離婚・男女問題

お互いにモラハラ被害を主張するときの対応と、離婚時の注意点

2021年9月6日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

夫婦の一方が離婚時にモラハラ被害を主張したときに、相手からも「むしろあなたのほうがモラハラだ」と反論されてしまうことがあります。夫婦が相互に憎しみ合い、お互いをモラハラだと主張するようなケースです。

モラハラはDVと異なり、どちらが加害者で、どちらが被害者かわかりづらいことがあります。また几帳面、神経質、自分の定めたルールに厳しい性格など、程度によっては単なる性格の問題で済むことも、度をすぎればモラハラになります。このとき、加害者側にはモラハラの自覚はありません。

モラハラをされたストレスから言い返していたら、相手に弁護士がついたとき逆にモラハラ扱いされていたという例もあります。

今回の解説では、

  • お互いにモラハラ被害を主張して争いになる理由
  • お互いにモラハラ被害を主張しているとき、被害者側の対応方法
  • お互いにモラハラを主張するときの注意点

といったモラハラと離婚に関する法律知識について、弁護士が解説します。

お互いにモラハラ被害を主張して争いになる理由

離婚時に、お互いに相手からのモラハラ被害を主張して争いとなるケースがよくありますが、このような事例がよく起こることには理由があります。その理由について、モラハラの性質と、モラハラ被害者の性質の両面から解説します。

モラハラの性質

モラハラは、よく離婚の理由として挙げられますが、不倫・浮気やDVの問題とは異なり、どちらが悪いとは必ずしも言い切れない性質があります。

このようなモラハラの性質からして、「モラハラ」と一言でいっても、その程度が相当強度でない限り、それだけでは裁判で離婚を認めてもらう理由(法定離婚原因)とはならず、慰謝料請求も認められないことが多いです。

モラハラの定義が曖昧で、幅広いことから、モラハラ加害者側からしても嫌なこと、不快なこと、思い通りにならないことは全部「モラハラ」だと理解しがちです。そのため、加害者なのに、自分に不都合なことが起こると「逆にモラハラ被害を受けているのは自分では」という勘違いが起こりがちです。

モラハラ被害者の特徴

モラハラをしがちな、いわゆる「モラハラ気質」の夫(または妻)がいる一方で、よくモラハラを受けてしまう人にもまた、共通の特徴があります。例えば、モラハラ被害者には自分を責めてしまったり、我慢してしまったりという方が多くいます。

モラハラ加害者は自分がモラハラをしているという意識がなく、被害者のせいだと強く責めがちです。しかし、加害者に都合のよい考えにのせられてしまうと、モラハラ気質を更に加速させ、互いにモラハラ被害を主張し合う自体を招くことにつながります。

お互いにモラハラ被害を主張するとき、被害者側の対応方法

モラハラ被害を訴えると、相手から逆にモラハラを主張されることはよくあります。自分が正しいと信じてモラハラする加害者は、相手が悪いと本気で信じていますから、自分の主張に対する反論はすべて、逆方向のモラハラだと受けとられてしまいます。

お互いにモラハラを主張するとき、その責任を必ずしも明らかにする必要のないことが多いです。これは、以下で解説するとおり、離婚や慰謝料請求などの場面で、モラハラの責任の所在を明らかにしたところで、あまり結論に影響がないことが多いからです。

そこで次に、モラハラ被害者の立場で、互いにモラハラ被害を主張するときどのように対応したらよいかを解説します。

モラハラを理由に離婚したいとき

モラハラを理由に離婚したいときで、お互いにモラハラ被害を主張するときは、その責任を明らかにせずに早く離婚することを目指すというのが正しい対応です。

相手のモラハラを理由に離婚したいと考えているときには、最終的にモラハラの責任がどちらにあるのかを明らかにすることにあまり大きな意味はないからです。

モラハラに耐えかねて離婚を求め、相手もあなたのことをモラハラだと互いに被害を主張し合うのであれば、すでに夫婦関係は破綻していると評価できる可能性が高く、離婚すること自体には互いに合意が成立する可能性も高いと考えられるからです。

なお、次章で解説する慰謝料以外のお金に関する離婚条件(財産分与・婚姻費用・年金分割・養育費など)は、モラハラがあるかどうかによっては大きな影響がないのが基本であり、この点でも、モラハラの責任がどちらにあるかを明らかにする意義は薄いといえます。

モラハラを理由に慰謝料請求したいとき

これに対し、モラハラを理由に慰謝料請求したいときは、モラハラの責任を明らかにしなければなりません(離婚時の慰謝料請求はもちろん、離婚せずに慰謝料請求する場合も同様)。

しかし、夫婦がお互いにモラハラ被害を主張しあうとき、慰謝料を認めてもらうためには相手が一方的に悪いことを証明する必要があります。この点で、どちらが悪いとは言い切れない程度のモラハラしかないときには、そもそも慰謝料が認められるほどの違法性がない可能性がありますから、早期の離婚を優先し、慰謝料請求はあきらめたほうがよいケースもあります。

なお、一方的な暴力のあるDVのケースでは、どちらが悪いか(暴力を奮った加害者が悪い)明らかであり、互いにモラハラ被害を主張するケースに比較して慰謝料請求を認めてもらうことが容易です。

離婚を拒否し、復縁したいとき

以上のケースとは逆に、モラハラがあると主張するものの復縁を希望するときでも、やはり、お互いにモラハラ被害を主張する場合に「どちらに責任があるか」をはっきりさせることにこだわるべきではありません。

別れようという決断に至らないのであれば、モラハラはよほど重度にならない限り夫婦間の問題であり、夫婦の話し合いで解決すべきです。将来も夫婦として継続する気持ちがあるなら、モラハラの責任の所在を明らかにすることに意味はありません。

ただし、お互いにモラハラ被害を主張するケースでは、相手は加害者なのに「自分は被害者だ」と自己を正当化してくるわけですから、復縁を選択すれば、更にモラハラがひどくなることが予想されます。

  • 「モラハラを主張したが、やり直したいということは私が正しいと認めたということだ」
  • 「自分の間違いを正し、謝罪し、今後の行動を改めるように」

といった、復縁を前提としたさらに理不尽な要求を突きつけられるおそれもあります。そのため、復縁を目指す道は、相当なストレスがあり、困難な道であるという覚悟が必要です。身の危険を感じてまで耐えることはおすすめできません。

まとめ解説
復縁したい人が離婚請求に対応するとき理解しておきたい全知識

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お互いにモラハラを主張するときの注意点

最後に、お互いに相手のモラハラを主張するようなケースで、対応の際に注意しておいてほしい点について解説しておきます。

モラハラの責任問題について議論しない

まず、モラハラの責任問題について加害者と議論をしないことが大切です。お互いにモラハラ被害を主張するようなとき、加害者側では、その責任を明らかにするために議論をふっかけてくることがありますが、応じることは得策とはいえません。

モラハラ加害者の目的は問題解決ではなく議論それ自体であることが多いです。更に悪いときは、あなたに嫌な思いをさせ精神的ストレスを与えることが真の目的であることもあります。相手をしても精神的苦痛が増すばかりで、離婚などに向けた前進にはつながりません。

責任の所在について議論をすれば、あなたを逆にモラハラ扱いしてくる相手にとってみれば「反省がない」、「誠意がない」と屁理屈をこねるもととなり、更にモラハラがエスカレートするおそれもあります。

前章で既に解説したとおり、互いにモラハラ被害を訴えているとき、その責任がどちらにあるかを明らかにすることに大きな意義はないため、議論をすることは止めるべきです。

モラハラと夫婦喧嘩が異なることを理解する

モラハラと似た状況(不平不満をぶつけ合い、相手の不満を指摘するなど)は、夫婦喧嘩でも起こりますが、モラハラを夫婦喧嘩と同様に扱うことは危険です。むしろ、モラハラを夫婦喧嘩と同じにとらえ「お互い様ではないか」と責任を押し付けるのは、モラハラ加害者がよくする話のすり替えです。

夫婦喧嘩は、円満な夫婦でも起こりうるもので、意見の相違を解決するためある程度必要なこともありますが、モラハラは、相手の非のないことでも非難し、揚げ足をとり、無用に人格否定をしたり、話をすり替えたりするもので、夫婦生活に不必要な行為です。非のないことを詰められたとき、もはや夫婦喧嘩ではなくモラハラです。

また、加害者側にモラハラの自覚がなく、謝罪や反省の態度がない点も夫婦喧嘩との大きな違いです。夫婦喧嘩であれば、言いたい放題言った後で自分側の非について反省し謝罪し、円満に戻ることも多いですが、モラハラ加害者は自分が正しいと信じきってモラハラするため、反省することはありません。

離婚問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

今回は、モラハラを理由とした離婚問題でよく起こる、夫婦がお互いに相手のモラハラを主張しているというケースについて、その理由と対応方法を解説しました。

互いにモラハラ被害を主張するケースがよく起こるのは、モラハラという単語が多義的であるというモラハラ自体の性質と、モラハラ被害者によくありがちな特徴に原因があることが多いです。

ただ、いずれにしても、暴力などを伴わないモラハラの程度にとどまる限り、離婚時にも慰謝料請求時にも、モラハラの責任がどちらにあるのかを明らかにすることにそれほど大きな意味はありません。そのため、相手から「むしろあなたがモラハラだ」といわれても、モラハラの責任の所在にこだわらず、早期の離婚を目指すことがおすすめです。

モラハラをはじめ、離婚問題にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

解説の執筆者

弁護士 浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院終了。

豊富な知識・経験に基づいた戦略的リーガルサービスを提供します。
専門分野の異なる複数の弁護士がタッグを組むことで、お客様にとって最も有利なサービスを、総合的に提供できることが当事務所の強みです。

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