離婚・男女問題

婚約者が浮気したとき、浮気相手にも慰謝料請求できますか?

2021年8月5日

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

婚約破棄慰謝料

婚約をして、将来の幸せな結婚を夢見ていたけれども、実は婚約者が隠れて浮気していたことが発覚してしまったとき、とても大きなショックを受けることでしょう。

婚約が、婚約者の浮気・不倫によって破談になってしまったとき、婚約者に対する慰謝料請求だけでなく、浮気・不倫の相手に対しても、慰謝料請求をし、婚約破棄の責任を追及することができます。

特に、婚約者の浮気相手が、積極的に婚約者を浮気に誘っていたケースや、婚約関係にあることを知りながら破談させようとしていたケース、婚約者との結婚を目論んでいたケースなど、浮気・不倫の相手の非が大きければ大きいほど、「婚約者よりもまず、浮気・不倫の相手に慰謝料を請求してやりたい」という思いが強くなることは十分に理解できます。

また、浮気・不倫があったものの、一時のあやまちについては目をつぶり、結婚をすることとなる場合にも、婚約者ではなくその浮気・不倫相手に対する慰謝料請求が問題となります。

今回の解説では、

  • 婚約者ではなく、不倫・浮気の相手に対して慰謝料請求するための条件
  • 慰謝料請求するための具体的な方法

といった、円満な婚約関係を破壊し、婚約破棄の原因を作った浮気相手に対する責任追及について、弁護士が解説します。

まとめ解説
婚約者に浮気・不倫された時、知っておきたい全知識【弁護士解説】

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婚約者の浮気相手に対して、慰謝料請求するための3つの要件

婚約破棄慰謝料

婚約者の浮気が発覚したとき、婚約者に対して慰謝料請求できるのは当然ですが、これに加えて、婚約者の浮気相手に対しても、慰謝料を請求することができます。

婚約者の浮気相手は、「婚約関係」という法的に保護された関係を、浮気・不倫という違法行為によって破壊し、あなたに損害を与えたといえるからです。このような違法行為を、法律用語で「不法行為」(民法709条)といいます。そのため、婚約者の浮気相手に対して慰謝料請求するためには、民法に定められる「不法行為」の要件を満たさなければなりません。

この不法行為の要件にどのようなものがあるかについて、婚約者の浮気相手に慰謝料請求するというケースにあてはめて、解説していきます。

慰謝料請求するための3つの要件

婚約関係が成立し、破談していないこと

第1に、婚約者の浮気相手に慰謝料を請求するためには、パートナーとの関係が、「婚約」として法的に保護される程度のものである必要があります。

この点で、慰謝料請求ができるような「婚約」が成立したといえるためには、単なる口約束にとどまらず、結納や婚約指輪を交わしたり、結婚式場の準備をしていたりといった客観的な事情が必要となります。口約束程度では本気度が低く、慰謝料請求の根拠となる「婚約」としては不足と言わざるを得ません。婚約は、結婚届のような手続きはなく、戸籍上に記載されるものでもないため、夫婦関係に比べて相対的に保護の度合いが弱いとされているからです。

そして、一旦は婚約が成立したとしても、浮気以外の事情によって婚約が破談していた場合にも、浮気相手に慰謝料を請求することはできなくなってしまいます。

例えば、次のようなケースでは、結果的に婚約が解消されてしまったとしても、浮気が原因ではないため婚約者の浮気相手に慰謝料請求することは難しいです。

  • 婚約指輪をもらい、親に顔合わせをしたが、どうしても入籍できない事情が生じた
  • 婚約後に同棲を開始したら欠点が多く見つかり、夫婦となることが難しくなった

参考解説

浮気相手が、婚約関係を知っていたこと

第2に、婚約者の浮気相手に慰謝料を請求するためには、浮気相手が、婚約関係を知っていた、もしくは、不注意によって知らなかったといえる必要があります。「婚約」の法的保護が、夫婦関係に比べて弱いことから、単に「付き合っている彼女(または彼氏)がいる」と知っているだけでは、浮気相手に慰謝料請求をするための事情としては不足といわざるを得ません。

この点について、慰謝料請求の相手方となる不倫相手から、「婚約しているとは知らなかった」、「婚約は既に破談になっていると聞いていた」といった反論を受けることがあります。

夫婦であれば、同居していることが通常である上、戸籍に夫婦であることが記載されており、結婚指輪をしていたり子どもがいたりなど、外からみても夫婦であることが明らかにわかることが多く、「夫(または妻)がいるとは知らなかった」という反論は難しいことが多いです。しかし、婚約はあくまでも将来の約束に過ぎず、外形的な事実ではわからないこともあります。

また、パートナー間では「婚約」だと考えていても、長期間同棲しているといった事情だけでは、法的に保護される「婚約」とは考えられないこともあります。

浮気を理由に、婚約が破棄・解消されたこと

第3に、婚約者の浮気相手に慰謝料を請求するためには、その浮気を理由に婚約が破棄されてしまったことが必要となります。

夫婦の不貞の場合には、夫婦が離婚していなくても慰謝料請求することができ、婚約者の浮気・不倫についても、理論的にはこれと同じことがいえます。そのため、浮気・不倫によって直接、離婚や婚約破棄という結果につながらなくても、パートナーとの関係が悪化し、将来的に離婚や婚約破棄につながるおそれがあるのであれば、慰謝料請求をすることができます。

ただ、婚約関係は、まだ結婚には至っていないという点で夫婦関係よりは保護が薄いとされています。

そのため、浮気・不倫はあったものの婚約関係は継続し、結婚に至ったというのであれば、浮気相手があなたに与えた損害はとても小さいと評価されてしまいます。

婚約者の浮気相手に慰謝料請求するための具体的な方法

次に、婚約者の浮気相手に対して、慰謝料請求するときの具体的な方法について弁護士が解説します。

まず話し合いで慰謝料請求する

婚約者の浮気相手に慰謝料請求するときには、まずは話し合いで請求することからはじめてください。

浮気相手の連絡先がわからないとき、婚約者の協力を得られるのであれば、婚約者に連絡先を聞いておくことがおすすめです。

話し合いの結果、慰謝料請求について合意がまとまったときには、合意書を作成し、慰謝料額、支払い方法、支払い期限などのルールについて合意を書面化しておきます。万が一支払われなかったときのため、合意書を公正証書化しておけば、違反のあったときに強制執行(財産の差押え)をすることができます。

婚約者の協力(証言など)を得る

婚約者の浮気が理由で婚約の破棄・解消に至ったとき、婚約者の浮気相手に対しても慰謝料請求を行うときには、婚約者の協力がとても重要となります。

前章で解説したとおり、婚約者の浮気相手に対して慰謝料請求するためには、「婚約が成立していること」、「婚約関係について、浮気相手が知っていたこと」、「浮気によって婚約が破棄・解消に至ったこと」という要件について証拠が必要となりますが、すべての要件について万全に証拠がそろっていることはあまりありません。

そのため、婚約者による証言が決定的な証拠となることが多くあります。

  • 「婚約が成立していること」について
    →婚約者の当時の気持ちを、証言してもらうことができる
  • 「婚約関係について、浮気相手が知っていたこと」について
    →婚約者から浮気相手に、婚約していることについて伝えていたことを証言してもらうことができる
  • 「浮気によって婚約が破棄・解消に至ったこと」について
    →婚約者から、他には婚約を破棄・解消する理由はなく、浮気が直接の原因であることを証言してもらうことができる

婚約者の浮気・不倫ケースの多くでは、婚約が解消され、協力が得られづらい場合があります。一方で、婚約者が十分に反省し、あなたの損害を少しでも軽減するために、浮気相手に対する慰謝料請求に協力してくれるときには、上記のような証言を得ることによって協力してもらうことができます。

なお、婚約者が反省しておらず、十分に強力をしてくれないときには、まずは婚約者に対して、婚約破棄を理由とした慰謝料請求に注力したほうがよいケースもあります。

慰謝料請求訴訟をする

話し合いによって解決できないときには、慰謝料請求訴訟を起こして、裁判で慰謝料を請求することとなります。

婚約が成立していたかどうかや、それを浮気相手が知っていたかどうかといった事実関係に争いがある場合や、求める慰謝料額に大きな開きがあるようなケースでは、話し合いでの解決は困難であり、訴訟提起をして争うこととなります。

裁判においても、婚約者が法廷に出廷し、証言をするといった協力をしてくれることが、慰謝料請求を成功させるためにはとても重要となります。

複数の相手に慰謝料請求するときの注意点

婚約破棄慰謝料

最後に、婚約者の不倫・浮気について、不倫・浮気の相手に慰謝料を請求するというケースでは、複数の相手に対する請求の相互の関係について注意を払っておく必要があります。

婚約者への慰謝料請求と、浮気相手への慰謝料請求の関係

まず、浮気相手への慰謝料請求とともに、婚約者への慰謝料請求をするかどうか、また、請求する場合にはその2つの請求の関係が重要となります。

前章で解説したとおり、婚約者の浮気相手に慰謝料請求するときには、婚約の成立や、破棄との因果関係を証明するためにも、婚約者の協力(証言など)が得られるかどうかが重要となります。

そのため、婚約者の協力を得るためにも、婚約者への慰謝料請求をしないことを約束して協力をとりつけたり、あるいは、逆に、婚約者の協力が得られないときには、まずは婚約者に対する慰謝料請求のみに集中したりといった配慮が必要となります。

参考解説

不真正連帯債務とは

浮気相手への慰謝料請求とともに、婚約者への慰謝料請求も同時に行うときには、この2つの請求の関係は、法律用語で「不真正連帯債務」といわれています。

「不真正連帯債務」とは、婚約者と浮気相手のいずれに請求できる請求も、あわせて1つであるけれども、債権者の保護のため、いずれに対しても全額を請求することができるという関係のことです。

例えば、慰謝料として300万円請求できるケースでは、婚約者、浮気相手のいずれに対しても300万円を請求できますが、合計600万円獲得できるわけではなく、いずれかから300万円獲得できれば既に損害は填補されたこととなり、あとは内部の求償関係が残るのみという考え方になります。

婚約者の浮気相手が複数いたときの注意点

婚約をしているにもかかわらず、複数の浮気相手との交際をしていたようなケースでは、浮気相手側から、「自分との交際が婚約破棄の原因ではないのではないか」、「むしろ自分も真剣交際していたのであり、被害者だ」といった反論を受けることがあります。

このようなケースで、浮気相手への慰謝料請求を成功させるためには、「婚約が成立していた」ことを立証し、法的に保護すべき程度に至っていたことを主張することが重要となります。

慰謝料請求をする側のあなたも、請求される側の浮気相手も、同程度にしか「真剣交際」についての証拠が準備できないとき、あなただけが保護され、婚約解消についての慰謝料を得ようとすることは困難だからです。

この点でも、婚約相手が、「(あなたとの間でだけ)婚約が成立していたこと」、「浮気によって解消に至ったこと」を協力的に証言してくれることが効果的です。

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婚約破棄慰謝料

今回は、婚約者が浮気をしたときに、その浮気相手に対して慰謝料請求をするときの要件、方法と注意点について弁護士が解説しました。

婚約者の浮気・不倫は、夫婦における不貞行為と同じように慰謝料請求が可能であり、このとき、浮気・不倫したパートナーだけでなく、その浮気相手にも請求できます。ただし、婚約関係のほうが、夫婦関係よりも法的保護が薄いため、慰謝料請求を慎重に進めなければ、納得いく金額を得ることはできなくなってしまいます。

特に、浮気相手への慰謝料請求をするとき、「婚約者の協力を得られるかどうか」という点が、慰謝料請求の成功の鍵となります。この点で「婚約者への慰謝料請求をするかどうか」という問題とも密接に関係します。

婚約者に浮気されてしまった方など、離婚・男女問題についてお悩みの際は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

まとめ解説
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解説の執筆者

弁護士 浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院終了。

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