
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
離婚を考える際、「財産分与で車はどうなるのか」と悩む方も多いでしょう。
車に財産的な価値があるのは当然ですが、特に、日常生活で自家用車として利用している人にとって、離婚によって車を奪われると非常に困ってしまうでしょう。車は、婚姻後に夫婦で購入した場合など、「共有財産」に該当するときは、離婚時の財産分与の対象となります。
一方で、高額な資産であるため、どちらが取得するか、どのように評価するかといった点が争いになることは少なくありません。このとき、購入時期やローンの有無が考慮されます。また、中古車として売却して分与したり、一方が取得してローン名義の変更を依頼したりするなど、車の財産分与に特有の問題点も理解しておかなければなりません。
今回は、車が財産分与の対象となるかどうか、対象となる場合の分け方や評価の方法、トラブルの対処法について、弁護士が解説します。
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/
はじめに、車が財産分与の対象となるかどうかについて解説します。
財産分与の基本は、夫婦が婚姻中に協力して形成・維持した財産を、公平に分け合うことです。現金・預貯金や不動産、株式などはもちろん、動産も「共有財産」である限り分与の対象となります。したがって、車についても財産分与の対象となる可能性があります。
ただし、夫や妻が日常的に使用していたとしても必ず分与されるとは限らず、購入時期や資金の出所によっては、「特有財産」として分与の対象外となることもあります。
財産分与は、夫婦が協力して築いた「共有財産」を対象とします。
そのため、車についても共有財産に含まれるなら、財産分与の対象となります。原則として別居時を基準に財産を確定するので、別居の時点で存在している車について検討します。
外車やスポーツカー、高級車は財産的価値が高く、日常的に使用している自家用車は利便性が高く、いずれも離婚時の財産分与で争点となることが少なくありません。車が共有財産かどうかは、購入時期と資金の出所を基準として判断します。
名義の有無や使用している人によって決まるわけではないため、「結婚後に夫名義で購入してローンを支払い、妻が日常的に使用していた車」も、夫婦の共有財産となる可能性があります。共有財産に含まれる車は、公平の観点から、2分の1ずつ分与するのが基本となります。一方が専業主婦(主夫)で収入がなくても、家事や育児による貢献を加味し、貢献度は平等であると考えられます。
なお、自動車そのものを半分ずつにすることはできないので、一方が取得して代償金を払う「代償分割」か、売却して代金を分割する「換価分割」となるのが通常です。
「離婚時の財産分与」の解説

夫婦の協力によって購入したとはいえない場合、財産分与の対象外となります。
車の財産分与は「名義」ではなく「実質」で判断され、購入の時期や資金の出所が影響します。そのため、離婚準備の際は、車両の購入契約書やローン契約書など、証拠を整理し、実際に誰がどのような費用負担をしたか明確にしておいてください。

実際に、財産分与の対象外となり得るケースには、次のものがあります。
夫婦の協力はなく、特有財産とされます。ただし、結婚後に高額の修理費用がかかったり、ローンを婚姻中に返済したりした場合、少なくとも査定額の一部(婚姻後のローン返済額程度)は共有財産と評価されます。
結婚後に購入していても、結婚前の預貯金や相続・贈与によって得た資金で購入した場合、特有財産として財産分与の対象外となります。
個人名義の財産と会社名義の財産は区別されるため、たとえ経営者であっても、その会社が所有する財産は分与の対象とはなりません。ただし、個人と法人が同視できる場合などは例外的に、財産分与の対象となることがあります。
車の購入時に、夫や妻のどちらかの親が頭金などの購入資金を援助した場合、その援助額に相当する部分は特有財産とされ、財産分与の対象から外れます。親から無償で譲り受けた車も同じく、夫婦の協力によって得た財産ではないため対象外となります。
カーリースの車の所有権はリース会社にあるため、夫婦いずれの財産でもなく、財産分与の対象外です。リース契約中に売却や名義変更はできません。また、離婚後も一方が乗り続けたい場合、使用者を変更できるかリース会社に確認してください。
名義の変更が認められない場合は、解約による違約金の負担割合などについても夫婦で話し合っておかなければなりません。
「特有財産」の解説


次に、財産分与における車の分け方について、具体的な方法を解説します。
離婚時に車をどのように分けるかについて、中古車の査定をどのように考えるか、自動車ローンの返済をどうするかなど、特有の問題を理解しておいてください。なお、後述の通り、金融機関などに所有権が留保されていることもあるため、事前に車検証を確認してください。
動産である車は、それ自体を2つに分けることができないため、「現物分割」は困難です。
夫婦が離婚後も協力して育児をする場合など、車を共有のまま双方が使用するケースもありますが、あくまで例外的です。2026年4月施行の民法改正によって共同親権制度が導入されたため、離婚後も育児については協力する家庭も増えるかもしれません。しかし、トラブルのきっかけになるおそれがあるため、財産を共有のまま残すことはおすすめできません。
離婚後も車を必要とする人が引き取り、他方に代償金を支払う「代償分割」の方法があります。
代償分割であれば、婚姻中に車を利用していた人にとって自家用車を失わないというメリットがあります。また、利用していなかった他方は、現金や預貯金といった他の財産が得られるメリットがあり、財産分与における公平性も保つことが可能です。
ただし、財産的価値の高い車は、その価値や代償金の額が争いになります。夫婦の希望が異なるとき、トラブルを避けるために「車の評価方法と基準時」を参照してください。
車を売却して現金化し、その代金を折半する「換価分割」の方法を取るケースもあります。
この方法なら、実際に売却した額を折半するため、評価や査定の妥当性で揉めることはありません。離婚後に夫婦のいずれも使用する予定のない車、どちらも所有を望まない車の場合、残しておいても駐車場代や維持費が嵩むため、早い段階で換価分割に合意できる可能性があります。
売却すれば、車をどちらが引き取るかという争いも回避できます。ただし、中古車の場合、希望通りの価値では売却できないデメリットがあります。
車の財産分与に特有の問題として、自動車ローンの扱いと名義変更があります。
財産分与では、ローンなどのマイナスの財産も対象となり、自動車については、その査定額からローン残高を差し引いた金額を分与の対象とします。そして、ローン残債が自動車の価値を上回る「オーバーローン」の状態であれば、財産分与の対象外とされるのが通常です。
既にローンを完済していれば前章「離婚時の財産分与における車の分け方」のように分け、管轄の運輸支局・自動車検査登録事務所などで名義変更の手続きを行います(廃車の場合も手続きが必要です)。しかし、自動車ローンの支払いが完了していない場合には問題が生じます。
自動車ローンの支払いが完了していない場合、所有名義が自動車会社やローン会社に留保される「所有権留保」の状態であることが多く、完済しない限り所有権の名義変更ができません。この場合、使用者の変更手続きを行うことになりますが、所有者の事前承諾が必要なこともあるため、離婚について合意する前に確認しましょう。
こうした弊害があるため、実務上は、離婚合意の前に残債を一括返済し、所有者名義の変更を済ませることが望ましいです。また、車を引き続き使用する側の資力が不足するなど、離婚時の完済が難しいときは、他の財産分与と調整をしたり、売却して分与したりする方法を選ぶべきです。
「離婚協議書の書き方」の解説


次に、財産分与における車の評価方法と基準時について解説します。
車が財産分与の対象となるとき、その価値をどのように評価するかが争いになることがあります。その価値によって分与額が異なるからです。
財産分与では、対象財産を「別居時」を基準に決め、その評価については「事実審の口頭弁論集結時(別居時・分与時)」を基準とするのが原則となっています。財産分与は、離婚時の夫婦の公平を目的とするところ、価値の変動は夫婦の協力によるものではないため、分与時に近い時点で評価するのが公平に適うと考えられているからです。
「財産分与の基準時」の解説

車の価値を定めるにあたっては、上記の基準時における査定を取得する必要があります。
車の価値は、車種や購入時期、年式、走行距離、保管状態や整備の状況などで変動するため、正確な評価を得るための査定方法を理解する必要があります。多くの場合、「レッドブック」や中古車販売店の個別査定書を取得して、時価を算定します。車検費用、自動車税、保険料などの維持費も考慮されるため、購入から年月が経過し、走行距離が長いほど価値が下がります。
少なくとも、新車購入時の金額で評価するわけではないため、適正な分与のためには正確な査定を行わなければなりません。最近では、より正確な価値を測るため、インターネット上の査定サービスを利用して複数の買取業者に見積もりを依頼することもよく行われています。
前述の通り、自動車ローンの残る車の評価は、残債を控除した額となります。
車を購入する際にローンを組むことはよくありますが、自動車ローンの残債が残っているとき、ローンの額もあわせて財産分与の対象となるからです。査定額が残ローンよりも低い状態(いわゆる「オーバーローン」)の車は財産的な価値がなく、分与の対象外とするのが実務です。なお、「自動車ローンの扱いと名義変更」も参照してください。

最後に、車の財産分与をめぐるトラブルを弁護士に相談・依頼すべき理由を解説します。
相当な高級車でない限り、夫婦の財産に占める割合は低いことが多いでしょうが、実際は、名義やローンの残債、査定額、日常的な使用状況などが絡み合って問題を複雑化させています。特に、「名義は夫だが妻が日常的に使用している」「ローンが残っていて名義変更ができない」「育児のために自家用車が必須」といったケースは、感情的な対立が生じやすいです。
このような場合は、早い段階で弁護士に相談・依頼することをおすすめします。弁護士であれば、車が財産分与の対象となるか、適正な評価額をどのように算定すべきか、ローンを含めた法的な整理をどのように進めるべきかを踏まえ、依頼者ごとに最適な解決方法を提案できます。
また、離婚の協議が難航する場合にも、相手との交渉を代理し、調停や訴訟まで一貫したサポートをすることができ、精神的な負担も軽減できます。
当事務所では、数多くの離婚事件を扱い、車を含む動産やローン付き資産の分与についても豊富な解決実績があります。名義やローンの問題、相手が車を返還しないケース、評価額を巡る争いなど、それぞれの事情に応じて、経験に基づいたアドバイスが可能です。車の財産分与でお悩みの方は、トラブルが深刻化する前に、ぜひ一度ご相談ください。
「離婚に強い弁護士とは?」の解説

今回は、財産分与において車がどのように扱われるかについて解説しました。
婚姻中に夫婦の協力によって取得した自動車は、名義を問わず財産分与の対象となり、原則として分与時の時価(査定額からローンを控除したもの)を夫婦で折半することになります。分与を求める際は、車検証や査定書、ローンの残高証明書などを準備し、離婚後も車両を必要とするかどうかに基づいて取得者を決定するのが実務的な対応です。
離婚時の財産分与で不利益を被らないためにも、財産分与の対象財産をリストアップする際、車も忘れずに列挙しておきましょう。特に、「結婚前に取得したが、結婚後の収入からローンを返済していた」という場合、ローンの支払分に相当する分与が発生する点に注意が必要です。
車の財産分与について疑問のあるとき、当事者のみで解決するのではなく、弁護士のアドバイスを聞いておくのがおすすめです。
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/