
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
離婚調停では、双方の希望が折り合わず、調停が不成立となるケースがあります。
調停では離婚そのもののほか、親権や養育費、財産分与などの問題の解決を目指しますが、話し合いを前提としているため、夫婦双方の合意に達しなければ調停不成立となります。当事務所でも、次のような不安を感じる方からの相談があります。
離婚調停が不成立になっても、離婚に向けた手続きが終わるわけではありません。離婚を希望する側が離婚裁判(離婚訴訟)を提起すれば、引き続き、裁判手続きで争うこととなります。訴訟提起せず、協議が再開されるケースもあります。不成立後の対応を誤ると、不利な結果となるおそれもあるため、手続きについてよく理解しておきましょう。
今回は、離婚調停が不成立になったらどうなるのか、主な理由や不成立後の流れと、不成立後に取るべき対処法や注意点を、弁護士が解説します。
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離婚調停の不成立とは、家庭裁判所で行われる離婚調停において、夫婦間の話し合いで解決できず、調停手続きが終了することをいいます。
離婚調停では、調停委員が双方の意見を聞きながら合意による解決を目指します。しかし、あくまで話し合いを重視した制度であり、離婚やその条件について当事者が合意に至らない場合、調停委員会が「これ以上続けても解決の見込みがない」と判断すると、不成立となります。
なお、「令和7年司法統計年報」によれば、離婚調停が不成立で終わった割合は、既済事件の約29.4%となっています(既済総数35,137件のうち、調停不成立10,330件)。
離婚調停では、調停委員が事情を聴取し、夫婦の言い分を調整します。
調停委員は、中立の立場で合意を模索し、離婚やその条件について合意ができれば「調停離婚」が成立します。しかし、一方が離婚回避を望む場合や、希望する条件の隔たりが大きい場合には合意が難しく、調停委員会の判断によって不成立とされることがあります。
離婚調停において解決できないケースには、次のものがあります。
なお、「調停前置主義」が採られているため、訴訟提起前に調停を行う必要があり、対立が深く不成立が見込まれるとしても、まずは調停を申し立てるのが原則です。
「離婚調停の流れと進め方」の解説

離婚調停が不成立となる理由には、次のようなものがあります。
調停不成立となるのは、調停委員が調停での解決は難しいと判断する場合ですが、多少のハードルなら合意に向けて説得したり、代替案を提案したりと尽力してくれます。したがって、調停不成立となるケースには、話し合いでは合意が困難な理由があります。
一方が離婚を強く希望しても、他方が拒否している場合、離婚すること自体に合意ができません。特に、夫婦関係の修復を望む配偶者がいる場合や、離婚原因の有無や責任についての認識が異なる場合は、互いに譲歩しにくく、不成立となる可能性が高いです。
離婚には双方が同意しても、離婚条件で合意できない場合があります。
特に、親権などの子供の問題は意見が対立しやすく、譲歩が難しいため、不成立となる大きな原因の一つです。なお、2026年4月施行の民法改正で共同親権制度が導入されたものの、互いに単独親権を主張して争うようなケースではふさわしくないと考えられます。
夫婦の一方が相場からかけ離れた要求に固執する場合、解決は困難です。この場合、他方にとって、不当な要求に屈するよりも調停を不成立にする方が合理的だからです。
例えば、「養育費・婚姻費用算定表」を大幅に超える養育費請求、極端に不公平な割合での財産分与の請求、高額な慰謝料請求などは、不成立の原因になりやすいです。
調停による話し合いは、双方の協力によって成り立つ手続きです。相手が正当な理由なく欠席を繰り返したり、調停への参加を拒否したりすると、十分な話し合いができません。調停に臨む姿勢が不誠実であることは、不成立の原因となります。
調停では、数回にわたり話し合いが行われるのが通常ですが、双方の主張が大きく乖離したまま歩み寄りの姿勢が見られない場合、調停委員会は調停の終了を決定します。例えば、一方が一切譲歩する意思がないことを明らかにした場合、他方の非難に終始する場合、感情的な対立が激しく冷静な議論が難しい場合などは、不成立となる可能性が高いです。
「離婚調停の成立後にすべき手続き」の解説

次に、離婚調停を有利に進め、不成立を回避するためのポイントを解説します。
離婚調停を不成立で終わらせず、適正な条件で合意に導くには、事前の準備や交渉の工夫が重要となります。感情をぶつけたり、相手を非難したりするのではうまくいきません。
離婚調停を成立させるには、夫婦が互いに一定の譲歩をしなければなりません。
一方が全ての要求を通そうとすれば、他方も態度を硬化させます。結果的に話し合いが平行線となれば、調停不成立となる可能性が高まってしまいます。そのため、調停前にあらかじめ離婚条件の優先順位を明確にしておくことが役立ちます。絶対に譲れない条件と、妥協してもよい条件を事前に整理することで、調停委員から説得を受けた際にも感情的にならず、冷静に判断できます。
相手が有責行為を認めない場合、客観的な証拠が重要となります。
また、財産分与や養育費といった離婚条件を決める際には、互いの収入や資産を示す証拠が必要です。そのため、不貞行為や暴力の事実を示す写真や動画、診断書、財産の所在を示す通帳や残高証明書のコピー、不動産の登記簿謄本といった資料を整理しておくことが役立ちます。
調停前に、あらかじめ証拠を整理しておけば、調停委員にも状況を正確に説明することができます。証拠があれば、調停委員も相手を説得しやすくなり、合意に至る可能性が高まります。
「調停委員を味方につけるには」の解説


離婚調停が不成立で終わった後の流れには、いくつかの選択肢があります。
調停不成立になると、家庭裁判所での調停手続きは終了しますが、離婚の可能性がなくなるわけではありません。離婚を希望する側は、離婚裁判(離婚訴訟)を提起して裁判所の判断を受けることができます。また、状況によっては夫婦間で再度協議を行うことも可能です。
以下では、離婚調停が不成立になった後の流れについて解説します。
離婚調停が不成立になると、終了の旨が調書(調停不成立調書)に記載されます。
離婚問題については調停前置主義が採用されているため、調停不成立調書は、調停を経たことを示す重要なものとして、訴訟提起時の必要書類となります。また、家庭裁判所は、調停事件が終了したことを当事者に通知しなければなりません。
「離婚までの流れ」の解説

離婚調停が不成立となった後、離婚を希望する側は離婚裁判(離婚訴訟)を提起できます。
日本では調停前置主義が採用されているため、離婚訴訟を提起する前に離婚調停を行わなければなりません。そのため、調停が不成立になって初めて訴訟を提起できるのが原則です。
裁判では、話し合いを前提とした調停とは異なり、民法770条1項に定められた「法定離婚事由」が存在する場合に、一方が拒否していても裁判離婚を成立させることができます。これは、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、婚姻を継続し難い重大な事由の4つであり、裁判で離婚を認めてもらうには、いずれかに該当する事情を主張・立証する必要があります。
なお、調停不成立から2週間以内に訴訟提起したとき、調停申立時に訴えの提起があったものとみなされ、時効中断などの効果が継続します。また、調停申立時の手数料に相当する額を、訴え提起の手数料に充当することができます。
離婚調停が不成立になっても、訴訟の提起は必須ではありません。
例えば、次のようなケースでは、離婚調停が不成立となってもすぐに離婚裁判(離婚訴訟)を行うのではなく、一旦様子を見たり、夫婦間の協議を再開したりすることがあります。
財産分与の対象となる財産が新たに判明したり、子供の進学や就職などで家庭環境が変化したりしたことで、以前よりも話し合いが進みやすくなることがあります。調停不成立後の再協議を成功させるには、感情的な対立を抑え、条件について一定の譲歩を検討することが重要です。
また、離婚を求める側が、婚姻関係を破綻させる原因を作った「有責配偶者」である場合、信義則上、離婚請求が認められにくいのが裁判実務であるため、すぐに離婚裁判(離婚訴訟)を提起せずに時間を空けることがあります。実務上、8年〜10年程度の相当長期の別居期間を要すると判断された事例が多いため、このようなケースでは別居期間を積み上げることとなります。
「協議離婚の進め方」の解説

離婚調停に回数制限はないため、不成立になっても再度申し立てることができます。
長期の別居によって気持ちが離れたり、相手に新たなパートナーができたり、子供の独立や再就職といった事情が生じたりして、状況が変わったことで調停成立に至ることがあります。当初は離婚原因がなかったものの、長期間別居したことで夫婦関係の破綻を主張できるケースもあります。(通常は3年〜5年、有責配偶者の場合は8年〜10年程度が目安とされます)。

「調停成立後の再申し立て」の解説

家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、職権で事件の解決に必要な審判を行うことができます。これを「調停に代わる審判」または「審判離婚」と呼びます。例えば、離婚の合意はおおむねできているが条件についてわずかな意見の相違がある場合、相手が調停期日に不出頭を繰り返しているが婚姻破綻は明らかな場合などに活用されます。
審判に不服のある当事者は、2週間以内に異議申立て(即時抗告)ができます。異議申立てなく確定した場合は、確定判決と同一の効力を有します。
離婚調停は、不成立になると手続きが終了するのが原則です。
これに対して、婚姻費用や親子交流(面会交流)などを求める調停を同時に申し立てていたときは、調停不成立になった場合に自動的に審判手続きに移行します。
例えば、夫婦が別居を続ける場合には、婚姻費用の分担請求調停を申し立てることで生活費の支払いを求めることができますが、離婚が成立しなくても先に婚姻費用を決めることで、生活の安定を支えることができます。また、子供と離れて暮らす親にとって、離婚の成否にかかわらず、子供との親子交流(面会交流)を審判で先に決めておく意味があります。
したがって、これらの手続きは離婚調停とは別に、審判で引き続き進められ、離婚が成立していない段階でも婚姻費用や親子交流が認められるのが通例です。
「婚姻費用調停の同時申立て」の解説

離婚調停が不成立になったことをきっかけに、離婚について考え直す方もいます。
例えば、離婚調停で初めて知ることができた相手の気持ちをもとに考え直すといった積極的なケースから、有責配偶者であることが判明して一旦離婚を考え直す消極的なケースなどがあります。また、経済面や子供の養育などを理由に、関係修復を検討する家庭もあります。
なお、婚姻関係の維持を前提とする場合であっても、婚姻費用や親子交流(面会交流)といった問題については決めておく必要があります(前述の通り、離婚調停と同時に申し立てれば、自動的に審判に移行して家庭裁判所の判断を仰ぐことができます)。
「離婚調停で復縁する方法」の解説

離婚調停が不成立になった場合、その後の方針は慎重に検討してください。
離婚裁判(離婚訴訟)に進むにしても、調停で合意できなかった理由を整理し、訴訟に移行して勝訴することができるかを精査しなければなりません。そのため、離婚を求める理由や希望する離婚条件を整理し、裏付けとなる証拠の有無も確認しておきましょう。
まず、離婚調停が不成立になった理由を整理しておきましょう。
例えば、相手が離婚そのものを拒否していたか、それとも親権や養育費、財産分与、慰謝料といった条件に争いがあるのかにより、今後の進め方が変わります。離婚自体に合意していて、その条件が争いになっているとき、訴訟提起するよりも譲歩をした方が合理的なこともあります。
一方で、双方の主張に大きな隔たりがあり、相手に譲歩する姿勢が一切ない場合、離婚裁判(離婚訴訟)で争うしかないケースもあります。また、協議や調停を自分で進めていた場合、自身の主張が相場と反していないかも、冷静に確認してください。
離婚訴訟を提起する可能性がある場合、調停段階にも増して証拠が重視されます。
前述の通り、裁判で離婚を成立させるには「法定離婚事由」に該当する事情を証明する必要があります。例えば、不貞行為を指摘する場合、不倫相手とのメールやメッセージ、写真や動画、探偵の調査報告書といった資料が役立ちます。DVを指摘する場合、録音・録画、日記、診断書、警察への通報記録といった資料を確保しておくとよいでしょう。
財産分与が争点となる場合、預貯金通帳、取引履歴、不動産の登記簿、保険証券、退職金に関する資料などを収集します。親権について争いがある場合には、これまでの監護状況や、今後の子供の生活環境などを示す資料も重要となります。
離婚裁判(離婚訴訟)では、法律の根拠に基づいて主張を組み立てる必要があります。
相手が離婚を拒否する場合、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、婚姻を継続し難い重大な事由のいずれに該当するかを主張立証する必要があります。親権や養育費、財産分与、慰謝料などについても、単なる希望を述べるだけでなく、法律や裁判例、相場に基づく主張をすべきです。
調停での主張と訴訟での主張に不自然な食い違いがあると、信用性が低下するおそれがあるため、調停が不成立になったら、その後も一貫した説明ができるよう準備しておきましょう。

調停がまとまらなくても落胆せず、感情的になってはいけません。冷静に今後の対応を進めるために、以下では、離婚調停が不成立になった場合に特に注意すべきポイントを解説します。
離婚調停が不成立になると、「もう離婚できないのか」と考え、相手との対立を深めるケースがあります。しかし、感情的な言動は、その後の解決を難しくしてしまいます。相手に直接連絡して非難したり、SNSに書き込んだりすると、新たなトラブルに発展します。子供がいる場合、感情的な対立が深まると、親子交流(面会交流)の支障となるおそれもあります。
離婚調停の不成立後も婚姻関係が継続するため、夫婦の協力扶助義務から、別居している場合には婚姻費用の支払いが必要となります。不成立となったからといって一方的に生活費の支払いを止めたり、無断で共有財産を処分したりすると、不利な事情となるおそれがあります。
なお、相手が有責であって、婚姻関係が既に破綻している場合などは例外的に、婚姻費用の支払いが免除されたり減額されたりするケースがあります。
離婚そのものの請求に時効や期限はありませんが、注意すべきポイントがあります。
不貞行為などを理由とした慰謝料請求には不法行為の時効が適用され、「損害及び加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害の場合は5年)」「不法行為の時から20年」が経過すると時効により消滅します。調停不成立となったからといって先送りすれば、証拠がなくなるリスクもあります。
また、離婚裁判(離婚訴訟)を起こすタイミングについても、前述の通り2週間以内に申し立てれば手数料が引き継がれる一方で、時間が経過すると、調停前置主義の観点から再度調停を申し立てるよう指示されるおそれがあります。
「不成立後の訴訟までの期間」の解説

前述の通り、有責配偶者からの離婚請求は、認められにくいのが実情です。
婚姻関係を破綻させる原因を作ったにもかかわらず、それを理由に離婚を求めることは信義則上許されないと考えられるからです。しかし、例外的に、別居が長期間に及び、離婚しても相手やその子に不利益がない場合などは、離婚を認めた事例もあります。また、交渉の結果として相手が認めれば、自身が有責であっても離婚を成立させることができます。
そのため、有責だからといって離婚が全くできないわけではないため、実務上は、離婚調停が不成立になった場合には訴訟に進むべきケースが多いと考えられます。

離婚調停が不成立になった場合は弁護士への相談をおすすめします
調停不成立後、多くの場合は離婚裁判(離婚訴訟)を視野に入れて対応します。しかし、訴訟は調停と異なり、話し合いによる解決ではなく、法的な主張と証拠によって裁判所が判断を下す手続きです。そのため、法的な観点から整理して伝えなければ、有利な解決は難しいです。
弁護士に相談すれば、調停不成立の原因を分析し、争点を整理し、訴訟で何を主張し、どのような証拠を準備すべきかについてアドバイスを受けられます。また、訴状や準備書面の作成、証拠の提出、裁判所とのやり取りなどの手続きを一任でき、負担を減らすことができます。
ただ、訴訟まで発展するケースは、離婚問題全体から見ると決して多くなく、弁護士を選ぶ際には、離婚訴訟の経験や解決実績が豊富であるかどうかを基準にする必要があります。
当事務所では、これまで数多くの離婚事件を扱い、訴訟に発展したケースの解決実績も積み重ねてきました。調停を依頼している場合はもちろん、不成立となった段階からでも、訴訟を見据えた戦略を立案し、依頼者に有利な解決を目指してサポートします。当事務所には家庭裁判所長を務めた経験を有する弁護士が在籍しており、裁判実務への深い知見を活かし、訴訟で重視されるポイントを踏まえた適切な主張・立証を行うことが可能です。
「離婚に強い弁護士とは」の解説

今回は、離婚調停が不成立となったら、その後どうなるかについて解説しました。
離婚調停が不成立になっても、離婚ができなくなるわけではありません。離婚を希望する側は離婚裁判(離婚訴訟)の提起を検討することとなります。状況によっては、家庭裁判所の判断により「調停に代わる審判」が下されたり、再度の協議によって解決したりするケースもあります。
ただし、不成立後の方針は、ケースに応じて慎重に検討すべきです。特に、離婚の可否、親権、財産分与などの争点は対立が大きくなりやすく、不成立後の対応が結果を大きく左右します。
離婚調停が不成立となり、今後どのように進めるべきか悩む方は、速やかに弁護士に相談するのがおすすめです。法的な観点から主張を整理し、証拠を準備した上で、適切な見通しを立てることが、調停不成立後であっても有利な解決を目指すことにつながります。
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