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婚約者が浮気・不倫したら慰謝料請求できる?慰謝料額の相場は?

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

婚約者浮気慰謝料

婚約者が浮気をしたとき、とても大きな精神的苦痛を受けることとなるでしょう。せっかく婚約してこれから幸せになれると思っていたところ、突然の婚約者の浮気で受ける悲しみは、はかり知れません。

婚約が成立し、結婚に向けて寿退社してしまっていたり、もう妊娠していたりするとき、婚約者の浮気・不倫による苦しみはさらに大きく、「慰謝料を請求したい」という気持ちになることでしょう。婚約者の浮気・不倫をきっかけに婚約を解消してしまったり、むしろ浮気・不倫をしたにもかかわらず婚約者から婚約破棄され、予定していた結婚ができなくなってしまうカップルも少なくありません。

婚約した男女間で起こる浮気・不倫のトラブルでは、その責任は、慰謝料請求によって解決するのが通常です。裁判例の実務では、婚約者の浮気・不倫による慰謝料の相場は、50万円〜200万円程度とされています。

今回の解説では、

  • 婚約者の浮気・不倫で慰謝料請求すべきケース
  • 婚約者の浮気・不倫の慰謝料の相場と、増額・減額されるべき事情
  • 慰謝料以外に請求しておくべき金銭

といった婚約にまつわる法律問題について、男女問題を多く取り扱う弁護士が解説します。

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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浮気・不倫した婚約者に慰謝料請求するための条件

婚約者浮気慰謝料

最初に、婚約者の浮気・不倫について慰謝料請求をするときの条件について解説していきます。

「婚約」が成立していること

まず、「婚約者の浮気について、慰謝料を請求したい」というとき、そもそも「婚約」が成立しているかどうかについて最初に検討する必要があります。

結婚をした夫婦であれば、夫(または妻)が他の異性と肉体関係(性交渉)をもったとき、「不貞行為」として慰謝料請求の対象となります。これに対し、単に交際しているカップルに過ぎないとき、たとえ浮気・不倫が発覚しても、慰謝料請求はできない(もしくはごく低額にとどまる)ことが原則です。

他方で、法的な保護に値する「婚約」が成立しているときは、まだ結婚に至っていなくても、浮気・不倫に対する慰謝料請求ができます。

ただし、法的な保護に値する「婚約」といえるためには、単なる結婚の口約束にとどまるのではなく、第三者からも客観的に分かる程度に、結婚の約束を示す事情が形成されていることが必要となります。

「婚約」が成立したかどうかは、多くの事情を総合して判断されるものであり、1つの事情だけで決まるものではありませんが、次のような事情が重要な考慮要素とされています。

  • 婚約指輪を購入したかどうか
  • 結納品・結納金の授受をしているかどうか
  • 妊娠しているかどうか
  • 寿退社したかどうか
  • 両家の親族の顔合わせをしたかどうか
  • 友人や上司に、将来の結婚相手として紹介されたか
  • 結婚式・新婚旅行の予定が決まっているか
  • 同棲を開始しているか、新居を予定しているか

婚約者の浮気・不倫が発覚したこと

法的に保護される「婚約」が成立しているにもかかわらず、婚約者が他の異性と肉体関係(性交渉)を持ったとき、浮気・不倫についての慰謝料を請求することができます。

夫婦の不貞行為のとき、不貞行為による慰謝料請求はもちろんのこと、これによって夫婦が離婚に至ったときには、離婚したことによる慰謝料をあわせて請求することができます。

これと同様に、婚約者の浮気・不倫についても、理論上、浮気不倫によって結婚が取りやめとなってしまったときには、婚約者の浮気・不倫に対する慰謝料請求とともに、婚約が破棄されてしまったことについての慰謝料を請求することができます。

婚約が解消されなくても慰謝料請求は可能

これに対して、婚約者の浮気・不倫が発覚したが、婚約は解消されず、予定どおりに結婚したというときでも、慰謝料請求をすることができます。

ただし、婚約者が浮気・不倫をしたけれども結婚するに至ったケースよりも、浮気・不倫を理由として結婚が取りやめになったケースのほうが精神的損害は大きいと考えられるため、請求できる慰謝料額は高額になります。

なお、婚約は、結婚をした夫婦関係ほど強い法的保護を受けるわけではないため、結局予定どおり結婚したというとき、慰謝料額は少額にとどまると考えられます。

浮気・不倫した婚約者に請求できる慰謝料額の相場

婚約者浮気慰謝料

以上の解説により、浮気・不倫をした婚約者に対して慰謝料請求するとき、その慰謝料額の相場について解説します。

婚約者の浮気・不倫についての慰謝料を請求するとき、精神的苦痛に対する損害賠償請求であるわけですが、精神的苦痛というのは目に見えないものです。そのため、慰謝料額の相場を知るためには、裁判例において、同種の事例でどの程度の慰謝料額が認められているかを知る必要があります。

婚約者の浮気・不倫についての慰謝料額の相場は、おおむね50万円〜200万円程度が目安となります。

ただし、これはあくまでも目安に過ぎず、浮気・不倫が結婚の直前であったり、浮気相手との子どもをつくってしまったりなど、悪質性の高い事案では、200万円以上の慰謝料額を認めるケースもあります。

慰謝料請求をするとき、慰謝料額の相場を理解せずに進めていってしまうと、本来であればもらえたはずの金額をもらえなくなり、損をしてしまうというデメリットがあります。

また、逆に、怒りのあまりに、相場より高すぎる請求に固執してしまうと、交渉がうまくいかず、結局納得のいく慰謝料がもらえなくなってしまうおそれがあります。

慰謝料額を増額したり、減額したりする考慮要素

婚約者浮気慰謝料

前章で解説した、婚約者の浮気・不倫についての慰謝料額の相場(50万円〜200万円程度)は、あくまでも「相場」であり、個別の事情によって、ケースバイケースで増額されたり、減額されたりします。

そこで、婚約と浮気・不倫についての慰謝料について交渉するときは、慰謝料を増額する事情(請求する側)、慰謝料を減額する事情(請求される側)を知り、これらの具体的事情を主張立証する必要があります。

慰謝料額を増額したり、減額したりする具体的な事情には、次のようなものがあります。

婚約者が浮気・不倫した回数・期間・頻度

婚約者による浮気・不倫が発覚したときには、その交際期間がどの程度長いか、そして、その期間内に、何回肉体関係(性交渉)を行ったかといった事情により、その悪質性が判断されます。

また、婚約者が、複数人と浮気・不倫をしていたときには、浮気・不倫をした人数、肉体関係(性交渉)をもった頻度などが、婚約者の浮気の悪質性を考える上で重要な要素となります。

婚約者による浮気・不倫が、長期間にわたって何度もの肉体関係(性交渉)を真剣交際であるケースや、出会い系・マッチングアプリなどを利用して不特定多数と頻繁に行うようなものであるケースでは、慰謝料が増額される事情となります。

婚約者が浮気・不倫した回数・期間・頻度による悪質性は、一度浮気・不倫が発覚し、許してもらったにもかかわらず、さらに浮気・不倫を繰り返したというケースでは、さらに責任を重くする事情として考慮されます。

このような浮気・不倫を繰り返すことの悪質性を立証するために、浮気・不倫後もやりなおして復縁するときには、婚約者に謝罪文、誓約書を記載させ、今後のルールを明らかにしておく方法が有効です。

婚約者が浮気・不倫した理由・原因・経緯

婚約者が浮気・不倫をした理由・原因・経緯もまた、婚約者の悪質性に影響します。

例えば、婚約者が、積極的に異性を誘って、自分から浮気・不倫に走ったのであれば、その浮気についての婚約者の責任度合いはとても重いと考えることができ、慰謝料を増額すべき事情となります。

これに対して、次のような理由・原因・経緯で浮気・不倫に至ったとき、その責任は軽い(もしくは、やむを得ないものであり責任を負わない)ケースもあります。

  • 浮気相手が積極的に誘ってきて、不倫・浮気をすることとなってしまった
  • 会社内で上司からセクハラをされ、不倫・浮気関係に発展した
  • 自分の意に反した性交渉を強要された

なお、婚約者は受け身であり、浮気相手が積極的に誘って浮気・不倫をすることとなったというケースでは、浮気相手に対する慰謝料請求をあわせて検討すべきです。

被害者の精神的苦痛の度合い

被害者の精神的苦痛の度合いが強度であればあるほど、慰謝料額が増額される傾向にあります。

そのため、精神的苦痛が大きいことを主張するためには、婚約者の浮気・不倫によってどれほどの苦痛があったかを具体的に主張する必要があります。

このとき、精神的苦痛は他人には目に見えず理解されづらいものであるため、精神科・心療内科などに通院し、診断書を得ることが必要となります。診断書は、その心身の症状にあわせ、「うつ病」、「うつ状態」、「適応障害」などの精神疾患名となることが通常です。

浮気・不倫後の、婚約者と浮気相手の関係性

婚約者が、浮気・不倫が発覚した後に浮気相手とどのような関係となっていたかといった事情も、慰謝料の増額・減額に影響する重要な事情の1つです。

浮気・不倫の発覚後に、婚約者がどのように対応するかは、婚約者の悪質性の判断に影響するからです。

例えば、次のような事情はいずれも、浮気・不倫が発覚してしまった婚約者の事後対応として誠意がなく、慰謝料を増額する事情として考慮されます。

  • 浮気相手を妊娠させた、浮気相手が出産してしまった
  • 浮気相手の出産した子を認知した
  • 浮気発覚後、浮気相手と同棲を開始した
  • 婚約を破棄し、浮気相手と結婚することとなった
  • 浮気相手に、金銭を与えた(貢いだ)

浮気・不倫後の、婚約者と被害者との関係

浮気後に、浮気をした婚約者が被害者にどのように対応するかもまた、「婚約者の悪質性がどれほど高いか」を評価するために重要な事情となります。誠意をもって対応しないとき、悪質であると考えられ、慰謝料が増額される傾向にあります。

例えば次のような事情は、浮気後の被害者に対する対応として不適切、不誠実であるといえ、慰謝料額を増額する事情として考慮されます。

  • 浮気・不倫が証拠上明らかなのに、否定をし続ける
  • 浮気・不倫が発覚した後も謝罪をせず、反省の態度を見せない
  • 浮気・不倫について「仕方ない」と開きなおり、更に相手を傷つけた
  • 浮気・不倫の発覚後、婚約を解消して浮気相手との関係を続けたいと発言した

婚約期間の長さ、結婚準備の程度

婚約は、他の異性と肉体関係(性交渉)をもってはならないという点では夫婦に類似してはいるものの、すでに結婚している夫婦関係よりは保護の度合いが低く、浮気・不倫の慰謝料もまた、夫婦の不貞行為の慰謝料よりは低くなりがちです。

そのため、婚約がどの程度保護されるかは、どの程度結婚に近いかによっても変化します。

例えば、婚約している期間が長期間であったり、結婚の準備が直前まで進んでいたりするとき、長年の信頼を裏切って浮気・不倫をした婚約者の責任は重く評価されることとなります。

同様に、寿退社していたり、同棲を開始したり妊娠出産をしていたりなど、結婚準備の程度が進行していればいるほど、慰謝料は高額になります。

婚約期間が相当長期となるときには、ケースによっては「婚約」ではなく「内縁」としての保護を受けるべき場合もあります。

「内縁」となると、夫婦関係と同程度の保護を与えるべきと判断され、慰謝料額をさらに増額することにつながります。

慰謝料以外に、浮気・不倫した婚約者に請求すべき金額とは

慰謝料とは、精神的苦痛についての損害賠償請求のことです。わかりやすく説明すると、浮気・不倫による「心の痛み」の対価として支払われるお金を請求するのが、慰謝料請求です。

しかし、婚約をしていたにもかかわらず、婚約者に浮気・不倫をされてしまったとき、損害は精神的苦痛だけにとどまりません。

浮気・不倫を理由として婚約破棄となってしまったとき、婚約者に対して、慰謝料以外に請求すべき損害には、次のようなものがあります。

  • (婚約破棄の結果、中絶したとき)中絶費用、治療費
  • (婚約破棄したが、妊娠・出産したとき)出産費用、治療費
  • 結婚の準備のために費やした金銭
    :結婚指輪の購入費用、結婚式・新婚力のキャンセル代、新居の初期費用(敷金・礼金など)
  • 結婚の準備のために同棲するのに必要となった費用
  • (婚約により寿退社していたとき)将来得られるはずであった収入(逸失利益)

慰謝料以外に、浮気・不倫をした婚約者にどのような金銭を請求すべきかを考えるとき、「因果関係のある損害」を検討する必要があります。

わかりやすく説明すると、「婚約者による浮気・不倫がなかったならば、無駄にならなかったであろう費用」を1つずつ検討し、請求していくようにしてください。

男女問題は浅野総合法律事務所にお任せください!

婚約者浮気慰謝料

今回は、「婚約者が浮気・不倫が発覚した」という法律相談の例で、婚約者に慰謝料を請求するときに知っておくべき、慰謝料の相場や、増減額事由について、弁護士が解説しました。

婚約をして、幸せの絶頂にあると信じていたのに、裏切られたときの精神的苦痛はとても大きいものでしょう。婚約者の浮気・不倫の慰謝料額の相場は50万円〜200万円とされていますが、少しでも多くの慰謝料を請求するために、婚約者の行為の悪質性、背信性をしっかりと証明できるよう準備が必要です。

婚約者の浮気・不倫で請求できる慰謝料には、増額・減額のために考慮される事情が多くあり、これらを総合的に検討しておかなければなりません。

婚約者の浮気・不倫でお悩みの方、慰謝料請求を検討している方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。

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