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浮気した婚約者に慰謝料を請求できる条件3つと、増額する方法

婚約した男女間で起こる浮気のトラブルは、慰謝料請求により解決できます。

婚約者の浮気による慰謝料は、裁判実務では、50万円〜200万円が相場の目安です。ただし、寿退社や妊娠といった事情があると、婚約者の浮気で生じる苦痛は更に大きく、慰謝料を増額できるケースもあります。

婚約者が浮気していると知れば、精神的苦痛は大きいでしょう。婚約して「幸せになろう」とした矢先のショックは計り知れません。浮気を機に婚約を解消せざるを得なかったり、浮気されたにもかかわらず婚約者から破棄されたりしたら、慰謝料の請求を検討してください。

今回は、浮気した婚約者への慰謝料請求について解説します。なお、浮気相手への請求は「婚約者が浮気したとき、浮気相手にも慰謝料請求できますか?」を参照ください。

この解説のポイント
  • 婚約後に浮気されたら、条件を満たせば婚約者に慰謝料を請求できる
  • 婚約者の浮気の慰謝料は、50万円〜200万円が相場の目安
  • 慰謝料を増額するには、婚約者の浮気の悪質性を主張し、証拠を準備する

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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浮気した婚約者に慰謝料請求するための条件

男女の喧嘩

はじめに、婚約者の浮気について、慰謝料を請求するための条件を解説します。婚約者に慰謝料請求するためには、3つの条件があります。

婚約が成立していること

浮気した婚約者に慰謝料を請求するには、「婚約が成立していること」が必要です。

慰謝料が認められるには、法的な保護に値する「婚約」の関係になければなりません。「婚約が成立した」と言える段階に至れば、結婚していなくても「浮気」は許されず、慰謝料を請求できます。法的に保護すべき「婚約」は、単なる「結婚の口約束」ではなく、第三者にも理解できる程度に結婚の約束を示す事情が存在している必要があります。

「婚約が成立したかどうか」は、多くの事情を総合して判断します。一つの事情のみで決まるわけではなく、次のような事情が考慮要素とされます。

  • 婚約指輪を渡しているか
  • 結婚式、ハネムーンの予定が決まっているか
  • 両親への挨拶をしたか
  • 両家の親族の顔合わせが済んでいるか
  • 友人や上司に、将来の結婚相手として紹介されたか
  • 結納品・結納金の授受をしているか
  • 妊娠しているか
  • 寿退社したかどうか
  • 同棲しているか(もしくは、新居を決めたか)

婚約者が他の異性と肉体関係を持ったこと

法的に保護される「婚約」が成立していれば、夫婦に準じて保護されます。つまり、他の異性との肉体関係(性交渉)があれば、慰謝料を請求できます。

慰謝料を請求できる「浮気」と言えるには一定の違法性が必要であり、肉体関係(性交渉)やそれに準ずる性的関係がなければなりません。食事デートをした、頻繁に連絡を取っていたという程度では、単なる「仲の良い異性」であり、慰謝料を請求することはできません。

夫婦の一方が、別の異性と肉体関係(性交渉)を持つことを「不貞行為」と呼びます。

夫婦の婚姻関係は、法律上も強く保護されるので、不貞があれば慰謝料請求できるのは当然で、裁判で一方的に離婚できる「法定離婚事由」にも当たります。

これに対し、結婚していないカップルは夫婦ほど手厚い保護は受けられません。「婚約」と言える段階であれば浮気の慰謝料を請求できますが、夫婦の不貞行為よりは低額となるケースが多いです。

婚約者が浮気した証拠があること

婚約者の浮気で慰謝料を請求するには、浮気したことの証拠が必要です。

婚約者が「肉体関係は持っていない」「食事に行っただけだ」などと浮気を否定したとき、証拠がなければ違法行為を認めてもらえず、相手の反論を突き崩すことができません。慰謝料を請求できる浮気であると主張するには、肉体関係(性交渉)を推認させる証拠を準備すべきです。

浮気の証拠として活用できるのは、例えば次の資料です。

  • 浮気相手とラブホテルに入った写真・動画
  • 浮気相手を自宅に宿泊させた証拠
  • 性行為したとわかるLINEやメール

離婚裁判で証拠がないときの対処法」の解説

浮気によって婚約が破棄・解消されなくても慰謝料請求できる

夫婦の場合、「不貞の慰謝料」は当然、離婚に至れば「離婚の慰謝料」も請求できます。婚約者の浮気でも、浮気により将来の結婚が取り止めになったら、「浮気の慰謝料」と共に「婚約が破棄・解消されたことの慰謝料」も請求することができます。

一方で、婚約者の浮気が発覚したものの婚約は解消されず、予定通りに結婚したケースでも、「浮気の慰謝料」は発生します。したがって、必ずしも婚約が破棄されたり解消されたりしなくても、浮気の慰謝料を請求してよいのです。

ただし、「浮気があったが結婚はした」というケースは、「浮気を理由に結婚できなかった」というケースよりも精神的苦痛が小さいと考えられます。そのため、浮気によって婚約が破棄・解消された場合よりは損害が小さいと考えられ、受け取れる慰謝料額も低額になる傾向があります。

なお、いずれにしても「夫婦の不貞による離婚」というケースよりは慰謝料額が少ないと考えることができます。

浮気した婚約者に慰謝料を請求する方法

次に、浮気の慰謝料を請求する方法を解説します。具体的には、交渉によって請求する方法と、裁判による方法の2つがあります。

まずは、話し合いで請求する方法を試してみてください。しかし、浮気した婚約者が、交渉では慰謝料支払いに応じないとき、裁判によって強制的に回収する必要があります。

話し合いで解決できる方が、手間や費用は少なくて済みます。しかし、相手が誠実に応じてくれないなら、訴訟を提起するしかありません。

慰謝料請求の裁判を起こし、勝訴するには証拠が重要となります。証拠がしっかりと確保できていれば、判決で慰謝料の支払いを命じてもらうことができます。

浮気した婚約者が、裁判所で勝訴してもなお慰謝料を払わないなら、判決に基づいて強制執行手続きに進み、財産を差し押さえることも可能です。

相手の財産を調べる方法」の解説

浮気した婚約者に請求する慰謝料の相場

次に、浮気した婚約者に請求する慰謝料の相場について解説します。

婚約者の浮気で請求できる慰謝料の相場は、おおむね50万円〜200万円が目安です。慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金のことですが、精神的な損害は目に見えず、金銭評価が難しいです。そのため、婚約者の浮気の慰謝料について見通しを立てるには、類似の裁判例や解決事例で、いくらの金額が認められているかを知る必要があります。

相場はあくまで目安ですが、以下の解決事例を参考にしてください。

【50万円の慰謝料が認められた事例】

「婚約」と評価できるか争いがあるが、親密な交際関係が継続している中で、一方に悪質な浮気があったことが証拠上明らかであるケース。

【100万円の慰謝料が認められた事例】

婚約指輪を渡し、家族とも顔合わせをしていたなど、「婚約」と評価できる複数の事情が見られる中で、他に彼女を作って浮気していることが明らかになったケース。

【200万円の慰謝料が認められた事例】

結婚式場を決め、既に寿退社済みだったが、直前で浮気が発覚して結婚を中止せざるを得なくなったケース。浮気相手との間に子供がいたケースなど。

慰謝料額の相場を把握しておくことは、交渉で損をしないためにも非常に重要です。

相場を知らずに交渉を進め、本来であればもらえたはずの金額より低い額で合意してしまうのは損でしかありません。一方で、請求する側でも、相場より高額の請求に固執すると、相手が強硬な姿勢を示し、交渉が円滑に進まなくなってしまいます。

浮気の慰謝料を増額・減額する事情

次に、浮気の慰謝料を増額・減額する事情について解説します。

前章の通り、婚約者の浮気について、慰謝料の相場(50万円〜200万円)は目安であり、個別の事情によって増額されたり、減額されたりします。浮気の慰謝料を交渉する際は、(請求側は)慰謝料を増額する事情、(被請求側は)減額する事情を知り、主張・反論する必要があります。

婚約者が浮気した回数・期間・頻度

婚約者の浮気が発覚したとき、その交際期間がどれくらい長いか、その期間中に何回の肉体関係(性交渉)を持ったかといった事情で、浮気の悪質性が判断されます。複数人との浮気なら、その人数や頻度についても、悪質性を基礎付ける重要な要素となります。

婚約者による浮気のうち、次の例は、悪質性の高いケースです。

  • 長期にわたって何度も肉体関係(性交渉)があった場合。
  • 浮気相手とも真剣交際だった場合。
  • 出会い系やマッチングアプリで、不特定多数と頻繁に浮気した場合。
  • 一度浮気が発覚し、謝罪した後で再び繰り返した場合。

何度も浮気を繰り返す悪質な婚約者と、それでもなお関係を継続するなら、もう浮気しないよう誓約書を書かせ、今後のルールを定める方法が有効です。

浮気・不倫の誓約書」の解説

婚約者が浮気した理由・原因・経緯

婚約者が浮気した理由・原因や経緯もまた、悪質性に影響し、慰謝料の額を増減します。

例えば、婚約者が、積極的に誘い、自ら浮気に走ったなら、責任の度合いは非常に重いと考えてよく、慰謝料を増額すべき事情となるでしょう。一方で、次のように、浮気の責任が軽い(もしくは責任がない)と言えるケースもあります。

  • 浮気相手から積極的に誘ってきた場合。
  • 会社の上司からセクハラされた場合。
  • 自分の意思に反して性交渉を強要された場合。

被害者の精神的苦痛の度合い

被害者の精神的苦痛の度合いが強度なほど、慰謝料額が増額される傾向にあります。

精神的苦痛が大きいと主張するためには、婚約者の浮気によってどのような苦痛があったのかを具体的に主張する必要があります。精神的な苦痛は他人には見えず、理解されづらいため、精神科や心療内科などを受診し、診断書を入手するのが有効な方法です(心身の症状に合わせ、うつ病や適応障害といった精神疾患を内容とします)。

浮気後の、婚約者と浮気相手の関係性

浮気が発覚した後、婚約者と浮気相手がどのような関係になったかも、慰謝料額に影響します。婚約者の事後対応もまた、その行為の悪質性に関わるからです。

例えば、次のような事情は、浮気が発覚した婚約者の事後対応として適切でなく、誠意がないと考えられます。したがって、浮気の慰謝料を増額する事情として考慮されます。

  • 浮気相手を妊娠させた場合。
  • 浮気相手との子供を認知した場合。
  • 浮気が発覚した後、浮気相手と同棲をはじめた場合。
  • 婚約を破棄し、浮気相手と結婚することになった場合。
  • 浮気相手に金銭を与えた(貢いだ)場合。

浮気後の、婚約者と被害者との関係

浮気後に、婚約者が被害者にどのように対応するかも、婚約者の悪質性を評価する重要な事情です。誠意ある対応をしないなら、悪質だと考え、慰謝料の増額を主張しましょう。

例えば、次の事情は、浮気後の被害者への対応として不適切であり、不誠実と言ってよいでしょう。したがって、浮気の慰謝料を増額する事情として考慮されます。

  • 浮気したことが証拠上明らかなのに、否定し続ける場合。
  • 謝罪しない場合。
  • 浮気が発覚した後も反省の態度を見せない場合。
  • 「男だから仕方ない」などと開き直った場合。
  • 発覚後の発言で更に傷つけた場合(「浮気相手の方が好きだ」「実はお前とは遊びだった」など)。

婚約期間の長さ、結婚準備の程度

婚約は、他の異性と肉体関係(性交渉)を有してはならない点では、夫婦に類似しています。しかし、既に婚姻関係にある夫婦よりは保護の度合いは小さく、婚約に過ぎない段階の浮気の慰謝料は、夫婦の不貞慰謝料より低額になりがちです。

逆に言うと、手厚い保護を受け、慰謝料を増額するには、「結婚に近い状態だった」ことを主張するのが重要です。婚約の期間が長かったり、結婚準備が直前まで進んでいたりすれば、長年の信頼を裏切って浮気した婚約者の責任は、重く評価されます。同じく、寿退社や同棲、妊娠出産など、結婚が具体化しているほど、慰謝料は高額になります。

結婚と婚約の違いを理解して、できるだけ結婚に近い状態を主張してください。

【「結婚」の特徴】

  • 戸籍に記載される。
  • 結婚指輪がある。
  • 同居し、子供がいる家庭も多い。

【「婚約」の特徴】

  • 戸籍には記載されない。
  • 結婚指輪ではなく婚約指輪を渡す。
  • 子供が生まれたら結婚することが多い。

婚約期間が相当長期となるケースでは、「婚約」ではなく「内縁」や「事実婚」として保護されるべき場合もあります。

婚約が、将来の結婚を前提とするのに対し、内縁や事実婚は将来結婚しない場合もありますが、籍は入れていないものの夫婦と同等の保護を与えるべきと考えられています。したがって、内縁や事実婚の状態でも他の異性との肉体関係(性交渉)は慰謝料請求の対象となります。

慰謝料以外に、浮気した婚約者に請求すべきもの

慰謝料とは、精神的苦痛についての損害賠償請求のことで、わかりやすく言うと、浮気によって負った「心の痛み」の対価です。

しかし、婚約したのに浮気されたとき、損害は「心の痛み」だけではありません。婚約者の浮気によって婚約が解消・破棄となれば、慰謝料以外にも請求すべき損害があります。慰謝料以外に、認められる可能性のある損害は、例えば次の通りです。

  • 婚約破棄のために中絶したとき、中絶費用、治療費
  • 婚約破棄したが出産したとき、出産費用、治療費
  • 結婚準備ために支出した金銭(婚約指輪の購入費用、結婚式・ハネムーンのキャンセル代、新居の初期費用、結納など)
  • 寿退社したとき、将来得られるはずだった収入(逸失利益)

慰謝料以外にどのような金銭を請求できるかは、「因果関係」の検討が不可欠です。損があるとしても、浮気と因果関係のある損害でないと請求できないので、「婚約者の浮気がなければ無駄にならなかったはずの費用」と言えるかどうかを検討してください。

浮気した婚約者に慰謝料を請求する際の注意点

最後に、浮気した婚約者に慰謝料を請求するとき、注意すべきポイントを解説します。

時効が過ぎると慰謝料を請求できない

注意点の1つ目は、慰謝料請求の時効に配慮することです。

消滅時効が過ぎると、慰謝料を請求することはできなくなってしまいます。浮気の慰謝料は、「不法行為」(民法709条)を根拠とするので、時効は「損害及び加害者を知った時から3年間(生命又は身体の侵害の場合は5年間)」「不法行為の時から20年間」です(民法724条)。

浮気相手にも慰謝料を請求できる

婚約者が浮気したとき、浮気相手にも慰謝料を請求できます。浮気相手から積極的に誘っているなら責任は大きく、「婚約者よりも浮気相手が許せない」という気持ちの人もいるでしょう。

浮気相手に少しでも多くの慰謝料を請求するには、婚約者の協力も役立ちます。婚約者が、浮気の事実について証言してくれ、証拠を提供してくれれば、慰謝料の増額が見込めるからです。

浮気相手への慰謝料請求」の解説

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、婚約者の浮気が発覚した際の慰謝料請求について解説しました。

「婚約」や「浮気」の定義や慰謝料の相場を理解し、適切な方法で証拠を集め、慰謝料を請求してください。婚約し、幸せの絶頂だと信じていた矢先に裏切られたショックは非常に大きいでしょう。婚約者の浮気でもらえる慰謝料の相場は50万円〜200万円が目安ですが、少しでも多くの慰謝料を獲得するために、婚約者の悪質性を証明する証拠を準備しておきましょう。

婚約者の浮気の責任を追及するには、できるだけ高額の慰謝料を払わせるのが適切です。浮気発覚の直後など、早めに弁護士に相談すれば、証拠収集の段階からサポートすることができます。婚約者の浮気に悩む方は、ぜひ弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 婚約後に浮気されたら、条件を満たせば婚約者に慰謝料を請求できる
  • 婚約者の浮気の慰謝料は、50万円〜200万円が相場の目安
  • 慰謝料を増額するには、婚約者の浮気の悪質性を主張し、証拠を準備する

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参考解説

婚約破棄では、「婚約」の解消にあたって生じる法的なトラブルに適切に対処しなければなりません。「まだ結婚していないから」と軽い考えではいけません。結婚前でも「婚約」に至れば法的な保護を受けるケースもあります。

破棄した側、された側のいずれも、以下の「婚約破棄」に関する詳しい解説を参考に、正しい対応を理解してください。