
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
離婚裁判は、夫婦間の協議や離婚調停で解決できなかった場合に行う法的な手続きです。
原則として、訴訟を提起する前には離婚調停を経る必要があり(調停前置主義)、民法770条1項に定められた「法定離婚事由」の有無が審理の中心となります。原告が訴状で離婚原因を主張し、被告が答弁書で認否・反論を行い、裁判所による主張整理と証拠調べが行われた上で判決が下されます。また、手続きの途中で和解によって終了することもあります。
離婚裁判に至るケースは、夫婦の対立が深刻化しており、親権や養育費、財産分与、慰謝料といった複数の争点について双方の主張が乖離していることが多いです。そのため、事前に手続きの流れを理解し、証拠を整理するなど、十分な準備をして臨むことが重要です。
今回は、離婚裁判の手続きの流れ、裁判の進み方、判決までの期間、有利に進めるためのポイントや注意点について、弁護士が解説します。
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はじめに、離婚裁判がどのような手続きなのか、基本的な知識を解説します。
離婚裁判(離婚訴訟)とは、夫婦の話し合いや調停では解決が難しいときに、家庭裁判所で行う法的な手続きです。離婚裁判における判決によって成立する離婚が「裁判離婚」です。
夫婦が離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つがあります。協議・調停は話し合いを重視する手続きであり、一方が断固として反対していると離婚できないのに対し、裁判では離婚できるかどうかを法的に判断するため、相手が拒否しても離婚を成立させることができます。

したがって、離婚裁判は、協議や調停で解決できなかった場合の「最終手段」として位置付けられ、民法770条1項の「法定離婚事由」が存在するかどうかが争点となります。また、離婚の可否のほか、親権や養育費、財産分与といった争点についても判断を受けることができます。
離婚裁判(離婚訴訟)が必要となるのは、主に次のようなケースです。
離婚裁判を利用するメリットは、裁判官が客観的な証拠に基づいて公平な判断を下す点です。
相手が話し合いに非協力的だったり、離婚を頑なに拒否したりしても、「法定離婚事由」が証明できれば、強制的に離婚を成立させられるメリットがあります。相手に不貞行為やDVといった有責行為があるケースでは、協議や調停を継続するより、訴訟に移行する方が解決が早まります。
一方で、デメリットとしては、解決までに時間と労力がかかることが挙げられます。裁判手続きは、月に1回程度の期日が繰り返されるため、時間的・精神的な負担が大きくなります。また、書面で互いの主張をぶつけ合うため、夫婦間の感情的な対立がさらに激化するおそれもあります。
「離婚までの流れ」の解説


次に、離婚裁判(離婚訴訟)を行うために必要な条件について解説します。
家庭の問題は夫婦の話し合いで解決するのが基本であり、裁判は「最終手段」と位置付けられます。そのため、離婚裁判の前には調停を経なければなりません。また、相手が同意しなくても強制的に離婚させる強い効果があるため、「法定離婚事由」に該当する必要があります。
日本の司法では、離婚について「調停前置主義」が採用されています。
これは、離婚裁判(離婚訴訟)を提起しようとする場合、まずは離婚調停の申し立てをしなければならないというルールです(家事事件手続法257条1項、244条)。家庭や親族の問題の性質上、まずは話し合いによって解決を目指すべきであるという考え方に基づくものです。
訴訟提起の際には調停不成立証明書を添付する必要があり、調停を経ずに訴えを提起した場合、家庭裁判所は職権で事件を調停に付さなければなりません。ただし、例外的に、相手方が所在不明である場合や、相手の態度が強硬であり調停不成立が容易に想像できる場合などは、調停を経ずに裁判を進めることができます。
なお、調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に提訴した場合は、調停申立ての時に訴えの提起があったものとみなされます。
「離婚調停の不成立とその後の流れ」の解説

離婚裁判(離婚訴訟)では、法律で定められた離婚原因があることが必要となります。
裁判で離婚が認められる事由を「法定離婚事由」と呼びます。具体的には、民法770条1項に定められた不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、婚姻を継続し難い事由の4つです。これらのいずれかに該当する事情を証明できれば、相手の同意がなくても裁判離婚が成立します。
実務上は、「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無が争点となることが多く、訴状には破綻に至る経緯、被告の言動、婚姻生活の状況などを具体的に記載します。
次に、離婚裁判(離婚訴訟)の流れについて順に解説します。
離婚裁判では、主張や証拠の整理、訴えの提起、期日対応(主張・立証)を経て、和解や判決によって終了します。また、判決に不服がある場合は控訴することができます。

離婚裁判(離婚訴訟)をスムーズに進めるためには、事前の準備が不可欠です。
裁判官に主張を的確に伝えるために、法的な観点から整理し、証拠を収集します。この段階で弁護士に相談すれば、裁判全体の見通しや有利に進めるためのアドバイスを聞くことができます。準備段階で全体の流れを把握すれば、計画的に進行させることができます。
「離婚に強い弁護士とは」の解説

離婚裁判(離婚訴訟)は、「訴えの提起」をもって正式に開始されます。具体的には、訴状を作成し、必要書類や証拠とともに裁判所に提出します。
訴え提起の際の必要書類は、次の通りです。
また、訴え提起時には、次のような費用がかかります。
「離婚裁判の費用」の解説

訴状には、離婚を求める理由、希望する条件などを整理して記載します。
離婚裁判では、民法770条1項に定められた法定離婚事由ごとに、具体的な事情を記載します。単に事由に該当することを主張するだけでなく、具体的な事情を説明するのがポイントです。あわせて、夫婦生活の状況や協議・調停の経緯も時系列で説明しましょう。
以上の必要書類が揃ったら、家庭裁判所に提出して、訴えを提起します。
離婚裁判を申し立てる裁判所(管轄裁判所)は、原則として、夫または妻の住所地を管轄する裁判所です。離婚調停は相手方の住所地にしか申立てできませんが、離婚裁判は、原告(離婚を求める側)の住所地に申し立てることも可能です。
提出書類に不備があったり、訴状に誤記があったりすると補正が必要となるため、提出前によく確認しておきましょう。
家庭裁判所が訴状を受理すると、裁判期日の日程を決め、原告と被告の双方に「期日呼出状」を送付します。通常、離婚裁判の第1回期日は、提訴から1ヶ月程度で設定されます。被告(離婚を求められた側)には、期日呼出状とともに訴状が送達され、期日の1週間前を目処に答弁書を作成することで反論を行います。
「離婚調停の答弁書」の解説

離婚裁判(離婚訴訟)では、原告・被告の双方が主張と立証を行い、裁判官が審理します。
主張と立証という裁判の基本となる手続きは、裁判所における「期日」が中心となります。口頭弁論や弁論準備手続を通じて争点を整理し、相手との主張が異なる点には証拠が求められます。期日が進んだ際には、裁判官から和解を勧められることもあります。
以下では、離婚裁判の期日対応について、重要なポイントを解説します。
期日には、主に以下の2種類があります。
第1回口頭弁論は、離婚裁判の重要な出発点となります。
裁判官が原告の訴状、被告の答弁書を確認し、争点を洗い出し、今後の裁判の進行方針を決定します。争点となるのは、双方の言い分が異なる点です。例えば「離婚するかどうか」「不貞行為があったか」「財産分与や養育費がいくらか」といった点が議論されます。原告・被告はそれぞれ、自身の主張を裏付ける証拠を提出する必要があります。
裁判の大半は書面のやり取りで進行するため、具体的で、かつ説得力のある準備書面を提出することが、有利に進めるためのポイントとなります。
なお、訴状、答弁書を提出した場合、第1回期日は「擬制陳述」(書面の通り陳述したものとみなすこと)とし、出席せずに進行させることも可能です。
離婚裁判は、複数回の期日が行われるのが通常です。
第1回期日の最後に次回のスケジュールを調整し、第2回、第3回と続きます。離婚裁判では柔軟な話し合いをすべき場合に、弁論準備手続に付されることも多いです。争点が明らかになるごとに、自身にとって有利な証拠を追加で提出することを検討してください。
争点の整理と書証の調べが終わると、必要に応じて尋問の機会が設けられます。
尋問は、証人や当事者(原告・被告)が法廷に立ち、それぞれ弁護士や裁判官から質問を受けて回答することで事実を明らかにする手続きです。離婚裁判では、家庭内という密室で行われた問題について、証言による立証が不可欠となることが少なくありません。
離婚裁判では、裁判官から途中で和解を勧められることがあります。
訴訟に発展していても、時間の経過や将来のリスクなどを加味し、妥協が可能になることもあります。和解に応じれば、判決を待たずに離婚でき、時間や費用を節約できます。また、判決では難しい柔軟な取り決めをすることも可能です。
一方で、裁判官の示す和解案に納得がいかないときは、必ずしも従わなくてもよく、和解を拒否して判決を求めることもできます。
裁判の審理が終了し、和解も難しい場合、判決に進みます。
判決は、裁判所による最終的な判断を意味します。離婚裁判(離婚訴訟)における判決には次のようなものがあります。
審理の終了後、判決が言い渡されるまでには通常1~3ヶ月程度かかります。この期間中に裁判官は証拠や主張を精査して、法律に基づいて結論を熟慮します。判決の言い渡しは法廷で行われますが、当事者は出席しても欠席してもよく、その場合は後日、判決正本の送達を受けることで内容を確認することができます。
「離婚裁判で相手が来ない場合」の解説

判決が確定すると法的拘束力が生じるので、一方が離婚を拒否しても、認容判決が下れば離婚が成立します。また、判決で命じられた内容を相手が履行しない場合(慰謝料や養育費の未払いなど)、強制執行によって財産を差し押さえることができます。

判決に不服がある当事者は、2週間以内に控訴をすることができます。控訴した場合、高等裁判所で審理を受け、さらに不服がある場合は最高裁判所に上告することも可能です。
判決や和解で離婚が成立した場合は、戸籍の届出が必要となります。裁判による離婚の場合、原告は判決が確定した日から10日以内に、市区町村役場へ離婚の届出をする必要があります。届出の際は、判決書の謄本と確定証明書(和解の場合は和解調書の謄本)を添付して行います。

次に、離婚裁判(離婚訴訟)を有利に進めるためのポイントを解説します。
裁判に発展した離婚問題を解決するには、冷静に、かつ計画的に準備することが不可欠です。裁判官を納得させる証拠を集め、法律に基づいて論理的に主張するようにしてください。
離婚裁判(離婚訴訟)で主張を認めてもらうには、客観的な証拠が必要です。裁判官は、事実に基づいて判断を下しますが、証拠のない事実は認定してもらえません。離婚裁判で争われる法定離婚事由の典型例が不貞行為とDVですが、それぞれ、次のような証拠が有効です。
【不貞の証拠】
【DVの証拠】
あくまで例であるため、他にも証拠がないか、弁護士に相談しながら収集することが重要です。なお、よほど悪質な方法でない限り、相手の同意なく取得した資料(同意のない「秘密録音」など)でも、民事訴訟では証拠とすることが可能です。
離婚裁判(離婚訴訟)では感情的な発言を避け、法律に基づいて冷静に主張するようにしてください。裁判は書面審理が中心であるため、有利な事情は主張書面に記載すべきです。
離婚裁判では、法定離婚事由に該当するかが争点となりますが、「ひどい人だ」「裏切られた」といった漠然とした非難は逆効果であり、具体的な事実や証拠に基づいて、民法770条1項のうちいずれに該当するかを主張しなければなりません。
離婚裁判(離婚訴訟)に発展した後でも、裁判外で解決する可能性もあります。
協議・調停で解決が困難であったケースでは、夫婦の対立は相当激化していることが予想されます。しかし、長期間争う中で気持ちが変わったり、互いの状況が変化したりすれば、再協議によって妥協が可能なこともあります。また、裁判中であっても、和解をすることが可能です。
特に、子供がいる夫婦の場合、離婚後も良好な関係を保つ努力をすべきです。対立を激化させ、完全に修復が不能な状態になると、将来の養育費が支払われなかったり、親子交流(面会交流)が難しくなったりといった支障が生じるおそれがあります。
「協議離婚の進め方」の解説


離婚裁判(離婚訴訟)では、気持ちや感情ではなく、法律と証拠に基づいて判断がされます。
そのため、自分の主張が正しいと思っていても、裏付けとなる証拠が不足していたり、法律知識に誤りがあったりすると、予想外の不利な結果となるおそれがあります。また、訴状や準備書面の作成、証拠の整理・提出、相手の主張への反論などには、専門的な知識が必要となります。
弁護士に依頼すれば、適切な訴訟戦略を立てられるのはもちろん、裁判所や相手とのやり取りを一任できるため、精神的・経済的な負担を軽減することができます。
ただし、離婚裁判を依頼する弁護士は、離婚問題のうち、訴訟に移行したケースの取扱実績を基準に選ぶべきです。離婚のケースの中でも、裁判に発展するものは決して多くないため、十分な経験があり、裁判の見通しやリスクを説明できることが求められます。
当事務所では、数多くの離婚裁判を解決してきた実績があり、対立が激化した複雑なケースを得意としています。また、元家庭裁判所長である弁護士をはじめ、裁判実務に精通しているため、裁判所の判断傾向を踏まえた戦略的な訴訟活動を行うことができます。
初回相談では、現状を丁寧にヒアリングした上で、離婚裁判の見通しや今後の進め方、想定されるリスクについて分かりやすく説明します。
「離婚相談の準備とメモ」の解説

最後に、離婚裁判(離婚訴訟)についてのよくある質問に回答しておきます。
離婚裁判(離婚訴訟)にかかる費用には、裁判所に支払う訴訟費用と弁護士費用があります。それぞれ次の金額が目安となります。
離婚裁判の弁護士費用は、総額100万円〜120万円程度が目安となり、内訳の相場は次の通りです。
| 着手金 | 55万円 |
|---|---|
| 報酬金 | 55万円+経済的利益の11% |
その他に、戸籍などの必要書類を取得する実費や、証拠を万全なものとするために探偵の調査費用などがかかることがあります。
「離婚の弁護士費用の相場」の解説

離婚裁判(離婚訴訟)にかかる期間は、様々な要因で左右されますが、1年以上かかることが多いです。裁判所の統計では、離婚訴訟の平均審理期間は19.4ヶ月とされています(裁判所「人事訴訟事件の概況(令和6年1月~12月)」)。
訴訟に発展するケースは争点も多く複雑で、夫婦間の譲歩も難しいことが予想されます。1ヶ月に1回程度の期日を、主張の整理、証拠調べが終わるまで繰り返すので、互いに反論を重ねるごとに長期化していきます。
離婚裁判(離婚訴訟)の解決は時間がかかり、長期化する例は多いです。
長期化すると、精神的ストレスが増加しますし、費用も追加でかかるおそれがあります。離婚裁判が長引く理由は、争点が複雑で、相手との対立が大きいことにあります。したがって、早期解決を望むなら、裁判手続きの流れを理解して迅速に準備するとともに、一定の譲歩をすることで争点を限定するのがおすすめです。
また、裁判中、配偶者の方が収入が多い場合、婚姻費用の分担請求を行って生活費を確保することができます。
「別居中の生活費の相場」の解説

離婚裁判で請求が棄却されても、将来にわたって離婚できないわけではありません。
裁判終了後も別居を続け、その期間が3年や5年と長期化すれば、新たに「婚姻を継続し難い重大な事由」という法廷離婚事由に該当すると判断される可能性があります。夫婦関係の修復が不可能であることが別居期間によって示すことができるからです。
なお、婚姻関係を破綻させる原因を作った「有責配偶者」の場合、8年〜10年程度の相当長期の別居期間を要するというのが裁判実務です。
「離婚成立に必要な別居期間」の解説

離婚裁判(離婚訴訟)は、本人訴訟で行うことが可能です。
弁護士に依頼しなければ弁護士費用はかかりませんし、自身で裁判の進行を直接把握できるメリットもあります。しかし、裁判では法的な主張・立証が求められるため、法律や裁判手続きの知識がないと不利になるおそれがあります。訴状の作成や証拠の収集、裁判所とのやり取りなども煩雑で、精神的に疲弊してしまう人もいます。
特に、争点が多く複雑な場合や、相手も弁護士を付けている場合は、離婚裁判は弁護士に任せるのが有益です。
「離婚裁判は弁護士なしでもできる?」の解説

今回は、離婚裁判の流れと、有利に進めるためのポイントについて解説しました。
離婚裁判は、協議・調停で解決できなかった離婚問題について、裁判所で法律と証拠に基づいた判断を得る手続きです。訴状の提出から期日対応、判決に至るまでの段階があり、離婚の可否のほか、親権や養育費、財産分与、慰謝料といった様々な争点について審理されます。
裁判を有利に進めるには、証拠を十分に収集しておくことが重要です。特に、離婚裁判に至るケースは、夫婦双方にとって妥協できない条件があったり、親権や財産分与などの重要な争点があったりするため、法律知識を踏まえ、判決も見据えて対応しなければ、有利な解決は望めません。
離婚裁判に不安を感じる方や、有利な解決を目指したい方は、調停が不成立となったら速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士のサポートを受ければ、適切な訴訟戦略を立て、主張や証拠の整理を行いながら、納得のいく解決を目指すことができます。
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