
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
離婚調停は、離婚について裁判所での話し合い、解決を目指す重要な手続きです。
ところが、調停期日になっても「相手が来ない」という事態は決して珍しくありません。「参加してくれないと調停が進まない」「何度も欠席されたらどうするのか」と不安を抱く方も多いでしょう。申立人に有利な状況であるほど、相手方が出席を避けたくなる気持ちは理解できます。
離婚調停への出席は、強制できるものではありません。しかし、欠席が続けば調停は不成立となり、最終的に、離婚訴訟に移行せざるを得なくなります。夫婦双方にとって、時間と手間のかかる結果とならないよう、相手が来ない場合にどうすべきかを理解しておきましょう。
今回は、離婚調停で相手が来ない場合の法的ルールや影響、初回から繰り返し欠席されたときの対応策や不成立までの流れについて、弁護士が詳しく解説します。
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はじめに、離婚調停における出席・欠席のルールを解説します。
離婚調停は、夫婦間の離婚や、その条件などについて、話し合いによる合意を目指す手続きです。裁判官と調停委員が双方の間に入り、公正中立な立場から調整を行います。調停は、訴訟に比べて、柔軟な解決を目指すために、当事者双方の出席が基本であると考えられています。
離婚調停において、双方の意見を聴取し、解決を目指すために、当事者には出頭義務が課されています(家事事件手続法258条1項、51条)。
家庭裁判所は、期日呼出状を当事者に送付しますが、この書面には法的効力があり、正当な理由なく欠席すれば「5万円以下の過料」の制裁を受ける可能性があります(やむを得ない事由があるときは代理人を出頭させることが可能です)。また、繰り返し無断で欠席すると、調停が不成立として終了し、訴訟に移行する可能性が高まります。
欠席が認められる正当な理由は、体調不良や病気、出産、災害などの事情に限られます(多忙、面倒、仕事などは正当な理由にはなりません)。この場合、診断書や母子手帳、罹災証明など、欠席理由を裏付ける資料を提出すべきです。
本人の出席が原則とされるのは、調停委員が当事者から直接事情や希望を聞き取って、信頼関係を築きながら解決案を探るためです。やむを得ない理由があれば弁護士が出頭することも可能ですが、直接経験してはいない代理人のみの対応では不十分なことが多いです。

また、欠席は調停委員に悪い印象を与えるおそれがあり、場合によってはその後の話し合いの進み方や心証に影響を与えかねません。欠席が続くと「話し合いに応じる意思がない」「不誠実だ」と見なされ、不利な方向に進む可能性もあるため、出席が望ましいです。
「離婚調停を弁護士に依頼するメリット」の解説


次に、離婚調停に相手が来ない場合の対応について解説します。
相手が調停期日に欠席しても、その時点ですぐに手続きが打ち切られるわけではありません。家庭裁判所は状況を確認し、必要に応じて次の対応を取ります。
初回期日に相手が来ないと、家庭裁判所は、まず欠席理由の確認を行います。
裁判所は書記官を通じて、呼出状が届いていたか、急病や事故などやむを得ない事情があるかを確認し、欠席が偶発的なものなら、次回の調停期日を設定して再度の呼び出しを行います。呼出状を受け取っていなかった、引っ越し直後で受領できていなかったといった事情があると、連絡方法が見直されることもあります。
一方、相手が、戦略的に欠席していることもあります。申立人側に有利な証拠が揃っている場合、相手方が不利な調停を避けようとして逃げているケースもあります。この場合、家庭裁判所に出頭勧告を要請できます。強制力はないものの、裁判所からの正式な勧告はプレッシャーとなり、出席を促す効果が期待できます。
なお、初回に相手が欠席しても、調停が一度で終了することはないのが基本です。
出席した当事者側からの主張を聞き取ったり、書面の検討をしたりした上で、次回期日を設定することが多いです。そのため、申立人としては、相手が来なくても受け身にならず、主張の整理や証拠提出を積極的に進めるべきです。
「離婚調停の流れ」の解説

2回目以降も連続して欠席する場合、「調停に応じる意思がない」「手続きを遅延させている」「不誠実な態度だ」と家庭裁判所は評価します。呼出や出頭勧告に応じなければ、調停は事実上進まなくなり、不成立に向かう可能性が高まります。
調停への欠席が繰り返されたという事実は、後に訴訟になった際に「調停での話し合いに応じる姿勢がなかった」という証拠となります。
離婚調停に来ないことで、次のリスクがあります。
したがって、相手の欠席が続く場合、その事実を記録しておく必要があります。
相手が出てこず、調停の場での合意に応じない場合には、離婚調停は「不成立」と判断されます。申立人側としては、欠席の事実や呼出状の送達経過、連絡の有無などを記録として残し、訴訟移行時に提出できるよう備えることが重要です。
「離婚までの流れ」の解説

離婚調停では、相手の欠席が続く、または双方の主張が平行線をたどり合意形成の見込みがないと家庭裁判所が判断した場合、調停は「不成立」として終了します。「令和6年司法統計」によると、婚姻関係に関する調停事件のうち、約50%が調停成立、約20%が調停不成立、約12%が調停に代わる審判で終了しています。
なお、婚姻費用や養育費の請求については、相手が来なくて調停が不成立になった場合でも審判に移行し、裁判所の判断を仰ぐことができます。話し合いができなくても裁判所が金額を決定することが可能なので、必要資料をきちんと揃えておくことが早期解決に役立ちます。
「離婚裁判の流れ」の解説

離婚調停に相手が欠席する背景には、様々な事情があります。欠席理由を正しく把握することで、今後の対応方針をより効果的に立てられます。
以下、実務で多く見られる欠席理由を解説します。
いずれにせよ、離婚調停に来ない相手の目的は、法律や実務の常識に反していたり、誤解や間違った判断に基づいていたりすることも多いので、弁護士を付けるなどして連絡を取り、しっかりと説得していくことが欠かせません。
「調停委員を味方につけるには」の解説


次に、相手が離婚調停に来ないことによって生じる影響やリスクを解説します。
調停に出席しないまま、話し合いができなければ、調停は不成立として終了します。
離婚調停が不成立になると、次は、離婚を希望する側が離婚裁判(離婚訴訟)を検討します。訴訟は調停と異なり、公開の法廷で行われ、手続きも厳格です。基本は、訴状や答弁書、準備書面といった書面の審理が中心となり、証拠についても書証が主となります。
調停を欠席して訴訟に移行すると、解決までの期間、費用、精神的な負担といった様々な面でリスクが大きいといえます。
「離婚調停の不成立とその後の流れ」の解説

調停の欠席そのものは離婚原因となるわけではありません。
しかし、離婚に伴う重要な争点について、悪影響が及ぶ可能性があります。繰り返し欠席すれば、「夫婦間の協力義務を放棄している」「子の利益を軽視している」と見なされるからです。
このような不利益は、調停に欠席し、話し合いに応じる姿勢がないと評価されたことで、不利な心証形成につながる一例です。特に、調停委員にとっては、調停欠席は夫婦や子に向き合う意欲がないと感じられてしまいます。
「離婚調停を長引かせるメリット」の解説

欠席を続けて調停を長引かせても、離婚そのものを阻止できるわけではありません。
離婚を望む側が離婚裁判(離婚訴訟)を提起した場合、法定離婚事由(不貞、暴力、長期の別居など)が証明されれば、裁判所でも離婚を認める判決が下る可能性があります。長期間の別居や不貞など、婚姻関係の破綻を示す証拠が揃っているなら、離婚は回避できないでしょう。
むしろ、欠席によって別居期間を長引かせ、夫や妻に証拠を整理・補強する時間を与える結果となれば、訴訟はより不利に進む危険もあります。
離婚裁判では、欠席を続けても、裁判所の最終判断が下される可能性が高いです。
「離婚裁判で相手が来ない場合」の解説

調停に参加しない場合、自分の主張や希望を伝え、証拠を示す機会を放棄してしまいます。
調停に参加していれば、期日では自分の言葉で調停委員に主張を伝えることができますが、欠席を続けると、その機会を逃し、手続の主導権を相手側に委ねざるを得なくなります。
例えば、財産分与の計算方法や子供の養育方針など、重要な争点について、相手の一方的な主張を前提に進められると、後から覆すのが難しい場合もあります。主導権を失えば、和解条件や訴訟結果についても、自分にとって著しく不利なものになるリスクが高まります。
「離婚に伴うお金の問題」の解説

正当な理由のない欠席は、裁判所や相手方から「話し合いに応じる意思がない」「誠実さを欠いている」と評価されます。このような悪い印象は、後の交渉や訴訟、和解にも悪影響です。
例えば、慰謝料や財産分与の金額交渉において、相手方が譲歩しなくなる、和解条件が厳しくなるといった結果が生じることがあります。「話し合いに応じる気がない」「逃げている」と受け取られれば、対立関係は更に悪化するでしょう。
不誠実な印象は一度つくと払拭が難しいため、やむを得ず欠席する場合でも欠席理由を明確に伝えることが重要です。
「子供がいる夫婦の離婚」の解説


離婚調停に相手が来ない場合の流れは、具体的に、次のように進みます。
離婚調停では、欠席の回数や理由によって裁判所の対応や今後の進め方が大きく変わります。たとえ1回の欠席でも、理由や状況によっては次の手続きに影響し、欠席を繰り返せば「不誠実」との評価をされる可能性が高まります。
裁判所は次回期日を設定し、再度呼出状を送付します。この段階では、欠席理由をきちんと説明し、次回出席することを約束すれば、大きな不利益はないことが多いです。
出頭勧告や事実確認が行われ、繰り返し欠席すれば「不誠実」との評価が強まり、心証に悪影響が出始めます。欠席が続く場合には、調停は不成立として終了し、離婚裁判が提起されれば訴訟に移行します。
1回の欠席で調停が即座に終了することは通常ありませんが、欠席を重ねるほど「不成立」になりやすく、さらにその後の訴訟で欠席の事実が不利に働くリスクが高まります。
「調停不成立のとき訴訟までの期間は?」の解説


相手が欠席して、調停に来ない場合でも、申立人としては受け身にならず、可能な範囲で対応策を講じることが重要です。以下では、実務で有効とされる方法や注意点を解説します。
相手が調停に来ない理由の一つに、「住所不明・連絡不通」があります。この場合、相手の居場所を把握するための調査が必要となります。
これらの手段を尽くしても住所が判明しないときは、裁判所が付郵便送達や公示送達という方法を使い、相手が実際に呼出状を受け取らなくても「送達済み」として扱うことが可能です。ただし、調停はあくまで当事者が出席して話し合うことを前提とした手続きなので、送達ができても、実際に相手が来なければ解決にはなりません(結果として不成立で終了となります)。
「離婚調停で勝つには?」の解説

相手の出席を促すのには、いくつかの方法があります。重要なのは、相手に話し合いの場に出てきてもらうために、「調停に出た方が自分にメリットがある」と感じさせる工夫をすることです。
欠席する相手に出てきてもらうには、不利益を伝えることも大切です。
「調停に来ないと裁判になる」「親権・財産分与で不利になる可能性がある」など、欠席のデメリットを具体的に伝えて出席を促すことが大切です。ただし、脅迫や強要と受け取られないよう、内容には注意が必要ですし、嘘はいけません。慎重に進めるためにも、このような強い内容の連絡は弁護士に依頼するのが最善です。
「相手が弁護士に依頼したら直接交渉は禁止?」の解説

相手が調停に来ない場合、弁護士に相談することに大きなメリットがあります。
弁護士に依頼すれば、直面する問題ごとに、今後の展開を見据えたアドバイスを受けられます。例えば次の点は、法律知識に基づく戦略が大切です。
弁護士に依頼することで、相手の欠席も見越して戦略的に進められます。高い確率で欠席が予想されるなら、不成立時にすぐ訴訟移行できるよう、訴状などを準備しておく手もあります。当事務所でも、相手が欠席する可能性のある場合、必要に応じて訴訟の準備をしたり、期間や費用についても訴訟を含めて見積もったりするようにしています。
「離婚に強い弁護士とは?」の解説

最後に、自分がやむを得ず欠席する側になるときの対応を解説しておきます。
離婚調停は原則として本人の出席が求められますが、病気や出産、災害、急な仕事の都合など、やむを得ない事情がある場合には欠席も認められます。
ただし、その際に最も重要なのは誠実な対応です。
欠席の可能性があることが分かった時点で、できるだけ早く裁判所に連絡し、「無断欠席」と受け取られないようにする必要があります。
次の証拠を事前に提出して、正当な理由がある欠席であることを主張します。
正当な理由があれば、期日変更の申立ても可能で、理由と証拠を添えて早めに裁判所へ申請すれば、比較的柔軟に日程を調整できる場合があります。また、本人が出席できないときは弁護士などの代理人が代わりに出席することもできます。
ただし、あくまで一時的な対応に過ぎず、その後しっかりと、再設定された期日において本人が出席し、主張や希望を伝えなければなりません。万が一欠席した場合、書記官や代理人弁護士を通じて期日の内容を速やかに確認し、次回期日までに必要な準備を整えることが不可欠です。
このような事前連絡や証拠提出、情報収集といった手続きを怠らず、誠実に対応することが、欠席による不利益を最小限に抑えるカギとなります。
「離婚調停を申し立てられたら?」「離婚調停を欠席するとどうなる?」の解説



今回は、離婚調停に相手が来ない場合の対応について解説しました。
離婚調停は、原則として双方が出席して話し合いを行うことが前提の手続きです。相手が欠席を続ければ調停が長期化したり、不成立となって訴訟へ移行したりする可能性が高まります。逆に、自分が欠席することは、裁判所や相手方に「協力的でない」という心証を抱かせる原因となり、親権や財産分与、慰謝料などの判断に影響するおそれがあるので、誠実に対応した方がよいでしょう。
残念ながら、調停の欠席は珍しいことではありません。相手が離婚を積極的には望まないケースだと、「逃げ」の姿勢で欠席を続け、反応すらされないこともあります。このようなときこそ、適切な対応ができるどうかによって、離婚に向けた手続きの流れは大きく変わります。
「どう対応すべきか」を一人で悩むより、専門家に相談して今後の手続きや証拠収集の方法を一緒に検討するのが、より良い解決の近道となります。相手が欠席している場合こそ、有利に進めるには、早期に弁護士に相談し、主導権を持って手続きを進めることが大切です。
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