労働問題

不当解雇の慰謝料を請求する方法と、慰謝料額の相場

2020年10月12日

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不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

会社からの一方的な解雇を通告されたとき、解雇の撤回要求、地位確認請求や未払賃金請求とともに、違法な解雇によって受けた精神的苦痛について、慰謝料を請求することがあります。

突然、理不尽な解雇を言い渡されたことによるショックが大きい場合、「慰謝料請求をして、謝罪をさせたい」という気持ちがあるのではないでしょうか。

解雇が、解雇権を濫用したものとして不当解雇となるとき、その違法性が強度な場合には、慰謝料請求が認められます。解雇の解決金や、未払の賃金・残業代・退職金とともに、慰謝料を請求することにより、解決時に受領できる金額を引き上げることができます。なお、不当解雇の慰謝料が認められるケースは多くはないため、裁判所で慰謝料を認めてもらうためには証拠収集などの準備を徹底する必要があります。

あわせて、解雇時にパワハラやセクハラなどのハラスメントや、長時間労働による健康被害、安全配慮義務違反などが存在する場合、このような事情についての慰謝料請求も検討すべきです。

そこで今回は、不当解雇の慰謝料を請求する方法と、慰謝料額の相場について、弁護士が解説します。

「労働問題」弁護士解説まとめ

不当解雇の慰謝料とは

不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

勤務している会社から、ある日突然解雇を言い渡されたとき、その解雇は違法な「不当解雇」の可能性があります。不当解雇をされると、理不尽に生活の糧を奪われることとなります。

残念ながら解雇の対象となってしまった労働者側では、解雇を争う労働審判や訴訟を起こすこととなりますが、このとき、どのような請求を行えるかを知っておく必要があります。解雇の撤回を求める地位確認請求のほか、あわせて不当解雇の慰謝料請求をすることが、実務上多くあります。

不当解雇とは

第一に、すべての解雇が不当解雇となるわけではありません。不当解雇とは、労働契約法16条に定められた解雇権濫用法理のルールにしたがって、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」を備えていない解雇のことをいいます。

労働契約法16条(解雇)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労使関係では、労働者のほうが使用者よりも弱い立場にあるため、労働者保護の観点から、解雇は一定程度制限されています。

解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の3種類があります。それぞれ、普通解雇とは雇用契約上の約束違反を理由とする解雇、整理解雇とは会社の経営上の都合を理由とする解雇、懲戒解雇とは企業秩序に違反する非違行為を理由とする解雇のことです。どの理由による解雇であるかによって、不当解雇であるかどうかの判断基準は異なってきます。

  • 普通解雇が、不当解雇になるケース
    :普通解雇は最も一般的な解雇であり、労働者が雇用契約上の約束通りに労働しないことを理由として行う解雇です。能力不足、協調性欠如、勤怠不良、勤務態度、業務命令違反などを理由とすることが多いです。

    普通解雇に正当な理由があるといえるためには、十分な注意指導を行い、改善の機会を与える必要があります。このようなプロセスを踏まない安易な普通解雇は、不当解雇である可能性が高いです。

  • 整理解雇が、不当解雇になるケース
    :整理解雇は、会社の経営上の必要性に基づく解雇です。業績悪化を理由とする、いわゆる「リストラ」行為が典型例です。

    整理解雇は会社側の都合で行われるため、「整理解雇の4要件」による厳しい制約があります。具体的には、①業務上の必要性、②解雇回避の努力義務、③人選の合理性、④手続の適正性を備えていなければ、その整理解雇は不当解雇となります。

  • 懲戒解雇が、不当解雇になるケース
    :懲戒解雇は、企業秩序に違反した非違行為があることを理由とする解雇です。懲戒解雇をするためには、就業規則に定められた懲戒解雇理由にあてはまらなければいけません。

    懲戒解雇は、労働者にとって不利益がとても大きいため厳しい制限を受けます。また、懲戒解雇を行う際には、解雇理由を説明し、労働者に弁明の機会を与えたり、懲戒委員会を開いたりする手続きが必要です。

不当解雇であれば、その無効を主張して労働者としての地位があることを主張するとともに、慰謝料請求を行うことができます。なお、不当解雇に至る前に、解雇を避けようとして強引な退職強要を行うケースでは、その違法性についても慰謝料請求をすることができます。

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慰謝料とは

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償請求のことをいいます。

解雇が民法上の不法行為(民法709条)にあたるとき、損害賠償請求をすることができます。

民法709条(不法行為による損害賠償)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

このとき、その損害の内容には、財産的損害のうち治療費や交通費といった積極的損害、将来の逸失利益などの消極的損害のいずれもが含まれます。これに加えて、精神的苦痛を負う場合に、その精神的苦痛を財産評価したのが慰謝料です。

慰謝料は、精神的苦痛を慰謝するために必要となる賠償金であるため、会社による解雇が、精神的苦痛を与えるほど強度の違法性が存在することが必要となります。

不当解雇の慰謝料の相場

不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

不当解雇が、民法上の不法行為(民法709条)にあたり、これによって対象となった労働者が精神的苦痛を負ったとき、労働者は会社に対して、慰謝料請求をすることができます。

不当解雇の慰謝料の相場は、50万円~100万円程度が一般的です。

ただし、不当解雇で慰謝料請求が認められる例はそれほど多くはありません。不当解雇であり、無効なものであったとしても、慰謝料までは認められないケースもあります。そのため、求める慰謝料額について、相場をよく理解しておかなければ、解雇に関する紛争を激化させることともなりかねません。

不当解雇の慰謝料の相場は、慰謝料を検討するにあたって考慮される事情を理解した上で、慰謝料が認められた裁判例、慰謝料が認められなかった裁判例を参考に、ケースバイケースで適切な金額を検討していくこととなります。

不当解雇の慰謝料の判断基準

不当解雇の慰謝料の相場として、50万円~100万円程度が一般的であると解説しました。相場がこのように幅のあるものである一方で、不当解雇として無効ではあるものの、慰謝料までは認められないケースもあります。

不当解雇の慰謝料額を判断するにあたっては、次のようなことを考慮しなければなりません。

  • 不当解雇の違法性の程度
    :不当解雇の違法性の程度が強度であるほど、慰謝料の金額は高額となります。言い換えると、解雇の有効性を争った場合に、無効となる可能性が高ければ高いほど、慰謝料の金額は高額となります。
  • 労働者の被った被害の程度
    :労働者の被った被害の程度が重大であるほど、慰謝料の金額は高額となります。労働者に幼い子がいたり、妊娠中の妻がいたりといった事情は、解雇による精神的苦痛が大きいことを示す重要な事情です。被害が重度であることを示すため、診断書、通院記録、交通費の明細などの証拠を収集しておきます。
  • 不当解雇後の期間
    :会社の行った解雇が不当解雇となるとき、解雇の無効が確認されると、解雇日から現在までの賃料を支払ってもらうことができます。これを「バックペイ」といいます。
  • 会社側の動機の不当性
    :会社が解雇を行った動機が不当であればあるほど、解雇の悪質性が高いものと考えられますから、慰謝料の金額は高額となります。

なお、不当解雇の悪質性が軽度な場合には、その解雇の無効が確認されたとしても、解雇期間中の賃金(バックペイ)を支払ってもらえるにとどまり、慰謝料請求までは認められないことがあります。このようなケースでは、労働者には精神的苦痛が生じてはいるものの、解雇期間中の賃金(バックペイ)の支払いによって慰謝されている、と考えるからです。

不当解雇の慰謝料が認められるケース

不当解雇は許されるものではありません。しかし、解雇された労働者の精神的苦痛は、解雇期間中の賃金(バックペイ)が支払われることによって慰謝されると考えるのが通常であり、なお償えない特段の精神的苦痛が生じた事実が認められる場合にはじめて慰謝料請求が認められます。

つまり、解雇が不法行為であるといえるのは、その解雇が不当、不合理であるというだけでなく、解雇理由がないことを知りながらあえて解雇とした、ずさんな調査や弁明の期間の不足を理解しながら解雇とした、解雇とすることに明らかな誤りがあったといった、違法性の強いケースです。

また、外部機関(労働基準監督署、労働局、弁護士など)に相談したことを嫌悪して、報復目的で解雇をしたという場合にも、不法行為となるほどの違法性が認められる場合があります。

労働者は、解雇となれば生活の糧である賃金を失うこととなりますが、幼い子どもや介護の必要な親、妊娠中の妻などがいるという事実は、将来の不安を大きくし、精神的損害が認められやすい事情の1つとなります。

解雇に至るまでに行われた退職勧奨、退職強要が違法な場合には、それについての慰謝料請求も認められます。

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不当解雇の慰謝料が認められた裁判例

不当解雇についてどのような場合に慰謝料が認められるかを理解いただいたところで、次に、解雇自体が不法行為に該当して慰謝料請求が認められた裁判例について、弁護士が解説します。

なお、不当解雇が、不法行為として慰謝料請求まで認められるほどの悪質な事案では、解雇の違法性だけでなく、それにともなって退職強要の違法性、セクハラやパワハラ、未払残業代など、他の労働問題についてもあわせて問題となっていることが少なくありません。

福島県福祉事業協会事件判決(福島地裁平成22年6月29日判決)

裁判所は、労働者側の代理人から諭旨解雇に合理的な理由がない旨の書面の送付を受けていたことなどの事情から、会社側が解雇に理由がないことを認識し、または容易に認識し得たことを理由に、解雇が不法行為にあたると判断しました。

そして、本件解雇が全く理由のない諭旨解雇であり、会社が、団体交渉、仮処分決定、労働委員会の救済命令手続をする中で違法性を是正する機会があったにもかかわらず、労働者側の要求を拒否し続けて、紛争解決を不当に長期化させたことといった事情を考慮し、慰謝料30万円の支払いを命じました。

医療法人大生会事件判決(大阪地裁平成22年7月15日判決)

裁判所は、解雇予告が採用から2か月しか経過しておらず、総務管理に配転してから2週間しかたっていない時点で行われていたことから、業務遂行に多少の問題があったとしても解雇理由とはならないことを指摘し、解雇を無効であると判断しました。

その上で、解雇予告を行ったときに何ら解雇理由の説明をせず、その後、業務命令違反と称して基本給の半分を一方的に給与から控除するなどの嫌がらせを行ったといった会社側の態様を指摘し、解雇が不法行為法上も違法があるものとして、慰謝料30万円の支払いを命じました。

レイズ事件判決(東京地裁平成22年10月27日判決)

裁判所は、整理解雇を解雇理由としながら具体的な根拠を明らかにせず、訴訟に至って初めて懲戒解雇であると主張をしはじめたなどの経緯をとらえ、解雇自体が不法行為となるものと判断しました。

その上で、労働者が解雇の2か月半後に株式会社を設立したこと、株式会社設立の直前になって解雇を争う姿勢を示していることといった事情を考慮し、解雇による損害額について80万円(解雇時点における給与1か月分50万円と、慰謝料相当額30万円の合計額)としました。

京阪バス事件判決(京都地裁平成22年12月15日判決)

裁判所は、労働者側が慎重な検討を求めたにもかかわらず、所長が改変を加えた資料をもとに賞罰委員会を開催し、資料の改変内容について労働者側に反論を行う機会をあたえることなく諭旨解雇を決定しているなど、通常の解雇手続きで行われるべき手順を逸脱しているとし、諭旨解雇が不法行為にあたると評価しました。

その上で、労働者が少量は飲酒していたと推認できることなどから、精神的苦痛を過大に評価することはできないとして、慰謝料50万円の支払いを命じました。

ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパン事件判決(東京地裁平成23年9月21日判決)

裁判所は、別件の訴訟において同一の労働者の雇用契約上の地位確認について敗訴判決が確定したにもかかわらず、その後約2年間にわたって出勤を許さず、再び退職勧奨をし、解雇をした行為について、不法行為を構成すると判断しました。

その上で、労働者が専業主婦の妻と幼い双子の児童(うち1人は障害あり)を抱えていることを考慮し、慰謝料30万円の支払いを命じました。

不当解雇の慰謝料を請求する方法

不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

不当解雇の慰謝料を請求するためには、適切な手順で進めていくことが必要です。プロセスを理解して進めていくことが、できる限り高額な慰謝料を獲得する助けになります。

不当解雇の慰謝料請求の証拠収集

不当解雇の違法性が強い場合でも、十分な証拠がなければ慰謝料請求を裁判所に認めてもらうことはできません。労働審判、訴訟のいずれの手続きを利用するにしても裁判所の審理では証拠が重要視されるからです。つまり、証拠がなければ、交渉で会社が支払いを拒絶すれば、それ以上慰謝料を請求することができないということになってしまいます。

不当解雇の慰謝料を請求するためには、解雇が不当解雇であることの証拠、その違法性が強度であることの証拠に加え、労働者の精神的苦痛を証明する証拠が必要となります。

特に重点的に収集しておくべき重要な証拠は、次のとおりです。

  • 解雇通知書、解雇理由証明書
    :解雇通知書は、会社が労働者に対して解雇を通知した書面です。また、解雇をする際に、労働者が求める場合には、解雇理由を書面で示さなければなりません。

    解雇通知書や解雇理由書といった証拠を収集しておくことにより、解雇理由を明らかにすることができ、その解雇理由が正当であるかどうかを検討する出発点となります。解雇といわれたのに理由が明らかでない場合には、解雇理由書を交付するよう会社に求めてください。

  • 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、賃金規程
    :不当解雇、未払残業代請求などをはじめ、労働問題を争うためには、労使間の契約の内容を明らかにしておく必要があります。

    労使間の契約内容は、複数の社員に統一的にあてはまるものについては就業規則、賃金規程などの規程類に、個別の労働者との間では雇用契約書に記載されていることが一般的です。重要な労働条件については、労働条件通知書を交付することによって入社時に示すことが労働基準法で義務付けられていますので、労働条件通知書もまた重要な証拠となります。

  • 解雇までのやり取りを記録したメール、録音など
    :解雇の不当性、悪質性を証明するために、解雇までにどのようなやり取りがなされたかを証明する証拠が必要となります。

    社長や人事担当者とのメールのほか、面談において違法な退職強要が行われた場合には、その録音データなども重要な証拠となります。

  • 診断書、通院記録、カルテ、交通費明細
    :解雇が不法行為にあたり、慰謝料請求を認めてもらうためには、労働者の精神的苦痛が甚大であることを証明しなければなりません。

    精神的苦痛は目に見えません。たとえ、うつ病や適応障害、パニック障害などの精神疾患(メンタルヘルス)にり患してしまったとして、そのことを裁判所に認めてもらうためには、診断書、通院記録、カルテなどの医療記録が重要な証拠となります。

【内容証明】で不当解雇の慰謝料を請求する方法

不当解雇の慰謝料を請求するときには、まずは交渉によって請求し、会社が任意に支払う意思があるかどうかを確認します。このとき、慰謝料請求をする強い意思があることを示すために、弁護士名義の配達証明付き内容証明郵便によって請求書を送付することが一般的です。

配達証明付き内容証明郵便の方法は、書面を送付した日時、宛先、書面の内容を、客観的に証明してくれる郵便方法です。

慰謝料請求には「損害及び加害者を知ったときから3年間」という時効が設けられており(民法724条)、配達証明付き内容証明郵便による請求には「催告」の効果があり、通知が到達してから6か月以内に労働審判、訴訟を提起することにより時効を中断することができます。

慰謝料請求について弁護士のサポートを受ける場合には、交渉の開始時に「窓口を弁護士とし、労働者に直接の連絡をしないように」という旨を通知しておきます。

【労働審判】で不当解雇の慰謝料を請求する方法

交渉による請求では、会社が慰謝料を任意に支払ってはくれない場合には、法的手続きを利用した慰謝料請求に移行します。

労働審判は、労働問題を争う法的手続きの中でも、訴訟よりも簡易かつ迅速に、柔軟な解決策を実現することができる点で、労働者保護に資する制度です。労働審判は、比較的短時間で解決まで向かうことができるのが特徴であり、原則として3回までの期日で終了し、平均審理期間は約70日程度です。

簡易かつ迅速に解決できる一方で、労働審判の判断にたずさわる労働審判官は裁判官であるため、労働法にしたがった適切な判断を下してもらうことができます。

【訴訟】で不当解雇の慰謝料を請求する方法

労働審判によっても解決に至らなかった場合には、訴訟により慰謝料請求を行います。なお、労働審判に対して、2週間以内に労使いずれかの当事者が異議申立てをすると、自動的に訴訟に移行することとなっています。

会社による解雇の違法性、不当性が強度であり、悪質な場合には、慰謝料請求を徹底的に行うためには訴訟提起が適切であると判断することがあります。訴訟手続きは複雑であるため、訴訟をするかどうか検討する場合には、弁護士に相談いただくことがお勧めです。

より高額な慰謝料請求をする方法

解雇が不当解雇である場合でも、相当に悪質な場合でなければ、慰謝料請求までは認められないケースも多くあります。そのため、不当解雇の慰謝料請求を認めてもらい、かつ、より高額な慰謝料を勝ちとるためには、工夫と努力が不可欠です。

より高額な慰謝料請求するために重要なことは、証拠の収集をしっかりと行うことです。

万全な証拠がある場合、解雇の不当性をより説得的に会社に説明することができ、交渉の段階で、慰謝料請求に応じてもらいやすくなるからです。

特に、解雇が不当であることが明らかであれば、労働審判や訴訟で徹底的に争った場合、労働者が復職してしまうこととなります。そのため、「労働者が会社に戻ってこず、辞めてもらうこと」というのが第一目的の会社側にとっては、一定の慰謝料を支払うという譲歩をしたとしても仕方ない、という気持ちになってくれる可能性が高まります。

そして、解雇の不当性と、労働審判や訴訟で争った場合に解雇が無効となる可能性があることについて説得的に説明するためには、労働問題に強い弁護士にご依頼いただき、弁護士名義で通知書を送付することが有益です。

不当解雇の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

不当解雇の慰謝料請求は、自分で会社に伝えることもできます。しかし、労働者と使用者との間の関係は、給与を支払う使用者側のほうが立場的に強いことが多く、労働者自身が慰謝料請求をしたとしても、会社に相手にしてもらえず、悔しい思いをすることがあります。

そこで次に、不当解雇の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットについてまとめておきます。

【メリット1】会社の不当性を強く主張できる

慰謝料請求を行うためには、単に解雇をされたというだけでなく、その解雇が著しく不当であることが必要となります。そして、不当解雇であるかどうかは、解雇権濫用法理という判例法理によって決まっています。

そのため、労働問題に強い弁護士に、不当解雇の慰謝料請求を依頼することにより、労働に関する法律と裁判例の十分な知識をもとに、解雇の不当性を説得的に説明することができます。

また、弁護士から慰謝料請求の通知書を送付してもらうことによって、無視したり、理由なく拒絶したりといった会社側の不誠実な対応を回避することができます。弁護士に依頼していることで、会社側がこのような不適切かつ不誠実な対応をすると労働審判や訴訟といった法的手続きへと紛争が拡大する、という可能性を示すことができるからです。

【メリット2】法的手続きのサポートを受けられる

不当解雇の慰謝料請求を交渉したとしても、会社が労働者側の希望に応じてくれない場合には、労働審判、訴訟といった法的手続きに移行します。

労働審判や訴訟といった法的手続きは、裁判所で行う手続きであり、証拠によって証明が十分になされれば、会社が拒絶したとしても裁判所から慰謝料の支払いを命じてもらうことができます。その反面、証拠による証明や法律の適用については、厳格に審理をされることとなります。

労働問題に強い弁護士のサポートを受けることによって、裁判所に対しても、不当解雇の慰謝料について法律に基づいた適切な主張立証を進めることができます。

なお、弁護士の行うサポートは、法的なサポートだけでなく精神面の支援も含まれます。不当解雇をされてしまった会社と、直接交渉をして慰謝料を獲得するのは精神的苦痛が更に拡大するおそれがあり、お勧めできません。弁護士に交渉の代理を依頼することにより、弁護士を窓口として、面倒で気の進まない業務を行ってもらうことができます。

【メリット3】万全な証拠収集ができる

不当解雇の慰謝料請求で、労働審判や訴訟などの法的手続きに勝つためには、証拠が重要であることを解説しました。そして、証拠収集は、裁判所に労働審判申立て、訴訟提起を行ってからはじめても遅すぎます。

労働問題が発生してから収集したり、作成したりした証拠は、証拠の信用性が薄れますし、証拠としての重要性も低いと言わざるを得ません。

そのため、労働問題に強い弁護士に、不当解雇の慰謝料請求を目指す場合には、解雇直後からご相談いただくことによって万全の証拠収集のサポートを受けることができます。

【メリット4】慰謝料が高額になりやすい

労働問題に強い弁護士は、裁判のプロであるとともに、交渉のプロでもあります。

ここまで解説してきたとおり、不当解雇の慰謝料は、解雇の違法性が強度な例外的なケースで認められるものであり、解雇であればどのような場合でも慰謝料が支払われるわけではありません。

そのため、より高額な慰謝料を受けとるためには、交渉段階から説得的な説明をし、「労働審判や訴訟でも、高額な慰謝料を認められる可能性がある」という危機感を会社に感じてもらえなければならず、交渉力が重要となります。

不当解雇で慰謝料以外にもらえる金銭

不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

最後に、不当解雇で慰謝料以外にもらえる金銭について解説します。

不当解雇をされたとしても、すべてのケースで慰謝料請求が可能なわけではなく、慰謝料請求をするためには解雇の違法性が強度であることを主張立証する必要があります。とはいえ、不当解雇をされたということは労働者の不利益はとても大きなものであるということが明らかです。

将来の生活の糧となる収入を突然失うわけですから、一時的に生活が苦しくなってしまうおそれがあります。転職活動をスムーズに進めるためにも、慰謝料請求ができないとしても受領できる金銭を理解しておいてください。

解雇予告手当

解雇をするときには、会社は労働者に対して、解雇日の30日前に予告をするか、不足する日数分の平均賃金相当額を「解雇予告手当」として支払うことが、労働基準法20条に義務付けられています。

そのため、「解雇が不当であるかどうか」にかかわらず、即日解雇を含め30日に足りない期間しかない解雇の場合には、解雇予告手当を請求することができます。

解雇予告手当は、「平均賃金×(30日-解雇日までの日数)」という計算式で算出できます。

解雇期間中の賃金(バックペイ)

解雇が不当解雇として無効となる場合に、交渉によって解雇の撤回に成功したときには、解雇期間中の賃金を請求することができます。これを実務上「バックペイ」と呼びます。

一旦は解雇をしたけれども、交渉、労働審判、訴訟の結果解雇が無効であることが確認されたことで、解雇以降も雇用契約が継続し、労働者としての地位が存在していたこととなるからです。この期間中、会社が解雇といっていたことによって就労することができなかったわけですから、働いていなくても賃金請求権があります。

ただし、解雇期間中に別の会社で収入があるような場合には、賃金額の40%を上限として控除をされます。これを実務上「中間控除」と呼びます。

未払残業代

不当解雇とあわせて、よく相談のある労働問題が、未払残業代請求です。そして、慰謝料請求を検討するほどの不当解雇を行うような会社であれば、残業代についても適切な計算方法に基づいて正しく支払っているという期待はもてないことでしょう。

残業代の正しい計算方法は複雑であり、会社が「固定残業代によって残業代は支払済みである」「管理職であるから残業代は支払われない」「うちの業界では残業代を支払わないことは当たり前」などと反論してくることもあります。しかし、これらの反論はいずれも、法的には主張が難しいか、もしくは、厳格な要件が設けられており要件を満たしていない可能性が高いといえます。

残業代の正しい計算方法は、次の解説も参考にしてください。

参 考
残業代(割増賃金)の正しい計算方法について、弁護士が解説!

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解雇の解決金

不当解雇を受けた場合、労働者側は解雇の撤回を求めて争うわけですが、実際には、解雇をされたような会社にはもはや戻りたくないというのが本音である場合もあります。会社側としても、たとえ解雇が違法であったとしても、一旦は解雇をした人物を会社内に戻すことは到底できないという場合があります。

このような場合に、解雇を巡る交渉においては、双方の「本音と建前」の調整として、解雇を撤回として合意退職とする代わりに、会社が労働者に対して一定の解決金を支払う、という解決が実務上多く行われています。

雇用保険(失業保険、失業手当)

解雇は、会社都合の退職となるため、雇用保険(失業保険、失業手当)について有利な取扱いを受けることができ、収入の途絶えてしまった期間中の生活費の保障にあてることができます。

そして、会社都合の退職の場合には、7日間の待機期間が経過後、8日目から雇用保険(失業保険、失業手当)の支払いを受けることができます。

ただし、自己の責に帰すべき重大な理由で退職した場合(例えば、懲戒解雇による退職など)と、正当な理由のない自己都合により退職した場合には、7日間の待機期間経過後、3か月の給付制限期間を経過した後でなければ受給できません。そのため、懲戒解雇とされた場合には、会社と徹底的に争うかどうか、検討が必要となります。

弁護士費用

一般的に、弁護士を依頼した場合にかかる弁護士費用は各当事者の負担とすることが原則ですが、不法行為の場合には、弁護士費用のうち一定額を損害として考慮することが実務上の取扱いです。

具体的には、訴訟などで損害賠償請求をするときには、損害賠償請求額の10%を、弁護士費用として損害に上乗せして計算します。そのため、不当解雇の慰謝料請求においても、慰謝料額の10%を、弁護士費用として損害に加算して計算し、労働者側の経済的不利益を解消するようにします。

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不当解雇慰謝料請求慰謝料額相場

今回は、不当解雇の慰謝料請求について、その手続きや方法、要件、より高額な慰謝料を獲得するポイントなどについて弁護士が解説しました。

不当解雇をされたとしても、必ずしも慰謝料請求が認められるわけではありません。未払賃料や解雇予告手当、解雇の解決金といった金銭に加えて慰謝料を獲得するためには、労働法と裁判例の知識、経験が必要となります。

また、仮に慰謝料請求までは難しいケースであったとしても、解雇をされてしまった場合にはその撤回を要求し、有利な条件を勝ちとっていく交渉をすることが有益です。

不当解雇をされてしまったなど、労働問題にお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所へ法律相談をご依頼ください。

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