★ ご相談予約をお待ちしております。

路上痴漢で逮捕されたとき、早期釈放・不起訴を目指すための対応

路上痴漢とは、路上で行われるわいせつ行為を指します。

「痴漢」は電車内の犯行が多いですが、路上で体を触ったり、わいせつな行為をしたりすることを「痴漢」と呼ぶこともあります。例えば、自転車で追い抜きざまに尻を触る、突然背後から抱きつく、胸を揉むといった行為が、路上痴漢の典型例です。

これらの行為も電車での痴漢と同じく犯罪であり、行為の悪質性に応じて不同意わいせつ罪(刑法176条)や迷惑防止条例違反に該当します。

路上痴漢は、被害者にこっそり近づいて突然犯行に及ぶ事件がほとんどで、「下着の中に手を入れ、性器に触れる」といったケースは少ないです。一方で、不意を突かれることで被害者は抵抗が困難である上に、転倒してケガを負う危険もあります。このような事情から、不同意わいせつ罪として厳しく処罰されるケースも少なくありません。

今回は、路上痴漢で成立する犯罪の種類と、逮捕時の対応、示談の注意点などについて弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 路上痴漢は、不同意わいせつ罪か迷惑防止条例違反となる
  • 路上痴漢はその場で現行犯逮捕されるケースが多いが、後日逮捕もあり得る
  • 路上痴漢をした加害者が逮捕・起訴を回避するには被害者との示談が重要

\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/

目次(クリックで移動)
解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

\相談ご予約受付中です/

法律トラブルの相談は、弁護士が詳しくお聞きします。

ご相談の予約は、お気軽にお問い合わせください。

路上痴漢で成立する犯罪

路上痴漢は、その行為の程度に応じて、不同意わいせつ罪(刑法176条)か迷惑防止条例違反のいずれかが成立します。これは、電車内での痴漢と同様です。

路上痴漢には、例えば次のような行為があります。

  • 自転車ですれ違いざまに尻を触り、そのまま逃走する。
  • 後ろから近づき、突然抱きつく。
  • 並行して歩いている最中に、突然胸をわしづかみにする。
  • 後ろからスカートをめくる。
  • 押し倒して覆いかぶさる。

いずれも、加害者側としては軽い気持ちで犯しがちですが、被害者には大きな精神的、身体的な苦痛を与える重大なもので、犯罪となることに違いはありません。

不同意わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違い

不同意わいせつ罪(刑法176条)は、同意なく行われたわいせつな行為を処罰の対象とします。これに対し、迷惑防止条例違反は、公共の場所で衣服の上から触れる行為などを処罰の対象とします。

刑罰については、不同意わいせつ罪に該当すると「6月以上10年以下の懲役」、迷惑防止条例違反の場合には都道府県によって違いがありますが、東京都迷惑防止条例違反の場合には「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。

このように、不同意わいせつ罪の方が、迷惑防止条例違反よりも重大な犯罪とされ、刑罰も重くなっています。

電車内の痴漢の場合、「着衣の上から触れた場合は迷惑防止条例違反、衣服の中に手を入れた場合は不同意わいせつ罪」と判断されることが多いですが、路上痴漢ではこのような基準はなく、不同意わいせつ罪となるような暴行、脅迫その他の行為があったかどうかが判断のポイントとなります。

痴漢で成立する犯罪の種類」の解説

迷惑防止条例違反となる路上痴漢

比較的軽微な路上痴漢は、迷惑防止条例に留まることがあります。

例えば、次のような行為が挙げられます。

  • すれ違いざまに尻や脚に軽く触れる。
  • 触った瞬間にすぐ逃げる。

特に、触った場所が「胸」ではなく、「尻」「脚」など身体の周辺部となるほど罪が軽くなり、触れている時間が短いほど軽微であると評価される傾向にあります。

不同意わいせつ罪となる路上痴漢

不同意わいせつ罪に該当するのは、暴行・脅迫によって被害者の意思に反してわいせつ行為が行われるケースです。不同意わいせつ罪には、元々強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪と呼ばれていた行為が含まれます。

暴行や脅迫の程度が強くなくても、被害者の意思に反するわいせつ行為と言える程度であれば足りるとされています。また、路上痴漢では、触る行為それ自体が暴行と認められることも多く、不同意わいせつ罪が成立しやすい傾向にあります。

例えば、次のような行為が挙げられます。

  • 尻や脚だけでなく、胸を触る、揉む、つかむ
  • 無理やりキスをする
  • 押し倒して覆いかぶさる、抱きつく

このように、力付くで行う路上痴漢ほど、暴行と評価されやすく、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高くなります。

路上痴漢では不同意わいせつ罪が成立しやすい

路上痴漢は、その性質上、不同意わいせつ罪となるケースが多くあります。

というのも、路上痴漢の特徴として、突然に行われることが多く、勢い任せに強く触る、叩くといった行為が加わることがあり、暴行や脅迫があったと認定されやすいからです。そして、不意打ちで突然に行われるほど、被害者が抵抗しづらく、処罰が重くなります。

被害者が16歳未満だと不同意わいせつ罪になりやすい

不同意わいせつ罪は、被害者が16歳以上の場合は「暴行・脅迫」などの要件が必要ですが、16歳未満の場合は単に「わいせつな行為」をしただけで成立します。

そのため、尻や脚を短時間触る、衣服の上から軽く触れるといった、被害者が16歳以上なら迷惑防止条例違反となるような路上痴漢行為も、不同意わいせつ罪に該当するおそれがあります。

路上痴漢で逮捕されるケース

逮捕

次に、路上痴漢で逮捕されるケースと、適切に対処する方法を解説します。

路上痴漢が刑事事件になると、現行犯逮捕されたり、捜査が進んで後日逮捕となったりする可能性があります。

現行犯逮捕されるケース

路上痴漢をした直後に、その場で逮捕されると、現行犯逮捕となります。現行犯逮捕となる具体例は、次の通りです。

  • 路上痴漢の被害者に取り押さえられて警察に引き渡される。
  • 犯行後に逃げようとしたが、追いかけられて捕まった。
  • 自転車ですれ違いざまに路上痴漢をしたが、バランスを崩して転倒し、周囲の人に取り押さえられる。

路上痴漢の最中に捕まったケースだけでなく、犯人として追いかけられている間は、現行犯逮捕が可能です。ただし、路上痴漢の多くは夜間に行われ、被害者の不意を突く形で犯行に及び、すぐに逃走するケースが多いため、現行犯逮捕で解決されるケースは多くはありません。

後日逮捕されるケース

路上痴漢は、突然触ったり抱きついたりした後、その場から逃げ去る態様ですが、後に犯人として特定されれば、逮捕されることがあります(後日逮捕)。犯行時に現場から逃げ去っているため、逮捕の要件である逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいです。

都心部の路上には多くの防犯カメラが設置されており、「逃げ切れた」と思ってもカメラ映像から顔を割り出され、後日逮捕となるケースが増えています。自分の生活圏内で行った路上痴漢だと、目撃者や近隣住民の証言から逮捕に至るケースもあります。

痴漢で後日逮捕される場合」の解説

路上痴漢で逮捕された後の流れ

路上痴漢で逮捕されると、逮捕後48時間は警察、その後検察に送致されて24時間は検察にて身柄拘束を受けます(合計72時間)。その後、勾留決定されると更に10日間、延長決定がされると最大10日間を限度に延長され、最大で20日間の身柄拘束を受けます。

以上の最大23日間の中で、検察官が「起訴」か「釈放」かを判断します。起訴されると、およそ1ヶ月後に公判が開かれ、裁判所の判決が下されます。一方で、不起訴処分となれば釈放されます。

起訴のうち、罰金刑の場合には略式起訴が選択されることがあります。略式起訴をされると、被疑者の同意のもとに罰金刑となります(迷惑防止条例違反には罰金刑がありますが、不同意わいせつ罪には罰金刑がありません)。

なお、身柄拘束から解放されたからといって解決したわけではなく、在宅のまま取調べがなされ在宅起訴されて有罪となるケースもあります。

起訴前弁護」の解説

路上痴漢で示談するときの注意点

相談する男性

次に、路上痴漢の示談交渉を進める際に、注意すべきポイントを解説します。

路上痴漢は被害者のいる犯罪なので、示談が成立すれば、早期釈放、不起訴の獲得、前科を避けることに繋がります。裁判になった場合にも、示談していることは有利な情状として考慮され、刑が軽くなる可能性があります。

謝罪・反省の意思を伝える

示談を成立させるには、被害者に対して誠実な謝罪と反省の意思を伝えることが不可欠です。

路上痴漢の事例では、被害者と直接会うことはできないため、謝罪文や反省文を作成し、弁護士を通じて被害者に気持ちを伝える形が一般的です。特に、突然に行われる路上痴漢は、被害者が無関係の第三者であることがほとんどです。トラブルに直面した被害者には強い恐怖を与えるでしょうし、ケースによっては転倒してケガを負っていることもあります。

そのため、電車内での痴漢にもまして被害者の処罰感情が強く、示談の成立が難しいケースも多い点に注意が必要です。

痴漢の示談金の相場」の解説

犯行の記憶がない場合の対応

路上痴漢は、「酔っ払って抱きついてしまった」「ついムラムラして衝動的に触った」というような突発的なケースが多く、中には犯行の記憶がない人もいます。相当昔の犯行が、防犯カメラ映像などから犯人が特定され、「いつのことかすら記憶がない」という方もいます。

しかし、加害者側に記憶がなくても、被害者ははっきり覚えている場合がほとんどです。そのため、謝罪文や反省文の内容が曖昧だったり、的外れだったりすると、かえって被害者の怒りを買い、示談が成立しなくなるおそれがあります。

また、路上痴漢の余罪がある場合や、複数の被害者から告訴される可能性がある場合は、公判請求されて厳しい処罰を受けるリスクも高まるため、取調べの対応を慎重に行う必要があります。

痴漢を疑われた場合」の解説

被害者との接触を避けることが重要

路上痴漢は、加害者と被害者が同じ生活圏に住んでいるケースが多い特徴があります。

示談を申し入れられた被害者が、「また遭遇するのでは」「復讐されてしまう」と不安や恐怖を感じると、示談交渉が難航してしまいます。そのため、示談を成立させるために、被害者との直接の接触を一切控えることが特に重要です。また、加害者が生活圏を変更することを誓約する、もしくは被害者の転居費用(引越し費用)を負担するといった条件が提案されることもあります。

被害者に接触をする可能性があるのではないかと危惧されると、それは罪証隠滅のおそれや再犯のおそれにつながり、身柄拘束からの解放の大きなハードルとなる点にも注意が必要です。

路上痴漢をしてしまったとき弁護士に相談するメリット

最後に、路上痴漢をしてしまった方が、弁護士に相談すべきメリットを解説します。

弁護人としてサポートを依頼し、身柄の早期釈放や示談を目指して弁護活動をしてもらうには、路上痴漢をはじめとした刑事事件の解決実績の豊富な弁護士を選ぶべきです。

まずは、路上痴漢をしてしまったら、事件発生の直後に、速やかに初回相談を実施しましょう。刑事事件はスピード勝負なので、無料相談を実施している事務所も多く、電話やメール、あるいは土日でも対応可能なフットワークの軽い弁護士がお勧めです。

弁護士は、依頼を受けたらすぐに捜査機関に被害者の連絡先を確認し、示談を申し入れます。一人で抱え込まず、専門家に相談しながら冷静に対処できるメリットがあります。状況を正確に把握した上で、ケースによっては自首に同行したり、有利な情状を主張して執行猶予を獲得することを目標としたりなど、戦略的にアドバイスをしてくれるのが、信頼できる弁護士の特徴です。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、すれ違いざまに尻を触る、胸をつかむ、突然背後から抱きつくといった路上痴漢のケースについて、成立する犯罪の種類、逮捕の可能性とその後の流れ、示談の注意点などを解説しました。

路上痴漢も「痴漢」の一種であり、示談の重要性や弁護活動の基本的な方針については、電車内の痴漢と共通する部分があります。

しかし、路上痴漢だと、犯行の態様が異なるため、特別な注意が必要となります。特に、突然被害者に接触して逃走するケースが多いため、行為自体が「暴行」と評価され、不同意わいせつ罪が成立しやすい傾向にあります。また、現場から逃げ去っていることから「逃亡のおそれが高い」と判断され、逮捕されやすい点にも注意が必要です。

「路上痴漢をしてしまい、逮捕や処罰の可能性が気になる」「早期の示談を検討したい」といった悩みのある方は、ぜひ一度弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 路上痴漢は、不同意わいせつ罪か迷惑防止条例違反となる
  • 路上痴漢はその場で現行犯逮捕されるケースが多いが、後日逮捕もあり得る
  • 路上痴漢をした加害者が逮捕・起訴を回避するには被害者との示談が重要

\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/

参考解説

性犯罪の事件では、その重大性や社会的な影響を理解し、適切な対応をする必要があります。被疑者・被告人側、被害者側のいずれであっても、決して軽んじることなく慎重に対応しなければなりません。

性犯罪に関する以下の解説を参考に、正しい対処法を理解してください。

目次(クリックで移動)