ご相談予約をお待ちしております。

離婚の話し合いに第三者(両親・友人等)を同席させるメリットと注意点

夫婦で離婚についての話し合いをまとめることに自信がなかったり、不安が大きかったりするとき、両親・友人などの第三者に同席してもらおうとすることがあります。

離婚の多くは、話し合いで解決していますが、実際には、夫婦で話し合いをまとめるのがとても難しいケースもよくあるからです。両親や友人に同席してもらい、後押ししてもらえば離婚できるように感じるかもしれません。

しかし、離婚の話し合いに、第三者を同席させることはおすすめできません。

今回の解説では、離婚の話し合いに第三者を同席させるべきでない理由と、万が一同席させるときの注意点を解説します。

この解説でわかること
  • 離婚の話し合いは、夫婦2人でするのが原則
  • 第三者、特に互いの両親が同席すると、話し合いがうまく進まず長期化するおそれ
  • どうしても第三者を同席させるときは、口出しさせず、客観的な意見のみの発言とさせる
目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

\相談ご予約受付中です/

離婚の話し合いは、夫婦2人でするのが原則

考える女性

まず、離婚の話し合いは、夫婦2人でするのが原則です。離婚問題は、夫婦で解決すべき問題だからです。

「結婚は家同士の結びつきだから、離婚の話し合いは両家の問題だ」という考えの方もいるようです。それでもなお、離婚の話し合いに、両親や親族などを同席させる理由にはなりません。

はじめに、離婚の話し合いを夫婦2人ですべき理由(逆に、第三者を同席させることのデメリット)と、同席させておいたほうがよいケースについて解説していきます。

離婚は夫婦の問題

離婚は夫婦2人で決めるべき問題です。他人の意見は参考にはしても、密接に関与してもらうべきではありません。

離婚の話し合いに、第三者を同席させることは、たとえその同席者が両親や義両親、親友などであっても、次のような多くのデメリットがあります。

  • 感情的にヒートアップして、離婚の話し合いがうまくまとまらなくなる
  • 同席者がこちらの味方ばかりすると、相手が話し合いに応じてくれなくなる
  • 夫婦のプライバシーが外に漏れるおそれ

離婚協議は夫婦2人の問題であるとともに、あくまでも話し合いであるため、相手が応じてくれなければ話し合い自体が進みません。

話し合いができなくなってしまうと、離婚調停の申立をすることになりますが、ますます時間と手間がかかることとなります。

相談・意見は事前に聞いておく

百歩譲って両家にも話を通す義理があったとしても、それは夫婦の協議より前にやるべきことで、話し合いに同席までしてもらう必要はありません。

離婚問題について自分で考えることが難しく、意見やアドバイスが必要なときは、話し合いに同席してもらうのではなく、話し合いするよりも前に聞いておくようにしてください。

事前に聞いておくのであれば、両親はもちろん、離婚経験者の友人の意見などを参考にすることはおすすめです。

離婚の話し合いに第三者を同席すべきケース

原則は夫婦2人だけで行うべき離婚の話し合いですが、第三者に同席してもらったほうがよいケースもあります。例えば、次のケースです。

  • 夫婦で話し合うと、感情的になって話し合いがうまく進まないケース
  • 中立的な第三者が同席し、話を聞くことで整理ができそうなケース
  • DVがあり、離婚の話し合い中に暴力を受けるおそれのあるケース
  • モラハラがあり、威圧的な態度をとられると話し合いが困難なケース

特に、DVやモラハラがひどいときには、夫婦間に主従関係がうまれてしまってまともな話し合いができず、被害者側ですら、自分がDV・モラハラの被害にあっていることに気づいていないこともあります。

このようなとき、危険を回避し、離婚についてのまともな話し合いを実現するためにも、適切な第三者に同席してもらうことが有効です。

離婚の話し合いに同席を検討すべき第三者とは

はてな

離婚の話し合いに同席させてもよいか、よく相談がある人たちについて、その種類ごとに解説していきます。

離婚の話し合いに同席をさせたり、離婚の事前相談をしたりすることを検討する第三者には、次のような人がいます。

それぞれ順に解説していきます。

双方の両親

離婚の話し合いで、両親に同席してもらおうと考える人は多くいます。

両親に同席してもらいたいという不安な気持ちは理解できますが、離婚の話し合いは夫婦の問題であり、両親が同席することによってこじれてしまい、うまく進まなくなるおそれがあります。

親にとっては自分の子が一番かわいく、それは、自分の子がどれだけ責任があっても、どれほど非があっても同じことです。互いに自分の子を擁護することで、夫婦間の話し合いのはずが、いつの間にか両親同士の喧嘩に発展してしまいエスカレートすると、ますます収集がつかなくなってしまいます。

同様の理由で、親族の同席もやめておいたほうがよいでしょう。離婚の話し合いに両親が介入して話し合いが進まなくなってしまうことを避けるため、それぞれの両親に対する対応は、次のようにしておくことがおすすめです。

自分の両親につたえておくこと

  • 「同席は必要ない」、「夫婦の問題だから任せておいてほしい」と伝える
  • 子どもの味方ばかりすると、逆に相手から誠意がないとみられ、うまくいかないことを理解してもらう
  • やむを得ず両親に同席してもらうときには、下手な口出しや感情的な反論を控えるよう、釘をさしておく

相手の両親につたえておくこと

  • 義両親が、離婚の話し合いへ同席することは、断固として拒否する
  • やむを得ず義両親が同席した場合、義両親から不当なプレッシャーを受けるときは、その日の話し合いは打ち切るようにする

友人

友人に同席してもらうとき、夫婦の一方の友人であったり、一方ととても仲の良い人であったりするとき、結局そちらの味方をしてしまうおそれがあるため、両親・親族と同じ理由で、同席してもらうべきではありません。

これに対して、夫婦共通の友人であり、お互いにとって信頼できる友人や先輩、上司などがいるときは、同席してもらうことでお互いの意見を聞いてもらい、気持ちが整理されてうまく話し合いが進むことがあります。

他方で、人選を誤ると、職場や友人間に夫婦のプライバシーが広まってしまうリスクがあります。

仲人

お見合い結婚など、仲人さんをたてて結婚したとき、残念ながら離婚問題となってしまったときにも仲人さんに相談しにいくことがあります。

しかし、仲人さんと夫婦の間の人間関係もさまざまであり、2人のキューピットだからといって、離婚の話し合いのときに同席させる人物として適しているかどうかは、慎重に判断しなければなりません。

あくまでも、離婚の話し合いは夫婦2人で行うのを原則とすべきであり、仲人さんに同席してもらっても好転することはあまり期待できない場合が多いでしょう。

弁護士

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

離婚の話し合いに、弁護士が同席することがあります。弁護士が同席したほうがよいケースは、例えば、相手がモラハラ気質で、二人だけで話し合いをすると一方的にまくしたてられ、こちらの気持ちが十分に伝えられない場合です。

相手に不貞行為やDVがあり、あなたの側に十分な証拠がある場合のように、相手に対して責任追及を伝えるときにも、弁護士に同席してもらうことが大きなプレッシャーとなります。

このようなとき、弁護士という法律の専門家である第三者を交えることにより、相手にも一定の遠慮が生まれ、冷静に、話し合いが進むことが期待できます。

第三者に同席してもらうときの注意点

注意

ここまで解説してきたとおり、離婚の話し合いはまずは夫婦で行うようにし、第三者を同席してもらうことには慎重であるべきです。

最後に、第三者に同席してもらうこととなったときに注意しておきたいポイントを弁護士が解説します。

口出しさせない

適切な第三者に、離婚の話し合いに同席してもらうとしても、中心は夫婦の話し合いとすべきであり、口出しはさせないようにしましょう。

自分側で同席をお願いした人には、できるだけ口出しをしないよう、事前に伝えておくことが、離婚協議をうまく進めるためには大切です。

もし、相手側が同席をお願いした人が口出しばかりしてきて、あなたのことを感情的に否定したり、罵倒したり、理不尽に相手の味方ばかりするときには、その場でヒートアップしてやりあうのではなく、話し合いを打ち切ることがおすすめです。

客観的な意見にとどめる

離婚の話し合いに同席してもらう第三者に、発言してもらうときには、客観的な意見にとどめるようにしてもらいます。

あくまでも夫婦の問題である離婚の話し合いに同席するのであれば、中立の立場を貫いてもらう必要があります。どちらかに味方したり、他方を強く否定したりするような人であれば、話し合いをスムーズに進めるためにも、同席してもらうべきではありません。

客観的な意見について、夫婦の双方が求めたときに限って発言してもらうようにすることで、同席してもらうメリットを最大限に活かすことができます。

実家での話し合いは避ける

第三者として互いの両親に同席してもらおうとして、実家での話し合いを計画するケースがあります。「相手が実家に押しかけてきて、話し合いを強要された」という相談を受けることもあります。

実家で離婚の話し合いをすると、話し合いの間子どもの面倒を見てもらえるというメリットがありますが、実家で、両親の立ち会いのもので離婚の話し合いをすることは、やはりおすすめできません。

前章でも解説したとおり、両親は自分の子どもの味方をします。そのため、どちらの実家で行うかによって、離婚の有利不利に大きく影響してしまうからです。「自分の実家で話し合って有利に進めたい」という気持ちが適切でないのはもちろん、「相手の実家に乗り込んで、早急に話しをつけてやろう」という態度もまた、誠実とはいえません。

冷静な話し合いが難しそうなときは、ファミリーレストランやホテルのロビーラウンジなど、第三者の目のある公共の場所で話し合いを行うことがおすすめです。

離婚に両親・親族の協力が必要なことはよくある

離婚の話し合いに、両親や親族などが同席すると、話し合いがヒートアップしてうまく進みづらくなることを解説しました。

とはいえ、話し合いに同席すべきではないというだけで、実際には、離婚問題を解決するのに両親や親族の協力が必要となることはよくあります。重要なことは、話し合いに同席するなどの密接な関与ではなく、一定の距離を置いてもらうことにあります。

離婚問題の解決で、両親や親族の協力が必要となるのは、次のようなケースがあります。

  • 離婚届の証人となるケース
    離婚届には、成人の証人2名が必要となり、両親に証人となるよう依頼することが多い。
  • 離婚にともなう債務の連帯保証人となるケース
    離婚の話し合いで、慰謝料、財産分与、養育費など金銭支払を取り決めるとき、夫婦が若年の場合など資力が十分でないときは、両親が連帯保証人となることがある。
  • 離婚の話し合い中に子どもの面倒を見てもらうケース
    離婚の話し合いは夫婦2人で行うべきであり、子どもに聞かせることは健全な発育にとってよいことではない。
  • 離婚後の子どもの監護者になってもらうケース
    夫婦の事情(病気、DV、薬物中毒など)により、夫婦のいずれも子どもを監護できないとき、両親に子どもの監護者になってもらうことがある。

離婚の話し合いに同席しないとしても、離婚問題の解決に両親・親族の協力が必要となることはお多いため、話し合いへの同席を拒絶するときにも丁寧に理由を説明し、離婚について相談・報告を欠かさないことが大切です。

離婚理由によってケースバイケースの対応が必要

「離婚の話し合いに第三者を同席させるべきかどうか」という判断は、離婚を決断した理由によってもケースバイケースの検討が必要です。

例えば、相手のDV・モラハラが理由となっているとき、危険を回避し、自分の気持ちをきちんと伝えるためには、第三者に同席してもらったほうがよいケースがあります。

これに対して、性格の不一致、価値観の相違、性生活の不満など、必ずしもどちらのせいとも言いづらいような離婚理由のとき、第三者に同席してもらっても解決できません。むしろ、夫婦のプライバシーをさらけだし、相手にも嫌な思いをさせ、話し合いが進みづらくなってしまいます。

夫婦2人だけで話し合うことに不安が強く、話し合いを開始してしまうと不当なプレッシャー、ストレスを受けてしまうと予想されるとき、「そもそも、話し合いで解決が困難なのではないか」という点も検討しなければなりません。

相手が誠意をもって話し合いに応じないとき、もはや誰を同席させても話し合いで解決することは困難であり、離婚調停の申立てに進むべきケースであると考えられます。

まとめ

今回は、離婚の話し合いをするときに第三者を同席させてもよいかどうかと、第三者を同席させるときの注意点について解説しました。

離婚をするとき、その話し合いはストレスのとても強いものであり、1人では不安な気持ちはよくわかります。しかし、手助けは、事前や事後に得ておくことができますが、離婚協議をスムーズに進めたいのであれば話し合いに同席してもらうのはおすすめできません。

特に、両親を同席させることは、トラブルのもとです。信頼できる友人など、適切な第三者に同席してもらえるときにも、できるだけ口出しせず、客観的な意見だけを中立的に伝えてもらうようにしましょう。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題に精通しており、多くの離婚問題を解決に導いた実績と経験があります。

離婚問題に弁護士が同席して話し合いを有利に導くことも可能です。ぜひお悩みの方は当事務所へご相談ください。

離婚協議のよくある質問

離婚の話し合いに、第三者を同席してもらうべきケースはありますか?

原則として離婚の話し合いは夫婦2人でするべきですが、例外的に、相手がモラハラ気質で冷静に会話ができないときなどには、第三者に同席してもらうのが有効なことがあります。もっと詳しく知りたい方は「夫婦の話し合いに第三者を同席すべきケース」をご覧ください。

第三者に離婚協議に同席してもらうとき注意すべき点はありますか?

離婚協議に同席してもらったことによってかえって話し合いが長期化してしまわないよう、原則として口出しせず、発言するときは中立で客観的な意見にとどめるようにしてもらいます。もっと詳しく知りたい方は「第三者に同席してもらうときの注意点」をご覧ください。

目次(クリックで移動)
閉じる