弁護士法人浅野総合法律事務所では、労働問題の弁護士業務に注力しています。労働問題は、労働者側の立場だけでなく使用者側(会社側)の立場の主張も理解して行わなければならず、法律、裁判例の知識はもちろん、社会保険制度に対する理解なども求められる専門性の高い分野です。
そして、労働者側の立場で労働問題を解決するためには、労働紛争に関連する証拠が使用者側(会社側)に管理されており、労働者側では容易に入手することができないという、いわゆる「証拠の偏在」の問題を乗り越えなければなりません。労働者側で、可能な限りの証拠収集を尽くすためには、労働審判や裁判における手続的なルールを理解する必要があります。
加えて、労働分野では、労働者保護の観点から、裁判手続きだけでなく労働審判や保全処分など、様々な解決方法の中から最適なものを選択する必要があります。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、最適な解決策を提案するため、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則、解雇理由書といった客観的な資料をもとにし、豊富な経験に基づいた解決見通しを、丁寧にご説明します。
労働問題全般に関する法律相談
労働問題の法律相談では、特に労土砂側の場合、会社からの不当な処分、違法な取り扱いや強いプレッシャーにより、精神的に疲弊し、ケースによってはうつ病は適応障害などの精神疾患(メンタルヘルス)にり患してしまっていることも少なくありません。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、労働者側の相談者の負担をできる限り少なくして、弁護士が率先して方針をご提案しながら、最適な解決へ進めるようサポートします。
労働問題は、会社との争いであれ、社長や上司個人との争いであれ、会社組織全体と個人が戦わなければならないことから、労働者に大きな負担がかかることを理解しています。会社から不当な処分を受けた時には、できるだけ早い段階でご相談いただくことが、有利な解決にとって役立ちます。
使用者側(会社側)の処分理由、主張が明らかにされているときは、ただちにこれに対する反論を作成します。また、使用者側(会社側)の処分理由、主張が明らかにされていないときや、示されていても不十分かつ抽象的な場合には、弁護士名義の質問状を送付し、言い分を明らかにした上で、証拠収集、反論へ進みます。
会社との間で裁判手続きにまで進むことを、経済的負担や時間の面で躊躇する場合であっても、弁護士に依頼して交渉をすることで、納得のいく解決に到達できることも少なくありません。
不当解雇、雇止め
労働契約の終了には、労使の合意による終了である「合意退職」、労働者の一方的な意思表示による終了である「辞職」、会社の一方的な意思表示による終了である「解雇」があります。
解雇には、普通解雇、整理解雇、諭旨解雇、懲戒解雇などの種類があります。
解雇は、使用者側(会社側)からの一方的な解約であり、労働者の承諾なく行われるものであることから、労働者の不利益を小さくするため、一定の制限が付されています。つまり、解雇権濫用法理により、客観的に合理的な理由がなく、社会的に相当でない場合には、「不当解雇」として解雇は違法、無効となります。また、30日前の解雇予告か、不足する日数に相当する平均賃金分の解雇予告手当が必要です。
また、有期雇用(期間の定めのある労働契約)を、更新せず、期間満了により終了することを「雇止め」といいます。「雇止め」もまた、労働者に、保護すべき程度の雇用継続の期待が生じている場合には、解雇権濫用法理が類推適用され、解雇と同様の基準で違法性が判断されます。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、解雇に関するトラブルを多く取り扱い、地位確認請求、慰謝料請求を行うほか、労働審判によって解雇を争い、解決金を得ることによる解決を目指すサポートができます。
- 能力不足を理由とした解雇について、解雇無効を主張した結果、解決金として月額賃金の6か月分を取得することができたケース
- 会社の業績を理由とした整理解雇について、解雇回避の努力を尽くしていないことを主張し、解雇無効の判決を得たケース
退職勧奨、退職強要
労働契約の終了のうち、労働者の意思表示による終了である「辞職」であっても、労働問題が起こることがあります。それが、「退職強要」の問題です。
会社が、労働者に対して退職を勧めたり、一定の条件をもとに退職をする人を募集したりすることを、「退職勧奨」といいます。退職勧奨は、労働者が自由な意思で合意解約や辞職を選択することができるのであれば適法ですが、社会通念上の受忍限度を超えた圧力により退職を強要することは違法です。
労働者には、退職勧奨に応じなければならない義務はありません。退職勧奨を断ることがどうしてもできない状態に追いやられたときには、違法な退職強要と評価できます。
退職強要に対しては、断固として拒絶の意思を示し、それでも続く場合には、弁護士名義で通知書を送付し、退職強要を止めるよう警告する方法が有効です。通知書を送付してもやまない場合には、退職勧奨や退職強要を差し止める仮処分を申し立てたり、損害賠償請求を行ったりすることができます。
- 違法な退職強要が行われたことを主張立証し、退職の意思表示を撤回することに成功したケース
- 退職勧奨が、実質的には解雇に等しいものであったことを主張立証し、解雇の撤回を求めた上で、解決金を受領することによって解決したケース
未払残業代
労働問題に関する相談でよくあるのが、未払残業代に関する問題です。法律の専門用語で「時間外手当」といいます。不当解雇やセクハラ、パワハラなど、他の法律問題のご相談の場合であっても、そのような労働問題が起こってしまう会社では正当な残業代が支払われていないことが多いため、未払残業代に関する問題が、合わせて争点となります。
違法なサービス残業が横行していたり、タイムカードによる時間管理が適切に行われていなかったり、長時間の拘束を受けていたりといったブラック企業では、残業代請求を積極的に検討すべきです。
労働基準法にしたがって、「1日8時間、1週40時間」(法定労働時間)を超える労働、法定休日における労働(休日労働)、22時から5時までの深夜労働時間帯の労働(深夜労働)には残業代(割増賃金)を請求することができますが、これらの残業代が支払われていないだけでなく、残業を有効に行うために必要となる36協定すらない会社も、残念ながら少なくありません。
また、管理監督者、固定残業代、みなし残業手当、裁量労働制、事業場外みなし労働時間制など、労働基準法や裁判例で認められた複雑かつ高度な考え方を悪用して、正当な残業代の支払を拒む会社もあります。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、労働者側、使用者側(会社側)のいずれの立場からも残業代問題を解決した実績を武器に、請求すべき残業代を正しく計算し、解決方針のご提案をいたします。
- 飲食店の店長について、「管理職だから残業代は支払われない」との会社の主張に反論し、残業代2年分、360万円の獲得に成功したケース
- タイムカードの打刻が実労働時間を表していなかったことを指摘し、粘り強い証拠収集の末、170万円の残業代を請求したケース
退職金の不払、減額
退職金は、賃金の一部ですが、法律上支払義務があるわけではありません。つまり、退職金は法律に基づいて当然に支払われるものではなく、就業規則、退職金規程、労働協約、雇用契約書といった労働契約に定められている、か、労働慣行となっていて初めて、支払ってもらうことができます。
一方で、会社が労働者に対して退職金を支払いたくないとき、退職金規程に定められた退職金の不支給、減額規定を利用して、退職金を不支給としたり、減額したりすることがあります。懲戒解雇や懲戒処分など、在職中に労働者が企業秩序に違反する行為をしたことがその理由とされることが多いです。
しかし、退職金規程に、退職金の不支給、減額規定が定められているとしても、裁判例においては、労働者のそれまでの勤続の功を抹消または減殺してしまう程度の著しく信義に反する行為があった場合にしか、退職金の不支給、減額は認められていません。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、就業規則、退職金規程がお手元に存在しない場合でも、会社に必要な書類を求めた上で、支払われるべき適正な退職金の支払を強く要求します。
- 退職時に会社との間で主張の行き違いが生じたことを理由に、一方的に行われた退職金減額について、不当であることを主張し、退職金全額2000万円の支給を獲得したケース
- 懲戒解雇となった労働者について、懲戒解雇は撤回されないとしても退職金の2割は支払うべきであるとの判決を得たケース
労働条件の切下げ
労働契約は、労働者と使用者(会社)との約束です。そのため、使用者側(会社側)が一方的に、労働条件を切り下げることは原則として認められていません。
このことから、労働問題の中でもよくある相談として、人事異動や降格処分の問題、賃金減額、降格、降給といった、労働者側の意に反して行われる労働条件の変更が適用であるかどうかという相談があります。
労働者側として、初めに重要となるのは、このような不利益な処分を受けたとき、使用者側(会社側)が、どのような処分を、どのような理由で行ったのかを、書面などの客観的証拠に記録し、証拠化しておくことです。合わせて、労働条件の不利益な変更について同意を迫られたとしても、プレッシャーに負けて引き下がるべきではありません。「一旦持ち帰りたい」旨を述べて、回答を留保すべきです。
会社が威圧的に同意を求める場合や、異議を述べたにもかかわらず不利益な取扱いを強行するときには、ぜひ一度弁護士法人浅野総合法律事務所にご相談ください。
- 労働者への不利益の大きすぎる転勤に異議を申立て、退職する代わりに500万円の解決金を得たケース
- 従業員としての適性の不足を理由とした賃金減額について評価の不当性を訴え、不利益処分を撤回させたケース
ハラスメント問題(セクハラ、パワハラ)
会社の人間関係が原因で起こる労働問題が、ハラスメントです。ハラスメントには、パワハラ(パワー・ハラスメント:職場での力関係を利用した嫌がらせ)、セクハラ(セクシュアル・ハラスメント:性的嫌がらせ)をはじめ、マタハラ、スモハラ、アルハラ、アカハラ、スメハラなど、様々なハラスメントの造語が生み出されています。これらの造語は、ハラスメントの労働問題が、時代に応じて生じ続けていることを意味しています。
パワハラの場合、業務命令や注意指導を名目としたものであれば、業務上の必要性がなく、不当な動機、目的を有し、かつ、労働者が受忍すべき限度を超えるものについては違法と判断され、慰謝料請求をすることができます。
これに対して、明らかに不法行為となるパワハラや、セクハラは、一見して違法であることが明らかです。
更には、セクハラ、パワハラなどのハラスメント問題は、ハラスメントの直接の加害者に対する慰謝料請求だけでなく、会社もまた、労働者の生命、身体の安全を確保するよう配慮すべき義務があることから、セクハラ、パワハラを防止すべき注意義務に違反している場合、会社の使用者責任、安全配慮義務違反の責任を追及することも検討します。
- 会社主催の飲み会における上司からのセクハラについて、会社と加害者双方に損害賠償請求訴訟を提起し、各自から100万円ずつの慰謝料を獲得したケース
労災問題(過労死、過労自殺、メンタルヘルス)
職場は、一日の大半を過ごす場所です。そのため、労働環境が悪化していると、精神的、肉体的に大きなダメージを受けることがあります。長時間労働やハラスメントが横行する職場では、労働者の健康、安全が守られているとは到底いえません。
劣悪な労働環境により、労働者が過労死、過労自殺してしまったり、うつ病、適応障害などの精神疾患(メンタルヘルス)にり患してしまったりした場合、その原因が会社の業務にあるときには、労災(業務上災害)となり、労災保険法の適用を受けます。
加えて、会社は労働者に対して安全配慮義務を負い、業務によってこれらの傷病にり患させてしまったとき、安全配慮義務違反を理由として慰謝料を請求することができます。
弁護士法人浅野総合法律事務所では、軽度のうつ状態などのメンタルヘルスの事案から、過労死、過労自殺など深刻な被害を負ってしまった事案に至るまで、労災問題に関する豊富な経験を有しています。
労働審判
労働紛争が生じた場合の解決手続きは複数あり、労働者側で有利に、かつ、円滑に労働問題を解決するためには、適切な手続きを選択しなければなりません。
労働紛争の解決手続きには、裁判外の任意交渉、会社内の相談窓口の利用、ADR、労働組合による団体交渉、労働基準監督署の利用など、裁判所を利用した手続きには労働審判、保全処分(仮処分など)、訴訟といった方法があります。いずれの方法も一長一短で、メリット、デメリットがあるため、個別の労働紛争に応じた最適な解決手段をご提案します。
この中でも、労働審判は、個別的労働関係に関する紛争を、迅速かつ適切に解決を図ることを目的に制定された手続で、原則として3日以内の期日に調停(話し合い)による柔軟な解決が試みられ、最終的に労働審判という判断を得ることができる、とても有意義な制度です。
労働審判では、迅速な解決を図ることができ、かつ、法律のみではなく事案に応じた適切な解決を模索するための話し合いが行われるというメリットがあります。特に、不当解雇を争う労働紛争について、労働審判における話し合いの結果、解決金による解決を勝ち取った事例が多くあります。