離婚を求められたとき、あなたが「まだ離婚したくない」、「できれば復縁したい」と思うのであれば、その復縁意思はできるだけ早く相手に伝えなければなりません。
つまり、復縁したいなら、できるだけ早く復縁交渉を開始するのが重要なポイントです。
できるだけ早く復縁の意思を伝えて、交渉をスタートさせたほうが、復縁できる可能性を少しでも上げることができるからです。復縁交渉せずに放置しておくと、別居され、弁護士に相談され、調停・訴訟されてしまうデメリットがあります。このとき、それから着手しても、復縁に向けた道はますますハードルが高くなってしまいます。
今回は、復縁交渉をできるだけ早く開始すべき理由と、復縁交渉が遅れることのデメリットについて、離婚問題にくわしい弁護士が解説します。
- 復縁交渉を早く開始しなければ、相手が離婚に向けた手続きを進めていってしまう
- 復縁交渉が遅れて、相手の意思が固まるほど、復縁は困難になってしまう
- 離婚を求める相手が弁護士をつけたとき、こちらも弁護士に依頼し、手紙で意思を伝える
なお、復縁したい方が、復縁交渉のときに知っておきたい知識は、次のまとめ解説をご覧ください。
まとめ 復縁したい人が離婚請求に対応するとき理解しておきたい全知識
復縁交渉をできるだけ早く開始すべき理由
夫婦の離婚問題では、復縁交渉はできるだけ早く開始したほうがよいです。これは、復縁交渉の開始が遅れてしまったときには、デメリットがあるからです。
離婚を求める側は、少しでも早く離婚したいと強く願うならば、あなたが離婚に応じなくても強制的に離婚する方法をとってきます。強制的に離婚するためには離婚訴訟が必要ですが、「調停前置主義」というルールがあるため、先に離婚調停を申し立てなければなりません。
そのため、話し合いを行い、解決できないときはまずは離婚調停、その次に離婚訴訟という順番で進めなければならず、離婚を求める側でもかなりの時間がかかることを覚悟します。
離婚を強く求める相手は、この一連の流れをできるだけ早く進めてこようとしますからあなたが復縁交渉に使える時間はますます短くなります。さらに、別居し、弁護士を依頼されてしまうと、直接連絡して交渉することが難しくなってしまいます。
以上のことから、復縁交渉を早く開始すべきなのです。
復縁交渉すべき効果的なタイミング
次に、復縁の意思を伝え、復縁交渉を開始するための効果的なタイミングと、タイミングごとの効果的な伝え方や注意点について、弁護士が解説します。
復縁交渉を開始するのはできるだけ早いほうがよいと解説しましたが、より復縁の可能性を上げるためには、効果的なタイミングが存在します。
夫婦の同居中ならいつでも
夫婦がまだ同居中であれば、顔をあわせて会話をする機会が残っていますから、いつでも復縁の意思を伝えることができます。そのため、別居をされてしまう前に、できるだけ早く復縁交渉を開始するのがおすすめです。
別居後だと、コミュニケーション手段がメールやLINE、電話など間接的なものに限定されてしまうため、あなたの復縁に向けた強い思いを、しっかりと伝えるのが難しくなってしまいます。LINEやメールで長文を送れば、かえって相手も復縁する気が失せてしまうでしょう。まだ同居中なのであれば、対面で直接、ストレートに復縁したいと伝える方法が有効です。
家庭内別居の状態だったとしても、まだ完全に別居していないだけチャンスがあります。復縁を目指すならばコミュニケーションをとる努力をしなければなりませんから、勇気をふりしぼって行動しください。
別居を切り出されたとき
離婚を求める側からすれば、早く別居したほうが、結果的に早期の離婚につながりますから、できるだけ早く別居を進めようとしてきます。あなたが別居に同意しなかったとしても、家を出る覚悟さえあれば、一方的に別居することができます。
復縁を求める側からすれば、できるだけ別居されず、同居を続けていく必要がありますから、別居を切り出されたときは、復縁交渉を開始する1つのタイミングとなります。
別居を切り出されてしまったタイミングでは、別居を止めるための次のような事情を伝えることが、復縁のきっかけとなることがあります。
- 子どもの教育、養育環境のため、一定の年齢になるまで同居してほしい
- 家賃支払、ローン支払の負担が大きい
- 婚姻費用について争いがある
- 生活費(食費、水道光熱費など)が二重負担となってしまう
特に、あなたのほうが相手よりも収入が高いときには、別居中の生活費として婚姻費用を支払うこととなりますが、その金額や支払い方法、支払い時期などが、別居を思いとどまらせるための交渉のカードとなることがあります。
別居期間が長くなりそうなとき
別居期間が長いときには、夫婦関係が「破綻」していると評価されやすくなります。
特に、不貞をしてしまったなどの有責配偶者(破綻について責任のある配偶者)は、有責配偶者側から離婚することが困難であり、離婚を認めてもらうためには8年〜10年以上といった長期の別居が必要となります。そのため、別居期間が長くなりそうなときは、できるだけ頻繁に連絡をとり、復縁の意思を伝えつづけるのが重要なポイントです。
復縁の意思を伝え続けたり、可能なときには会ってコミュニケーションをとったり食事や旅行にいったりすることで、離婚調停、離婚訴訟において「長期の別居」と評価されづらくすることができ、相手からの一方的な離婚を拒否できるようになります。
少なくとも、相手が離婚を認めてもらえるために必要となる別居期間を理解し、その期間に達する前に、復縁交渉を行っておくことが重要です。
子どものことで連絡がきたとき
離婚をして夫婦関係がなくなっても、親子関係はなくなりません。あなたとは離婚を求めている相手も、子どもへの愛情はなくならないことが多いです。
そして、あなたが監護親(子どもの世話をしている親)のとき、離婚を求めてきている相手も「子どもに会いたい」、「子どものことが心配だ」、「子どもの近況が聞きたい」と連絡してくるケースはよくあります。このようなタイミングこそ、復縁交渉をする良いタイミングです。
「子ども」という共通の話題があることから、話のネタには事欠かず、あなたが家庭に対する愛情を示せば、相手が思い直してくれる可能性があります。
逆に、あなたが非監護親(子どもの世話をしていない親)のときも、子どもへの愛情を相手に伝え、積極的に交流する方法が有効です。子どもに会わせてもらえないときは、面会交流の話し合いや、面会交流調停を検討してください。
弁護士に依頼するといわれたとき
離婚を求める相手から「弁護士に依頼する」といわれたとき、復縁のタイミングとしては最終段階です。このタイミングでは、最後のチャンスと考え、すべての思いをぶつけて復縁交渉するのがおすすめです。
弁護士から突然連絡がくるのではなく、「弁護士に依頼します」と相手から伝えられたのであれば、まだ実際には依頼していないなどチャンスがある可能性があります。弁護士に依頼されてしまい、弁護士を交渉の窓口として指定されてしまうと、もはや直接連絡をとれなくなってしまいます。
ただし、「弁護士を依頼するな」と強く止めるのは、かえって反発を招くため逆効果なことが多いです。相手の気持ちに理解を示し、復縁を求めているという将来のことをきちんと伝えていくようにしましょう。
相手に弁護士を依頼されてしまったら
実際に弁護士に依頼されてしまったら、直接連絡をとることができなくなると解説しました。それでもなお復縁を求めるのであれば、復縁交渉を早くはじめておくことに越したことはありません。
ここでは、実際に弁護士に依頼されてしまったときの復縁交渉の注意点をまとめて解説します。
手紙で復縁の意思を伝える
実際に弁護士を依頼されてしまった後のタイミングで、復縁の意思を伝えるときには、かならず手紙で伝えるようにしてください。
弁護士が交渉の窓口となったときには、相手に直接連絡をすることができず、弁護士を介してやりとりすることとなります。
口頭や電話で弁護士に伝えても、弁護士があなたの伝えたい内容をそのまま相手に伝えてくれるとは限りません。むしろ、弁護士は依頼者の味方ですから、離婚を求めるという方針に沿って行動します。そのため、あなたの復縁意思を、相手にそれほど強く伝えてくれないケースもあります。
手紙を書いて弁護士に渡せば、弁護士はその手紙をそのまま相手に渡すしかありません。そのため、手紙で伝えれば、復縁を求めるあなたの気持ちを、相手にそのまま伝えることができます。
自分も弁護士に依頼する
離婚を求める側が弁護士に依頼したとき、復縁を求めるとしても、あなたも弁護士への依頼を検討してください。
復縁を求める相談者から「復縁を求めるのに弁護士に依頼するのはおかしいのではないか」、「離婚する気があると示すことになってしまうのではないか」と質問されることがあります。
確かに、同居中や別居直後など、まだ自ら復縁交渉を成功させる可能性が十分に残っている段階であれば、このような質問は正しいでしょう。しかし、相手が弁護士に依頼してしまった段階では、もはやそのタイミングを逸してしまっていると言わざるをえません。
相手が弁護士を依頼したことは、一定の費用と時間をかけて離婚に進む覚悟をあらわしています。本気で離婚を進める相手に対しては、「自分で話せばなんとかなるのでは」という段階は過ぎているのではないかと考える必要があります。
弁護士を依頼することで、円満調停を申し立てる方法など、復縁を求める側からも法的手続きを検討できます。
離婚調停の前に復縁交渉をはじめる
相手に弁護士を依頼されてしまったときには、遅くとも離婚調停を申し立てられてしまう前には、復縁意思を伝え、復縁交渉をはじめてください。
離婚協議は離婚に向けた話し合いであるのに対して、離婚調停は、離婚訴訟の前置きを意味しています。離婚訴訟では、法律に定める離婚原因があるときには、裁判所の判決によって強制的に離婚できてしまいます。あなたの同意がなくても離婚できるという時点が間近になればなるほど、復縁を求めるあなたの声が相手の耳に届かなくなってしまい、復縁の難易度が高くなってしまいます。
なお、離婚調停を申し立てられてしまっても、調停はあくまで話し合いの場であり、離婚を強制することはできないので、復縁をあきらめてはいけません。
まとめ
今回は、復縁交渉をはじめるタイミングについて、できるだけ早くはじめたほうがよい理由と、効果的なタイミングを解説しました。
相手が離婚を強く願うほど、相手は離婚に向けた手続きを速やかに先にすすめようと努力してきます。このような流れを止めて、復縁をしたいのであれば、相手の覚悟が固まってしまう前に、できるだけ早く復縁交渉を開始しなければなりません。
復縁交渉を早く開始し、相手が経済的理由、子どもについての理由などで離婚を迷っているうちに復縁交渉を開始できれば、復縁の成功確率は飛躍的に高まります。
当事務所のサポート
弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題に精通していますが、離婚をしたくない、復縁したいという方からも多くのご相談をいただいています。
復縁を求める方にとっても、できるだけ早めに弁護士を依頼することにメリットがあります。ぜひお気軽にご相談ください。
復縁交渉のよくある質問
- 復縁交渉をすべきタイミングは、いつがよいですか?
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復縁交渉をすべきタイミングは、早ければ早いほど、成功の可能性が上がるとお考えください。離婚に向けて進めていく相手の行動が、何らかのはたらきかけとなって現れるタイミングが、その裏返しとして、それぞれ復縁交渉をスタートさせるタイミングとなります。詳しくは「復縁交渉すべき効果的なタイミング」をご覧ください。
- 離婚を求める相手が弁護士を依頼したとき、復縁交渉をどう進めたらよいですか?
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離婚を求める相手が弁護士を依頼したら、直接相手に交渉することはできず、弁護士を通さなければなりません。このとき、復縁に向けた強い意思を、そのまま伝えるためには、手紙を書いて伝える方法が有効です。もっと詳しく知りたい方は「相手に弁護士を依頼されてしまったら」をご覧ください。