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妻に離婚されそうな夫側の注意点と夫婦の危機を乗り越える方法

妻から「離婚したい」と告げられたり、態度が冷たくなったりするなど、「このままでは離婚されそうだ」と感じるときは、速やかに対応してください。夫婦の危機に陥ったとき、冷静に対応し、関係修復の糸口を見つけることが重要です。

夫側だと、「離婚は勝ち目がない」「離婚条件で不利になる」と言われることがありますが、男女は平等であり、離婚だけが「女性有利」というわけではありません。感情的に動くと、状況が更に悪化するおそれがあるので、しっかりと目的を定めて準備をしてください。

今回は、離婚の危機に直面した夫が取るべき行動について、離婚する方針、夫婦関係を再構築する方針のいずれの立場からも解説します。

この解説のポイント
  • 妻に離婚されそうな夫側では、離婚にせよ復縁にせよ、早めの対応が肝心
  • 男性側で離婚問題に対応するとき、目的に合った方針を検討すべき
  • 自身の不貞行為やDVがあると、希望の条件で離婚するのは困難なことがある

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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離婚されそうな兆候を見逃さない

はじめに、離婚されそうな兆候と、初動の対応について解説します。

離婚されそうな危機に直面した夫にとって、妻の態度や行動に表れる「離婚の兆候」を早めに察知することが重要です。妻から離婚されそうに感じても、焦って感情的に行動すると、かえって状況を悪化させます。冷静に、問題の根本原因を見極めることが、関係修復の第一歩です。

離婚されそうな兆候の具体例

例えば、具体的な兆候には、次のものがあります。

夫婦の会話が減った

夫婦間の日常会話が減り、妻との意思疎通が難しくなることがあります。

話しかけても短い返事しかなく、意図的な無視や挨拶しないといった行動は、感情的な距離が広がっていることを意味します。妻が、夫とのコミュニケーションに価値を見出だせず、面倒になってしまうと、夫婦の精神的な繋がりは失われていきます。

生活態様が変化した

妻の生活態様や行動の変化も、離婚されそうな兆候の一つです。

例えば、別々の寝室で寝るようになる、食事を一緒に取らなくなる、夫と別の階で生活するなど、生活空間を分けて物理的な距離を取ろうとするのは、離婚に向けた準備の可能性があります。更に進むと、「家庭内別居」の状態に発展するケースも見られます。

外での行動が変化した

家庭内だけでなく、外での行動の変化からも、離婚されそうな兆候を見て取れます。

理由のない外泊が増えたり、外出の頻度が多くなったり帰りが遅くなったりするといったケースが典型例です。「自分の時間を大切にしたい」「夫以外の人間関係を重視したい」という心理が背景にあると、離婚に近づいていきます。また、スケジュールを夫に知らせなくなるなど、夫婦間の予定が分からなくなることも兆候の一つです。

家庭内別居」の解説

兆候に気づいたら最初にやるべきこと

次に、離婚されそうな兆候に気付いたとき、最初にやるべきことを解説します。

以下の初動対応は、結果として「離婚したい」という方針になる場合も、「離婚を回避したい」と考える場合にも、いずれにしてもやっておいて損はありません。

冷静に状況を観察する

まず、妻の態度や行動の変化が、一時的なものか、それとも離婚に向けた長期的な変化か、冷静に観察して見極めてください。感情に従った突発的な行動に過ぎないなら、まだ「離婚を切り出す」といった対応は性急かもしれません。

冷静に対応するには、会話の回数や外出の頻度など、目に見えて分かる変化について記録を取るのがよいでしょう。記録を取っておけば、冷静に状況を観察できるだけでなく、後に離婚トラブルに発展したとき、証拠として活用することもできます。

自分の言動を振り返る

離婚されそうに感じたら、妻の変化の原因は自分の態度や行動にあるのではないかと見つめ直し、自己反省を行ってください。例えば、「仕事優先の生活になっていないか」「家族の時間を持てているか」といった点を振り返りましょう。

この時点で、あなたの側に反省点があるなら、率直に伝え、コミュニケーションを取る努力をすることが大切です。

目的を明確にする

妻から、離婚されそうな兆候を受け取ったら、夫側としても戦略的に進めるために、「離婚したいかどうか」について目的を明確にしてください。夫側も離婚を希望するなら、妻と話し合い、離婚に向けて調整できます。一方、あなたは離婚したくないなら、妻とは目的が異なります。

「離婚するかどうか」について夫婦の意見が異なる場合、次に「法定離婚事由」の有無をチェックします。法定離婚事由は、民法770条1項の定める①不貞行為、②悪意の遺棄、③三年以上の生死不明、④強度の精神病、⑤婚姻を継続し難い重大な事由の5つで、これに該当すると、相手の同意なしに裁判で離婚を認めてもらうことができます。

離婚や復縁について、法律知識を聞いて判断するため、初動対応の時点から早めに弁護士に相談するのもお勧めです。

離婚に強い弁護士とは?」「男性側の離婚に強い弁護士の選び方」の解説

離婚されそうな夫がすべき努力

喧嘩する男女

次に、離婚されそうな夫がすべき努力について、具体的に解説します。

夫婦関係が冷え込んでいても、夫の積極的な努力で離婚を回避できる可能性もあります。妻の気持ちを理解しようとする姿勢と、過去の行動の改善がポイントとなります。

妻の気持ちを受け止める

まず、妻の気持ちを理解し、受け止めることが大切です。

文句や不平不満をぶつけられても、遮らず、最後までしっかりと聞きましょう。こちらの意見を押し付けることなく、相手が何を考えているのか、傾聴する姿勢が大切です。妻が「自分の気持ちを理解してもらえる」と感じれば、心を開いてくれる可能性があります。

間違っても、批判したり言い争ったり、妻の言い分を真っ向から否定したりしてはいけません。「そのようなつもりはなかった」など、言い訳や弁明も禁句です。対応を誤り、心を閉ざされると、もはや相手の率直な意見を聞くことはできません。

男性が離婚を有利に進めるための全知識」の解説

自己反省し改善を試みる

妻の言い分を理解したら、次に、自己反省し、改善を試みましょう。

離婚されそうなケースでは、妻が家庭内で負担を感じていたり、夫婦間で不平等が生じていたりすることが少なくありません。日常的な不満の一つひとつは小さくても、積み重なると離婚を引き起こす原因になってしまいます。まだコミュニケーションが取れる状態なら、どのように改善するかを妻に聞くため、「どのようなサポートが必要か」と尋ねるのがお勧めです。

改善が口先だけで終わらないよう、約束したことは必ず行動に移し、信頼を勝ち取ることが、離婚を回避するのに重要です。

性急に離婚を急がない

離婚されそうに感じても、「必ず離婚しなければならない」わけではありません。

したがって、性急に離婚を急がないことが大切です。妻側の弁護士から「離婚の意思は固い」「応じないなら調停を申し立てる」と強く説得されたとしても、あきらめないでください。

離婚は、話し合いによって成立するのが原則です。そして、夫が離婚を拒否したとき、妻が調停を申し立てたとしても、離婚を拒み続ければ調停は不成立となります。その後に離婚裁判(離婚訴訟)を提起し、裁判で離婚を成立させるには「法定離婚事由」がなければなりません。

したがって、離婚したくないなら、離婚を拒否し続けるのが適切な対応です。拒否し続ければ、少なくとも協議、調停で離婚が成立することはありませんし、裁判でも、不貞行為や暴力といった問題行為の証拠がない限り、容易に離婚されてしまうわけでもありません。

離婚までの流れ」の解説

離婚話が具体化した際の注意点

はてな

最後に、単なる「離婚されそう」という予感を超えて、実際に離婚話が具体化してしまったとき、注意すべきポイントについて解説します。

冷静に事実を確認して記録を取る

離婚されそうな事態に直面しても、感情的な行動は避けなければなりません。

妻が夫に対して否定的な感情を抱いているとき、夫もまた感情に任せて行動すれば、ますますヒートアップしてしまいます。怒りのままに妻を非難したり、逆に執着して無理やり関係を修復しようとしたりしても、うまくはいきません。

冷静に事実を確認すべきであり、交渉は記録を取りながら進めてください。当事者同士で話し合いをするときは、会話内容を録音に取ったりメモに残したりすべきです。別居後の離婚に向けたやり取りは、書面やLINEなど、記録に残る方法で行ってください。

協議離婚の進め方」の解説

できるだけ話し合いでの解決を試みる

妻側から離婚を強く求められたときに、夫側が注意すべきとして、「できるだけ話し合いでの解決を試みる」ということです。離婚時に決めるべき条件は、財産分与や慰謝料などの「お金の問題」と、親権や面会交流、養育費などの「子供の問題」に分けられます。

離婚の話し合いに時間がかかるときは、離婚届不受理申出をしておくのがお勧めです。不受理申出をしておけば、知らないうちに勝手に離婚届を出される事態を防ぐことができます。

離婚に伴うお金の問題」「子供がいる夫婦の離婚」の解説

不貞行為の責任を検討する

離婚されそうなとき、不貞行為の責任が非常に重要な意味を持ちます。

不貞行為(不倫や浮気)をして破綻の原因を作った側を「有責配偶者」と呼びます。有責配偶者は、自ら離婚の原因を作っているため、裁判で離婚が認められづらいです(8年から10年の別居期間を要するのが裁判実務です)。その上、慰謝料を請求されるという非常に不利な立場に置かれます。

自分が不貞行為をしたことが発覚して離婚されそうなときは、その証拠が取られていると、離婚を拒否して争いを長期化させたところで、最終的には妻側に有利な条件で離婚されてしまう可能性が高いです。逆に、自分は円満だと思っていたのに突然妻から離婚を切り出された場合、妻側の不貞行為を疑うべきケースもあります。疑わしい場合は、探偵への依頼を検討してください。

離婚成立に必要な別居期間」の解説

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、妻に離婚されそうな夫側の視点で解説しました。

妻に離婚を切り出されそうな兆候は、夫婦関係が危機的な状態にあるサインといってよいでしょう。しかし、夫が冷静に状況を受け止め、適切な行動を取れば、まだ離婚を回避できる余地も十分にあります。重要なことは、妻の気持ちを理解するために「傾聴の姿勢」を持つことです。

残念ながら離婚せざるを得ないケースも、「男性だから」というだけで不利な離婚条件を鵜呑みにする必要はありません。妻から離婚要求をされてしまったとしても、きちんと目標を明確にし、その目標に向かって前進できる方針を選ぶべきです。

重要なのは、感情的にならず冷静に行動し、妻の気持ちに真摯に向き合うことです。一人では解決策が見出だせないときは、弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 妻に離婚されそうな夫側では、離婚にせよ復縁にせよ、早めの対応が肝心
  • 男性側で離婚問題に対応するとき、目的に合った方針を検討すべき
  • 自身の不貞行為やDVがあると、希望の条件で離婚するのは困難なことがある

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参考解説

離婚を検討する際、男性に特有の課題や悩みを理解してください。離婚は男女いずれにとっても重要ですが、特に不利な状況に陥りやすい男性側では、早めの準備が欠かせません。

男性側の離婚について、具体的な解決策を知りたい方は、「男性側の離婚」に関する解説を参考にしてください。

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