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離婚されそうな夫側の4つの注意点【男性側の離婚】

男性側の視点からみて、「妻から離婚を切り出された」というタイミングでの適切な対応について解説します。「妻から離婚されそう」と感じたら、できるだけ早く対応してください。

男性側から離婚に関する法律相談をいただくとき、「男側の離婚は勝ち目がない」、「有利な離婚はあきらめたほうがよい」といった情報を鵜呑みにしておられる方も少なくありません。

しかし、本来、男女は平等なはずで、離婚だけが「女性有利」なわけはありません。男性側(夫側)でも、むしろ妻側に責任や離婚原因があるというときには、しっかり戦いぬくべきケースが多いといえます。

この解説でわかること
  • 「離婚問題は男性側が不利」は間違い。あきらめる必要はない
  • 男性側で離婚問題に対応するときは、目的にあった方針を検討すべき
  • ただし、自分が不倫をしてしまっているとき、希望通りの離婚は難しいおそれあり

\この解説の動画(約4分)/

なお、男性側の離婚で知っておきたい知識について、深く知りたい方は、次のまとめ解説をご覧ください。

まとめ 男性側の離婚で知っておきたい全知識

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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【ポイント1】目的を明確にする

ポイント

男性側の離婚で注意すべきポイントの1つ目は、「目的を明確にする」ということです。

離婚を切り出された時点で、妻側が「離婚を望む」という意思は明らかになりました。このとき、夫側の立場で、離婚を戦略的に有利に進めるための大きな分岐点は、次の2つです。

  • 「あなたが離婚を希望するかどうか」
  • 「裁判になったとき、離婚できるかどうか」

特に、離婚が交渉、調停によっては解決せず、訴訟となったときには、民法上、裁判によって離婚ができる原因は、次の5つに限定されています。これを「法定離婚原因」といいます。

民法770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法(e-Gov法令検索)

この2つの分岐点によって、夫側(男性側)でのとるべき戦略が異なります。つまり、あなたの目的が明確になっていなければ、最適な戦略を決めることができないのです。

参考までに、夫側の離婚への希望と、裁判になったときに離婚が認められ得る民法上の離婚原因があるかどうかによって、夫側が考えておくべき将来の方針について、表にまとめておきました。

スクロールできます
男性側も離婚を希望する男性側は離婚したくない
裁判で離婚できるできるだけ有利な離婚条件になるよう交渉する離婚調停までに復縁したいと伝える
裁判で離婚できない離婚条件について夫側が有利に交渉を進められる離婚訴訟まで争い、離婚を拒否しつづける

あわせて、「妻が離婚してくれないが、離婚したい」という方に向けた解説「妻から離婚を請求されているが、離婚したくない」という方に向けた解説を参考にしてください。

【ポイント2】性急に離婚を急がない

喧嘩する男女

男性側が注意すべきポイントの2つ目は、「性急に離婚を急がない」ことです。

妻から離婚を切り出されたからといって、「必ず」離婚をしなければならないわけではありません。妻側に弁護士がつき、「いずれにしても調停、裁判を求めるから、離婚せざるを得ない」と強く説得されても、あきらめないでください。

結婚が夫婦間の合意によって成立するように、離婚も合意によって成立するのが原則です。

夫側が離婚を拒否したときには、裁判で離婚が成立する理由には、法律上の制限があります。具体的には、裁判になって離婚が認められる理由は、先ほど解説した通り、次の5つです。

民法770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法(e-Gov法令検索)

重要なポイントは、不倫、暴力などの証拠がない限り、妻側が離婚を希望したとしても、夫側の同意なく一方的に離婚することは結構難しい、ということです。

そのため、夫側の立場で有利に離婚を進めるために、「離婚を急がない」作戦が効を奏する場合があります。

夫側が、話し合っている期間中の生活費、つまり「婚姻費用」を負担しなければならない場合には、その点も踏まえた方針決定をしなければなりません。

すぐ離婚するのか、婚姻費用を払いながら争うのか、どちらが経済的に得かを考えならが進めるのがおすすめです。詳しくは「別居中の生活費を請求する方法と、その相場」についての解説も参考にしてください。

【ポイント3】できるだけ話し合いによる解決を試みる

はてな

妻側から離婚を強く求められたときに、夫側が注意すべきポイントの3つ目は、「できるだけ話し合いをこころみる」ということです。

離婚するとき決めておくべき条件は、大きくわけて、次の2つに分けられます。

離婚の話し合いに時間がかかりそうなときは、市区町村役場に「離婚届不受理申出」を出しておくのがおすすめです。「離婚届不受理申出」を出しておけば、知らないうちに一方的に離婚されてしまう事態を防ぐことができます。

【ポイント4】不倫の責任に配慮する

悩む男性

最後に、妻から離婚を求める連絡を受けたとき、夫側が注意すべきポイントの4つ目は、「自分が不倫をしていないか」という点です。

不倫をしている人のことを「有責配偶者」と呼びます。

「有責配偶者」は離婚の原因を作った人という意味で、裁判での離婚が認められづらい上に、慰謝料を請求されるというとても不利な立場に置かれます。自分が不倫をしていたとき、その証拠がとられていると、どれだけ争いを長期化させても、最終的には妻側に有利な条件での離婚が成立してしまうおそれがあります。

むしろ、有責配偶者だと、自分から離婚を求めることは難しく、訴訟で離婚を認めてもらうためには「8年~10年」以上の別居期間を必要とするのが実務です。

逆に、円満だと思っていたのに突然妻から離婚を切り出された場合、妻側の不倫を疑うべきケースもあります。疑わしい場合には、探偵への依頼など不倫の証拠収集を検討してください。

不倫の証拠としては、次のものが考えられます。

  • ホテルへの出入りを撮影した写真・動画
  • 肉体関係をもったことを内容とするメール・LINE
  • 一緒に旅行へいった際の航空券チケット、ホテルの宿泊履歴
  • 他の異性と仲良く会話しているメール・LINE
  • その他、肉体関係をもったことを推認させる証拠

重要なのは、「肉体関係をもったこと」を証明できる程度の証拠を準備することです。

まとめ

今回解説してきた通り、妻から離婚を切り出されたとき、「男性側だから」というだけの理由で、不利な離婚条件を鵜呑みにしてしまう必要はありません。

妻から離婚要求をされてしまったときに重要なことは、きちんと目標をもち、その目標に向かって前進できる方針を選ぶことです。

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弁護士法人浅野総合法律事務所
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弁護士法人浅野総合法律事務所では、離婚問題について強みとして扱っています。男性側の離婚の取り扱い実績も豊富にあります。

お一人で考えても、解決策がわからないときは弁護士にご相談ください。一人で抱え込むよりも、最適な解決策を見つけられる可能性があります。

男性側の離婚でよくある質問

男性側の離婚は不利ですか?

離婚に、性別による有利不利はありません。そのため、男性側(夫側)だからというだけの理由で、不利になってしまうことはありません。もっと詳しく知りたい方は「離婚されそうな夫側の4つの注意点」をご覧ください。

妻から離婚されそうなとき、夫側でしておくことはありますか?

まず、あなたもまた離婚をしたいのか、それとも離婚を拒否したいのか、目的を明確にします。次に、裁判になったら離婚が認められる「法定離婚原因」(民法770条1項)が存在するかを確認してください。もっと詳しく知りたい方は「【ポイント1】目的を明確にする」をご覧ください。

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