労働問題

未払賃金立替払制度とは?企業倒産でも賃金を最大8割回収可能!

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未払賃金立替払制度

未払賃金立替払制度は、会社が倒産して、賃金が支払われないままに退職を余儀なくされてしまった労働者を救済するための制度です。

具体的には、未払賃金立替払制度は、「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃金支払確保法)に基づいて、倒産してしまった企業が支払うことが出来なかった賃金について、その未払賃金の一部を、国が事業主に代わって立替払いする制度です。

勤務していた会社が倒産してしまうと、突然生活の糧を失うこととなります。当然ながら、会社に勤務し続けることはできませんが、不当解雇とは異なり、法人自体が倒産でなくなってしまえば責任追及もできません。

そこで今回は、労働者保護のために、最大8割の未払賃金を回収することができる、未払賃金立替払制度について弁護士が解説します。

「労働問題」弁護士解説まとめ

未払賃金立替払制度とは

未払賃金立替払制度

不況時には企業倒産が急増します。例えば、2008年に起こったリーマンショック、2020年に起こった新型コロナウイルス禍などを原因として、企業倒産件数が急増したことからもわかります。

未払賃金立替払制度は、「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃金支払確保法)に基づいて、企業倒産に伴い、賃金を受け取ることができずに退職を余儀なくされた労働者に対して、その未払賃金の一部を、事業者に代わって国が立替払いする制度です。

企業の倒産という、労働者にとって全く責任のなく、突然の出来事によって生活を脅かされないように設けられた制度であり、独立行政法人労働者健康安全機構が運営しています。

未払賃金立替払制度の要件

未払賃金立替払制度の趣旨は、企業倒産によって賃金が未払いのまま退職せざるを得なくなった労働者の保護にあります。つまり、立替払いを受けることができるのは、「倒産」によって未払となった賃金のみです。

労働者の問題行為によって懲戒解雇されたり、能力不足、勤怠不良により普通解雇となったり、私傷病により休職となったりして、給与の満額を受け取ることができなくなったとしても、(その労働問題の違法性や責任はさておき)未払賃金立替払制度を利用して補填してもらうことはできません。

また、会社の都合により未払賃金が発生したとしても、会社が「倒産」していなければ、立替払いはなされません。この制度における「倒産」は、「法律上の倒産」と「事実上の倒産」の2種類があります。

  • 法律上の倒産
    :「法律上の倒産」とは、裁判所を利用して企業倒産の法的手続きを踏んだものをいいます。法的手続きによる企業倒産とは、債務の額が多く免責が必要であったり、再建を予定しているため公平性が必要であったりなど、厳格なルールを必要とする場合が多く、いずれの倒産手続きも、その手続きとルールが法律に定められています。
    具体的には、破産手続(破産法)、特別清算手続(会社法)、再生手続(民事再生法)、更生手続(会社更生法)の開始決定を受けた場合をいいます。
  • 事実上の倒産
    :「事実上の破産」とは、法律上の倒産手続きはされていないものの、事業活動を停止しており再開する見込みがなく、かつ、賃金の支払能力がない状態になったことについて労働基準監督署長の認定を受けた場合のことをいいます。
    既に本来の事業活動が停止して清算業務に移行している場合には、事業活動を停止しているものとされていますが、事業縮小はしたものの、未だ事業活動を継続している場合には「事実上の倒産」とはいえません。

未払賃金立替払制度の対象となる労働者

次に、未払賃金立替払制度による保護を受けるためには、労働者側でも、次の要件を満たさなければなりません。

第一に、労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業で1年以上事業活動を行っていた事業主に雇用され、企業倒産に伴って賃金が支払われないまま退職していることが必要となります。未払賃金立替払制度は、労災保険によってまかなわれるため、労災保険の適用事業で、事業活動期間が1年以上である必要があります。

労災保険は、労働者を1人以上使用している事業であれば原則として適用事業となります。

第二に、破産手続開始等の申立日(事実上の倒産の場合には労働基準監督署長への認定申請日)の6か月前の日から2年の間に退職をしていることが必要となります。これ以前に退職をしている場合には、倒産による未払賃金とはいえないと考えられるため、未払賃金があったとしても未払賃金立替払制度による立替払いを受けることはできません。

この「破産手続開始等の申立日の6か月前の日から2年の間に退職をしている」という要件は、とても厳格に判断されます。そのため、退職日がこれより1日でも早い場合には、未払賃金立替払制度の対象となる労働者には含まれなくなってしまいます。

そのため、未払賃金立替払制度の対象となる労働者に含まれるためには、できる限り長期間、会社に残り続け、働き続けたほうが立替払いを受けやすくなります。

しかしその一方で、未払賃金立替払制度の利用が予定されているということは会社の業績は悪化し続けているということです。そのため、立替払いを受けたいからといって賃金が支払われないままに長期間働き続けることそのものにも、生活に支障が生じるリスクがあります。会社にとどまって待ったからといって、会社が倒産するとも限りません。

立替払いの対象となる未払賃金と、その上限金額

未払賃金立替払制度

労働者保護のための立替払い制度を積極的に利用することがお勧めですが、しかしながら、未払賃金の全額が保障されるわけではありません。特に、賃金の未払いが長期間に及んでいたり、多額になっていたりする人は注意が必要となります。

そこで、立替払いの対象となる未払賃金と、その上限金額について弁護士が解説します。

対象となる未払賃金

未払賃金立替払制度の対象となる未払賃金は、退職日の6か月前の日から、立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している定期賃金と退職手当です。

期限は、「退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日」であり、賃金の締日ではなく、賃金の支払日を基準として判断されます。つまり「当月1日から31日までの賃金を、翌月25日払いとする」という会社の場合には、翌月25日が上記要件を満たすかどうかの判断基準となります。

「定期賃金」とは、基本給、通勤手当、役職手当、精勤手当、家族手当や時間外手当(いわゆる「残業代」)のように、毎月1回以上定期的に支払われる賃金のことをいいます。基本給などの固定給だけでなく、時間外手当や歩合給など、成果に応じて支払われるものも「定期賃金」に含まれます。

「退職手当」は、退職金規程などの会社規程類に基づいて、退職時に支給されるべき賃金のことをいいます。中小企業退職金共済(中退共)のように社外積み立てを行っている場合、その金額を差し引いた残額が、未払賃金立替払制度の対象となります。

立替払いの上限金額

未払賃金立替払制度によって立替払いされる金額は、未払賃金総額の8割とされています。ただし、退職日の年齢によって限度額が定められており、その限度額を超える金額の立替払いを受けることはできません。

未払賃金立替払制度の、退職日の年齢ごとの上限金額は次のとおりです。

退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払いの上限額
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円

なお、未払賃金立替払制度には、上限額だけでなく下限額が存在します。具体的には、未払賃金の総額が2万円未満のときには、立替払いの対象外となります。下限額については、年齢にかかわらず一律の取扱いとなります。

未払賃金立替払制度を利用する方法と、立替払いまでの流れ

未払賃金立替払制度

最後に、未払賃金立替払制度を利用するときの方法と、立替払いまでの流れについて弁護士が解説します。

なお、未払賃金立替払制度は、企業が倒産して賃金が支払ってもらえない場合の最終手段です。立替払いをあてにして将来の計画を立てることはあまりお勧めできません。企業の倒産はいつ起こるかわからず、これを予定に入れて将来の予測を立てることは非常に不確実だからです。

法律上の倒産の場合

法律上の倒産の場合には、企業の倒産について、裁判所が関与して会社破産をはじめとする法的手続きを進めています。

そのため、法律上の倒産の場合には、裁判所に申請をすることによって、未払賃金額などの必要事項を記載した証明書を受け取ることができます。

上記の証明書を受領したら、立替払請求書と共に、独立行政法人労働者健康安全機構に提出することにより、未払賃金立替払制度の利用を申請します。

事実上の倒産の場合

事実上の倒産の場合には、法律上の倒産のように裁判所が関与しないため、未払賃金立替払制度の利用方法も異なります。

事実上の倒産の場合には、初めに、労働基準監督署長に申請をして、「事実上の倒産」の認定を受ける必要があります。この認定申請は、未払賃金の立替払いを求める労働者側で行うことができます。

労働基準監督署が未払賃金額や会社の状況を調査した上で、事実上の倒産状態にあることの認定をした場合には、立替払いを受けることのできる労働者にはその旨の証明書が交付されるので、これを独立行政法人労働者健康安全機構に提出することで、立替払いを受けることができます。

立替払い後の求償

労働者の申請によって未払賃金立替払制度が利用され、労働者が立替払いによる救済を受けることができたとしても、会社の賃金支払義務はなくなるわけではありません。そのため、企業側として、「どうせ倒産するから」「立替払いができるから」という理由で無責任になってはいけません。

未払賃金立替払制度は、あくまでも労働者とその家族の生活を守るためのものであり、会社を救済する趣旨の制度ではないからです。

立替払いが利用された場合には、独立行政法人労働者健康安全機構は、労働者の承諾を得て立て替えて支払った金額分の賃金請求権を労働者から代位取得して、会社に対して求償を行います。

「労働問題」は浅野総合法律事務所にお任せください!

未払賃金立替払制度

今回は、勤務している会社が倒産してしまうとき、賃金の一部または全部の未払いが生じている労働者が救済を受けるための「未払賃金立替払制度」について弁護士が解説しました。

未払賃金立替払制度は、労働者保護のための制度であるものの、実際に会社が倒産するという事態に遭遇したとき、対象労働者に含まれるのか、上限金額がいくらなのかなど、多くの問題が生じます。また、立替払いをあてにしていると、退職せず賃金も支払われないまま働き続け、なかなか会社も倒産しない、という苦境に立たされることともなりかねません。

賃金に未払が生じたときには、立替払いだけに頼るのではなく、すぐに対処が必要です。

労働問題にお困りの方は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

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