専業主婦(主夫)やパート勤務など、結婚中の収入が限られていた方にとって、離婚後すぐに経済的に自立するのは容易ではありません。離婚後の生活が不安なとき、請求を検討すべき重要な支援が「扶養的財産分与」です。
扶養的財産分与とは、離婚によって一方の配偶者が生活に困窮する場合に、他方の配偶者が一定期間または一定額の金銭を支払う制度であり、財産分与の一種です。主に、専業主婦だった方や、病気や障害、高齢などの理由で就職が難しい方の生活再建を目的としますが、誰にでも認められるわけではありません。あくまで例外的な支援なので、相場や期間に明確な基準はなく、適正な額を受け取るには相手との交渉が必要です。
今回は、扶養的財産分与が認められるケースと、金額の相場や期間について弁護士が解説します。
- 扶養的財産分与は、離婚後の生活が困窮する場合に例外的に認められる
- 経済的自立に必要な最低限度の期間・金額のみ認める例が多い
- 扶養的財産分与を請求する際は、生活や健康面での懸念点を強調する
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扶養的財産分与とは

財産分与とは、離婚する際、夫婦が婚姻中に築いた財産を適切に分配する手続きのことで、主に以下の3つの種類があります。
- 清算的財産分与
夫婦が婚姻期間中に共同で築いた財産を公平に分けるもの。名義によらず、結婚後に得た財産を対象とし、専業主婦で収入がなくても、育児や家事の貢献を評価して2分の1ずつとするのが原則です。 - 扶養的財産分与
離婚後に生活が困難になる配偶者を救済するために支払われるもの。例えば、長年専業主婦をしていて離婚後すぐに就職することが難しい場合、生活が安定するまでの一定期間、金銭的な支援を行うなどの内容です。 - 慰謝料的財産分与
配偶者の不貞やDVなどで精神的苦痛を受けた場合に、その補償の意味合いで支払われる財産分与。
扶養的財産分与は、この中でも、経済的に弱い側の、離婚後の生活を支えるために認められる特別な財産分与であり、基本となる清算的財産分与とは異なる性質があります。
扶養的財産分与の目的は、離婚後に生活が困難になる配偶者を救済し、経済的に自立するまでの支援をすることです。婚姻中に一方の収入に依存していた家庭では、離婚後にもすぐに働くことができない場合、配偶者の生活を一定期間支援する必要があります。特に、長年専業主婦(主夫)だった人にとって、突然収入を得るのは容易ではありません。
また、結婚によってキャリアを中断していた場合、再就職までに期間を要することが多く、かつ、結婚前と同程度の収入を確保できるとは限りません。場合によっては、職業訓練や資格取得など、キャリアを再構築するための準備期間を要することもあり、その間の援助が必要となります。高齢や持病などにより、そもそも就労が困難な人もいます。
「離婚時の財産分与」の解説

扶養的財産分与が認められるケース

次に、扶養的財産分与が認められる可能性のあるケースについて解説します。
扶養的財産分与は、本来なら結婚中にしか認められない夫婦の相互扶助義務について、経済的困窮を救済するために例外的に一定期間だけ延長することを意味します。そのため、離婚後に経済的自立が難しい配偶者など、あくまで例外的なケースに限って認められるものです。
以下のケースは、扶養的財産分与の認められやすい一例です。
専業主婦などで安定収入がない場合
専業主婦など、結婚中に安定した収入がない場合、離婚後すぐに収入を得るのは困難なことも多いです。例えば、夫の収入に依存していた専業主婦が典型例で、結婚期間が長く、社会経験が少ないほど、離婚してすぐに就職活動をしても収入を得るには時間を要します。
この場合、その間の生活を支えるために、扶養的財産分与が認められやすくなります。結婚中はパートとして扶養の範囲で働くなど、離婚後の生活費をまかなえるほどの収入のないケースも同じく、扶養的財産分与が認められる可能性があります。
高齢や病気で働くことが難しい場合
高齢だと、離婚後の再就職は難しいことがあります。例えば、50代後半や60代で熟年離婚した場合、既に定年を超えていることもあり、新たに仕事を見つけるのは簡単ではありません。特に、長年家庭に入っていた人は職業経験やスキルが不足し、就労機会を得づらいでしょう。高齢だと、健康状態も良好でなかったり、再婚の可能性が低かったりといった問題もあります。
再就職が事実上難しいと判断されると、一定期間の扶養的財産分与が認められやすくなります。また、慢性的な持病があってフルタイムの勤務が難しかったり、障害があることで就労できる業種に制約があったりする場合も、扶養的財産分与が認められる可能性があります。
病気の原因が、DVやモラハラにあるなら、その責任を追及して慰謝料も請求できます。
「精神病を理由とする離婚」の解説

結婚によってキャリアを中断した場合
夫婦の役割分担がはっきりしていると、夫や妻のいずれかがキャリアをあきらめざるを得ないことも少なくありません。例えば、結婚によって仕事を辞め、家庭に専念した場合、離婚した後で再就職できたとしても、結婚前と同程度の収入を確保するのは相当難しいでしょう。
長期間働いていない場合には、職場復帰のハードルが高くなるため、扶養的財産分与が考慮されやすくなります。資格取得や職業訓練を受けるなどして収入を向上させようとする場合、このような学習や準備にかかる期間を確保するために扶養的財産分与が認められる例もあります。
未成年の子供を監護している場合
未成年の子供がいる場合は養育費が払われますが、あくまで「子の養育にかかる費用」であり「親の生活費」はカバーしていません。一方で、幼い子供を抱えているとフルタイムでの就職が難しく、短時間勤務や在宅ワークを選ばざるを得ない結果、収入が不足するおそれがあります。
そのため、子育てが落ち着くまでの間、扶養的財産分与を認めるという判断をするケースがあります。特に、子供に重大な疾患や障害がある場合など、監護親の収入や養育費だけでは生活が厳しくなると予想されるケースは、支援が認められやすいです。
「子供がいる夫婦の離婚」の解説

扶養的財産分与の金額の相場はいくら?

次に、扶養的財産分与の相場の目安や計算方法について解説します。
扶養的財産分与は、離婚後の生活が困難になる配偶者を支援するために、例外的に払われるものなので、その金額に明確な基準や相場がありません。家庭裁判所によって認められる場合は、夫婦間の収入差や結婚中の生活水準、婚姻期間などを考慮しながら、適正な金額が決定されます。
扶養的財産分与は、あくまで例外的なものなので、裁判所で認められるとしても、金額や期間については必要最小限とされるのが通例です。
扶養的財産分与の相場の目安
婚姻中の夫婦には相互扶助義務があり、その一環として生活費(婚姻費用)を分担する義務を負います。その相場は「養育費・婚姻費用算定表」に基づき、夫婦の収入差や子供の年齢・人数によって算出するのが一般的です。
これに対し、離婚後は、相互扶助義務はなくなり、子供がいるなら養育費を支払うべきですが、子供がいない場合にまで元配偶者の生活を保障する責任は負わないのが原則です。扶養的財産分与は、この原則を貫くと一方の生活が困窮しかねない事態で例外的に認められるものなので、婚姻費用よりは低額とされるのが通常です。
実務的には、婚姻費用は、夫婦が同一の生活を保持できる程度の金額とされますが、扶養的財産分与ではそこまでの支払いは認められず、生活を維持し、経済的自立の準備を進めるのに最低限の金額程度を認めることが多いです。
「財産分与の割合」の解説

扶養的財産分与の具体的な計算方法
裁判所で扶養的財産分与の金額を決定する際、考慮される要素には次のポイントがあります。
支払う側の収入
支払う側(通常は「夫」)の年収や財産の状況が考慮されます。公平の観点から、離婚時に夫側の年収や資産が多いほど、扶養的財産分与の金額は高くなる傾向にあります。
受け取る側の経済状況
受け取る側(通常は「妻」)がどの程度の収入を得られるかが考慮されます。
専業主婦であった歴が長く、再就職が難しいほど、扶養的財産分与の金額は高くなる傾向があります。逆に、資格を有していたり、スキルや能力が高かったりなど、離婚後すぐにも仕事を見つけ、十分な収入を得られる可能性が高い場合には、認められるとしても金額が少額であったり、支払い期間が短かったりすることが多いです。
婚姻期間の長さや離婚後の生活再建の見込み
婚姻期間が長いほど、離婚後に一方の配偶者が困窮する可能性が高く、扶養的財産分与の金額が高くなったり、支払い期間も長くなったりする傾向にあります。裁判所は、受け取る側が、どの程度の期間で経済的に自立できるかを考慮して支払い期間を設定するのが通常です。
当事者の意向や離婚の希望
離婚に関する協議の結果として、夫婦の合意で扶養的財産分与を定める例もあります。
このとき、上記のような考慮要素のほか、当事者の意向も金額に反映されます。例えば、夫が不貞行為をしていたなど有責配偶者であり、妻の同意を得ずに一方的に離婚するのは困難なとき、それでもなお離婚に応じてもらう条件として、相当額の扶養的財産分与を提案するケースがあります。
「離婚成立に必要な別居期間」の解説

扶養的財産分与の支払い方法
扶養的財産分与の支払い方法には、いくつかのパターンがあります。
支払う側に十分な資力があるときには、離婚時に一括払いとされる例がある一方で、支払う側も余力が必ずしも十分でなかったり、生活保障の意味合いで毎月渡すのが適していると考えられるケースでは分割払いとされることもあります。
また、金銭による支払いによるものだけでなく、次のような解決例もあります。
- 同居していた自宅を無償で譲渡する。
- 離婚後も家に住み続けることを認め、ローンの支払いを継続する。
- 支払うべき慰謝料を、扶養的財産分与と相殺して減額する。
「離婚に伴うお金の問題」の解説

扶養的財産分与の支払い期間はいつまで?

次に、扶養的財産分与がいつからいつまで払われるか、期間について解説します。
扶養的財産分与は、離婚後の経済的自立を支援する目的で払われるので、夫婦の経済状況に応じて個別に判断されます。一括払いのケースもあれば分割払いのケースもありますが、支払いが終了する時期についても、どのような例があるかを知っておいてください。
一時金か分割払いか
扶養的財産分与の支払いは、一括払いと分割払いのそれぞれの例がありますが、いずれが状況に合うか、特徴やメリット・デメリットを比較して検討してください。
一括払いのケース
一括払いのケースでは、その支払い時期は「離婚時」とするのが通例です。つまり、離婚時に、まとまった金額を一時金として、扶養的財産分与の意味合いで支払う方法です。
支払う側にとっては、早期に支払い義務を終えられるメリットがある一方で、一定の資産がなければ逆に生活が苦しくなるおそれがあります。受け取る側にとっては将来の生活設計がしやすいですが、一度に受け取った後に計画的に費消しなければなりません。
婚姻期間が短く、扶養的財産分与といえどさほど高額は必要ないケースや、支払う側にまとまった資産がある場合に、一括払いが選ばれる傾向にあります。
分割払いのケース
分割払いのケースでは、「毎月末日限り」などといった支払い期限を設定します。
分割払いだと、生活費として継続的に受け取れるメリットがありますが、一度にまとまったお金は手に入りません。婚姻期間が長く、離婚後にいつ就職できるか見通しが立ちづらい場合などは、扶養的財産分与を分割払いとするのに適したケースです。
分割払いの場合には、次章に解説する通り、「支払い期間」の問題が生じます。
扶養的財産分与の支払い期間の目安
扶養的財産分与は、無期限というわけではなく、一定期間を定めるのが通例です。実務では、およそ1年から3年程度と設定する例が多いです(一度期間が定められると、その期間中に十分な収入が確保できなかったとしても、それ以上の請求は認められません)。
次のようなポイントについても、相当な期間を知る際の参考にしてください。
経済的自立にかかる期間が考慮される
扶養的財産分与の目的からして、離婚後に経済的自立をするのに必要な期間を、個別の事情に応じて検討するのが通例です。例えば、高齢であって今後就労できる可能性が低いケースや、重度の精神疾患があって就労不能のケースなどは、長期間の扶養的財産分与を認めた裁判例が存在します。
逆に、就職して安定した収入を得たことを条件に、支払いを終了させる例もあります。
事情変更により扶養的財産分与が途中で終了する場合がある
扶養的財産分与は、離婚後に困窮する人のサポートが目的です。そのため、支払い期間が満了する場合のほか、支援を必要とする事情がなくなった場合にも、終了することがあります。
扶養的財産分与の終了事由となるのは、例えば次の事情です。
- 受け取る側が相当な財産を取得した場合
例えば、相続や宝くじの当選など、多額の財産を得て経済的自立が可能な場合は、支払いを打ち切るべきケースがあります。 - 受け取る側が再婚した場合
扶養的財産分与が認められるには、他に頼るべき人や収入がないことが条件です。再婚すれば、新たな配偶者から経済的支援が見込めるので、支援の必要はなくなります。 - 当事者が死亡した場合
扶養的財産分与は、受け取る側が死亡すれば支援は不要となるので、当然に終了します。一身専属的なものであって相続されないので、支払う側の死亡によっても終了します。
これらの事情は、裁判所で終了事由として設定されるほか、当事者の話し合いで決定する場合には、離婚協議書に「扶養的財産分与は、以下の条件を満たした場合には支払い義務が消滅する」などと記載するのが有効です。
「離婚協議書の書き方」の解説

扶養的財産分与が一生続くケース
家庭や夫婦の事情、離婚の経緯によっては、扶養的財産分与の支払い期間を定めない、つまり、一緒支払い続けるというケースもあります。経済的自立に必要な期間だけ認められるのが基本ですが、そもそも、今後の経済的自立が不可能という事例もあるからです。
例えば、熟年離婚であって、相当高齢での離婚となるケースで、これから新しく職を探すのは現実的でなく、夫婦で貯めた財産のみで生活をせざるを得ないという事例が該当します。特に、他方の元配偶者が十分な資産を持っていたり、今後も高い収入が維持できたりするケースでは、扶養的財産分与は相当長期間認められる可能性もあります。
扶養的財産分与を請求する方法

次に、扶養的財産分与を請求する方法について解説します。
扶養的財産分与は、離婚後の生活保障を目的とするため、離婚の話し合いと同時に決めるのが一般的です。まずは協議によって話し合い、合意できない場合には離婚調停を申し立て、調停不成立となったら離婚裁判(離婚訴訟)を提起するという流れで進めます。
協議による請求
扶養的財産分与は、財産分与の一部として扱われます。財産分与は、離婚時はもちろん、離婚後でも離婚成立から2年間は請求することができますが、扶養的財産分与は離婚後の生活を保障するためのものなので、離婚時の話し合いの中で交渉するのが一般的です。
協議では、「長年専業主婦だったので、すぐには仕事が見つけられず生活できない」など、扶養的財産分与が必要となる理由を伝えて交渉してください。受け入れてもらいもらいやすくするには、収入差や今後の生活費を計算し、必要な金額を具体的に伝えるのがポイントです。
合意が成立したときは、証拠化するために離婚協議書を作成します。公正証書にしておけば、支払いが滞った場合に裁判を経ずに強制執行が可能になります。
「離婚協議書を公正証書にする方法」の解説

調停・裁判による請求
相手が支払いを拒否したり、話し合いに応じなかったりする場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、その中で扶養的財産分与について話し合い、不成立で終了する場合には、引き続き、離婚裁判(離婚訴訟)を提起して争うことができます。扶養的財産分与の請求は、通常の財産分与や慰謝料などに加えて請求できる例外的なものなので、判決など、裁判所の強制的な決定がないと支払う側も協力的に応じてくれない可能性があります。
調停では、調停委員が中立の立場で互いの意見を調整し、合意を促進してくれます。また、その後の裁判では、妥当な扶養的財産分与の期間や金額について裁判所の判決が下されます。
裁判手続きで、扶養的財産分与を認めてもらうには、経済的に困窮することを証明する証拠を準備する必要があり、例えば次の資料が役立ちます。
- 生活費の試算
離婚後に必要な生活費(家賃、食費、医療費など)の内訳を整理しましょう。 - 収入の証明
収入が乏しく、上記の生活費の支払いが苦しいことを証明します。例えば、給与明細や源泉徴収票、確定申告書、課税証明書などが役立ちます。 - 婚姻期間中の生活状況
専業主婦だったこと、出産や育児でキャリアを中断したことなどを示す資料を提出します(例:退職証明書や配偶者の扶養に入っていることを示すもの)。


扶養的財産分与を有利に進めるポイント

最後に、扶養的財産分与を有利に進めるための注意点と、できる限り家庭裁判所に考慮してもらうために、有利になる事情について解説します。
他に資産や頼るべき人が存在しないことが重要
他に資産があったり、親族や再婚相手など、頼るべき人がいたりする場合には、自分に経済力がなかったとしても、扶養的財産分与の請求は認められない傾向にあります。したがって、自身の名義の収入や財産がないだけでなく、他に資産も頼るべき人もいないことを主張すべきです。
また、離婚時の条件として、慰謝料や清算的財産分与として多額の金銭を得ている場合にも、これによって経済的自立の準備が十分にできると考えられると、扶養的財産分与までは認められないおそれがあります。したがって、離婚時に得られた給付では十分でないことを、生活費のシミュレーションなどをもとに説明する必要があります。
支払う側の有責性を強調する
支払う側に有責性があると、「やむを得ず離婚せざるを得なかった」「準備する余裕がなかった」ということができ、扶養的財産分与が認められやすくなります。
不貞行為(不倫や浮気)、DVなどで離婚するしかないとき、自身の希望するタイミングではない時期に別れなければならず、その後の困窮について相手の責任を追及すべきです。ちなみに、破綻の原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求が認められるには、8年〜10年の別居期間を要するとするのが裁判実務なので、離婚に同意することの交換条件として、扶養的財産分与を支払うよう要求する手も有効です。
なお、現実問題として、扶養的財産分与の請求が認められるには、相手に経済的な余力があることが必要なので、相手の財産状況を把握しておかなければなりません。
「相手の財産を調べる方法」の解説

扶養的財産分与と養育費は区別する
扶養的財産分与と養育費とは、区別して考えるべきです。
いずれも、離婚後の生活を支えるための経済的支援である点は共通しますが、目的が異なるためです。養育費は、子供の養育にかかる費用に充当されるのに対し、扶養的財産分与は、離婚した元配偶者の生活支援を目的としている点に違いがあります。
したがって、養育費を受け取れる場合でも、扶養的財産分与を請求できます。例えば、専業主婦であった妻が離婚後に収入がなく、就労も困難な事情があるため養育費だけでは生活が成り立たない場合、扶養的財産分与が認められる可能性があります。
「養育費が支払われないときの対応」の解説

まとめ

今回は、扶養的財産分与について解説しました。
扶養的財産分与は、財産分与の中でも、離婚後に生活が困難になる配偶者を支援するためのものです。離婚後は夫婦の相互扶助義務はありませんが、経済的自立までの一時的なサポートとして、裁判例でも認められているケースがあります。そのため、請求する際は、病気や障害、高齢などで就労が困難であるなど、扶養的財産分与の必要性を主張しなければなりません。
特に、専業主婦だった場合や、婚姻期間が長くキャリアを中断していた場合、相手に不貞行為などの有責性がある一方で資産は十分にある場合などは、扶養的財産分与が認められやすいです。
とはいえ、通常の清算的財産分与に比べると認められている例が少なく、「支払いたくない」と拒絶されることもあるでしょう。有利に交渉したり、裁判で扶養的財産分与を認めてもらったりするには、弁護士のサポートを受けるのがお勧めです。
- 扶養的財産分与は、離婚後の生活が困窮する場合に例外的に認められる
- 経済的自立に必要な最低限度の期間・金額のみ認める例が多い
- 扶養的財産分与を請求する際は、生活や健康面での懸念点を強調する
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/
財産分与は、結婚期間中に形成された資産を整理し、公平に分割するための重要な手続きです。財産の評価方法や分割の割合などが争われると、法律知識に基づいた解決が必要となります。
トラブルを未然に防ぐために、以下の「財産分与」に関する詳しい解説を参考に対応してください。