
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
近年、不倫が発覚するきっかけとして、LINEのやり取りが重要になっています。
一方で、肉体関係があるかどうかは確認できないものの、配偶者が異性と頻繁にLINEをしているとき、非常に不快な思いをすることでしょう。当事務所でも、次のような相談例があります。
LINEのトーク履歴は、不貞行為の証拠になります。例えば、ラブホテルや宿泊を伴う旅行に行った記録、性交渉を示唆する発言などがある場合です。一方で、性的関係の有無が明らかでなくても、LINEの内容や頻度、相手との関係性、他の証拠との組み合わせによっては、慰謝料の請求が認められるケースもあります。
今回は、LINEだけの関係でも浮気になるのか、慰謝料が認められるケース・認められないケースと、証拠としてのLINEのトーク履歴の注意点について、弁護士が解説します。

配偶者が異性と頻繁にLINEをしていると分かると、不快に思う人が多いでしょう。
「浮気されている」と感じる方も少なくありませんが、法律上は、「浮気」と「不貞行為」を区別する必要があります。配偶者以外と親密にやり取りをしたり、恋愛感情を持ったりすることを一般に「浮気」と呼びますが、慰謝料請求や離婚原因になる「不貞行為」とは異なります。
一般に「浮気」かどうかは、人によって受け止め方や価値観が異なります。
異性と二人で食事に行くだけで浮気と考える人もいれば、恋愛感情やキス、性交渉といった境界線を設定している人もいます。これに対し、法律上の「不貞行為」とは、配偶者以外の者と自由な意思に基づいて性的関係を持つことを指します。
不貞行為が認められると、裁判で離婚が認められる原因となり、かつ、不貞をした配偶者とその相手に対して慰謝料を請求することができます。ただし、そのためには、性的関係(肉体関係)を持っていることが前提となります。
したがって、「浮気している」と感じても、性的関係(肉体関係)を裏付ける事情がなければ、法律上の不貞行為とは認められないのが原則です。
LINEで毎日のようにやり取りをしていても、性的関係はないことがあります。
例えば、マッチングアプリで連絡先を交換し、「好き」「会いたい」といった恋愛感情を示すメッセージをやり取りしていても、実際には会っていないケースがあります。また、会社の同僚や仲の良い友人と親密なメッセージをしていても、頻繁に食事に行くだけの関係のこともあります。
そのため、LINEのやり取りだけでは、慰謝料を請求できる「不貞行為」とは認められないのが実情です。一方で、「昨日はホテル楽しかった」「また泊まりに行こう」といった宿泊・旅行・ラブホテルに行ったことを伺わせるトーク履歴があれば、性的関係を推認できます。
ただし、LINEだけで厳密に「不貞行為」に当たらない場合でも、夫婦関係に与える影響は決して小さくないでしょう。特定の異性と長期にわたって親密なメッセージを送り合い、そのことを配偶者に隠していた場合、信頼関係を損ない、離婚に発展するケースも少なくありません。
前述の通り、LINEだけで必ず「不貞行為」になるわけではないものの、トーク履歴の内容によっては、慰謝料を請求できる可能性があります。
LINEのやり取りに性的関係を示唆する内容が含まれていれば、不貞行為の証拠になります。
「好き」「会いたい」といった愛情表現だけでは、直ちに性的関係があったとは言えないものの、「昨日泊まれて幸せだった」「次はどのホテルに行こうか」など、具体的な日時や場所を伴うメッセージがあれば、不貞行為があったことを推認することができます。
この場合、不貞行為の慰謝料として、100万円〜300万円程度が相場となります。
ただし、証拠が不十分なまま問い詰めると、「冗談だった」「実際には会っていない」などと反論されるおそれがあるため、前後のトーク履歴や、他の証拠も保存しておきましょう。
性的関係が確認できなければ、法律上の「不貞行為」には原則として当たりません。
しかし、不貞行為に該当しなければ全く慰謝料が請求できないわけではありません。特定の異性との関係が平穏な婚姻生活を破壊するものであった場合、配偶者に精神的苦痛を与えるものとして、慰謝料請求が認められる余地があります。
例えば、配偶者に隠れて長期間にわたり恋人同士のようなやり取りを続け、離婚後の再婚について具体的に計画していた場合、不倫相手が配偶者を侮辱し、積極的に離婚を迫っていた場合などは、性的関係がなくても慰謝料が認められる可能性があります。
ただし、個別の事情にもよりますが、前章のように不貞行為が立証できた場合に比べて慰謝料額は低く抑えられる傾向にあり、100万円程度や50万円を下回るケースもあります。
LINEだけでは十分でなくても、他の証拠と組み合わせて不貞行為を証明できる場合があります。
例えば、LINEで「いつもの場所で会おう」と約束したのを発見し、探偵に依頼したところラブホテルへ出入りする写真が撮影できた場合、これまで交際関係にあるかのようなLINEが残っていることが、不貞行為の悪質性を証明する重要な役割を果たします。宿泊を約束するLINEと、ホテルの領収書やクレジットカードの利用履歴が一致している場合も、不貞関係を推認できます。
LINEと組み合わせられる証拠には、次のようなものがあります。
実際の裁判でも、性的関係を直接立証するのは「性交渉中の写真や動画」などがない限り難しく、複数の間接的な証拠を総合して不貞行為を認定することが多いです。そのため、決定的ではないLINEのやり取りでも、保存しておくことをおすすめします。
一方で、配偶者と他の異性とのLINEのやり取りにショックを感じたとしても、それだけで慰謝料が請求できるとは限りません。前述の通り、原則としては性的関係(肉体関係)が証明できない限り「不貞行為」にはならず、慰謝料請求はできません。
日常的なやり取りしかない場合、慰謝料請求は困難です。
例えば、仕事上の連絡、友人同士の会話、趣味の情報交換などのLINEは、異性と頻繁に連絡を取っていても不貞行為にはならず、慰謝料請求もできません。また、食事や飲み会の約束が確認できても、「二人で食事をした」という事実だけから肉体関係を推認するのは困難です。
さらに、好意があることが明らかでも、性的関係まで証明できないこともあります。
LINEに「好き」「会いたい」「ずっと一緒にいたい」などの愛情表現があっても、性的関係が証明できなければ不貞行為とは認められません。また、「やり取りで精神的苦痛を与えた場合」の通り、必ずしも性交渉がなくても、夫婦間の信頼を損なう行為は慰謝料請求の対象となり得ますが、その内容や回数、頻度、相手との関係性を踏まえ、違法性について慎重に検討すべきです。
LINEの一部を見て、「浮気をしている」と感じる人は少なくありません。
しかし、推測にとどまる場合にまで慰謝料請求はできません。例えば、「また会おう」「昨日は楽しかった」というメッセージは、どこで何をしていたのか具体的に判明しておらず、性的関係があったと断定することはできません。LINEの表示名が異性の名前も、本名や住所、配偶者との関係性などが確認できなければ、慰謝料の請求は困難です。
トーク履歴の一部だけを切り取ったスクリーンショットでは、会話の前後関係や送信日時、相手方のアカウント情報が分からず、証拠としての信用性を争われることもあります。なお、LINEを証拠として活用する方法は「慰謝料を請求する場合はLINEが証拠として活用できる」で後述します。

では、どのようなLINEがあれば証拠として活用できるのか、注意点も踏まえて解説します。
LINEが連絡手段として一般化し、不貞行為を証明する場合にも、トーク履歴は非常に重要な証拠となります。配偶者に隠れて不倫・浮気をしている人は、LINEのトーク履歴を削除したり、バレないように偽装したりしているため、証拠の活用方法には注意を要します。
慰謝料請求の証拠となるLINEの典型例は、性的関係(肉体関係)を推認できる内容が記載されたものです。また、それに限らず、他の証拠と組み合わせることで役に立ったり、探偵などに追加の調査を依頼するきっかけになったりするものも、保存することをおすすめします。
LINEを証拠として活用するため、その保存方法にも注意が必要です。
裁判所で証拠として活用するには、「書証」の形にする必要があります。そのため、LINEのトーク履歴の中で証拠となる内容があった場合、スクリーンショットなどで保存します。この際、証拠としての信用性を高めるために、LINE特有の工夫を理解しておいてください。
短いメッセージ一つだけでは、悪質性を証明しにくいです。
そのため、証拠として活用するには、トーク履歴全体を保存してください。問題となるメッセージだけでなく、相手のプロフィール画面、トークの前後関係、送受信日時なども含めて記録することが大切です。前後関係や送受信日時を明らかにするため、スクリーンショットを撮る際には、少しずつ重複させて保存すべきです。
LINEのトーク履歴を証拠提出しても、改ざんを疑われることがあります。そのため、証拠として活用することを検討する際は、次のような複数の方法で保存しておくのが適切です。
全ての方法で保存し、その内容が一致していれば、改ざんしていないことを示し、信用性を高めることができます。
LINEが不貞行為の強力な証拠となるケースは多いものの、配偶者のスマートフォンのロックを不正に解除したり、相手のアカウントへ無断でログインしたりするのは不適切です。これらの行為は、不正アクセス禁止法違反に該当する違法行為であり、プライバシー権侵害にもなります。
LINEで不適切なやり取りを見つけたら、それ以外の証拠も積極的に集めておいてください。特に、LINEだけでは性的関係を証明できず、不貞行為の証拠とはならない場合でも、その他の証拠を集める際の手がかりとしては大いに活用できます。
例えば、写真や動画、GPSの位置情報、ホテルや宿泊施設の利用記録、クレジットカードや電子決済の履歴といった証拠が入手できるか検討してください。不貞行為があると強く疑われる場合、探偵に調査を依頼することも検討しましょう。
LINEのやり取りをきっかけに配偶者を問い詰め、不貞行為を認めた場合には、その場で「自認書」を書かせることも有効な証拠集めの一環です。
自認書には、不倫相手の氏名や連絡先、いつから関係が始まり、どこで肉体関係を持ったかといった具体的な事実を記載させ、本人の署名や押印を求めます。「無理やり言わされた」「冗談のつもりだった」といった言い逃れを防ぐために、発覚した段階で速やかに書面に残すことが対策となります。
なお、この際の書面の書き方については「浮気・不倫の誓約書の書き方と注意点」で詳しく紹介しています。
配偶者がLINEの開示に非協力的な場合、どのように対応すればよいでしょうか。
たまたまLINEのトーク履歴に浮気が疑われるやり取りを見つけても、すぐに隠され、問い詰めても見せてもらえないことがよくあります。後ろめたい人ほど、見せようとしないでしょう。証拠を集めるためとはいえ、スマートフォンを無断で操作し、端末のロックを解除したり、IDやパスワードを不正に利用したりすれば、不正アクセス禁止法違反やプライバシー権侵害に該当します。
違法にならないよう、まずは配偶者に任意に開示するよう求めましょう。常にロックをかけている、風呂やトイレにスマートフォンを持ち込むといった怪しげな素振りこそ、不貞行為を疑わせる一事情となります。積極的に協力してもらえるよう、疑っている具体的な内容を伝え、潔白なら該当する相手とのLINEを見せるよう求めるのがよいでしょう。
なお、不貞行為の証拠を入手する目的で、LINEに対してトーク履歴の開示請求をすることは難しいです。LINEが開示に応じるのは、情報発信の内容に違法性がある場合や、刑事事件に関連して捜査機関からの要請があった場合などに限られます。
次に、LINEのトーク履歴を削除されてしまった場合の対処法についても解説します。
トーク履歴を全て削除される、特定の異性とのトーク履歴がない、問い詰めた直後に削除したといった状況は、不貞行為を強く疑わせます。この場合、配偶者がトーク履歴を削除してしまっても、次の方法でLINEの証拠が入手できることがあるため、あきらめないでください。
また、LINEそのものの証拠を入手できなくても、他の証拠から不貞行為を立証できれば、慰謝料を請求することができます。
LINEを削除された場合、感情的に問い詰めたり、無理に端末を調べたりする前に、弁護士へ相談してください。弁護士であれば、現在手元にある資料を精査し、どのような証拠を追加で集めるべきか、どのように責任追及すべきかをアドバイスすることができます。
「離婚に強い弁護士とは?」の解説


今回は、LINEだけの関係でも浮気になるか、慰謝料を請求できるかを解説しました。
配偶者が異性と親密にLINEしていても、それだけで「不貞行為」にはなりません。不貞行為として慰謝料を請求するには、性的関係の存在を立証する必要があるからです。LINEの内容が具体的だったり、ラブホテルの利用記録や性交渉を示唆する写真、位置情報などの証拠と結びつけたりすれば、不貞行為を推認させる重要な証拠となります。
一方で、肉体関係そのものを立証できなくても、LINEのトーク履歴の内容や頻度によっては、配偶者に精神的苦痛を与える行為として、慰謝料請求が認められる可能性があります。悪質さを示すには、LINEの文面だけでなく、夫婦関係の状況や相手との関係性などの証拠も肝心です。
感情的に問い詰めると、トーク履歴を削除され、証拠を隠されるおそれがあります。不適切なLINEのやり取りを発見したときは、証拠を保存し、早い段階で弁護士へ相談するのが賢明です。