★ ご相談予約をお待ちしております。

離婚してないのに同棲すると慰謝料請求される?不倫相手と同棲するリスクを解説

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

>>弁護士の詳細はこちら

まだ離婚していないにもかかわらず、不倫相手と同棲を始めることはリスクがあります。

配偶者と別居している場合や離婚協議中でも、婚姻関係が続いていると「不貞」とみなされ、慰謝料を請求されるおそれがあります。当事務所でも、次のような法律相談があります。

  • 「離婚の話し合い中ですが、先に恋人と同居すると不利になりますか?」
  • 「既に不倫相手と同棲しています。リスクを下げる方法はありますか?」
  • 「不倫相手との同棲がバレたら、どのようなものが証拠になりますか?」

婚姻関係の破綻後は「不貞」にならないものの、裁判所では「破綻」は厳しく判断されます。相手が離婚を望まないとき、同棲が発覚して対立が激化するおそれもあります。離婚時にも、同棲は不貞行為を裏付ける証拠となり、慰謝料の増額事由として考慮されます。

今回は、離婚していないのに同棲することのリスクと慰謝料請求などのトラブルについて、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 離婚していないのに不倫相手と同棲することは、慰謝料請求のリスクを伴う
  • 不倫相手との同棲が発覚すると有責配偶者となり、離婚請求が認められにくい
  • リスクを回避するには、早期離婚を優先し、その後に同棲を開始すべき

\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/

目次(クリックで移動)

不倫相手との同棲の問題点

はじめに、不倫相手と同棲することの問題点について解説します。

婚姻関係が続いているのに配偶者以外の異性と同棲する行為は、社会通念からしても「裏切り」などと否定的に捉えられるでしょう。それだけでなく、法的にも重大なリスクがあります。

不貞行為とは、夫婦の一方が配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。

民法で重婚が禁止され、夫婦には同居協力扶助義務があり、一夫一婦制とされていることなどから、夫婦は互いに貞操義務を負うと考えられています。そして、「同棲」そのものは性的関係ではないものの、男女が継続的に共同生活を営んだ場合、性的関係を有したと推認され、不貞行為の立証につながりやすくなります。

例えば、次の事情があるとき、不貞行為が認定される傾向にあります。

  • 同棲の期間が長い。
  • 頻度が多い(毎日一緒にいるなど)。
  • 生活実態が夫婦同然である。
  • 住民票や郵便物の送付先が同じである。
  • 仲睦まじい様子を示す証拠がある(SNSの投稿、写真、探偵の調査報告書、近隣住民の目撃証言など)

「同棲をしているが、性的関係は有していなかった」と反論しても、上記のような証拠が揃っていれば不自然だと考えられ、不貞行為が認められる可能性が高いです。不貞行為は、不法行為(民法709条)として慰謝料を請求されるほか、有責配偶者とされれば離婚請求は認められにくくなります(「離婚前に不倫相手と同棲を始めるリスク」で後述)。

不倫・浮気による同棲は配偶者の怒りを招き、離婚に向けた話し合いを長期化させる原因となります。協議や調停でも同意を得にくくなるでしょう。調停委員や裁判官からも「家庭を壊した」「誠意がない」と見られ、心証を悪化させることも否めません。子供にも精神的ショックを与え、親権争いで不利に働く危険があります。

有責配偶者でも離婚したいとき」「好きな人ができたので離婚したい」の解説

離婚前に不倫相手と同棲を始めるリスク

離婚前の同棲のリスクは非常に高いことを理解し、慎重に行動しなければなりません。

「好きな人と早く一緒に暮らしたい」という気持ちは理解できるものの、婚姻関係が継続している間に同棲することには、以下のような法的リスクを伴います。

配偶者から慰謝料を請求される

配偶者から慰謝料を請求されるリスクがあります。

不倫相手との同棲が「不貞行為」と認定されると、不法行為に基づく慰謝料を請求されます。前述の通り夫婦は貞操義務を負い、不貞行為によって婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益が侵害されたと評価されるからです。不貞の慰謝料の相場は、50万円〜300万円程度が目安ですが、行為の悪質性によって変動するため、同棲に至るほどの緊密な不倫関係は、「重度」「悪質」と評価されて慰謝料の増額事由となります。

不貞の慰謝料は、配偶者だけでなく不倫相手にも請求可能です。既婚者であることについて故意・過失がない場合は責任が否定されるものの、同棲が継続しているケースでは、不倫相手も婚姻関係を知っていることが多いと考えられます。

貞操権侵害」の解説

有責配偶者とされ離婚請求が認められない

有責配偶者とされ、離婚請求が認められなくなるリスクがあります。

有責配偶者とは、婚姻関係を破綻させる主な原因を作った配偶者のことであり、離婚請求が認められないのが裁判実務の原則です(最高裁昭和62年9月2日判決など)。離婚前に不倫相手との同棲を始めた場合、婚姻関係を壊したと評価されるおそれがあります。協議や調停の場でも「誠意がない」「家庭を顧みない」という印象から、相手や調停委員の心証を悪化させる要因となります。

特に、別居前から不貞関係を継続し、同棲を開始するために別居したなど、タイミングや背景によっては有責性が強く印象付けられます。

なお、有責配偶者でも例外的に離婚請求を認めた例はあるものの、8〜10年ほどの長期の別居、未成熟の子がいないこと、離婚によって配偶者が苛酷な状況に置かれないことといった厳しい要件が示されています(詳細は「離婚成立に必要な別居期間は何年?」)

財産分与や親権に不利に働く

不倫相手との同棲が、財産分与や親権の判断で不利に働くリスクがあります。

財産分与は、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を公平に分け与える制度であり、2分の1ずつ分与するのが原則ですが、不貞などの責任がある場合、分与割合が不利に調整されることがあります。

親権については「子の福祉(利益)」を最優先に考えますが、不倫相手との同棲が「子供を放置し、新生活を優先した」と見られると、親としての責任感や養育環境への配慮に欠けるとされ、親権争いに不利な影響を与えるおそれがあります。

特に、問題のある不倫相手と子との同居を強いたり、生活や学習の環境が親の都合によって不安定になったりする場合、親権獲得は困難です。

子供がいる夫婦の離婚」の解説

婚姻費用の請求が認められにくくなる

配偶者から別居中の生活費(婚姻費用)を受け取っていた場合、不倫相手との同棲を始めたことでその権利を失うリスクがあります。生活費をもらう立場で他の異性と同居している状態では、請求が権利濫用とされる可能性があるからです。

離婚に伴うお金の問題」の解説

離婚前に不倫相手と同棲しても慰謝料請求が認められない場合

離婚前に不倫相手と同棲しても、慰謝料が認められない場合もあります。裁判例でも、夫婦の別居期間が長期に及ぶなど、婚姻関係の破綻が明確なときは慰謝料請求が否定されています。

以下では、代表的なケースについて解説します。

長期間別居している場合

夫婦が長期間別居しており、婚姻関係が破綻している場合、慰謝料請求は認められません。

不貞の慰謝料が認められるには、法的に婚姻関係が継続しているだけでなく、その実態を伴っていることが前提だからです。例えば、長期間別居し、連絡も取らず、会ってもいないという事情があれば、不倫相手との交際・同棲を開始しても慰謝料が否定されたケースがあります。

東京地裁令和3年8月5日判決

夫との不貞を理由に、被告(不貞相手)に慰謝料1,000万円の支払いを求めたのに対し、被告は、交際開始が平成30年頃であるところ、その時点では婚姻関係は破綻していたので不法行為を構成しないと反論した事案です。

原告と夫は平成19年12月頃から長年別居状態であったこと、原告自身が平成26年頃から特定の男性と親密な関係にあったと認められる事実(ブログ投稿など)などを重視し、遅くとも平成28年1月頃には破綻していたと認定し、請求を棄却しました。

別居の期間に一律の基準はないものの、2年〜3年以上の長期にわたって夫婦間に接触や交流がなかった場合、破綻していると評価される可能性が高くなります。

婚姻関係が破綻している場合

不貞の当時に夫婦の婚姻関係が破綻していた場合、不法行為責任は生じません。

そのため、不倫相手と同棲を始めた時点で既に婚姻関係が破綻していれば、婚姻共同生活の平和の維持という「保護されるべき利益」が存在せず、慰謝料請求は否定されます。実務上も、夫婦としての実態が希薄であるケースで、慰謝料の減額を認めたり、請求を棄却したりする例があります。

「破綻」と評価されるかどうかは、別居期間のほか、夫婦としての実態があるかどうかによって判断されます。ただし、裁判所から見て関係修復の見込みがあると評価される場合には「破綻」と評価されないことがあるため、安易な同棲開始はリスクを伴います。

別居しても離婚話が進まない」の解説

離婚前提の協議や調停が進んでいる場合

離婚前提の協議や調停が進行している場合、「破綻」と評価されやすくなります。

相手も離婚そのものには同意している状況であれば、不倫相手との同棲を開始しても慰謝料は否定されます。例えば、話し合いが進行して協議書の案文が示されていたり、離婚調停において相手も離婚方向で条件交渉している場合などが該当します。

ただし、協議や調停の最中で、自分は離婚を望んでいても相手が離婚回避を希望している場合、不倫相手との同棲を開始すれば慰謝料請求が認められます。過信することなく、個別の状況ごとに慎重に検討しなければなりません。

離婚調停中の過ごし方」の解説

不倫相手との将来を考える際の注意点

不倫相手との新たな人生を本気で考える人にとって、同棲開始はその第一歩となります。しかし、離婚していないのに同棲することのリスクを理解し、慎重に進めるべきです。

離婚が成立するまでの行動に注意する

離婚前の行動によって、離婚条件に悪影響を与えないよう慎重になるべきです。

離婚が成立していない状態で不倫相手と行動を共にすると、配偶者に刺激を与えます。性的関係や同棲はもちろん、旅行や外出、SNS投稿なども証拠となり得ます。離婚を切り出した後は全ての行動が証拠となり、慰謝料請求につながるおそれがあると考え、将来のリスクを軽減するためにも軽率な行動は慎まなければなりません。

離婚裁判で証拠がないとき」の解説

同棲開始は「離婚成立後」が最善

新生活を早く始めたい気持ちは理解できるものの、同棲開始は「離婚成立後」が最善です。

婚姻関係が解消されれば、交際も同棲も自由であり、元配偶者から慰謝料を請求されることもないし、離婚条件に不利な影響を与えることもありません。後から紛争を再燃させないためには、同棲開始のタイミングが離婚成立後であったことの証拠を残しておくのが安全です。

離婚が成立すれば、堂々と関係を築くことができます。再出発を幸せなものにするためにも、焦らず、離婚までの期間を冷静に過ごし、同棲のタイミングを見極めてください。

早期離婚を優先する方の中には、離婚条件で一定の譲歩をするなどの方針を取る方もいます。相場を知り、合理的な判断をするためにも、ぜひ弁護士に相談してください。

妻が別れてくれないとき」の解説

同棲を希望する不倫相手側の注意点は?

同棲を希望する不倫相手側の注意点についても解説しておきます。

たとえ不倫関係でも、好きな相手との将来を見据え、「一緒に暮らしたい」「家庭を築きたい」と希望する人もいます。それでも、離婚成立前の同棲には慎重になるべきです。不倫相手側から積極的に同棲を求めた場合、「悪質である」と評価されるおそれがあります。

以下のことは、不倫の交際では必ず理解しておいてください。

離婚は想像以上に時間がかかります。

不倫関係を維持するために、「すぐに離婚できる」「妻も離婚には納得している」などと言う既婚者は少なくありません。しかし実際は、離婚そのものに同意していても、離婚条件がまとまらず、交渉が長期化するケースは多いものです。

その間に不倫相手との交際や同棲が発覚すれば、さらに問題がこじれ、調停や訴訟に発展して泥沼化するケースもあります。

さらに、「離婚はするつもり」「妻への愛情は冷めた」と発言しながら、実際は不倫相手をキープするために期待を持たせ、離婚話を進めない人もいます。曖昧な関係を続ければ、「待ち続けた時間と気持ちを浪費した」と後悔することとなります。

したがって、「もうすぐ離婚するから同棲しよう」と言われても、実現する保証はありません。一方で、相手の気持ちにかかわらず、配偶者から慰謝料を請求されるリスクは常にあります。

既婚者に騙されて不倫してしまったら」の解説

不倫相手との同棲に関するよくある質問

最後に、不倫相手との同棲を希望する人からのよくある質問に回答しておきます。

不倫相手との同棲を解消する方法は?

既婚者の中には、不倫相手との関係を解消したいと考える人もいます。しかし、長期間の同棲が「事実婚」と評価されると、解消時にトラブルが生じることがあります。この際、離婚の話し合いと同様に、次のような点に注意してください。

  • 別居して同棲先の退去を検討する
    物理的に距離を置くことで、気持ちを整理するよう促すことができます。
  • 話し合いで双方の意向を確認する
    感情的な衝突を避け、今後の関係性について話し合いましょう。自身の気持ちを明確に伝え、同棲の終了と住居からの退去を求めてください。
  • 金銭関係の清算を行う
    家具の処分、家賃や契約名義の変更など、金銭面の清算を行います。話し合って合意に達した場合には、文書にしておくのがおすすめです。

離婚後も同棲していた場合、経済的な依存度が高い場合、子供がいる場合などは特に紛争が拡大します。深刻化しそうなときは、早い段階で弁護士に相談してください。

離婚成立後でも慰謝料を請求される?

離婚後に開始された交際や同棲は不貞行為にならず、慰謝料は請求されません。

しかし、離婚前から不倫相手と同棲していた事実が、離婚後に発覚した場合、過去の不貞についても慰謝料請求の対象となります。離婚協議書で清算条項を定めても、その時点で知ることのできなかった不貞に関する慰謝料請求は妨げられません。不法行為の時効は、「損害及び加害者を知った時から3年」が基本となるため、この点からも、不貞の事実を知らなければ、離婚して相当期間が経過した後に請求される可能性があります。

以上のことから、離婚と不倫の絡むケースでは、「いつ交際・同棲を開始したか」というタイミングが争点となります。

配偶者が不倫相手と同棲していたときの慰謝料請求の手順は?

最後に、配偶者が不倫相手と同棲していた場合についても解説します。この場合、発覚したら、速やかに慰謝料請求を進めましょう。

不倫相手と同棲している証拠を集める

まず、不倫相手と同棲していることの証拠を集めましょう。

例えば、配偶者と不倫相手のメールやLINEのやり取り、通話記録、SNS投稿、GPSによる位置情報の記録、同棲中の自宅に出入りする写真、探偵の調査報告書、住民票といった資料が役に立ちます。

内容証明で慰謝料請求する

証拠が揃ったら、内容証明で慰謝料を請求します。慰謝料請求は、配偶者と不倫相手の双方に行うことができます。法的根拠と金額を明らかにした通知書を送付しましょう。内容証明を活用すれば、文書の内容や到達日の証拠を残すことができ、後の裁判でも役立ちます。

話し合いで解決できない場合は、調停や訴訟に移行する

相手が支払いを拒否する場合、法的手続きに移行します。

配偶者への慰謝料請求を離婚請求とともに進める場合、離婚調停を申し立てます。一方、離婚を望まない場合、民事訴訟で行います。また、不倫相手に対する請求についても訴訟の提起が可能です。

精神的な負担を減らし、法律知識に基づいて解決するためにも、専門家である弁護士に依頼するのが有益です。

不倫相手に慰謝料を請求する方法」の解説

【まとめ】不倫相手と同棲するリスク

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、不倫相手と同棲するリスクについて、法的な観点から解説しました。

不倫相手との同棲は、本人達には新たな一歩でも、離婚していないのであれば、配偶者との間で法的なトラブルに発展します。離婚前に同棲を始めた場合、慰謝料を請求されたり、離婚やその条件に悪影響が生じたり、最悪の場合は有責配偶者とみなされたりするリスクがあります。

既に婚姻関係が破綻している場合や、不倫相手が過失なく婚姻関係を知らなかった場合など、一定の事情があれば慰謝料が否定されることもありますが、その見極めは難しいものです。少なくとも、裁判所では「破綻」や「過失」は厳しく判断されます。

不倫相手との将来を大切にしたいと考えているほど、「離婚後に同棲する」というのが最善の選択肢です。不安を感じる場合、早めに弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 離婚していないのに不倫相手と同棲することは、慰謝料請求のリスクを伴う
  • 不倫相手との同棲が発覚すると有責配偶者となり、離婚請求が認められにくい
  • リスクを回避するには、早期離婚を優先し、その後に同棲を開始すべき

\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/

目次(クリックで移動)