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好きな人ができたので離婚したい!離婚前に考えることと伝え方の注意点

「好きな人ができてしまった」という気持ちが抑えられない人もいます。

結婚しているのに好きな人ができてしまったとき、今のパートナーと別れて新しい人生を歩みたいという人もいるでしょう。このとき、2人と同時に結婚はできないので、現在の配偶者との離婚を選択することとなります。

しかし、感情だけで離婚を切り出すと、思わぬ法的トラブルに直面するおそれがあります。特に、婚姻中であるにもかかわらず「好きな人」と不貞行為をしていたり、夫婦の間に子供がいたりするとき、離婚の進め方を慎重に考えないと、後悔する結果となるかもしれません。

今回は、「好きな人ができたから離婚したい」と思ったとき、冷静に考えるべきポイントを弁護士が解説します。また、離婚を切り出す前の準備や伝え方も説明します。

この解説のポイント
  • 離婚は人生を左右する重大な決断。感情ではなく冷静な決断を
  • 「好きな人ができたので離婚したい」は伝え方一つで展開が変わる
  • 不貞慰謝料や相手の気持ちへの配慮がないと、トラブルの火種になる

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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好きな人ができたことを理由に離婚はできる?

まず、離婚には、以下の3つの方法があります。

  1. 協議離婚
    夫婦の話し合いで合意し、離婚届を提出する形式。
  2. 調停離婚
    協議がまとまらない場合、家庭裁判所で第三者(調停委員)を交えた話し合いを行い、合意に至って離婚する形式。
  3. 裁判離婚
    離婚調停でも解決しないとき、裁判所に離婚裁判(離婚訴訟)を提起し、判決で離婚を認めてもらう形式。裁判離婚には「法定離婚事由」が必要。

「好きな人ができたことを理由に離婚できるか」についても、上記の離婚の種類によって、異なった考え方となります。

協議離婚なら、夫婦双方が合意すれば、理由にかかわらず離婚できます。つまり、「好きな人ができた」という理由でも、相手が同意さえすれば離婚は可能です。しかし、合意に至らなかった場合は離婚調停を申し立て、調停が不成立なら離婚裁判に進む必要があります。「他に好きな人ができたから離婚したい」という考えは、「無責任だ」「不誠実だ」と映り、調停委員や裁判官の心象が悪くなって不利な流れになるおそれがあります。

離婚裁判に進んだ後は、離婚するには法定離婚事由(民法770条1項)が必要です。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病
  • 婚姻を継続し難い重大な事由

「好きな人ができた」という事情に加え、DVや長期の別居など、法定離婚事由と判断される別の理由があるなら、裁判所からも「婚姻は継続不能である」と判断される可能性があります。これに対し、夫や妻が離婚に同意せず、かつ「好きな人ができた」こと以外に明確な離婚理由がない場合は、特に裁判では、離婚が認められにくいです。

また、「好きな人」との間に肉体関係がある場合、不貞行為とみなされるリスクにも注意しなければなりません。この場合、配偶者から慰謝料請求をされる可能性がある(相場は100万円〜300万円程度が目安)だけでなく、夫婦関係の破綻の原因を作った側(有責配偶者)と評価され、離婚が認められづらくなってしまいます。

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離婚前に検討すべきこと

次に、離婚を切り出す前に考えるべきことを、詳しく解説します。

軽はずみに離婚に踏み切るのは、夫婦や子どもの人生に大きな影響を与えます。様々な側面から検討した結果、あえて離婚しない方がよいことも十分あり得るでしょう。離婚を考える際は、感情に流されずに「現実的な検討」が欠かせません。

夫婦関係の本当の問題点を考える

まず、夫婦関係の本当の問題点を考えることです。

実は「好きな人ができたこと」は、表面的な理由に過ぎず、本当は別の理由で離婚に気持ちが傾いていることも考えられるからです。結婚生活の不安やストレスが蓄積しているときに「好きな人」が表れると、気持ちも傾くでしょう。ただそれは、ストレスや孤独感、夫や妻への不満やすれ違いから、一時的な「逃げ場」を探していただけのことも少なくありません。

好きな人ができたからといっていきなり離婚に踏み切るのでなく、配偶者との関係性を見直すことも重要です。夫婦関係が本当に冷え切っているのか、コミュニケーション不足に改善の余地はないか、離婚以外で、関係修復の可能性を探ることが大切です。子育てや親の介護、転職といった環境の変化が原因となっていることもあります。

すぐにあきらめて投げ出すのは、短絡的であると言わざるを得ません。

「好きな人」との関係を見直す

次に、好きな人との関係性も見直しましょう。

離婚を簡単に決めてしまう前に、「好きな人」が本当に将来を共にできる相手なのか冷静に判断してください。離婚後も、関係を継続させるつもりなら、相応の覚悟が必要です。あなたは本気でも、相手は既婚者との恋愛という「刺激」に惹かれているだけのこともあり、一時の感情に流されて人生を決めてしまうのは非常に危険です。

また、好きな人ができたことを理由に離婚すると、親族や友人から批難されたり、自身の評判が下がったりする可能性もあります。子供がいる場合、元配偶者に対して養育費を支払わなければなりません。婚姻期間中の不貞であると評価されると、場合によっては慰謝料を払う必要から、経済的に苦しくなる可能性も出てくるでしょう。

大きな犠牲を払ってでも離婚したことを後悔しないか、冷静に考えてください。別居して少し距離を置くことから始める手もあります。

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感情だけで離婚を決めない

感情だけで離婚を決めてはいけません。

そもそも、好きな人に対する感情が一時的なものに過ぎない可能性もあります。一時の感情で決断すると、「なぜこんなことになったんだろう」と後悔するリスクが高くなります。

例えば、結婚してから長時間経過すると、配偶者以外の異性のちょっとした言葉や態度に過剰に反応しがちです。しかし、そのような言葉や態度がきっかけで離婚し、相手と交際を開始しても、うまくいくとは限りません。

不満からはじまった交際は、続けていくうちに違和感をおぼえ、孤独を感じる人も多いものです。「前の生活の方がましだった」と感じるケースもあります。中には、好きだった人との関係がうまくいかず、離婚後に再婚を願う人もいます。このような悩みは、Web上のコラムの記事でもたくさん見られることから、多くの人が感情に走って後悔していると思うべきです。

一度立ち止まって考えるために、弁護士に相談して感情を整理するのは有益です。

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離婚による子供への影響

子供がいる場合、離婚したとしても、親として子供を養育する義務があります。

そのため、子ありの場合、例え好きな人ができたとしても、簡単に離婚を選択するわけにもいきませんし、離婚したとしても責任を放棄することはできません。 また、離婚は次のような悪影響を子供に及ぼすおそれがあります。

  • 新しい生活に順応できない。
  • 物や人への愛着を失う。
  • 成績が悪化する、不登校になる。
  • 両親の敵意を感じ取って精神不安定になる。
  • 同居しない親との関係が薄れる。

子供に嘘をつくのは論外ですが、「好きな人ができた」と正直に話せない人もいます。伝え方は、子供の年齢や発達段階を考慮して、細心の注意を払うべきです。間違っても、離婚を子供のせいにしたり、配偶者の悪口を言ったりしてはいけません。子供が幼いほど、親の夫婦喧嘩を自分と結びつけ、「自分が悪いのではないか」と責める傾向があります。

好きな人ができたことを含め、離婚はあくまで夫婦間の問題であり、子供とは関係がないことを明確に示さなければなりません。

子供が、一緒に暮らさない親に対して「捨てられた」と思い込む傾向も無視できません。「好きな人ができたから置いていかれたのだ」と悩む子供は少なくないものです。この誤解を避けるためにも、面会交流や養育費のルールをしっかりと決め、離婚後も子供に対して愛情を示すことは、自分の恋愛を理由にした離婚だからこそ気を付けてください。

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財産分与・慰謝料など経済的な整理

好きな人と結婚したいとしても、離婚による金銭的な負担からは逃れられません。

元の配偶者との間には、財産分与や慰謝料、養育費や年金分割など、解決すべきお金の問題が数多くあります。高額の財産分与や慰謝料を請求されると、離婚後の生活が苦しくなるかもしれません。現実問題として、当時は「好きな人」だった彼氏・彼女も、あなたの経済状況が悪くなったことで見放すという可能性も大いにあります。

このような事態を避けたいからといって、愛人などと協力して財産を隠すのもお勧めしません。悪質な財産隠しが発覚すると、財産分与や慰謝料で不利に扱われるのはもちろん、夫や妻の気持ちが硬化し、早期離婚に応じてもらいづらくなります。

たとえ、財産分与や慰謝料、年金分割など、相応の理由があったとしても、元の配偶者に対して金銭を渡すことについて、次に結婚する「好きな人」が拒否感を示すことはよくあります。このような金銭のトラブルが火種となって、こじれやすいのもこの種の問題の特徴です。

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離婚を切り出す際の伝え方

次に、離婚について配偶者にどのように切り出すか、解説します。

「好きな人ができた」という理由で離婚したい場合、「切り出しづらい」と考える人が多いでしょう。離婚を切り出す際の伝え方や、そもそも本当の理由を言うべきかどうか、よく検討してください。

離婚の切り出し方の注意点

まず、離婚の切り出し方についてです。

配偶者が穏便に応じてくれる可能性があるなら、できるだけ感情的な衝突を避けるため、相手が冷静で落ち着いて話せるタイミング、状況を見計らって切り出しましょう。急いで伝えると失敗するので、子供の前や、仕事で疲れているときは避けるべきです。

一方的な責任転嫁や、相手を傷つける言い方は避けましょう。「あなたが悪い」というのではなく、「自分はどう感じているか」を伝えます。これは、「好きな人ができた」のが理由だけど、その背景には相手の問題があると感じている人にとって特に注意すべきポイントです。

「好きな人ができた」と正直に伝えるべきか

「好きな人ができた」という理由で離婚したい人にとって、これを正直に伝えるべきか、それとも伝えずに隠しておくべきかは、最も悩ましい点ではないでしょうか。

正直に伝えることのメリット・デメリットを比較しましょう。

【メリット】

  • 嘘をつかずに本音で向き合える。
  • 離婚後に発覚することによる信頼喪失を避けられる。
  • 相手が離婚に応じるための納得材料になることもある。

【デメリット】

  • 相手が深く傷つき、協議続行が困難になる。
  • 不貞となると慰謝料請求され、有責配偶者として離婚が困難になる。
  • 子供の精神に大きな傷を負わせる可能性がある。
  • 周囲から非難されるリスクがある。

最終的には相手の反応次第ですが、多くのケースは、「好きな人ができたと伝えれば、あきらめてくれるだろう」という考えでは、甘すぎます。一度結婚した人と別れるのに、それほど軽い気持ちでいる人は少ないからです。

正直に伝えたことで夫や妻が逆上すれば、不貞行為を理由に慰謝料を請求されたり、離婚協議に応じてもらえなくなったり、有責配偶者として離婚裁判でも勝つことが難しくなったりといった多くのリスクがあります。

円満な離婚を目指すなら、はじめは好きな人がいることをあえて隠し「性格が合わない」など、別の切り出し方をして様子を見るのがお勧めです。

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話し合いがこじれた場合は?

様々な理由で、離婚についての冷静な話し合いが困難なことも考えられます。

  • 配偶者が離婚を望んでいない。
  • 配偶者が忙しくて話し合う時間が取れない。
  • そもそも相手が離婚を望んでいない。
  • 感情的にこじれて話し合いが決裂した。
  • 求める離婚条件に大きな乖離がある。
  • 配偶者が子供から離れたくない。

無理に自力で解決しようとしても難しいものです。自分に不利なことを不用意に言ってしまう、配偶者や自分が逆上して暴力に及ぶなど、事態を更に悪化させかねません。この場合、弁護士を介して話し合うことで、感情を整理し、話し合いを進めることができるケースもあります。

離婚調停の流れ」「離婚裁判の流れ」の解説

不倫関係がある場合の慰謝料リスク

好きな人と不倫・浮気をした場合、配偶者から慰謝料を請求されるおそれがあります。

ただし、「好きな人と交際している」というだけで、法律上の「不貞行為」に該当するわけではありません。法的には、一緒に食事をしたり遊びに行ったりすることではなく、夫婦の一方が配偶者以外の第三者と自由な意思で肉体関係を持つことを「不貞」と呼びます。

もし不貞行為があったことが発覚すれば、配偶者には自分と不倫相手の両方に慰謝料を請求する権利が生じます。不貞行為は、配偶者の貞操権を侵害し、精神的な苦痛を与えるため、民法上の不法行為(民法709条)に該当するからです。なお、たとえ配偶者以外の第三者と肉体関係があったとしても、その時点で既に婚姻関係が破綻していれば責任を負いません。

慰謝料の請求には、不貞行為を裏付ける証拠が必要となります(例:一緒にホテルに入る動画や写真、性行為があったことを伺わせるLINEやメールなど)。慰謝料の相場は婚姻期間、不貞行為の期間・回数、子の有無などにもよりますが、100万円~300万円程度が目安です。

また、不貞行為が発覚すると、有責配偶者となるため、「好きな人がいるから」という理由での離婚は著しく困難になります。

証拠がないときの対処法」の解説

弁護士に相談すべきタイミングは?

最後に、離婚について弁護士に相談すべきタイミングを解説します。

好きな人ができて離婚したい場合は、自ら切り出すとしても相手から切り出されるとしても、配偶者にその事実が発覚する前に弁護士に相談しましょう。

好きな人ができたという理由だけでは、調停や裁判を経ての離婚はハードルが高い上に、不貞行為の慰謝料を請求されるおそれもあります。一方で、配偶者にも問題があり、DVや不貞など、法定離婚事由に該当する事情があるなら、あえて「好きな人が出来た」という事情を伝えず、離婚を目指すのも有効な選択肢です。

非常に困難な状況だからこそ、何をすべきか、配偶者にどう伝えるべきかを含め、離婚に向けて戦略的に動くためには弁護士のサポートが欠かせません。

また、状況によっては離婚ではなく、現在の配偶者との関係を維持しておく方が望ましいことも考えられます。弁護士との相談を重ねれば、離婚時期を遅らせたり、再構築をしたりといった解決策のアドバイスを受けることもできます。

離婚に強い弁護士とは?」の解説

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、「好きな人ができたから離婚したい」という人に向けて解説しました。

好きな人ができたことは、離婚を思い立つ原因としてよく挙げられます。婚姻中でも、妻以外の女性、夫以外の男性に気持ちを寄せることは珍しくないでしょう。しかし、結婚・離婚は人生を大きく左右する重大な局面です。感情のままに動けば、法的に不利な立場に置かれたり、特に子供のいる夫婦の場合には、子供に重大な影響を与えたりする危険があります。

「好きな人ができた」「別れたい」と思っても、まずは、現在の結婚生活を客観的に見つめ直し、相手との対話や、将来への備えを丁寧に行うことが大切です。また、自分が有責配偶者(不貞など、離婚の原因を作出した側の配偶者)となり得る立場であれば、相手が反対すると離婚できなかったり、慰謝料を請求されたりする可能性も考えなければなりません。

後悔のない選択をするためにも、法律知識を踏まえた対応をする必要があるので、信頼できる弁護士のアドバイスを受けながら慎重に進めるのがお勧めです。

この解説のポイント
  • 離婚は人生を左右する重大な決断。感情ではなく冷静な決断を
  • 「好きな人ができたので離婚したい」は伝え方一つで展開が変わる
  • 不貞慰謝料や相手の気持ちへの配慮がないと、トラブルの火種になる

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参考解説

不貞慰謝料は、配偶者の不貞(不倫や浮気)による精神的苦痛に対して請求すべき賠償金です。離婚する場合はもちろん、離婚を回避する場合も、配偶者や不倫相手に対して請求することができます。

請求方法や法的な注意点、相場などを適切に理解するため、「不貞慰謝料」に関する解説を参考にしてください。

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