刑事事件

触らない痴漢とは?直接触ってないのに「痴漢!」疑われた時の対応は?

2018年5月19日

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触らない痴漢

男性であれば、満員電車に乗ったとき、「痴漢をしたと疑われてしまうのではないか」「痴漢の冤罪被害にあったらどうしよう」と不安、疑問を感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

女性が近くに来たり、満員電車で偶然に女性の後ろになってしまったりしたときなど、「このままでは痴漢と言われてしまうのではないか」と感じることがあります。

実際、女性に近づき、鼻息荒く「フンフン」とにおいをかぐ行為が「新型痴漢」としてニュースでもとりあげられました。中には、このような変態行為の同志をインターネット上で募り、集団痴漢に及ぶケースもあります。

今回は、においを嗅ぐ、不適切なほど近づく、持ち物を下半身に押し当てるなど、直接女性に触れなくても痴漢になりうる行為について、刑事事件・性犯罪弁護を得意とする弁護士が解説します。

浅野総合法律事務所のアドバイス

「痴漢」というと、胸や尻をさわったり、衣服の中に手を入れたりといった行為が典型ですが、直接接触しなくても、いやらしい気持ちで行えば「痴漢」になり、違法な行為となるおそれがあります。

万が一思い当たる節がある場合、弁護士にご相談ください。逮捕、起訴といった刑事処分がスタートしてしまう前に早急に対処します。

「」弁護士解説まとめ

そもそも痴漢とは?

触らない痴漢

「痴漢」が犯罪であることは、当然のことでしょうが、「刑法」などに定められた犯罪のうち、何罪になるのか、ご存知でしょうか。

痴漢は、その程度に応じて、刑法上の「強制わいせつ罪」にあたる痴漢と、各都道府県の「迷惑防止条例違反」の罪にあたる痴漢とに分かれます。痴漢が該当しうる、2つの法律の条文は、次のとおりです。

刑法176条

十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

東京都迷惑防止条例5条

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

二 公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

強制わいせつ罪となる痴漢と、迷惑防止条例違反となる痴漢の区別の基準は「悪質性の程度」とされています。

一般的にいって、服の上から触るといった痴漢行為であれば、各都道府県の迷惑防止条例違反の罪となり、これを越えて服の中に手を入れたり、性器に触ったりする痴漢行為は強制わいせつ罪となります。

触らない痴漢でも犯罪になる?

触らない痴漢

では、痴漢が何罪にあたるか、という基礎知識を踏まえ、被害者とされる女性に触らなくても、痴漢行為として犯罪になりうるかについて、弁護士が解説していきます。

例えば、被害者に触らなくても、いやらしい気持ちで行われる性的な行為としては、次のようなものがあります。これらの行為はいずれも痴漢行為として犯罪になる可能性が十分にあり、注意が必要です。

  • 満員電車で、女性の背後に立ってにおいを嗅ぐ。
  • 女性の近くにいって首筋に息をふきかける。
  • 満員電車でもないのに、女性に不適切なほど接近する。
  • 女性の下半身に、自分のバッグや持ち物を押し当てる。
  • 女性の容姿をスマートフォンで盗撮する。
  • 女性に聞こえるように卑猥な発言をし続ける。
  • 向かいの席の女性をいやらしい目で見続ける。

強制わいせつ罪にはあたらない

まず、さきほどの解説で、痴漢行為には強制わいせつ罪となる行為と、迷惑防止条例違反となる行為があると解説しましたが、強制わいせつ罪となる痴漢とは、服の中に手を入れて性器に触るなど悪質性の高いものに限定されます。

したがって、女性被害者にさわらず、いやらしい気持ちで痴漢行為を行う、いわゆる「触らない痴漢」は、刑法上の強制わいせつ罪にはあたりません。

迷惑防止条例違反となりうる

では、触らない痴漢は、犯罪として取り締まられることはないのかというと、そうではありません。女性被害者に触らなくても、痴漢行為は犯罪となりえます。

さきほど解説した迷惑防止条例を見ていただくと、直接被害者に接触しなくても、痴漢行為であるとして犯罪となりうる場合があることをご理解いただけるでしょう。

迷惑防止条例では、痴漢となる違法行為について、第1号に「触れること」とありますが、これに限らず、第3号において「公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。」を禁止しているからです。

つまり、直接触れなくても、いやらしい行為をすること自体が、痴漢行為として処罰の対象となっているというわけです。

「女性の不快感」が基準?

痴漢について定める、東京都迷惑防止条例で、「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」と定義されているように、典型的な痴漢というのは、「触る」行為のことです。

しかし、触らなくても、女性が不快に感じる行為は多くあります。同じく、東京都迷惑防止条例の中にも、「前二号(触る、盗撮)に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること」とある通り、触る行為だけに限定されているわけではありません。

このような卑猥な行為と疑われてしまうような言動があった場合、女性が「不快だ」と感じると、痴漢の容疑をかけられてしまうおそれがあります。

触ってないのに「痴漢!」と言われたら?

触らない痴漢

痴漢に間違われないために、痴漢冤罪被害にあわないために、よくある対策は、「両手を上にあげてつり革などにつかまり、女性に触る意思がないことをアピールする」というのが一般的です。

しかし、触らなくても痴漢になる可能性があるとすると、これだけでは不十分な場合があるでしょう。女性に触っていないのに、痴漢と間違われ、痴漢冤罪にあったら、どのように対応したらよいかについて、弁護士が解説します。

触らない痴漢について理解する

まず、今回の解説をお読みいただき、触らない痴漢がなぜいけないか、なぜ犯罪となるかについて、痴漢冤罪にあう前によく理解しておいてください。

「触らない痴漢」という考え方は、痴漢冤罪を増やすおそれもある考え方ですから、正しい理解が必要です。「触れなくても痴漢になる」というのは間違いないですが、どのような行為も痴漢となるわけではありません。

インターネット上では、ニュースなどでも話題となっている「触らない痴漢」について、次のような反対意見も示されていますので、参考にしてみてください。

  • 「電車は男女専用の車両を作るべきではないか」
  • 「あまりに広い行為が痴漢行為とされていて驚きを隠せない」
  • 「女性が気持ち悪いといえばすべて痴漢になってしまうのではないか」
  • 「ただ見る行為が痴漢にあたる可能性があるのは怖くて納得ができない」
  • 「もはやここまで痴漢が騒がれると電車通勤しないのが一番の対策なのではないかと思えてくる」
  • 「痴漢の本来の意味をはき違えているのではないか」
  • 「不快だと思われたら逮捕されてしまうようで納得いかない」
  • 「違法、不当な痴漢訴えをする女性に対しての処罰もしてほしい」
  • 「痴漢の濡れ衣が増えそう」

否認をし続ける

被害者とされる女性に触っておらず、痴漢行為もしていないのであれば、そのように警察、被害者に明確に説明し、否認し続けるという対応が必要となります。

特に、警察に事情聴取をされ、調書を作成されるような場合には、疑惑をもたれた当初から一貫して否認し続けていた、という供述態度が非常に重要となります。「早く帰りたい」「お金で許してほしい」という安易な気持ちで認めないことでしょう。

「やったかもしれない」「よくわからない」「記憶にない」といった曖昧な返答は、疑わしさを強めてしまいます。

被害者に接触していないのに「痴漢!」といわれた場合、女性の不快感によって生まれた冤罪である可能性もありますから、女性の被害申出の内容を正確に聞いた上で反論するようにしましょう。

周囲の証言を得るなど、周囲の方に協力を求めましょう。被害者に触っておらず、痴漢行為をしていた事実もないと証言してくれる方がいれば、連絡先などをお聞きしておき、万が一裁判などとなったときの協力を求めておきましょう。

触らない痴漢なら、逃げたほうがよい?

「触らない痴漢」の場合、どのような行為が痴漢冤罪の根拠となっていたとしても、まずもって被害者とされる女性に接触していないわけですから、痴漢行為の物的な証拠は残りづらいと考えられます。

被害者に接触する痴漢ですと、被害者の衣服の繊維、被害者の体液などが証拠となって、触っていたことが証明されることが多いですが、そもそも触っていないのであれば、これらの痴漢行為の証拠は残りようがないからです。

触らない痴漢だと証拠が残らないので逃げた方がよいかというと、必ずしもそうではありません。

痴漢と疑われ、その場から逃げることは、逆に「触らない痴漢行為をしていたのではないか。」と疑われる材料となり、逃亡のおそれが強まることから、逮捕をされるリスクが増加します。

証拠調べをしてもらう

日本の刑事司法では、「疑わしきは被告人の利益に(無罪推定の原則)」というルールがあります。つまり、疑われた方が「痴漢していない」ことを証明するのではなく、処罰する側が「痴漢した」ことを証明しなければ有罪とはなりません。

そこで、実際には女性に触っておらず、痴漢行為をしていないという場合には、証拠調べをしてもらい、冤罪の疑いを晴らしてもらう努力をしましょう。

一般的に、痴漢容疑をかけられたとき、よく利用される証拠調べの方法が、「微物検査(繊維鑑定)」と「DNA鑑定」です。

「微物検査(繊維鑑定)」によって、被害者の衣服が手や指についているかどうか、「DNA鑑定」によって加害者と疑われる人の体液や皮膚が、被害者の衣服などについているかを調べます。

「刑事弁護」は浅野総合法律事務所にお任せください!

触らない痴漢

今回はニュースなどでも話題となっている「触らない痴漢」について、被害者に接触しなくても痴漢となる場合がありうること、触っていないのに痴漢と疑われた場合の対応などについて、弁護士が解説しました。

被害者女性に触らなくても痴漢となり、逮捕されてしまうケースもあり得ますが、痴漢冤罪を増やす考え方ともなりうるため、正しい理解が必要となります。

痴漢冤罪の被害にあってしまった男性の方は、やっていないことは正直に否認し続けた上で、刑事事件・性犯罪を得意とする弁護士へ、お早めに法律相談ください。

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