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離婚裁判で控訴すべき?控訴審の流れや費用、判決が覆る確率を解説

離婚裁判で判決が出ても、不服があれば控訴することができます。

相談者

判決にどうしても納得できない

相談者

判断が不公平なのではないか?

離婚をはじめ、日本の司法は「三審制」です。第一審の判決は最終結論ではなく、不服なら、控訴という手段を取ることができます。ただし、控訴には、判決の送達後2週間以内という期限がある上、費用もかかります。そのため、感情的な反発だけで控訴を決めるのでなく、「結論が変わる可能性があるか」を冷静に見極めるべきです。

今回は、離婚裁判における控訴について、手続きの流れや費用、判決が覆る可能性(控訴すべきかどうかの判断基準)について、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 離婚裁判で控訴するには、判決送達から14日以内に行う必要がある
  • 判決が覆る確率を上げるには、新たな証拠や法的な誤りの指摘が重要
  • 離婚裁判の控訴は、感情ではなく費用対効果を冷静に分析して決めるべき

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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離婚裁判の控訴とは

はじめに、離婚裁判の控訴とはどのようなものか、基本を解説します。

控訴とは

控訴とは、第一審の判決に不服がある場合に、上級裁判所で審査してもらう手続きです。民事訴訟では、地方裁判所・家庭裁判所の第一審判決に対し、高等裁判所に控訴できます(簡易裁判所の判決に対する控訴は、地方裁判所に行います)。

したがって、家庭裁判所で第一審を行う離婚裁判では、高等裁判所が控訴審を担当します。

控訴審では、第一審の判断に誤りがないか、事実と法律の両面から見直します。第一審を引き継ぎ、新たに提出された証拠や主張をもとに審理を継続する「続審」の形式が取られます。新たな証拠を提出して事実認定の見直しを主張することもできますし、改めて証人尋問を行うこともあります。

なお、控訴審は通常、第一審のように何度も期日が開かれることは稀で、第1回で結審するケースもあります。控訴での逆転を目指すなら、戦略的かつスピーディに動く必要があります。

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控訴の期限は判決送達から2週間

控訴の期限は、第一審の判決書正本が送達された日の翌日から起算して14日以内です。

この期限は法律上「不変期間」とされ、当事者の都合で変更や延長はできません。そのため、仕事や病気などの事情があっても、不服を申し立てるなら期限内に控訴しなければなりません。14日間を1日でも過ぎれば、第一審判決が確定してしまいます。

控訴せず、第一審判決が確定すると、その判決に強制力が生じ、その内容に従わなければ、強制執行される危険があります。

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離婚裁判で控訴したら判決は覆る?逆転の確率は?

控訴審で第一審の判決が覆る確率は、決して高くはありません。

令和6年 司法統計年報(民事・行政編)では、控訴審で第一審の判決が覆る割合は、全体の27.8%となっています。つまり、7割以上は、第一審の判決のままというわけです。

第一審の裁判官は、当事者や証人を直接尋問し、時間をかけてどちらの言い分が信用できるかを確認できます。一方、控訴審では、第一審で調べた証拠や証人については第一審の記録を参考に判断することが多いです。そのため、控訴審で逆転するには、第一審の事実認定を覆すに足る新たな証拠があったり、一審判断の法的な誤りを指摘したりといったことが必要となります。

単に同じ主張を繰り返すだけでは不十分で、証拠の見落としや法的な問題点を、的確に指摘しなければなりません。

なお、上記の数値はあくまで統計に過ぎません。

個別の事情に応じて、控訴で逆転できるケースもあるので、あきらめてはなりません。確率のみで判断せず、どうすれば勝訴が見込めるか、入念に検討することが重要です。

特に、離婚問題は、明確に法律と論理だけで割り切れるケースばかりではなく、個別の事情や夫婦の感情などが争点となることも多いものです。

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離婚裁判の控訴審の手続き

次に、離婚裁判の控訴審の手続きについて、流れを解説します。

控訴審は、控訴状の提出から判決まで、民事訴訟法の定める手続きに従って進行します。前述の通り、控訴状は、判決書の送達の日の翌日から2週間以内に提出する必要があり、1日でも過ぎると受理されない点はくれぐれも注意してください。

  1. 控訴状の提出
    控訴状は、第一審を担当した裁判所に提出します(離婚裁判の場合は家庭裁判所)。郵送でも可能ですが、期限内に確実に届くよう余裕をもって進めるのが大切です。
  2. 控訴理由書の提出
    控訴理由書は、控訴において主張する第一審判決の誤りを指摘する文書です。控訴状の提出後、原則として50日以内に高等裁判所に提出します。
  3. 控訴審の審理
    控訴審は、書面審理が中心ですが、必要に応じて、口頭弁論や弁論準備の手続きが設定されます。家庭裁判所が第一審の場合、高等裁判所での控訴審も、家庭の事情に即した柔軟な対応が取られることがあります。
  4. 和解
    離婚問題では、当事者の納得のいく柔軟な解決が最善です。そのため、控訴審においても裁判所から和解を勧められることがあります。
  5. 判決
    審理の結果、判決が下されます。期間はケースによっても異なりますが、控訴状提出から判決まで、6ヶ月〜1年程度が目安です(新証拠の採用や証人尋問が開かれるケースでは1年以上かかることもあります)。

控訴審は、第一審と比較して形式的かつ迅速に進む傾向があります。

離婚裁判の控訴審では、限られた機会で、的確に主張を伝える必要があります。また、新証拠や証人が採用されることは決して多くないので、「証拠や証人を調べる必要性(結果に大きく影響すること)」「第一審で提出できなかった理由」について、裁判所に説得的に伝えなければなりません。

控訴審を有利に進めるためにも、限られた期間で準備しなければなりません。第一審の判決書を受け取った直後から、速やかに弁護士に相談して戦略を練ってください。

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離婚裁判の控訴にかかる費用と期間

次に、離婚裁判で控訴した際にかかる費用と、その目安を解説します。

第一審判決に重大な問題があると考えても、控訴にも手間と費用がかかります。冷静に状況を分析し、費用対効果を検討する必要があります。

控訴にかかる費用の目安

控訴にかかる費用には、裁判所へ納付する費用と弁護士費用があります。

裁判所に納付する費用は、申立手数料(収入印紙代)が主となります。金額は、控訴で求める経済的利益に応じて変わりますが、原則として第一審の手数料の1.5倍です(手数料早見表)。例えば、経済的利益500万円の事案の申立手数料は、第一審が3万円、控訴審が4万5,000円となります。

弁護士費用は、依頼する法律事務所の料金体系によりますが、離婚裁判の場合、着手金(着手時にかかる費用)と報酬金(結果が生じた際にかかる費用)がかかるのが通常です。離婚調停や、離婚裁判の第一審を既に弁護士に依頼していたかどうかでも異なるので、あらかじめ見積もりを取得しておくと安心です。

なお、控訴したことで離婚が先送りになった場合、その期間中の生活費として婚姻費用を支払う必要のあるケースもあり、収入の多い側(例えば夫)にとって事実上大きな負担となります。

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控訴にかかる期間の目安

控訴審の審理期間は、事案の複雑さや争点の多さによっても変わりますが、令和6年 司法統計年報(民事・行政編)によれば、6ヶ月〜1年程度が目安となります。

半年以内に終結する事案もありますが、その多くは審理を要せず、第一審の結果が変わらないものが多いと推測されます。一方で、新たな証拠調べや証人尋問を行うケースは、1年以上を要することもあります。

離婚裁判では、第一審の判決までに長い期間を費やしてきたでしょうが、控訴は更に時間がかかり、精神的負担が続くことを覚悟しなければなりません。なお、自分が「離婚を求める側」の場合、その間も夫婦関係が破綻していたことを示すため、別居を継続することが重要なポイントです。

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離婚裁判の控訴が長引く要因

離婚裁判の控訴審が長引くのには、いくつかの要因があります。

よくある原因として、子供の親権をはじめ、夫婦のいずれもがどうしても譲歩できない争点があって、互いの意見が決定的に対立していることが挙げられます。離婚に伴う子供の問題は、金銭解決がしづらく、互いに譲歩しない場合は長期化する傾向にあります。

また、控訴審で新たな証拠や証人が申請されると、その採否の判断や証拠調べ、尋問に時間を要し、審理期間が延びる一因となります。残念ながら、配偶者に対する嫌がらせとして書面の提出を遅らせるなど、手続きの遅延を図ろうとする人も見られます。

控訴審をスムーズに進め、少しでも早く解決するためにも、長期化する事情を事前に予測し、対策しておくことが大切です。

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離婚裁判で控訴すべき?判断基準は?

離婚裁判で負けると、「控訴すべきかどうか」と悩むことでしょう。

しかし、感情的になって控訴しても、結果が変わらなければ、かえって時間と費用を無駄にし、精神的な負担が増すばかりです。

以下では、離婚裁判で控訴すべきかの判断基準と注意点を解説します。

控訴によって判決が変わるか?

控訴の目的は、第一審判決に不服があり、その判断を覆すことです。

そのため、控訴によって判断が覆らなければ意味がありません。控訴をして判断が変わる可能性があるケースとは、第一審の事実認定や法解釈に誤りがある場合です。単なる不平不満の感情だけで、判決が変わることはありません。

以下の2つの観点から、第一審の判決を精査してください。

  • 事実認定の誤り
    事実認定とは、証拠から事実を推認する過程のことです。第一審の判決に合理的でない認定がある場合、控訴審で結果が変わる可能性があります。例えば、十分な証拠があるのに不貞の事実を認めなかったケースが挙げられます。
  • 法令の解釈・適用の誤り
    認定された事実に対し、適用すべき法律や判例を誤ったり、解釈を誤ったりした場合、控訴審で結果が変わる可能性があります。例えば、財産分与の範囲について、民法及び判例とは異なる判断をしたケースが挙げられます。

裁判官の下した判決の誤りを見つけるには、法律知識が必要となります。そのため、控訴を検討する場合、第一審の判決を受け取ったらすぐに、離婚問題に精通した弁護士に判決書を見せ、専門家の視点でアドバイスをもらうことが不可欠です。

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新たな証拠が見つかったか?

新たな証拠が見つかった場合、控訴を考えてもよいでしょう。典型的には、第一審判決後の事情や、その証拠であり、次の具体例が挙げられます。

  • 相手が隠していた財産が判明した。
  • 第一審で協力を得られなかった重要人物が証言に応じれくれた(例:不倫相手の配偶者など)。
  • 第一審判決後に、新たな不貞が発覚した。
  • 相手の不貞行為やDVの事実を決定づける、新たな写真、音声データ、電子メール等が発見された。

第一審で提出できたはずの証拠は、控訴審での提出が完全に禁止されるわけではないものの、裁判官に軽視されるリスクがあり、少なくとも第一審で提出しなかった理由は説明すべきです。

なお、民事訴訟法156条は、攻撃または防御の方法は適時に提出すべきと定めており、あまりに提出が遅いと(控訴審判決の直前など)、裁判官の訴訟指揮によって「時期に遅れた攻撃防御方法」として却下されるおそれもあります。

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金銭的な請求に関する争点か?

離婚条件の中でも、金銭に関するものは判断が変わりやすい傾向にあります。

具体的には、財産分与や慰謝料といった金銭請求については、新たな証拠を提出することで判断が変更される可能性があり、控訴を検討する価値があるでしょう。

例えば、次の離婚裁判では、控訴を考えましょう。

  • 財産分与で、相手が隠していた財産が発覚した。
  • 財産分与で、分与額を見直すべき証拠が発見された。
  • 不動産や株式などの変動しやすい財産で、評価方法に大きな誤りがあった。
  • 慰謝料請求の根拠となる決定的な証拠が入手できた。

離婚における金銭請求は、新たな証拠によって「勝ちが負けになる」「請求が全くゼロになる」といった大きな変更はされなくても、控訴することで増額されたり減額されたりする可能性もあります。

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判決が覆りにくい争点ではないか?

一方で、控訴をしても覆りにくい争点もあります。

代表例として「親権者の指定」が挙げられます。親権者は、子の福祉を最優先に、これまでの監護実績や経済状況、子の年齢や意思といった事情を総合考慮して決定します。特に、第一審で家庭裁判所調査官の調査を行った場合、よほど重大な誤りや、生活環境の激変がない限り、控訴審でもその判断が尊重される傾向にあります。

また、離婚そのものを認めるかどうかも、覆すのは容易ではありません。婚姻関係が破綻しているかどうかの判断は、当事者双方の主張をもとに形成した心証に大きく影響されるからです。

このような争点に不服がある場合、控訴して判断を覆すには、第一審の誤りを指摘することのできる強力な証拠を要すると考えるべきです。

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控訴せずに受け入れたらどうなるか?

判断基準の最後に、第一審判決を受け入れた場合にどうなるかを想像しておきましょう。

控訴しないと第一審判決が確定し、主文に示された内容(離婚の可否、親権者の指定、財産分与、慰謝料、養育費など)が法的な強制力を持ちます。そして、確定した判決に従わないと、相手は強制執行の手続きを取ることも可能です。

控訴するかどうかに正解はありません。判決直後は不満でも、長い目で見れば大した問題でないこともあります。親権や養育費などは、離婚後に事情変更があれば、再び争うことも可能です。

ただし、「控訴しない」という選択をすれば、改めて争い直せない争点も多くあります。裁判離婚が成立すれば、無かったことにはできません。支払い済みの慰謝料は、不満があっても取り返すことはできません。自身の価値観や人生設計に照らし、後悔のない道を選ぶために、弁護士のアドバイスも聞きながら慎重に判断してください。

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離婚裁判の控訴で判決を覆すための対策

次に、離婚裁判の控訴で、判決を覆すための対策を解説します。

前章を踏まえ「控訴する」という決断をしたなら、ただ闇雲に不平不満を訴えるのでなく、戦略的に臨むべきです。控訴審で勝率を高めるための方法を知っておきましょう。

第一審判決の敗因を分析する

控訴審で効果的な主張をするには、第一審の敗因分析が不可欠です。

離婚裁判の控訴で第一審の判断を覆せるのは、事実認定や法解釈の誤りを指摘し、控訴審の裁判官を説得できた場合だからです。そのため、第一審の判決を精査し、「どのような根拠で判断が導かれたのか」「主張や立証に不足がなかったか」を見直してください。

敗因にもよりますが、例えば、次のような点の検討が求められます。

  • 法的な離婚事由とその立証は十分か
    離婚裁判では、民法770条の定める「法定離婚事由」を主張立証しなければなりません。具体的には①不貞、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病、⑤婚姻を継続しがたい重大な事由の5つで、いずれも認められなければ裁判離婚は成立しません。
  • 相手の有責性を立証する証拠は十分か
    有責配偶者(離婚原因について責任ある配偶者)は、慰謝料を請求される上、有責側からの離婚要求は認められづらくなります。有責性は客観的な証拠で証明する必要があるため、不貞やDVといった事実を立証できないことが敗因となるケースもあります。
  • 自身に有責性が認められていないか
    逆に、自分側が有責であると判断されたことで、慰謝料の支払いを命じられたり離婚が認められなかったりといった敗訴に繋がるケースもあります。

以上のように、複数の観点から、一審で通らなかった主張をどうすれば補強できるか、方針を練ることが重要です。

敗因の特定には法律や裁判例の知識を要するので、第一審の判決書を弁護士に見せ、専門的な視点からアドバイスをもらうことをお勧めします。

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控訴理由書の作成を入念に行う

控訴理由書は、控訴審において当事者の主張を伝える重要な書面であり、その質が、控訴審の結果を大きく左右します。

同じ主張を繰り返すのではなく、第一審における事実認定や法解釈の誤りといった「判断を覆すべき理由」を説得的に記載してください。具体的には、一審判決の該当箇所を指摘し、どのように誤っているかを説明する方法が一般的です。

なお、控訴理由書は、控訴提起から50日以内に提出しなければならず、時間の余裕は少ないと考えるべきです。期限内に効果的な書面を作成するために、弁護士の協力を得ることが重要です。

新たな証拠を収集し主張を補強する

控訴審で判断を変更してもらうには、新たな証拠の提出がポイントとなります。判決に影響を与える可能性があるものの具体例には、以下の証拠が挙げられます。

  • 不貞が原因の場合
    肉体関係があったことを明確に示す写真や動画、不貞行為を認める内容のメッセージや音声記録が有効です。
  • 暴力(DV)が原因の場合
    警察への相談記録や保護命令の申立書の他に、暴力を受けた際の怪我の写真や、医師の診断書が提出できます。
  • モラハラが原因の場合
    相手からの罵声や暴言を録音した音声データや、人格を否定する内容のメールやSNSのメッセージ記録が効果的です。

ただし、新たな証拠の提出に際しては、第一審で提出できなかった理由について、裁判官に説明する必要があります。

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離婚裁判で控訴された側の対処法

以上は「控訴する側」に向けた解説ですが、「控訴された側」の対処法も紹介します。

「相手が控訴してきた」ということは、自分が「第一審で(全部または一部)勝訴した」ことを意味します。控訴された場合、その優位性を存分に活かすために適切に対処すべきであり、無視や放置をすれば結果が変わってしまうリスクがあります。

離婚裁判で控訴されたら、提出された控訴理由書を見て、「第一審判決のどの部分に不服があるのか」「反論と新証拠がどのようなものか」を吟味し、反論するための控訴答弁書を作成します。控訴答弁書は基本的に、第一審で自身が勝訴した内容に沿って記載するのが通例です。

控訴された側でも第一審判決に不服がある場合(一部勝訴・一部敗訴の場合など)、附帯控訴が可能です。これは、相手の控訴手続きに付随して、自身に不利な判決部分の是正を求める手続きです。

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離婚裁判の控訴に関するよくある質問

最後に、離婚裁判の控訴を検討する人から、よくある質問に回答しておきます。

控訴が棄却されたらどうなる?

控訴が棄却されると、第一審(原審)の判決が維持されます。

控訴棄却の判決が送達された日の翌日から2週間以内に上告をしない限り、判決が確定します。控訴審の裁判所(通常は高等裁判所)が「第一審に誤りはない」と判断したことになり、第一審での離婚の可否や親権、慰謝料、財産分与などの内容が法的に強制力を持ちます。

その後に相手方が義務を履行しない場合、強制執行を行うことが可能です。

離婚裁判は弁護士なしでもできる?」の解説

控訴審の判決に不服がある場合、上告できる?

控訴審の判決に不服がある場合、一定の条件を満たせば上告が可能です。

ただし、上告審は最高裁判所で行われるもので、厳格な要件を満たさなければなりません。日本の司法は「三審制」を採用しているものの、上告審は、第一審や控訴審と異なり、原則として法律問題のみを審理する「法律審」とされるからです。

そのため、上告が認められるのは、判決に憲法の解釈の誤り、その他憲法違反があるときや、重大な訴訟手続の法令違反がある場合に限定され、単なる事実認定の誤りや、法令解釈の誤りでは上告は認められません。

離婚裁判で相手が来ない場合」の解説

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、離婚裁判における控訴について解説しました。

離婚裁判の判決に納得できないとき、控訴は有効な手段となります。控訴は、第一審判決に不服を申し立てるため、法的に保障された手続きです。ただ、控訴審では、第一審の判断が覆って逆転できるケースがある一方、必ずしも有利な結果になるとは限りません。また、費用や時間的な負担があることも無視できません。

感情的に突き進んでも、リスクを恐れてあきらめても、後悔に繋がります。納得いく解決とするため、「控訴すべきかどうか」、法的な観点から弁護士に分析してもらうのが有益です。

控訴は、判決書を受け取ってから14日以内という短い期間で判断しなければなりません。限られた期間内に、後悔のない判断をするためにも、控訴で逆転するチャンスがあるかどうか、弁護士にお気軽にご相談ください。

この解説のポイント
  • 離婚裁判で控訴するには、判決送達から14日以内に行う必要がある
  • 判決が覆る確率を上げるには、新たな証拠や法的な誤りの指摘が重要
  • 離婚裁判の控訴は、感情ではなく費用対効果を冷静に分析して決めるべき

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参考解説

離婚裁判を有利に進めるには、法律知識のほか、不貞やDVを証明するための証拠の収集が欠かせません。

以下の解説を参考に、訴訟に必要な準備や対応のポイントを理解し、戦略を立てる手助けとしてください。

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