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浮気・不倫の誓約書の書き方と注意点を解説【テンプレート付】

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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浮気・不倫が発覚したとき、再発防止のために誓約書を作成する方法が有効です。

誓約書を作成することで事実を証拠化し、責任を明らかにすることができます。また、再発した際の責任も強く追及することが可能となります。当事務所でも次のような相談があります。

  • 「もう二度と会わないと約束してほしい」
  • 「今回は許すが、次に不倫した場合は慰謝料を支払わせたい」
  • 「どのような内容を記載すべきなのか。テンプレートのままでよいか」

浮気・不倫の誓約書は特に、不貞行為が明らかになった後も離婚せず、関係修復を目指すケースに適しています。しかし、書き方を誤ると、約束した内容を十分に主張できなかったり、後のトラブルの要因となったりするおそれがあります。

今回は、浮気・不倫の誓約書に記載すべき内容や書き方、作成時の注意点について弁護士が解説します。すぐに活用できるテンプレートも紹介しますので、不倫問題を解決し、再発防止や慰謝料請求に備えたい方はぜひ参考にしてください。

目次(クリックで移動)

浮気・不倫の誓約書とは

浮気・不倫されたら誓約書を書かせるべき理由

はじめに、浮気・不倫の誓約書とはどのようなものかを解説します。

浮気・不倫の誓約書とは、相手方配偶者の浮気や不倫が発覚した際に、事実関係を認めて謝罪させ、今後の再発防止を誓うことなどを内容とする誓約書のことを指します。

誓約書とは、記載した人が、その内容となるルールや約束を守るという「誓い」を示した書面です。合意書、示談書、覚書、契約書といった書面がいずれも、当事者双方の合意を示すのに対し、誓約書は、一方から他方への一方的な意思表示を意味するという違いがあります。

相手の浮気・不倫が発覚した際に「誓約書を書かせる」という対応は、実務上もよくあります。誓約書の作成には、次のようなメリットがあります。

  • 浮気・不倫の再発を防止できる。
  • 浮気・不倫の重大性を理解させる。
  • 不貞行為の事実を認めさせ、証拠を確保できる。
  • 将来の慰謝料請求の準備を整えることができる。
  • 後に離婚に至った場合の責任を明確にできる。

ただし、これらのメリットを活かし、不倫問題を解決するには、誓約書の内容が適切なものであり、法的に有効なものでなければなりません。

不倫からの再構築」の解説

浮気・不倫の誓約書が必要となるケース

では、実際にどのような場面で、浮気・不倫の誓約書が必要となるのでしょうか。よくあるケースごとに解説していきます。

配偶者が浮気・不倫をした場合

配偶者が浮気・不倫をした場合に、誓約書を作成することがよくあります。

軽い気持ちで浮気・不倫を繰り返す人は、深刻さを理解せず、自分の行動によって他人を傷つけていることに鈍感であることもあります。この場合、配偶者に事の重大さを認識させ、責任を明らかにするために、誓約書を作成させます。誓約書で再発防止を誓わせ、違反した場合には違約金を請求する旨を定めることが役立ちます。

不倫相手に約束を守らせたい場合

配偶者だけでなく、不倫相手に誓約書を書かせるケースも少なくありません。

特に、不倫が発覚したものの、離婚せずに関係修復を目指す方にとって、不倫相手と連絡を取り続けられると、再発のリスクが高まってしまいます。不倫相手に今後の接触や連絡の禁止といった約束を守らせるために、誓約書で証拠化しておくことが役立ちます。

不倫相手に慰謝料を請求する方法」の解説

将来の離婚や慰謝料の請求に備える場合

不貞行為を機に、将来の離婚や慰謝料の請求を考えている場合も、誓約書が役立ちます。

誓約書で配偶者が浮気・不倫を認めたことを記録に残せば、不貞慰謝料を請求する際の証拠として活用できます。また、離婚時にも、相手に「法定離婚事由」があることを示せます。したがって、誓約書によって証拠化することで、将来の協議や調停、訴訟などを有利に進められます。誓約書に明記すれば、態度を覆して事実を否定するのは難しくなります。

相手が反省しているうちに、「離婚原因を自ら作ったため、将来離婚する場合はこちらの求める離婚条件に同意する」といった内容を盛り込むのがよいでしょう。

離婚裁判で証拠がないときの対処法」の解説

慰謝料を分割払いにする場合

浮気・不倫が発覚し、不貞慰謝料を支払わせる場合、分割払いの合意をすることがあります。

この場合、将来の履行を確実にさせるため、誓約書で責任を明らかにし、慰謝料の支払いを約束させることが役立ちます。このような誓約書では、分割払いを怠った場合には一括で請求できる旨や、その際の違約金などを定めておくこともあります。なお、未払いの可能性が高いときは、合意書を作って公正証書化すれば、裁判を経ずに強制執行を可能とする効果が得られます。

離婚せずに夫婦関係を継続する場合

誓約書は、離婚を前提にする場合だけでなく、夫婦関係を継続するためにも有効です。

浮気・不倫が一時の気の迷いだとしても、信頼関係の再構築は決して容易ではありません。再発時の慰謝料などの厳しい責任を明記することで、安心して復縁に向けた努力ができます。同じ相手との不貞行為を禁止するのはもちろん、相手が別の場合や、不貞行為には至らない不適切な行為についても誓約書違反とすることで、今後の夫婦関係のルールを作るチャンスでもあります。

誓約書で不貞行為の証拠を残せれば、相手は婚姻関係を破綻させる原因を作った「有責配偶者」となり、信義則上、離婚請求は認められにくくなります。

有責配偶者からの離婚請求」の解説

浮気・不倫の誓約書に記載すべき内容【テンプレート付】

次に、浮気・不倫の誓約書に記載すべき内容について解説します。

相手の浮気・不倫を見つけたときこそ、交渉において最も有利なタイミングと心得、夫婦関係の過去の問題や不満を解消し、将来の不安を取り除くのに役立てましょう。

当事者の氏名・住所

まず、当事者の氏名・住所を記載します。配偶者に記載させる場合はもちろん、不倫相手に記載させる場合にも、できる限り相手の情報を特定しておくことが重要です。後に責任追及をするにあたり、「誰と不倫したか」が重要な事情となるため、正確な記載が求められます。

不貞行為の事実

次に、不貞行為を認めさせる内容を記載します。

後から言い逃れを防ぐために、「いつ、どこで、誰と、どのような関係に至ったか」という「5W1H」を意識し、できる限り具体的な内容を記載しましょう。この際、相手から詳細に事情をヒアリングするとともに、入手できる証拠は必ず提出させるべきです。

なお、一般用語では「不倫」「浮気」といいますが、法的には「不貞行為」に該当するかどうかが、離婚や慰謝料の請求において非常に重要なポイントです。不貞行為とは、配偶者以外の者と性的関係を持つことを指すため、肉体関係(性交渉)があったことを正面から認めさせましょう。

反省と謝罪の意思

不貞行為の事実を認め、反省し、真摯に謝罪するという内容を記載します。

浮気・不倫を繰り返す人の中には、それが悪いことであるという自覚が乏しい人もいます。誓約書で責任を認めさせれば、自覚させて再発を防止するのはもちろん、離婚に至った場合に、婚姻関係を破綻させた原因が自分にあることを認識していたことを証拠に残しておく意味があります。

接触禁止条項

不倫関係を解消し、今後の接触を禁止することを明記しておいてください。

接触をすれば不貞行為に発展する可能性があるため、不貞行為そのものはもちろん、電話やメール、LINEなど、いかなる方法でも連絡を取らないことを定めるべきです。なお、不倫相手が仕事の関係者であるなど、接触がどうしても避けられない事情がある場合、「業務上必要のある場合は除く」といった条件付けをすることがあります。

再発防止条項

浮気・不倫の誓約書の効果を最大限発揮するために、再発防止条項は必須となります。

再発防止策を実効的なものとするために、できる限り具体的な対策を記載しましょう。浮気・不倫に至った原因を断つという観点で、次のようなことを記載する例があります。

  • 連絡先を削除させる。
  • SNSでのフォローを外す。
  • 趣味のサークルを抜ける。
  • マッチングアプリをアンインストールする。
  • キャバクラや風俗に通わない。
  • 異性と会う場合は許可を得る。
  • 会食や飲み会のメンバーを事前に報告する。
  • 門限を設定する。
  • スマートフォンやLINEをいつでも見られるようにする。

どうすれば今後の再発を防げるのかをよく考え、家庭の事情や浮気・不倫の原因に合わせて調整するようにしてください。

慰謝料の金額・支払方法

今回の浮気・不倫について責任を追及する場合は、慰謝料についての条項を定めます。具体的には、慰謝料の金額、支払方法、期限を明確に定めましょう。不貞行為は、不法行為(民法709条)に該当するため、これによって配偶者が受けた精神的苦痛は慰謝料の対象となります。

なお、不貞慰謝料の相場は100万円〜300万円程度が目安とされており、あまりに高額な定めをすると、後から公序良俗違反(民法90条)で無効と判断されるリスクがあります。

違約金条項

誓約書に再発時の制裁を定める例もあります。

典型例が、再度不貞行為をした場合の違約金です。あらかじめ金額を決めることで、再び浮気や不倫が発覚した際は、より高額の金銭を支払うことを約束させ、再発防止を図るためです。浮気・不倫が繰り返される場合、同じ相手だけでなく、違う相手の場合も違反となることを明記します。

ただし、前述の通り、裁判例の相場を踏まえた現実的な金額とすべきであり、怒りに任せて高額すぎる設定とすべきではありません。

将来の離婚条件

浮気・不倫が発覚してもすぐには離婚しない場合、将来の離婚に備えた記載も重要です。

不貞行為は離婚をする原因になりますが、しばらく経過すると関係が修復されたと評価され、その後の離婚の原因が過去の不貞行為にあるとは認定されないおそれがあります。こうした事態を防ぐために、将来離婚する場合には求める条件に応じるという旨を記載することが役立ちます。

例えば、よく記載される条件には次のようなものがあります。

  • 離婚請求があったら異議なく応じること
  • 不貞行為の被害者側の単独親権とすること
  • 算定表の相場を超える養育費を設定すること
  • 財産分与や年金分割を確実に行うこと
  • その他、離婚時の配偶者の要求に全て従うこと

なお、離婚時に検討しておくべき条件については、「離婚に伴うお金の問題」「子供がいる夫婦の離婚」を参照してください。

夫婦間のその他のルール

相手の浮気・不倫が発覚したタイミングは、交渉上最も有利な状況です。

この機会に、浮気・不倫に直接関係することだけでなく、日常の約束事、夫婦関係を改善するためのルールなどを誓約書に盛り込むのもおすすめです。不倫や浮気の原因は複数あるでしょうが、次のように、日頃の生活態度から金銭に関連することまで監督することを検討してください。

  • 夫婦の性生活
    キャバクラ通いや風俗店利用の禁止、夫婦の性交渉への配慮など
  • 夫婦の金銭管理
    給与明細の開示、小遣い制の導入、一定額の貯蓄義務、給与管理を妻に任せるなど
  • 浪費の禁止
    パチンコ・競馬やギャンブルの禁止、趣味の支出の制限など
  • DV・モラハラ防止
    暴力や暴言の禁止、高圧的な態度を取らないなど
  • 円満な夫婦関係の維持
    定期的なデートや旅行、外食の義務、感謝を示す行動など

ただし、あまりに一方的な内容であったり、相手の不利益が過大であったりすると、公序良俗違反(民法90条)として無効となるおそれがあります。特に、関係修復を試みる場合は、現実的に守れる内容で、相手の立場にも配慮して決めるべきです。

清算条項

誓約書は、双方向的なものではなく一方的なものであるため、清算条項を定めたからといって債権債務が完全に消えるわけではありません。ただし、誓約書を記載する人の納得感のために、今回の件について、これ以上の責任を追及しないという条項を記載することがあります。

日付・署名押印

最後に、誓約書の作成日を記載し、当事者に署名・押印をさせます。これにより、いつの時点での誓約かを明らかにし、強制されたものではなく真意に基づくことを示します。

浮気・不倫の誓約書のテンプレート

次に、すぐに使えるテンプレートも紹介しておきます。

書式は、配偶者に書かせる場合と、不倫相手に書かせる場合とで条項が少し異なります。テンプレートはあくまで一般的なものであるため、そのまま流用するのでは不十分な場合があり、個別の事情に応じた追記・修正が必要となります。

配偶者が作成する誓約書のテンプレート

誓約書

私は、下記のとおり誓約します。

第1条(不貞行為の確認)
私は、令和__年__月頃から令和__年__月頃までの間、________との間で不貞行為を行った事実を認めます。

第2条(謝罪)
私は、前条の行為によって貴殿に多大な精神的苦痛を与えたことを深く反省し、心から謝罪します。

第3条(接触禁止)
私は、今後一切、不倫相手と私的に接触しません。また、電話、メール、LINE、SNSその他一切の方法による連絡を行いません(業務上やむを得ない場合を除きます)。

第4条(再発防止)
私は、今後、不倫相手のみならず、その他の第三者とも不貞行為を行わないことを誓約します。また、再発防止のため、次の事項を遵守します。

  • 不倫相手の連絡先を削除する。
  • マッチングアプリ等を利用しない。
  • その他(              )

第5条(慰謝料)
私は貴殿に対し、不貞行為に対する慰謝料として令和__年__月__日までに金____円を支払います。

第6条(違約金)
私が本誓約書に違反し、再び不貞行為を行った場合又は第3条に違反した場合、貴殿に対し違約金____円を支払います。

第7条(将来の離婚について)
私が本誓約書に違反した場合、貴殿が離婚を求めるときは誠実に協議に応じます。離婚する場合、子の親権は貴殿の単独親権とするほか、その条件について貴殿の希望に従います。

第8条(その他)
私は、夫婦関係の改善のため、次の事項を誓約します。

  • __________
  • __________
  • __________

【作成日付・誓約者の氏名】

浮気・不倫の相手に作成させる誓約書のテンプレート

誓約書

私は、下記のとおり誓約します。

第1条(不貞行為の確認)
私は、貴殿の配偶者______との間で不貞行為を行った事実を認めます。

第2条(謝罪)
私は、前条の行為によって貴殿に精神的苦痛を与えたことを認め、深く謝罪します。

第3条(接触禁止)
私は、今後一切、貴殿の配偶者と私的な面会、電話、メール、LINE、SNSその他一切の方法で連絡を取りません。

第4条(再発防止)
私は、貴殿の配偶者との交際関係を完全に終了し、今後一切不適切な関係を持ちません。

第5条(慰謝料)
私は、貴殿に対し、不貞行為の慰謝料として令和__年__月__日までに金____円を、貴殿の指定する口座への振込送金の方法で支払います(振込手数料は私の負担とします)。

第6条(違約金)
私が本誓約書に違反し、貴殿の配偶者と再び接触又は不貞行為を行った場合には、違約金として金____円を貴殿に支払います。

【作成日付・誓約者の氏名】

浮気・不倫の誓約書の書き方の注意点

テンプレートを参考に、個別の状況に応じたカスタマイズをしてください。このときの書き方は、次の注意点を守って進めるようにしましょう。

具体的に記載し、曖昧な表現は避ける

誓約書の内容を確実に守らせるには、曖昧な表現、抽象的な記載は避けましょう。どのような約束をしたかを具体的に記載することで、違反時の責任追及もしやすくなります。

将来の支払条件を明確にする

将来、誓約書違反などを理由に違約金や慰謝料を支払うことを定める場合は、その支払条件は明確にしておかなければなりません。どのような事態になったら請求できるかが一義的に明らかでないと、相手から反論を招くおそれがあります。

証拠として残る形で作成する

誓約書は、将来の離婚や慰謝料の請求において重要な証拠となります。

口約束では後から守られない危険があるため、必ず署名を得て、原本を保存しておきましょう。合意書などと違って一方的なものであるため、1通作成するのが通常ですが、相手にも内容が確認できるようコピーを渡しておくのがおすすめです。

後で証拠として活用できるようにするため、氏名と住所、作成日は正確に記載させ、できる限り署名・押印を得るようにしましょう(実印でなく三文判でも可能ですが、シャチハタやスタンプ印は避けた方がよいです)。

浮気・不倫の誓約書にサインさせるまでの準備と流れ

誓約書を書かせるには、事前の準備が欠かせません。スムーズにサインさせるためにも、次のような手順で進めてください。

STEP

不貞行為の証拠を集める

まずは、配偶者が言い逃れできない客観的な証拠を確保する必要があります。

証拠がない状態で問い詰めても、はぐらかされたり、事実を否定されて誓約書の作成を拒まれたりするおそれがあります。不倫相手とのメッセージのやり取り、写真や動画など、肉体関係があったと推測できる記録を集めましょう。自力での収集が難しい場合は探偵に依頼することも検討してください。

STEP

今後の夫婦関係について意思を固める

今後について、離婚するか、それとも関係修復を目指すかを決定します。

離婚か復縁か、いずれを希望するかで、誓約書に盛り込むべき内容は異なります。夫婦関係を続けるなら、再発防止策や接触禁止を厳格に定める必要があります。一方、離婚を見据える場合は、財産分与や親権といった条件面の記載をすべきです。

STEP

誓約書の原案を事前に作成する

話し合いの場に臨む前に、あらかじめ誓約書の原案を作成しておくべきです。

口頭で伝えてその場で作成させるのは、抜け漏れを生じる要因となるため、「浮気・不倫の誓約書のテンプレート」に追記・修正したものを準備しましょう。慰謝料の金額や期限など、譲れない条件は具体的な数字を明記しましょう。また、相手との交渉に応じて修正できるよう、空欄にしたものも複数枚用意しておくのがおすすめです。

なお、準備が不十分なまま話し合いが始まってしまった場合、誓約書は手書きでも有効です。日を改めると反省の態度がなくなる人もいるため、機を逸せず、その場にある紙に手書きをさせ、指印(拇印)を押させる方法も検討してください。

STEP

冷静に話し合ってサインを求める

準備が整ったら、配偶者や不倫相手と話し合いの場を設けます。

罵倒したり、声を荒げて威圧したりしてはいけません。相手に録音され、強制的に書かせたと主張されると、せっかくの誓約書が無効になるおそれがあります。相手に内容を読み聞かせ、条件に納得させた上で自発的に署名させることが重要です。話し合いが平行線となる場合は、持ち帰って検討させるなど、時間を置くことが必要です。

浮気・不倫の誓約書を書かせるときの注意点

案内する女性

次に、浮気・不倫の誓約書を作成させる際の注意点について解説します。誓約書の内容や作成時の手続きが適切なものでないと、十分な法的効力を発揮できないおそれがあります。

法律に反する内容は無効となる

誓約書は当事者の合意で作成されますが、どのような内容でも認められるとは限りません。公序良俗に反する条項や、不当な人権制限などは、民法90条により無効とされる可能性があります。例えば「浮気をしたら即座に離婚し、子供には二度と会わない」といった内容は、たとえ違反したとしても離婚時に実現できるわけではありません。

過大な違約金は認められない

過大な違約金の定めも、前述の民法90条によって無効となる可能性があります。

一般に、不貞慰謝料の相場は100万円〜300万円程度とされており、この範囲を著しく逸脱する数千万円、数億円といった設定は避けるべきです。このような定めは、書面全体の信用性も失わせます。相手の収入や資産状況からして到底支払えない金額を課すことは、法的効力を失わせるだけでなく、制裁としても実効性がありません。

強制的に署名させてはいけない

たとえ相手に非があっても、誓約書に強制的に署名させることはできません。

無理やり書かせた誓約書は強迫(民法96条)、騙して書かせれば詐欺(民法96条)、中身を確認させずに署名させたときは錯誤(民法95条)などによって無効となるおそれがあります。したがって、相手が拒否した場合には、それ以上強く求めてはいけません。態様によっては、脅迫罪(刑法222条)や強要罪(刑法223条)に該当するおそれもあります。

誓約書の内容をよく理解させる

浮気・不倫の誓約書の内容をよく確認させずにサインさせることは、前述の通り、書面が無効になるおそれがあるだけでなく、相手に責任を理解させられないというデメリットもあります。再発防止を実効的なものにするために、どのような行為が許されないかを夫婦の共通理解にすべきです。

公正証書にすると回収しやすい

浮気・不倫の誓約書による回収を確実にするために、公正証書化することも検討しましょう。

公正証書は、公証役場で作成する公的な書面であり、強力な証拠能力を持つとともに、記載された金銭請求について、裁判を経ずに強制執行により財産を差し押さえることが可能です。慰謝料や違約金などの金銭支払を約束させるなら、公正証書にしておくメリットは大きいです。

ただし、離婚する際の条件や将来の慰謝料などの内容は直ちに執行できないため、公正証書には適しません。この場合、「私署証書」として公証役場で認証を受けておく方法が有効です。

ダブル不倫の場合は注意が必要

ダブル不倫の場合、特に慎重な配慮が必要となります。

ダブル不倫では、不倫相手にも配偶者がいるため、あなたが不倫相手に慰謝料を請求できる一方で、不倫相手の配偶者もまた、あなたの配偶者に慰謝料を請求することができます。互いに慰謝料を請求し合う事態となると、双方の家庭を巻き込んだトラブルに発展し、泥沼化していきます。

特に、ダブル不倫が発覚しても離婚は考えていない場合、不倫相手の配偶者から請求を受けることで、結果的に家庭の金銭が失われるおそれがあります。この場合、不倫相手への請求よりも、自分の配偶者への責任追及と誓約書の作成を優先して進めるのがおすすめです。

再度の不倫は別途証明が必要になる

誓約書を作成しても、将来起こった不倫の事実まで自動的に認められるわけではありません。

相手が約束に反して不貞行為を再び行った場合、その証拠はあらためて集める必要があります。誓約書は「過去に不倫をした事実」と「当時の約束」を証明する証拠にとどまります。したがって、違約金や慰謝料を請求するためにも、油断せず、証拠収集は継続的に行ってください。

浮気・不倫の誓約書に違反があったときの対処法

配偶者や不倫相手に誓約書を書かせても、守られないこともあります。違反に対して速やかに対処しないと、約束が軽視され、誓約書を作成したメリットが薄れてしまいます。適切な誓約書を作ったことで義務の内容が明確化されていれば、違反に対して次のように対処できます。

誓約書に違反時の違約金が定められている場合は、証拠は十分であるため、速やかに請求しましょう。まずは内容証明で請求し、証拠に残しながら進めましょう。

弁護士名義の通知書で、対応しない場合には法的措置を講じることを合わせて伝えれば、心理的な圧力をかけて支払いを促すことができます。

交渉では支払われない場合、訴訟を起こす方法を検討してください。不倫相手への金銭請求や、配偶者であっても離婚はしない場合、民事訴訟で請求します。これに対し、配偶者との離婚問題を進める場合、離婚調停を申し立てます。

浮気・不倫の誓約書を弁護士に依頼するメリット

弁護士法人浅野総合法律事務所

浮気・不倫の誓約書の作成を弁護士に依頼することには、多くのメリットがあります。

実際に当事務所でも、誓約書の作成や、その際の交渉について相談されることがよくあります。当事務所における解決事例には、「誓約書の作成から不貞相手の退去交渉までワンストップで解決した事例」などがあります。

法的に有効な誓約書を作成できる

浮気・不倫の誓約書を有効なものとするには、離婚問題についての法律知識が必要です。

特に、不貞慰謝料や親権、財産分与といった離婚条件は、裁判例を踏まえた相場を理解しないと、過大な内容として無効になったり、過小な内容になって不利益を被ったりするおそれがあります。弁護士が作成すれば、将来の調停や訴訟などの法的手続きでも、確実な証拠として活用できます。

ケースに応じた柔軟な修正が可能

作成を弁護士に依頼すれば、その後に相手との交渉を踏まえた修正も容易です。

テンプレートの流用では、個別の事情に適した内容にならないおそれがあります。相手が署名を拒否してくるとき、応じてもらいやすいよう修正が必要なこともあります。当事務所では、数多くの浮気・不倫の誓約書を作成してきた経験を踏まえ、オーダーメイドで作成を承ります。

相手にプレッシャーをかけられる

配偶者や不倫相手と対峙する際、「弁護士に依頼した書式である」と伝えることで、決して不当な内容ではなく、法的に有効であることを示し、できる限り書いてもらえるよう説得する材料となります。また、相手の不貞行為をきっかけに離婚問題に発展するなど、深刻化する場合には、弁護士を窓口として交渉を進めることもできます。

作成後のアフターフォローを受けられる

浮気・不倫の誓約書を書かせても、その後に相手が約束を守らず、再発することもあります。このような場合に、弁護士に依頼していれば事後対応もスムーズに進められます。例えば、弁護士に依頼して、誓約書に基づく慰謝料や違約金を請求したり、離婚協議を進めたりすることができます。

誓約書の作成を依頼した弁護士にそのまま相談すれば、内容を十分に把握しており、トラブル発生時にも早急かつ確実な法的サポートを受けることができます。

離婚に強い弁護士とは?」の解説

浮気・不倫の誓約書に関するよくある質問

最後に、浮気・不倫の誓約書に関するよくある質問に回答しておきます。

浮気・不倫の誓約書は手書きでも有効?

浮気・不倫の誓約書は、手書きで作成しても法的効力が認められます。

不倫が発覚した現場や急な話し合いの場など、パソコンやプリンターが使えない状況でも、手近な紙に内容を記載して署名・押印をもらえば有効な証拠となります。印鑑が手元にない場合は、指印(拇印)で代用することも可能です。口約束だけでは後から言い逃れをされるリスクがあるため、どのような形でも書面を残すべきです。

ただし、内容を無理やり書かせたり、脅して作成したりした書面は無効となるおそれがあるため、冷静に対応することが肝心です。

印鑑は実印でなければいけない?

誓約書への押印は、必ずしも実印である必要はありません。

認印や三文判でも、本人の意思に基づいて押印されたものであれば法的効力は認められます。前述の通り、手元に印鑑がなければ指印(拇印)での代用も可能です。大切なのは、本人が内容を理解し、自らの意思で署名した事実を形に残すことです。

なお、インクが消えるペンやシャチハタ、スタンプ印などは、証拠としての信用性が低くなってしまうので避けるべきです。

不倫相手が署名を拒否したらどうすべき?

不倫相手が誓約書への署名を拒否した場合、無理やり書かせてはいけません。

強要すれば、脅迫罪や強要罪に問われるおそれがある上に、無理に作成させた書面は法的に無効と判断される可能性が高いためです。

一方で、責任追及をあきらめる必要はなく、相手が応じないときには弁護士を介した交渉に切り替え、慰謝料請求を行うのがよいでしょう。弁護士を通じて慰謝料を請求し、あわせて法的リスクを説明することで、署名に応じるケースも少なくありません。

誓約書の内容を後から変更できる?

一度合意した場合には、他方の同意なく変更することはできませんが、誓約書は合意書とは異なり、誓約者の一方的な意思を示す書面です。

ただし、誓約書を差し入れた後になって一方的に内容に変更や修正を加えたり、約束した内容を無視したりするとトラブルのもととなります。生活環境の変化や時間の経過に伴って当初定めた約束が実情に合わなくなるケースはありますが、その際にも、新たな日付で誓約書を差し入れるなどして、相手の同意を得るのが適切です。

【まとめ】浮気・不倫の誓約書

今回は、浮気・不倫が発覚した際に作成すべき誓約書について解説しました。

浮気・不倫の誓約書は、再発防止や慰謝料の支払いを約束させるための重要な書面です。実際に誓約書を書かせる場合、相手が事実を認め、反省しているうちに速やかに着手しましょう。

法的に有効な誓約書とするには、当事者間の約束の内容を明確にし、違約金や清算条項といった重要事項を漏れなく記載することが大切です。テンプレートを参考にした上で、個別の事情に合わせて内容を調整することで、後のトラブルを効果的に防ぐことができます。

誓約書の内容に不安がある場合や、相手が作成・署名に応じない場合、慰謝料請求や離婚問題まで発展しかねない場合は、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

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