離婚・男女問題

別居後に自宅へ立入る際の法的な注意点と、残した荷物の引き取り方

2020年11月5日

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別居後自宅へ立ち入り荷物を引き取る方法

夫婦関係がうまくいかず、別居を開始した後で、同居していた家に少しだけ戻りたいというときがあります。このとき「別居後の自宅への立ち入り」という問題が発生します。

別居をしてすぐに家を売るといった例外的なケースを除いて、あなたが家を出る形で別居をした場合には、同居していた家にはまだ配偶者(パートナー)が住み続けています。そのため、別居後の自宅へ、少しだけでも立ち入りたいと考えるとき、残してきた配偶者(パートナー)と偶然鉢合わせしてしまうおそれがあります。

もちろん、立ち入りをせずに別居を続けられるのであればそれに越したことはないのですが、急いで着の身着のままで別居をしたり、DVやモラハラから大至急逃げてきたりといったケースでは、大切な荷物を残したまま別居を開始してしまったということも少なくありません。

このような場合、別居生活を継続するためにも、「荷物をとる少しの時間だけでもいいから、自宅への立ち入りをしたい」という必要性はよく理解できます。

そこで今回は、別居後に自宅へ立ち入る際に気を付けておきたい法的な注意点と、残してきた荷物の引き取り方などについて、弁護士が解説します。

「離婚と別居に関する法律問題」弁護士解説まとめ

別居後の自宅への無断立ち入りについて

別居後自宅へ立ち入り荷物を引き取る方法

離婚前に別居を開始するとき、当然ながら夫婦関係がうまくいっておらず、別居のために十分な準備時間を確保することが難しい場合が多くあります。

特に、夫から妻に対して、もしくは、妻から夫に対して激しいDV(家庭内暴力)やモラハラがある場合や、子どもに対する虐待がある場合には、急いで別居をする必要があり、荷物の搬出が不十分なまま別居を開始してしまっていることがよくあります。

このように破綻の危機に差し掛かっており、既に離婚協議を開始しているような夫婦の場合、別居後の自宅への立ち入りについて、相手の許可をとることが難しいケースも多々あります。

そこで、まず初めに、別居後の自宅へ「無断で」立ち入ることの法的問題点について解説します。

別居後に無断で立ち入ってよい?

第一に、「別居をした側」の立場から考えて、別居後の自宅に「無断で」立ち入ってもよいのかどうか、という点です。

家から出て行った側としては、取り急ぎ貴重品や着替えだけを持って出てきてしまったような場合、後日生活必需品や身分証、思い出の品などの荷物の引き取りのために、自宅に立ち入りたいという希望があることが多いです。もともと自分の家なのだから自由に立ち入りたいという要求はよく理解できます。

しかし一方で、一旦は別居をしており、配偶者(パートナー)が単独で管理をするようになった自宅に無断で立ち入ることが、刑法に定める住居侵入罪(刑法130条前段)にあたってしまうおそれがあります。鍵を変えられてしまったとき、鍵を壊したり窓を割ったりすれば、器物損壊罪(刑法261条)となります。また、荷物の引き取りについても、自分のものか相手のものかについて争いがある荷物を持ち出してしまうと、窃盗罪(刑法235条)にあたる危険があります。

夫婦間の窃盗については「親族相盗例」といって刑事的な処罰はなされないこととなっていますが、無断で立ち入り、許可を得ずに荷物を勝手に引き取ったことが、感情的対立を悪化させて離婚協議を長期化させてしまったり、配偶者(パートナー)からの損害賠償請求を受ける原因となったりすることがあります。

刑法130条(住居侵入等)

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法235条(窃盗)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法244条(親族間の犯罪に関する特例)

1. 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2. 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3. 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

刑法261条(器物損壊等)

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

別居後の無断立ち入りを拒否できる?

第二に、「出ていかれた側」の立場から考えて、別居後の自宅に立ち入られないよう、無断立ち入りを拒否してもよいのかどうか、という点です。

さきほどとは逆に、出ていかれた立場からして、別居後に自宅に残った場合には「もう別居を開始したのだから帰ってきてほしくない」と考える気持ちはよく理解できます。しかし、実際には共同生活中は生活の拠点となっていたのであり、そこには相手方の荷物も多く置かれているはずです。そのため、一律に立ち入りを拒否することもまた、問題のある対応といえます。

少なくとも、相手方である夫ないし妻の荷物の引き取りには協力する必要があります。

別居をした経緯にもよりますが、「追い出して別居をした」というケースで、追い出されてしまった配偶者(パートナー)の行き場がないような場合、自宅への立ち入りを拒否することは「悪意の遺棄」という法定離婚原因にあたり責任追及をされたり、離婚協議に悪影響を及ぼしたりするおそれもあります。

なお、別居をした理由が、別居をした側のDVや虐待にあるようなケースでは、例外的に、別居後の無断立ち入りを拒否できる場合があります(ただし、このような危険なケースでは相手方に知られている自宅にとどまり続けること自体が、とても危険な対応であり、お勧めできません。)。

重要な争点は離婚条件

別居後にどの荷物を引き取るかは、別居後の生活の快適さにもかかわるため、感情的にはとても重要な問題にみえます。思い出の品や思い入れの強い物がある場合、特にそうです。

これまで生活していた拠点に、別居後は立ち入ることができなくなれば、とても不便な思いをします。

しかし、実際にはもっと重要な問題として離婚条件についての争いがある場合が多く、優先順位を誤らないようにしなければなりません。少なくとも、離婚条件の話し合いに悪影響が出てしまうようなことは避けなければなりません。

離婚条件における財産分与の問題として、金銭的に解決をすることができるのであれば、残してきた荷物を引き取れるかどうかはそれほど重要な問題ではないという場合も少なくありません。

別居後の立ち入りや、荷物の引き取り問題を解決する5つの方法

別居後自宅へ立ち入り荷物を引き取る方法

それでは、別居後に、自宅に立ち入ったり、自宅に残してきた荷物を引き取ったりしたいという問題を、法的にはどのような方法によるべきかについて解説していきます。

解決策は複数あるため、ケースに応じて最適な方法を選択するようにしてください。

別居後に、自宅へ立ち入るための交渉をする

先ほど解説した通り、別居を開始した後、自宅から出て行ったほうの配偶者が無断で自宅に立ち入ることも、自宅に残ったほうの配偶者が立ち入りを拒否することも、いずれも適切な対応とはいえません。

そのため、「別居後の自宅への立ち入り」という法律問題を解決するために、まず、別居後に自宅へ立ち入るための交渉を行うことがお勧めです。荷物の引き取りという限定的な目的を示して、相手に協力を求め話し合いを行うということです。

DVやモラハラ、虐待が争点となる事案では、「夫が怖くて立ち入れない」という方もいるため事前交渉が必要となります。

別居後の自宅への立ち入りの話し合いで、当事者間で決めておくべき事項は、次のようなものです。

  • 自宅への立ち入りの日時・時間帯・立ち入りから搬出までにかかる時間
  • 自宅への立ち入りに、配偶者(パートナー)が同席するかどうか
  • 自宅への立ち入りの目的
  • 引き取ってもよい荷物
  • (荷物の引き取りに引越し業者などを使う場合には)担当する搬出業者

なお、交渉の結果、立ち入り日時、持ち出す荷物などが決まった場合には、仮に立ち入る際に配偶者(パートナー)が同席していなかったとしても、話し合いで決まった以上の行いをすべきではありません。最低限の信頼関係すら喪失することは、今後の離婚に向けた話し合いの障害となるおそれがあります。

残してきた荷物を郵送で送ってもらう

どうしても顔をあわせたくない場合や、自宅へ立ち入ってしまうと荷物の引き取り以外に不都合があるといった場合には、残してきた荷物を郵送で送るという解決策をとることがあります。

例えば、DV(家庭内暴力)やモラハラ、虐待が争点となるようなケースでは、お互いの主張に争いがあるとしても、できる限り顔を合わせないほうが、無用なトラブルを回避できてよいのではないかと考えます。弁護士が代理人となっている事案では、弁護士事務所宛に荷物を送付するという方法をとることもあります。

なお、荷物を送る際の郵便代、宅配便の送料をいずれが負担するかはケースバイケースです。自宅に立ち入って荷物を持ち出すことに夫婦のいずれかが反対するようなケースでは、その反対する側がせめても送料などを負担することが多いです。

残してきた荷物を処分してもらう

別居をして家を出てきた側にとって、残してきた荷物が不要なものばかりである場合には、残してきた荷物を処分してもらうという解決策をとることもあります。

別居をして、その後に離婚協議を開始するような場合には、荷物トラブルを長引かせるよりも、離婚条件の話し合いなど、より重要な争点に注力するほうが有意義だからです。自分の意見を通したいと考える側が、あえて荷物の取り扱いについての話し合いを長引かせることがありますが、早期に離婚を実現したいと望むのであれば、残してきた荷物を処分してもらうという方法は良い解決策であると考えます。

なお、この場合にも、荷物を処分するのに費用がかかる場合に、その費用をいずれが負担するかはケースバイケースであり、話し合いが必要となります。

金銭の授受によって解決する

夫婦が共同生活をしていた期間中に購入した動産は、夫婦の共有財産として財産分与の対象となります。

そのため、交渉が決裂してどうしても自宅への立ち入り、荷物の引き取りが難しい場合など、後日、離婚条件の中の財産分与として、金銭的な調整を行うことで解決するというケースもあります。

ただし、家具、家電などの購入額の大きい動産であっても、売却する際には中古となってしまうため、よほど高価なものでもない限り値が付かないことがほとんどです。そのため、分与額への影響は小さいことも少なくありません。

第三者を介して話し合いを行う

別居後の夫婦の双方に、弁護士が代理人としてついている場合には、代理人間で自宅への立ち入りや荷物の引き取りについて協議を行うことができます。

当事者間で話し合ってしまうと感情的になり協議が円滑に進まないようなケースでも、代理人間であれば、少なくとも荷物の引き取りについてはそれほどトラブルなく進められることも多くあります。

荷物の引き取り自体は当事者が行うものの、夫婦間の不信感が強いためにお互いの代理人が立会いのもとに荷物の引き取りを行うというケースもあります。

また、離婚をするかどうかや、離婚条件についても争いがある場合には、離婚調停を申立て、調停の席上で、自宅への立ち入りや荷物の引き取りを行いたい旨を調停委員を介して伝えてもらうという方法も可能です。ただし、調停の申立てから調停期日までには一定の期間がかかることが予想されるため、荷物を捨てられてしまう可能性があるなど早急な対応が必要な場合には注意しなければなりません。

別居後に引き取るべき荷物とは

別居後自宅へ立ち入り荷物を引き取る方法

別居後に自宅への立ち入りが許可された場合に、引き取ってもよい荷物は、原則として、自分の特有財産に限られます。

特有財産とは、主に次の2つのもののことです。

  • 夫婦になる前からあなたが所有していた財産
  • 夫婦になった後であっても、あなたが自己の名義で得た財産
    :例えば、親から贈与を受けた財産、相続によって所有することとなった財産など

その他、衣類や化粧品など、明らかにあなたしか利用できない物についても、引き取っても争いは起こりません。

これに対して、夫婦の共有財産まで引き取ってしまうと、後に離婚条件として争われる「財産分与」において、あなたにとって不利な主張をされるそれがあります。なお、夫婦共有財産についても、配偶者(パートナー)の許可がある場合には引き取っても構いません。

以上のことから、夫婦の共同生活が長期間続いていた場合など、特有財産と共有財産が混ざり合っており、ある物についてどちらの所有に帰属すべきかが争いとなるような場合には、「何を引き取ってもよいか」について事前に話し合いをし、決めておくことがお勧めです。

当事者間での話し合いでは、議論が紛糾して解決が難しいような場合には、弁護士に依頼し、代理人として相手方と調整をしてもらうことができます。

残してきた荷物を捨てられたり、壊されたりした場合の対応

別居をしたことによって監視の目を解かれ、相手方への恨みつらみから、残していった荷物を捨ててしまったり、壊してしまったりする人がいます。

このように勝手に処分されたり破壊されたりしてしまった場合には、残しておいた荷物が、特に大きな争いの火種となります。暴力をふるったりモラハラをしたりといった暴力的な人であるほど、残しておいた荷物は安全とはいえません。

しかし、残念ながら、どの荷物を捨てられたか、どの荷物を壊されたかを、事後的に証明することは相当困難であるといえます。責任追及をしても「勝手に出て行ったほうが悪い」「残していった荷物はいらないという意味だと思った」などと理不尽な反論をされてしまうこともあります。

以上のような問題を避けるためにも、別居をする際には、別居のしばらく前から(配偶者に隠れて)しっかりと準備をして、万全の態勢で別居を開始することがお勧めです。

そのためにも、将来的に別居が予想される場合、DV(家庭内暴力)やモラハラに耐えきれず限界になってしまう前に、早めに弁護士にご相談ください。なお、別居時の荷物持ち出しに関する注意点については、次の解説も参考にしてください。

参 考
別居時の荷物の持ち出しと、別居するときの妻側の5つの注意点

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別居後自宅へ立ち入り荷物を引き取る方法

今回は、別居後によく問題となる、別居後の自宅への立ち入りと、荷物の引き取りに関する法律問題について、弁護士が解説しました。

別居後の自宅への立ち入りや荷物の引き取りは、別居をして家を出て行った側にとっては生活の安定に関わる問題であり、逆に別居をされて家を出ていかれた側にとっても単独生活を脅かされるおそれのある問題であり、いずれの立場からも感情的対立を招きやすい複雑な問題です。

このような問題について交渉が紛糾し、感情的な対立が激化してしまうと、別居後に行うはずであった離婚協議にも悪影響を及ぼすおそれがあります。

身近によく起こりやすい問題である反面、自宅への立ち入りや荷物の引き取りといった問題は、難しい法律問題をはらむ問題であり、「夫婦共有財産と特有財産のいずれにあたるか」や「無断立ち入りが可能であるかどうか」など、専門的な判断が必要となる場合があります。

離婚や別居をはじめ、ご夫婦間の法律問題についてお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

「離婚と別居に関する法律問題」弁護士解説まとめ

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