
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
離婚調停は裁判所で行う手続きですが、服装に迷う方も多いでしょう。
服装に法的なルールはないものの、当日の身だしなみや持ち物が、調停委員や裁判官に与える印象を左右することもあります。当事務所でも、調停に臨む方から相談を受けることがあります。
不適切な服装で臨んだ場合、「本気で解決しようとしているのだろうか」と疑われ、「交渉態度に問題がある」と悪印象を与える危険があります。必要書類や筆記用具など、持ち物を確認しておかなければ、時間や労力を無駄にするおそれもあります。
今回は、離婚調停に適した服装の選び方、当日に持参すべきもの、そして、好印象を与えるためのポイントについて、弁護士が解説します。

離婚調停では、相手とのやり取りを調停委員が仲介します。
協議でまとまらない当事者間の紛争を取り持ち、互いが納得する着地点となるよう調整するのが調停委員の役割です。そのため、不利にならないためにも、調停委員の印象を悪くしないよう心がけるべきです。法的にはどのような格好でも構いませんが、見た目の印象によって相手の意見が尊重されたり、不利な主張(DVや不貞など)が信じられたりすれば損してしまいます。
見た目によって、事実上の悪い影響を及ぼすことのないよう、努力できる範囲で、好印象を与えるための配慮をするのがおすすめです。
また、調停では相手と同席せず、直接顔を合わせることはないのが基本ですが、同じ家庭裁判所内にいることを念頭に置く必要があります。裁判所内で鉢合わせる可能性があり、あまりに派手な格好だと、相手の感情を逆なでしたり、浮気・不倫を疑われたり、「隠し財産があるのではないか」と邪推されたりして、ネガティブな印象を与えてしまいます。
したがって、離婚調停を円滑に進めるために、見た目に気を遣う必要があります。なお、離婚調停当日の流れについては、「離婚調停の流れ」をご参照ください。
次に、調停委員に良い印象を与えるため、おすすめの服装について性別ごとに紹介します。
離婚調停において、服装は当事者の人物像を知る手がかりとして重要な役割を果たします。法的な決まりがなくても、常識的な服装を心がけるべきです。
男性の場合、離婚調停に適した格好は「スーツ+ワイシャツ+ネクタイ」です。
ビジネスシーンをイメージして服装を選べば、まず失敗はありません。靴についても、スーツと合わせて革靴を選ぶと良いでしょう。夏場は「半袖シャツ+薄手のジャケット+長ズボン」、冬場は「厚手のスーツ」または「セーター+ジャケット」でも問題ありません。
なお、調停室では、コートなどの上着は脱ぐのが一般的です。調停委員に失礼のないよう、着脱しやすい上着を選ぶのがよいでしょう。
女性の服装は、オフィスカジュアルをイメージしてコーディネートするのが好ましいです。
男性よりも服装の自由度は高いですが、だからこそ、悪い印象を与えないよう注意しなければなりません。基本的には、オフィスカジュアルを意識した服装で調停に臨みましょう。
「スーツ+ブラウス」でも、調停委員に良い印象を与えられるでしょう。靴はパンプスやヒールなど、職場でも履けるものを選んでください。夏場は「半袖シャツ+薄手のジャケット+長ズボン(またはスカート)」、冬場はタイツやストッキングなどを履いても構いません。

逆に、避けるべき服装や外見・容姿の注意点についても解説します。
離婚調停における望ましい服装は、スーツやオフィスカジュアルです。決まりはないですが、調停委員に良い印象を与える方が失敗がないので、「無難」を心がけてください。
離婚調停では、あまりにカジュアルな服装は避けるべきです。
例えば、夏場で暑いからといって「半袖+半ズボン」はやめた方がよいです。調停委員としても、離婚調停に真剣に向き合っているという印象を受けにくくなります。ジャージやスウェットなどの服装も、着こなしによってはだらしない印象を与えてしまいます。
女性は、露出度の高い服装を避けるようにしてください。ミニスカートや胸元の開いた服は「品位がない」と評価する人もいますし、少なくとも離婚調停にはふさわしくありません。
離婚調停が、家庭裁判所を通じた正式な手続きであることを理解して、フォーマルに近い服装を心がけるのがよいでしょう。
見た目を意識するあまり、ブランド品を身につけて調停に出席する人もいます。
しかし、調停委員や相手方から、「経済的余裕がある」「贅沢である」などと誤解されるため、おすすめできません。特に、婚姻費用や財産分与などの金銭面が争いになる場合、「生活に困窮している」「お金がない」と主張している方は、服装が華美だと信用性がなくなります。
ブランドバッグやきらびやかなアクセサリーなど、調停当日の所持品や装飾品が原因で、調停委員にマイナスなイメージを持たれるのは非常にもったいないことです。
「離婚に伴うお金の問題」の解説

調停委員の印象を良くするために、服装以外でも清潔感のある見た目を心がけてください。
例えば、派手な髪色やカラーコンタクト、無精髭などは避けるのが無難です。離婚調停では「無難で、悪目立ちしない」ということを意識して身だしなみを整えてください。派手な見た目だと、調停委員から「軽率である」と思われるリスクもあり、特に、子供の親権が争いになるケースでは、真面目な印象を保つに越したことはありません。
また、メイクをする場合はナチュラルメイクを基本とし、派手にならないように配慮が必要です。髪の毛が長い場合、顔が見えやすいように束ねておくと印象アップにつながります。
「調停委員を味方につけるには?」の解説

次に、調停当日に必要な持ち物についても解説しておきます。
服装や身だしなみについて具体的なイメージが湧いたら、当日に持参すべき物も把握しておきましょう。事前に準備しておくことで、離婚調停の日を安心して迎えられます。
家庭裁判所から送られてきた書面は、紛失しないよう大切に保管し、当日は必ず持参しましょう。特に重要なのは、次のものです。
裁判所から届いた書面には早めに目を通し、事前準備を怠らず当日に備えてください。相手の主張を精査すると、「嘘をついている」「話し合いは難しい」と感じる方も多いでしょう。調停を少しでも有利に進めるには、事前に弁護士のアドバイスを聞くのが有益です。
「離婚調停を弁護士に依頼するメリット」の解説

離婚調停では、調停委員が書面と証拠に基づいて話し合いを進めます。
そのため、自分の主張を裏付ける書類や資料を持参することも重要です。例えば、不貞の証拠となる写真や動画、DVやモラハラの証拠となる診断書などを持っていきましょう。当日の調停委員の質問に答えられるよう、提出した書類のコピーを手元に用意しておいてください。どのような内容を記載したかを確認しながら話せるため、伝え漏れを失くすことができます。
養育費や婚姻費用、財産分与などが争いになる場合、調停では双方の収入を基準に金額が算定されます。給与明細や源泉徴収票など、収入を正確に証明できる資料を持参すると話し合いがスムーズに進みます。また、「養育費・婚姻費用算定表」をプリントアウトして手元に用意しておけば、待ち時間を利用して検討することができます。
離婚調停をスムーズに進めるために、以下の持参品も役立ちます。
なお、次回の日程を決めるためのスケジュール確認は、スマートフォンでも構いません。ただし、離婚調停中に着信音がならないよう、マナーモードにしておく配慮が必要です。
離婚調停は数時間かかることが多く、自分の順番まで待合室で過ごす時間も長くなります。空調によっては暑さや寒さを感じる人もいるため、水分補給のための飲み物、ひざ掛けなどを持参すると安心です。また、長い待ち時間は不安や緊張を増大させるため、時間をつぶせるもの(文庫本や動画、ゲームなど)を持参するのも有効です。

次に、離婚調停当日に望ましい立ち振る舞いについて解説します。
本解説は、離婚調停時の「服装」を中心に解説しましたが、さらに調停委員に与える印象を良くするには、服装以外の身だしなみを整えることも重要です。態度や行動、振る舞いについても「誠実な人」という印象を与えた方がよいでしょう。
離婚調停で解決するには、相手と自分の意見をすり合わせ、妥協点を探すことが重要です。
時には調停委員が「落とし所」をアドバイスすることがあります。自分の意見が全面的に通らないとしても、調停委員の話を遮ったり、最後まで聞かずに反論したりするのは避けるべきです。調停委員は中立の立場であり、互いが納得するよう折衷案を提示していることを忘れてはいけません。
話をしっかり聞くことで、夫婦間の話し合いではたどり着けなかった新たな解決策が見えることもあります。否定するのではなく、前向きな議論を心がけてください。
離婚調停で相手と直接会話することはありませんが、調停委員を通じて相手の主張を聞くことができます。自分とは異なる主張を受け止めきれず、感情的になる人もいますが、声を荒げたり怒ったりするのは逆効果でしかありません。
「すぐにカッとなるタイプ」「感情的になると話が通じない人」といった印象を抱かれると、DV・モラハラといった相手の主張の真実味が増して、不利に影響するおそれもあります。
「モラハラと言われたときの対応」の解説

調停委員の印象を悪化させないためにも、時間は必ず守りましょう。
無断欠席や遅刻をすると、「約束を守らない人」というイメージを生んでしまいます。公共交通機関の遅延があって間に合わないときでも、遅れることが分かった時点で、すぐに裁判所に連絡しましょう(連絡先は、期日通知書に記載されています)。
余裕がなくなると態度が悪くなる人も多いため、調停に臨む前に当日の流れを把握しておくことも重要です。
「離婚までの流れ」の解説

最後に、離婚調停当日までの準備について、よくある質問に回答しておきます。
疑問があるときは、自分一人で判断するのでなく、家庭裁判所に問い合わせるか、弁護士に確認して確実な行動を心がけましょう。
裁判所の待合室までは、親に付き添ってもらうことが可能です。
しかし、調停室に入室するには、調停委員の許可が必要です。例えば、心身の不調で本人のみでは出席が困難なケース、調停の円滑な進行に必要と判断されるケースなどでは、同席が許可されることがありますが、例外的と考えてください。
一人での調停対応に不安がある場合は、弁護士に同席を依頼するのが適切です。
「離婚に強い弁護士とは?」の解説

離婚調停中は、子供は保育園や親戚などに預けるのが望ましいです。
裁判所に託児所はなく、子供だけで待合室に待機させるのは危険です。裁判所内には相手方がいるため、鉢合わせのリスクもあります。子供の心身への影響を考慮すれば、「両親の離婚争い」について、聞かせるべきでない話も多々あります。
なお、多くの家庭裁判所は、授乳室やベビーベッドが設置されています。預けるのが困難な場合、付き添いを依頼し、待合室で子供を見てもらうことを検討してください。
ボイスレコーダーやカメラなどの、録音・録画機器は持ち込み不可です。
裁判所では、裁判や調停の期日中の録音・録画・写真撮影は禁止されています。離婚調停の内容を記録したい方は、メモや筆記具の準備を怠らないでください。なお、東京家庭裁判所など、所持品検査のある裁判所では、危険物の持ち込みは厳しく咎められます。
「離婚調停で勝つには?」の解説

離婚調停にメモを持ち込むことは差し支えありません。
例えば、自分の希望や、争点ごとの主張などを紙にまとめ、調停の適宜のタイミングで参照しながら回答することが可能です。ただし、調停手続きでは、自身の気持ちを率直に話すのが大切な場面もあるため、メモに頼りすぎないようにするのがよいでしょう。

今回は、離婚調停に適切な服装と調停委員に与える影響について解説しました。
離婚調停の目的は、互いの意見をすり合わせ、合意を形成することです。夫婦が面と向かって話し合うわけではなく、意見や主張は調停委員を介して伝えるため、服装によって悪い印象を与えてしまうと、自身に不利な流れになるおそれがあります。
服装について法的なルールはなく、見た目で結論が決まるわけではないものの、誠実な姿勢を示して調停委員に良い印象を抱いてもらうに越したことはありません。
一人での対応が不安なときは、専門家に相談するのがおすすめです。当事務所では、調停を経験したことのない人が、服装についても不安を抱いていることを理解し、親身になって対応します。調停前に打ち合わせを行い、服装についてもアドバイスできるのでご安心ください。