刑事事件

痴漢で後日逮捕される可能性はある?逮捕されないためにすべきこと

2021年9月4日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

痴漢をしてしまったけれどその場から走って立ち去ってしまったとき、後日警察がやってきて逮捕されてしまうケースがあります。その場では現行犯逮捕されずに帰宅できたけど、捜査は続いていたというケースもあります。

痴漢のほとんどは、現場で取り押さえられ、駅員から警察に引き渡される現行犯逮捕のケースですが、後日逮捕されることもあります。

後日逮捕のケースでは、防犯カメラの映像や乗車履歴などからあなたの個人情報を特定し、被害者や目撃者の証言などから痴漢をしたことの十分な証拠を確保していることが多いです。そのため、被疑者側としては争うことのハードルはとても高くなっている状態です。

いつ警察が来るのかと不安になって夜も眠れない方もいますが、このようなとき、痴漢で後日逮捕されてしまわないため、今できる弁護活動をしっかり行わなければなりません。

今回の解説では、

  • 痴漢で後日逮捕されるケースとは
  • 痴漢で後日逮捕されてしまう可能性はどの程度あるのか
  • 痴漢で後日逮捕されてしまわないためにすべき弁護活動

といった痴漢に関する法律知識について、弁護士が解説します。

痴漢で後日逮捕されるケースとは

痴漢は、行為の悪質性の高い場合には強制わいせつ罪(刑法176条)、悪質性の低い場合には迷惑防止条例違反となる犯罪行為です(参考解説;「痴漢で成立する犯罪の種類」)。

痴漢で、犯行現場で取り押さえられてしまえば、そのまま現行犯逮捕されることが通常です。しかし一方で、あなたが現場から逃げ切れたり、その場では被害申告がなかったりして、現行犯逮捕されなくても、その後に警察がきて逮捕されてしまうおそれがあります。

痴漢で後日逮捕されるケースにどのようなものがあるのか、弁護士が解説します。

怖くて痴漢被害を言い出せなかったケース

誰が、どのような痴漢行為をしていたか、その場で十分にわかるけれど、被害者が怖がって痴漢被害をすぐには言い出せなかったケースがあります。

不安や恐怖が理由で痴漢被害を言い出さなかったとき、あなたが立ち去ったらすぐに、駅員や警察に痴漢の相談をされてしまっていることもあります。そのため、このようなとき、後日逮捕をされる可能性があります。

防犯カメラから特定されるケース

痴漢では、現行犯逮捕しないと誰が犯人かわからなくなってしまい、特定が難しいという問題点があります。後日逮捕では、犯人の特定がハードルとなるわけです。

この点、駅構内や電車内には多くの防犯カメラがあり、防犯カメラ映像にはっきりと顔が映っていれば、犯人の特定がされて後日逮捕につながるケースが多くあります。また、同じ駅を使い続けているときなどには、駅員や警察官の張り込みによって、あなたが犯人であると特定され、後日逮捕されることもあります。

乗車記録から特定されるケース

同様に、現行犯逮捕しておらず犯人を特定できずにいたとしても、あなたのSuicaやPASMOなどの乗車記録から割り出しが行われ、後日逮捕されるケースがあります。

あなたが逃げ去ったときに防犯カメラに映っていたり警察の記憶に残っていたりしたとき、そのとき使用した交通系ICカードの乗車履歴や定期券の使用履歴から、個人情報を追跡するという捜査が行われることはよくあります。

目撃者の証言から犯人がわかるケース

目撃者の証言から犯人があなただと特定されてしまうケースもあります。

友人や知人に見つかるような場所で痴漢をする人はさすがに少ないでしょうが、通勤や通学によく使う電車だったとすると、あなたの顔に見覚えがあると申し出る目撃者がいて、警察の張り込みの結果、後日逮捕につながる場合があります。

DNA検査から特定されるケース

痴漢では、現行犯逮捕でないと目撃者の証言を得られず、痴漢行為の態様を証明することが難しくなってしまうという問題点があります。

しかし、あなたのDNAが被害者の衣服や下着から検出されれば、目撃者の証言がなくても痴漢行為を証明することができ、後日逮捕されるおそれがあります。

なお、その他に考えられる痴漢の証拠については次の解説もご参照ください。

参考解説

痴漢で後日逮捕されてしまう可能性はどの程度あるのか

発覚したときに逮捕される可能性

逮捕による身柄拘束は大きな不利益となりますから、罪を犯したからといって必ず逮捕されてしまうわけではありません。逮捕には要件があり、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあって逮捕の必要性が認められるときに逮捕されることとなります。

しかし、痴漢をしながら一旦は現場から逃げてしまったときには、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれが非常に高いと考えられます。そのため、後日犯行が明らかとなったときに逮捕されるリスクは相当高いといわざるをえません。

痴漢で後日逮捕されるまでの期間

痴漢では現行犯逮捕されるケースが多いように、単純な事案では捜査にそれほど時間がかかることはなく、後日逮捕だったとしても、痴漢から1週間程度で警察がきて逮捕されてしまうケースが多くあります。

しかし、捜査機関の都合、事案の内容などによってもかかる期間は様々なため、弁護士といえども、「必ずこの程度の期間で警察が来るはずだ」とか、逆に「長期間警察が来なかったから後日逮捕はないはずだ」と断定的なアドバイスをすることはできません。

防犯カメラや目撃者証言などを精査して犯人を特定したり、被害者の証言を聞いて犯行態様を特定したりといった捜査にはおのずと時間がかかります。ケースによっては数ヶ月〜1年経過後に逮捕される例もあります。

公訴時効経過後は逮捕されない

犯罪で起訴することができる期限のことを公訴時効といいます。

痴漢事件の公訴時効は、痴漢行為の時点から起算して、強制わいせつ罪となる痴漢であれば7年、迷惑防止条例違反となる痴漢であれば3年です。公訴時効を経過すれば裁判を起こすことができなくなりますので、逮捕もされません。

実際には触ってない、痴漢冤罪のとき

実際には触っていない、痴漢冤罪のケースでも、残念ながら逮捕されてしまうことがあります。痴漢は被害者と犯人に面識がないことが通常で、被害者が悪意をもっていることは少ないですが、被害者の思い込みや、他の人の行った痴漢行為の犯人とされてしまうといったケースが存在します。

冤罪である場合ほど、痴漢だと疑われると怖くなって逃げてしまう方が多いですが、むしろあなたにとって有利な証拠も消えてしまうおそれがあるため、逃げることはおすすめできません。触っていない、痴漢冤罪だというのであれば、なおさら逃げるべきではありません。

現場で微物検査をしてもらったり目撃者証言を集めたりといった努力で冤罪を晴らすことができる機会を失ってしまうからです。

参考解説

痴漢で後日逮捕されてしまわないためにすべき弁護活動

最後に、痴漢をしたけれども逃げてしまったという認識がある後ろめたい方に向けて、後日逮捕されてしまわないために、今のうちにしておくべき弁護活動について解説します。

いずれも、必ず逮捕されないわけではなくリスクはありますが、このまま精神的ストレスを抱えながら逃げ続けるよりも良い結果となることが多いです。

なお、後日逮捕されなかったときでも、それで全て解決するわけではなく、在宅事件扱いとなって捜査が続く場合には、起訴されて前科がつかないようにする弁護活動が必要です。

参考解説

自首する

逮捕されてしまうのではないかと不安を抱きながら待つのではなく、こちらから自首することで逮捕を回避し、罪を軽くしてもらうことができます。自首とは、犯罪を告白し、処分に服することを捜査機関に示す行為のことです。

痴漢で後日逮捕される可能性が高いのは、一度逃げた人は逃亡や罪証隠滅のおそれが高いと判断されるからだと説明しました。この点、自首すればこれらのおそれがないことを示すことができ、逮捕の可能性を下げることにつながります。また、刑法42条1項で「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と定められているとおり、起訴されても軽い刑罰にしてもらうことが期待できます。

なお、自首したからといって必ず不起訴だとは限りません。犯行が悪質だったり被害者の処罰感情が強かったり、繰り返し痴漢をした前科があるときなどは、自首しても起訴され処罰を受けることもあります。自首をできるだけ効果的に行い、かつ、万が一にも自首してすぐ逮捕されてしまわないよう、弁護士に同行してもらう方法が有効です。

示談交渉をする

痴漢のように被害者のいる事件で、最も被疑者にとって有利な情状として考慮されるのが示談です。示談をしていれば、被害者の処罰を求める感情はなくなっていると判断できるからです。

そのため、痴漢で後日逮捕を防ぐため、示談交渉をすることが有効です。痴漢をしても一旦は逃げてしまったとき、身柄拘束されていないからといって被害者に自分で会いに行ってはなりません。危険性のある人物と見られれば、後日逮捕を早めることとなってしまいます。

また、痴漢では被害者の連絡先がわからないことが多く、弁護士を通じて捜査機関に照会することとなりますが、このとき犯人と犯行が明らかになってしまうため、あわせて前述の自首を行うことがおすすめです。

痴漢で逃げてしまって、後日逮捕されるおそれのあるケースでは、被害者の処罰感情が強く相当高額な示談金を要求される例もありますが、弁護士に依頼することで、適正額でしか示談しないことを示して交渉することができます。

参考解説

任意同行・出頭要請に応じる

痴漢をして逃げてしまったあと、警察が家に来たり、もしくは、警察から連絡がきたりするとき、逮捕されてしまうケースもありますが、そうではなく、任意同行を求め、取調べが行われるケースもあります。どちらになるかは警察の判断次第ですが、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれという逮捕の要件によって判断されます。

一旦は現場から逃げ去ってしまったとしても、任意同行を求められたときや取調べのため警察署へ出頭を求められたときには、素直に応じることが、痴漢で後日逮捕されてしまう事態を回避するためのポイントです。

怖いからといってさらに逃げたり、出頭要請を無視したりしていれば、逮捕されてしまうリスクが高まります。

刑事弁護は浅野総合法律事務所にお任せください!

今回は、痴漢で現行犯逮捕されず、もしくは、現場から逃げ切ったときでも、後日逮捕されてしまうケースについて解説しました。

駅構内には防犯カメラが多く設置されているため、一旦は逃げ切れたとしてもあなたが痴漢の犯人であると判明し、後日逮捕されてしまうおそれは十分にあります。このとき、どれほどの期間逃げ切れば大丈夫なのか、といった基準はありませんし保証もないため、強い不安を感じることでしょう。

不安を解消するとともに、万が一後日逮捕され起訴されてしまい、厳しく処罰されてしまうといった最悪のケースを防ぐためには、早めに自首し、刑の減軽を求める対応がおすすめです。

痴漢などの性犯罪をはじめ、刑事事件にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

解説の執筆者

弁護士 浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院終了。

豊富な知識・経験に基づいた戦略的リーガルサービスを提供します。
専門分野の異なる複数の弁護士がタッグを組むことで、お客様にとって最も有利なサービスを、総合的に提供できることが当事務所の強みです。

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