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別居する時の荷物の持ち出しについて、法律上のポイント

離婚前に別居しようとしている方に向け、「別居時の荷物の持ち出し」について解説します。

離婚の話し合いには一定の期間がかかります。夫婦関係がすでに破綻しているとき、同居して話し合いを進めるのは困難です。特に、離婚理由がDV・モラハラにあるとき、同居しながらの離婚協議はとても危険で、離婚前の別居がおすすめです。

離婚について相手に非があるとき、離婚前の別居をすみやかに進めなければならず、持ち出す荷物は事前に準備しなければなりません。持ち出す荷物をしっかり用意するだけでなく、逆に、持ち出してはいけない荷物を持って出て、相手からDV・モラハラの反撃をくらわないよう注意が必要です。

なお、すでに別居をしているが残してきた荷物が気になる方は「別居後の自宅立ち入りと荷物の引きとり」をご覧ください。

この解説でわかること
  • 別居後に荷物をとりに戻ることは難しく、捨てられてしまうおそれあり
  • 別居前に、持ち出すべき荷物を整理し、準備することが大切
  • 持ち出すべきでない荷物を持ち出すと、離婚がうまく進まなくなるリスクあり

なお、別居前の離婚について、深く知りたい方は、次のまとめ解説をご覧ください。

まとめ 離婚前の別居について知っておきたい全知識

目次(クリックで移動)
解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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別居時の荷物の持ち出しの基本

はてな

離婚しようと決意したとき、すぐに別居を進める覚悟のある方ばかりではありません。これまでの生活を捨てるには、相当な決意が必要です。このとき、大きな悩みの種なのが、「別居時の荷物の持ち出し」についての問題です。

別居時の荷物の持ち出しについて検討しなければならない基本的なことには、次の2つの真逆のものがあります。当事務所にも、2つの両極端の法律相談があります。

  1. 別居前の準備が不足しており、十分に荷物を持ち出すことができなかった
    →「別居にともない、荷物を持ち出したいが、どのように準備したらよいか」という法律相談
  2. 別居時に持ち出した荷物が多すぎて、不適切な持ち出したと反撃を受けた
    →「相手のDV・モラハラ的な指摘に、どう対応したらよいか」という法律相談

離婚前の別居をするタイミングでは、暴力・暴言やDV・モラハラがあるケースを除いて、まずは「離婚したい」という希望をつたえ、離婚条件について協議することがおすすめです。離婚についての話し合いを同居中に行っておけば、荷物の持ち出しについてもよく話し合って解決することができます。

しかし、次のケースでは、別居前にしっかり話し合うことが難しい場合があります。

  • 相手が離婚に強く反対しているとき
  • 相手が復縁を望んでいるとき
  • 離婚条件について大きな争いがあるとき

このようなケースで離婚を進めるには、置き手紙をしてこっそり別居せざるをえず、別居時の荷物の持ち出しについて、夫婦間で円満に話し合うことは期待できません。そのため、別居前にしっかり自分で判断し、準備しなければなりません。

別居時の荷物の持ち出しについての問題は、今後の離婚までの流れを円滑に進められるかどうかに大きく影響します。不適切な対応をすると、住居侵入罪、窃盗罪などの犯罪にあたるおそれもあるため、法律知識にしたがった慎重な対応が必要です。

別居時の荷物の持ち出しに注意が必要な2つの理由

別居する流れは、①別居することを決断、②別居先を決める、③別居日を決める、④別居という進め方になりますが、遅くとも③別居日を決めたタイミングからは、身の回りの整理をし、別居時に持ち出したい荷物をリストアップして検討し、準備する必要があります。

別居の流れと荷物の準備
別居の流れと荷物の準備

離婚に向けて別居をしようとするとき、少しでも早く別居しようとあせるあまりに「着の身着のまま」で別居をしてしまう方も多いです。しかし、後で困ってしまわないよう、別居時の荷持の持ち出しには準備が欠かせません。

ここでは、別居時の荷物の持ち出しについて注意が必要な理由について、2つのポイントにわけて解説します。

別居時に注意が必要な理由
別居時に注意が必要な理由

別居後に忘れ物を取り戻ることは難しい

離婚協議が円満に進むケースや、すでに別居が長期にわたるケースでは、一旦別居したあとでも、相手に連絡をして忘れ物をとりに戻れる場合もあります。

しかし、今まさに別居を検討しているというタイミングでは、「別居後当面は、忘れ物を取りに戻ることは難しい」と考えるべきです。特に、離婚協議が十分に進んでいなかったり、離婚原因がDV・モラハラにあるケースでは、ひとたび別居に踏み切ると、持ち出していなかった荷物があっても取りに戻ることは危険です。

夫婦関係の破綻が決定的なケースでは、妻の別居をきっかけに夫が鍵を取り替えてしまい、妻が必要な荷物を持ち出せないようにしてしまうケースも残念ながら目にします。そのため、あとから「持ち出していない必需品に気づいた」ということのないよう、別居前にあらかじめ必要な荷物をすべて持ち出す必要があります。抜け漏れのないようリスト化しておきましょう。

なお、別居後に、必要な荷物をとりに戻りたい方は次の解説へお進みください。

夫に勝手に捨てられてしまう

夫婦関係が悪化し、感情的な対立が激しいケースでは、夫が、別居した妻の残していった荷物を勝手に処分してしまうおそれがあります。夫側の主張としては「荷物を残して勝手に出て行ったのだから、捨てられてもしかたない」というわけです。

荷物を捨てられるまでには至らなくても、勝手に整理されてしまったり、場所を移動させられてしまったり、乱雑に扱われて壊されてしまったりということもあります。自分の私物を勝手に触られることは、気分のいいものではありません。

  • 「身の危険を感じ、別居までの時間的余裕がない」
  • 「荷物が大きくて、別居時に持ち出すことができない」

といった理由でやむをえず荷物を残していかざるをえないとき、勝手に処分されてしまわないよう、残していく荷物の写真をかならず撮っておくようにしてください。

別居時に持ち出すべき荷物とは?

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

ここまで解説してきたとおり、持ち出したい荷物があるときは、かならず「別居前に」しっかり検討することが重要であると理解してください。離婚に向けて別居を決断したとき、すでに別居予定日まであまり時間がないことも多いです。特に、DV・モラハラにより生命・身体の危険を感じるときには、すみやかに別居を進める必要があります。

そこで、別居を決断した方から法律相談をいただいたとき、「別居時に持ち出しておいたほうがよい荷物」として弁護士がアドバイスする6つのポイントをまとめておきますので、別居前の荷物整理の際、参考にするようにしてください。

財産的価値の高いもの

財産的価値の高いものは、真っ先に持ち出すべき荷物の1つです。いわゆる「貴重品」のこととお考えください。

例えば、次のようなものについて必ず持ち出すべきことは容易に理解いただけるのではないでしょうか。

  • 現金
  • 預貯金通帳
  • キャッシュカード、クレジットカード
  • 生命保険の証書
  • 実印
  • 宝石、貴金属類

これらはいずれもサイズが小さく、準備をしておけばいつでも簡単に持ち出すことができます。

「さすがに貴重品は処分されないだろう」というのは甘い考えです。

夫婦関係が破綻している状態では、夫はあなたの持ち物などなんの価値もなく、勝手に処分してしまうことはよくあります。離婚の争いは、お金の取り合いでもありますから、処分されてこまるものは必ず持ち出しておかなければなりません。

生活必需品

離婚を決意して別居するとき、「離婚がまとまるまでは、荷物をとりに戻ることはできない」と考えるべきです。話し合いだけで離婚がまとまればすぐ解決できることもありますが、離婚調停、離婚訴訟に発展すると、年単位で時間がかかることもあります。

そのため、当面の間生活に困らないようにしておくため、生活必需品について、別居時に必ず持ち出しておいてください。準備しておく生活必需品には、例えば次のものがあります。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 健康保険証
  • 年金手帳
  • 常備薬
  • 化粧品
  • 最低限の季節分の衣類

子供のために必要なもの

妻側の立場で別居をするときは、子どもをつれて別居する、いわゆる子連れ別居となることが多いです。

子連れ別居をするとき、別居後に子どもの生活環境に大きな変化を与えないよう、配慮しなければなりません。そのため、あなたの荷物はもちろんですが、子どものために必要な荷物も、別居時に持ち出しておく必要があります。子どものために持ち出すことを検討してほしい荷物には、次のものがあります。

  • 教科書、ノート、筆記具など、学習に必要なもの
  • よく遊んでいるおもちゃ
  • 哺乳瓶、おむつなど育児に必要なもの

「夫も、子どもへの愛情はあるから、子どものために必要なものであれば後からでも協力してくれるだろう」という考えが甘かったことを別居後に知ることのないよう、十分な準備が必要です。

「夫婦が互いに子どものためを思っていれば争いは起こらない」という考えは間違いです。そうであれば、親権や養育費についての争いは起こりません。子どもへの愛情の示しかたについて、夫婦間にギャップがあることが争いを生んでいるのです。

なお、子連れ別居の際の注意点については、次の解説をご覧ください。

思い出の品、記念品など

思い出の品や記念品は、持ち主にとってはとても価値があるけれど、他人にはその価値は理解されません。あなたの思い出の品や記念品は、あなたにとって大切でも、夫にとってはまったく無価値で、興味もないことがほとんどです。例えば、次のようなものの持ち出しを検討してください。

  • 結婚前の思い出の品
  • 子どもの成長記録
  • 親の形見
  • 親友からもらったプレゼント
  • 実家の家族にとって大切な思い出

特に、結婚前からあなたが大切にしているものは、夫にとっては何の価値もありませんから、放置したまま別居してしまうと理されたり処分されてしまったりするおそれがあります。

離婚手続に必要なもの

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

離婚しようと決意して別居するときには、離婚が成立するまで戻れない可能性が高いことから、離婚手続きを進めるために必要なものも、別居時にかならず持ち出すようにしてください。

夫側が離婚に反対しているケース、復縁を望んでいるケースや、離婚自体には同意していても求める離婚条件に大きな争いのあるケースでは、いざ離婚手続きが進んでも、必要な資料について夫が協力的に提出してくれるとは限りません。

特に、別居後に離婚調停、離婚訴訟を進めていくケースで、離婚までに時間がかかるとき、別居中の生活費として婚姻費用をもらう必要があり、このとき、互いの収入を証明しなければなりません。このような場合に備え、収入を証明するための源泉徴収票、給与明細などは、必ず持ち出しておくべき荷物といえます。

離婚協議を有利に進めるための証拠

離婚を進めていくにあたって、離婚条件の折り合いがつかないときには、あなた側に有利に離婚協議を進めるための資料は、あなたが準備し、保管しておかなければなりません。

そのため、離婚協議を有利に進めるために役立つ証拠となるものは、別居時にかならず持ち出すようにしてください。離婚協議の進め方によっては、次のような証拠があなたにとって有利にはたらきます。

  • 日常的につけていた日記
  • ノートパソコンとその中のデータ
  • 夫の浮気・不倫の証拠となる写真、録音、録画など
  • 夫のDV・モラハラの証拠となる写真、録音、録画など
  • 自分の被害を証明するための診断書

また、離婚条件のうちもっとも高額になる可能性のある財産分与について有利に進めるためには、夫側の財産を把握しておく必要があります。財産隠しをされてしまわないよう、同居中に、夫名義の通帳、生命保険証書、不動産の権利書など、財産を示す資料についてコピー(写し)をとり、別居時に持ち出すようにしてください。

別居時に持ち出してはいけない荷物とは?

注意

別居時の荷物持ち出しについての相談のなかには、「持ち出してはいけない荷物を持ち出してしまった」というものがあります。別居までに十分な時間があるケースや、夫も別居に同意をしているケースのように、別居時に持ち出す荷物を検討する十分な時間があるケースでは、「できるだけ多くの荷物をもっていきたい」と思う方が多いのではないでしょうか。

しかし、夫側の都合もあることから、別居時に持ち出してしまうとトラブルになりかねないものもあります。そこで次に、持ち出すべきではない荷物についての3つのポイントを、実際にトラブルになってしまった事例とともに紹介します。

別居時に持ち出してはいけない荷物
別居時に持ち出してはいけない荷物

相手方の特有財産

「特有財産」とは、夫婦の共有財産ではなく、夫婦の一方に所有権が帰属する財産のことです。わかりやすくいうと、相手の名義の財産のこととお考えください。

相手方名義の荷物を勝手に持ち出してしまうと、別居後のトラブルの火種となるおそれがあります。このとき、離婚に関する話し合いにも悪影響が及び、話し合いが円満に進まなくなってしまうおそれがあります。

つい持ち出してしまいがちだけれども、相手方の特有財産であり持ち出すべきではない荷物には、次のものがあります。

  • 相手方名義の預貯金通帳
  • 相手方名義の生命保険証書
  • 同居の自宅不動産の権利証
  • 相手方の生活必需品
  • 相手方が結婚後に自分の財産で購入した物

これらの物が、離婚のときの財産分与の結果、妻のものとなることはもちろんあります。しかし、財産分与でもらうことを希望していたとしても、勝手に持ち出すことには問題があります。トラブルを避けるためにも、別居時にはひとまず置いて出ることをおすすめします。

勝手に持ち出してしまうと、離婚協議が円滑に進まないことはもちろん、損害賠償請求をされてしまったり、窃盗罪として警察に連絡され、告訴されてしまったりと、無用にトラブルを広げてしまうため注意が必要です。

勝手に持ち出してしまったときのリスク
勝手に持ち出してしまったときのリスク

なお、財産隠しや過少申告の対策のため、先ほど解説したとおり夫名義の財産を示す資料などを確保しておく必要がありますので、原本を持ち出すのではなくコピー(写し)をとっておくことがおすすめです。

共有財産

相手方名義のものを別居時に持ち出すことはトラブルの原因になると説明しましたが、夫婦共有の財産についてもすべて持ち出してよいわけでもありません。

財産分与の基本的な考え方は、夫婦が協力してい築き上げた「共有財産」について、離婚時にそれぞれ2分の1ずつ分与するというものです。

しかし、このルールをもってしても、やはり、別居時に共有財産を持ち出してしまうことはトラブルのもとです。財産分与の原則には例外もあり、財産への貢献度、寄与度によっては必ずしも2分の1ではなく、財産の評価額についても争いがあるときもあるからです。

このような財産分与についての対立は、離婚協議のなかで決めるものであり、離婚時に荷物を持ち出して強行的に解決しようとすることは避けるべきです。

なお、専業主婦で、夫の収入で生計を立てていたケースのように、妻側の財産がほとんどなく、別居後の生活費支払いを拒否されると生活が立ち行かないときは、緊急的に、現金を持ち出したり、夫婦共有の口座から預貯金を引き出したりする例があります。

生活のために夫婦共有の財産を利用することは、必要最低限はやむをえないこともあります。実務では、持ち出された財産の返還請求は、常識はずれな場合などの例外を除いてはできないとするのが裁判例です。ただし、持ち出した分については、のちの財産分与で、夫側から清算を要求されることもあります。

持ち出す必要性の低いもの

持ち出す必要性の低いものもまた、別居時に持ち出すべきではありません。

離婚を決意し、この先の財産や収入など経済面の不安から「持っていけるだけ全部持って出よう」、「離婚のときにほしい物はすべて今持って出よう」という方も少なくありませんが、避けるべき考え方です。必要性の低いものまで持ち出してしまうと、「荷物の持ち出し問題」自体が離婚とは別に争いとなり、肝心の離婚の話し合いがストップしてしまうおそれがあるからです。

特に、現金や預貯金などの財産的価値の高い物について、財産分与や婚姻費用として通常認められる範囲を超えても持ち出すと、夫側から強い反発を受けることが容易に予想されます。逆に、財産的価値の低いものであれば、速やかな離婚を優先したい場合には、「無理をして持ち出すよりも、別居後に買えばよい」という考えも大切です。

預金や生活費の管理が妻側に任されている場合には、すべての預貯金を引き出してしまうと、むしろ夫側の生活ができなくなり、夫側から返還請求や損害賠償請求をされてしまうことがあるため、注意が必要です。

「別居時の荷物の持ち出し」問題の当事務所によせられる法律相談

最後に、離婚に向けた別居を検討している女性側(妻側)から、よく法律相談で寄せられる質問を解説します。

別居時の荷物持ち出しは犯罪にあたる?

持ち出すべきでない相手方名義のものを持ち出したとき、夫側から住居侵入罪(刑法130条)、窃盗罪(刑法235条)などの犯罪にあたると主張され、「警察にいく」と脅されることがあります。

相手方名義のものを持ち出す行為は犯罪にあたりうるため、つつしまなければなりませんが、刑法には親族相盗例(刑法244条)というルールがあり、夫婦間での窃盗罪は成立しないと定められています。また、よほど高額な財産でもないかぎり、警察としても「身内の争い」、「夫婦喧嘩の延長」と考え、立件しないと予想されます。

「警察にいく」という強い脅しをかけてくる夫のケースでは、多くの場合、DV・モラハラが発生している疑いもあります。

とはいえ、「犯罪になる可能性がないのなら、何を持ち出してもよいのだろう」という考えは常識的にもさけたほうがよいのは当然です。別居時に持ち出す荷物が多いほど夫の反発を招き、トラブルとなりやすいため、「必要なものだけ持ち出す」という心構えが大切です。

荷物を捨てられたときの対応は?

どうしても別居時に持ち出すことのできなかった荷物が、別居後に夫の手によって捨てられてしまったときの対応について質問を受けることがあります。

荷物を捨てる行為は器物損壊罪(刑法261条)という犯罪にあたる可能性があります。器物損壊罪は、さきほどの窃盗罪とは違い、親族相盗例のルールがないため、夫婦間でも成立します。しかし、前章でも解説したとおり、よほど高価なものでない限り、警察も事件化しない可能性が高いです。

勝手に処分されてしまったことで財産的被害があったときは損害賠償を請求できますが、一度使用した物の価値は低く算定されるため、納得のいく賠償額を得られる可能性は低いです。したがって、捨てられて困るものはかならず別居時に持ち出すのが一番です。家具・家電など持ち出すことが困難なものは、勝手に捨てられないよう写真を撮っておくようにしてください。

「荷物を送るから別居先を教えろ」といわれたときの対応

離婚前の別居を決行するとき、別居のタイミングや別居先を夫に伝えないほうがよいケースがあります。特に、DV・モラハラがあるケースでは、別居先を隠しておくべきです。こっそりと別居を進めるとき、置手紙で今後の連絡先を伝えることが実務です。弁護士を依頼しているときには、弁護士を交渉窓口として指定します。

荷物の持ち出しの問題とからめて、「荷物を送るから別居先を教えろ」と要求されることがありますが、単なる口実にすぎないことも多いです。このような要求のしかたこそ、DV・モラハラ被害を容易に想像させるものであり、別居先は絶対に教えてはいけません。

同様に、子どもとの面会を理由として別居先を教えるよう強要してくる夫もいますが、子どもとの面会は日時を約束して外で会えばよく、やはり別居先を教える理由とはなりません。

まとめ

今回は、離婚を決意し、別居を考えている方に向けて、別居時に持ち出すべき荷物、持ち出してはならない荷物や、夫側からの要求への対処法などのポイントを解説しました。

別居をするときは強い覚悟が必要です。離婚協議・離婚調停・離婚訴訟といった流れを進めていくにあたり、離婚問題が解決するまでは家に戻れないことを念頭におき、荷物について十分な検討をしておいてください。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題に注力してサポートしており、特に、別居前の段階から、丁寧なサポートを心がけています。

別居時の荷物の持ち出しを原因としてトラブルが激化し、離婚協議が遅れてしまうケースを多く見てきました。早期離婚を実現するために、別居を決断したらぜひお早めにご相談ください。

離婚前の別居でよくある質問

別居時に持ち出す荷物にはどのようなものがありますか?

別居時に持ち出す荷物は、財産的価値の高いものや生活必需品、その他、子どものために必要な品などがあります。今後の離婚を有利に進めるため、もっと詳しく知りたい方は「別居時に持ち出す荷物とは?」をご覧ください。

別居時に持ち出してはならない荷物と、そのリスクは?

別居時に持ち出してはならない荷物は、相手方名義の財産や、共有名義の財産です。持ち出してしまうと、対立が激化し、離婚の話し合いがスムーズに進まないおそれがあります。もっと詳しく知りたい方は「別居時に持ち出してはいけない荷物とは?」をご覧ください。

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