拒否したり、支払能力がなかったりする場合には、強制執行によって給与や銀行口座を差し押さえる方法によって回収します。強制執行の手続きは複雑なので、弁護士のサポートを受けながら対応するのがお勧めです。
「モラハラの証拠」の解説

アルコール依存症の配偶者と結婚生活を続ける場合

アルコール依存症の配偶者と結婚生活を続けることを選択したときの注意点についても解説します。依存症の人と夫婦生活を続けるのは並大抵の努力ではありませんが、適切な支援や対応を取ることで、乗り越えている家庭もあります。
夫や妻の酒癖が悪いと、家族や友人、周囲の人から離婚を勧められることがあります。しかし、アルコール依存症だからといって安易に家族を見捨てると、後悔する結果となるかもしれません。少なくとも、次のような支援の活用や適切な対応を念頭に置いて、「本当に離婚を決断すべきケースかどうか」を慎重に考えるようにしてください。
必要な支援を理解する
夫婦生活を継続するなら、現状を正しく理解することから始めましょう。
アルコール依存症は単なる「飲み過ぎ」ではなく、治療が必要な「病気」です。したがって、医師の診察を受け、治療について専門的な見解を聞く必要があります。依存症の治療は専門家の指導が不可欠なので、家族で全て背負い込まないようにしてください。
アルコール依存症の人は自覚がなく、治療を拒否することも多いです。配偶者に治療の必要性を伝える際は、責めるのではなく、共感を示しつつ協力を求める形がよいでしょう。「一緒に乗り越えたい」といった前向きな姿勢を示すのがポイントです。
医師やカウンセラー、専門機関を利用する
アルコール依存症の治療は、専門の医療機関で行うのが最も効果的です。依存症の知見の深い医師なら、適切な治療計画を立てることができます。断酒会やリハビリテーション施設、自助グループなど、同じ悩みを抱える人との交流も、自覚を芽生えさせるのには効果的です。
アルコール依存症の夫や妻と生活すると、家族も精神的に不安定となってしまうことがあります。家族自身もまたカウンセリングを受けるなど、心理的な負担の軽減を図ることが大切です。
アルコール依存症を理由とする離婚によくある質問
最後に、アルコール依存症を理由とする離婚においてよくある質問に回答しておきます。
アルコール依存症の親は親権を得られる?
アルコール依存症になってしまった配偶者が、離婚時に親権を得ることは難しい場合が多いです。家庭裁判所は「子の福祉」を最優先に親権を判断するのが実務ですが、アルコール依存症に伴う不安定な生活環境では、相手に親権が渡る可能性が高いです。
暴力や虐待があったり、経済的に不安定で必要な教育や医療が提供できていなかったりすると、親権者として不適切だと評価されます。なお、依存症が治療によって改善されている場合には、様々な要素を総合的に考慮して、親権を獲得できる場合もあります。
アルコール依存症の配偶者が治療を拒否するときは?
アルコール依存症になってしまったとしても、離婚を避けようとして、夫婦協力の上で治療を試みようとする家庭もあります。しかし、配偶者が治療を拒否することも多いため、次のような点を心がけて、粘り強く説得してください。
- 専門家の助言を受ける
まずは、依存症に詳しい専門医などのアドバイスを受けてください。 - 支援機関を活用する
自助グループや断酒会などの支援機関もあります。「病気だから治療しよう」といっても本人が反発するときは、軽い活動から着手するのも有効です。 - 複数の家族が協力する
例えば「旦那が妻の言うことを聞いてくれない」といったケースは、義理の両親を頼ることで解決できることがあります。子供が成熟している場合は、子供の協力を得るのもよいでしょう(子供が幼い場合には悪影響があるため避けてください)。
それでも治療を拒否する場合、自身や子供のの安全と生活を守るには、離婚を視野に入れて検討を進めることとなります。
アルコール依存症の元配偶者との離婚後の関係は?
アルコール依存症という問題があって離婚した場合にも、子供の面会交流や養育費の支払いのために、離婚後もある程度関係を保つ必要のあるケースもあります。このとき、通常の離婚の場合にもまして、面会交流や養育費のルールについて、離婚時にしっかり取り決めておく必要があります。
養育費は、支払いが滞ったら強制執行による差押えができるよう、公正証書や調停を通じて定めるべきです。また、必要な連絡は弁護士を介して行うことで直接の接触を最小限にし、無用なトラブルを防止するのがお勧めです。
まとめ

今回は、アルコール依存症を理由にした離婚について解説しました。
アルコール依存症は、家族に重大な被害を与え、乗り越えるのは非常に困難です。アルコール依存症の夫や妻との離婚は、通常のケースにもまして複雑で、精神的負担も大きいです。証拠を集める必要があり、配偶者が同意しないケースも多いので慎重に進める必要があります。「見捨てたと思われるのではないか」という罪悪感や葛藤もあるでしょう。
しかし、自分や子供の幸せを考えると、離婚せざるを得ないケースもあります。
アルコール依存症を理由に離婚するかどうか迷うとき、弁護士に相談して、状況に応じたアドバイスを受けるのがお勧めです。離婚問題に精通した弁護士なら、アルコール依存症を理由に離婚できるかどうか判断し、有利に進めるための証拠収集や慰謝料請求のサポートが可能です。
- アルコール依存症が強度なら、法定離婚事由となり、離婚することができる
- アルコール依存症を理由に別居する前に証拠を集めておく
- アルコール依存症での離婚が、親権の獲得に悪影響とならないよう注意する
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