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離婚調停・離婚協議中に「手紙」を出す方法と書き方の注意点

離婚調停・離婚協議はいずれも、「離婚するかどうか」「どのような条件で離婚するか」についての夫婦の話し合いです。離婚協議や離婚調停を進める中で、相手に「手紙」を出すのが有効な戦略となることがあります。これは、「有利な条件で離婚したい」という方針の人はもちろん、「離婚を拒否して復縁したい」という方針の人にもあてはまります。

直接話し合ってもまとまらず、弁護士を介した協議や離婚調停に発展してしまったとき、自分にとって有利な離婚に導くには、戦略的な考え方が必要です。どのような手紙でも有効なわけではなく、書き方や内容によっては、かえって感情的な対立を加速させるデメリットもあります。

今回は、離婚調停・離婚協議中に相手に「手紙」を出すことの有効性と、手紙の書き方について、弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 協議や調停中に手紙を送ることで、直接会わずに真剣な思いを伝えられる
  • 手紙は、反省と改善、楽しかった思い出や子供のことなどを書くのが効果的
  • 感情的な内容や相手を責める表現は避け、あくまで冷静な手紙とする

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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離婚の争いにおける手紙のメリット

はじめに、離婚の争いにおける「手紙」のメリットについて解説します。

インターネットが普及し、メールやチャット、LINEやメッセンジャーが個人間のコミュニケーションでよく利用されています。「手紙」での連絡は、年賀状や暑中見舞いなど、特別な場合でもない限り少なくなったことでしょう。しかし、離婚の争いでは、「手紙」というアナログな手段が、戦略上、非常に有効となります。

直接会わずに思いを伝えられる

離婚協議・離婚調停中に手紙を送る方法なら、直接会わなくても、あなたの思いを夫(または妻)に伝えることができるメリットがあります。

夫婦間で直接会って思いを伝えられるなら、離婚を争う最中であってもその方がよいでしょう。しかし、離婚協議や離婚調停に発展していると、もはや直接会うのは難しいことも多いです。一方が「会って思いを伝えたい」と考えても、他方が「会いたくないから弁護士を通してほしい」というなら、直接連絡することは許されません。

相手に弁護士が付き、直接の交渉を拒絶しているのに、「直接会って話す」ことに固執してしまうと、あなたの思いを伝える機会がなくなるばかりか、「モラハラ気質」といったレッテルを貼られ、不利になるおそれもあります。

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気軽ではなく本気度を伝えられる

メール、LINE、メッセンジャー、SNSといったコミュニケーション手段は便利な分、気軽に送れてしまうため「軽く見られる」傾向にあります。

相手となる夫や妻にとっても、離婚の話を進めるのには相当な「覚悟」があるでしょうから、それを上回る本気度で伝えなければ、うまく伝達することはできません。離婚協議、離婚調停といった人生の一大事に直面したとき、夫婦の一方に対して大切な思いを伝える手段としては、「軽々しい」と思われかねない方法は不適切です。

互いに弁護士が付いた後になって思いを伝えたいとき、手紙を送る方法が、「離婚したい」(または「離婚したくない」)という「本気度」を最もアピールできます。

伝達内容にミスが少なくなる

気軽に送れる連絡手段だと、伝達内容にミスが生じてしまうことが少なくありません。手紙なら、出す前に何度も推敲を重ね、見直しをすることができるので、伝えたいことを間違いなく伝達することができます。

互いに離婚協議や離婚調停にかける本気度の高いとき、手紙で伝える思いは、ほんの少しのニュアンスやイメージの違いによって大きく左右されてしまいます。自分の考えていた内容が、思い違いを生じずに伝わる文章となっているかどうか、手紙を出す前に十分に確認すべきです。

大切なポイントは「あなたがどう感じるか」ではなく、「手紙を読んだ人がどのように受け取るか」という客観的な視点です。独りよがりにならず、第三者の意見を参考にしたり、離婚問題に精通した弁護士に添削してもらったりするのがおすすめです。

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離婚協議中の手紙に書くべき内容と文例

次に、離婚協議中の手紙に書くべき内容について、文例と共に解説します。

離婚協議中に「手紙」を有効活用するために、どのような内容を書くべきかを知っておいてください。「手紙」が有効なのは、適切かつ必要な内容が記されているからこそです。相手を責めるような手紙や、感情を逆なでする内容は、逆効果となってしまうため注意してください。

弁護士に全て代筆してもらうこともできますが、「思いを伝える」という目的を果たすには、具体的な内容については、できるだけ本人が考えた方が効果的です。

反省の内容

離婚協議や離婚調停が思うように進まない原因は、夫婦間の感情的なすれ違いにあることが多いです。離婚の争いが激化しているとき、夫婦間にある問題点についての反省や、今後の改善点を書いた手紙を送ることが良い効果をもたらすケースがあります。

離婚原因としてDV・モラハラを主張されているとき、自分の行為を客観的に理解して謝罪していることが、「モラハラをした」とされる側にとって有利な事情となることもあります。

次の文例を参考に、反省すべき内容についての手紙を作成してみてください。

文例

「これまでの私の至らない行動や言動が、あなたに多くの苦痛や負担を与えてしまったことを深く反省しています」

「特に、感情的に接してしまった点について、心からお詫び申し上げます」

改善の内容

離婚を求める相手(夫または妻)に対し、「離婚をしたくない(復縁したい)」と希望するケースは特に、反省するだけではなく、今後の改善点を「手紙」で伝えるのが効果的です。改善点を手紙に書くとき、「改善の努力をする」というだけでなく、「どのような行動を起こすのか」「いつまでに改善するか」といった点について具体的に書くのがポイントです。

次の文例を参考に、改善点についての手紙を作成してみてください。

文例

「今後は、自分の至らない点を一つ一つ見直し、より良い人間になれるよう努力します」

「感謝の気持ちを忘れずに接することをこれからの目標とし、子供たちのためにも成長する努力をします」

楽しかった過去の思い出

夫婦生活がうまくいっていた過去の楽しい思い出を振り返り、夫婦のなれそめ、交際当時の出来事を思い返すことで、互いに譲歩しやすい気持ちになることがあります。離婚協議や離婚調停に発展した夫婦間で、手紙の内容にまで過去の嫌な思い出や相手の批判、責任追及を記載すれば、話し合いがうまく進まなくなってしまうのは当然です。

次の文例を参考に、自身のケースにあてはめて手紙を作ってみてください。

文例

「初めて旅行に行ったときの風景は、今でも鮮明に覚えています」

「家族みんなで過ごした休日の笑い声や、子供たちの成長を一緒に喜んだ瞬間は、私にとってかけがえのない思い出です」

子供のこと

「楽しかった過去の思い出」と共通しますが、「子供のこと」に触れた手紙が効果を発揮することがあります。子供の話題は夫婦共通のもので、いずれにとっても前向きな話題だからです。離婚協議や離婚調停中でも、子供の将来に関する話題を避けては通れないと感じる夫婦が多いことでしょう。

たとえ夫婦が離婚しても、子供の両親であることに変わりはありません。夫婦の離婚後も、面会交流や養育費といった関わりは続きますし、親が亡くなれば相続問題も発生します。

子連れで別居されてしまった非監護親にとって、子供の話題が、思うように進まない離婚協議や離婚調停の突破口となることはよくあります。同じく、子連れで別居した側にとっても、子供の状況を相手に伝えることで、相手の姿勢を軟化させることが期待できます。

文例を挙げておきますので、参考にして手紙を作ってみてください。

文例

「子供が笑顔で健やかに成長できる環境を、一緒に考えていけることを願っています」

「これからも子供たちにとって最良の選択ができるよう、協力し合える関係を築いていきたいと思っています」

離婚協議中の手紙の渡し方は?

離婚協議中でも、弁護士を選任する前なら、手紙は当事者間で直接渡せます。「これから別居」というタイミングでは、置手紙の方法によって相手に読んでもらいやすくすることもできます。義両親が仲裁してくれる場合は、親を通じて手紙を渡してもらうよう依頼する方法もあります。

ただし、いずれかに弁護士が付いた後になったら、手紙は、弁護士を通じて渡すべきです。相手が弁護士に依頼し、直接の連絡を拒否しているときは特に、弁護士を飛び越えて本人に直接連絡してはいけません。強引に連絡しても良い印象はなく、かえって逆効果です。

弁護士が付いて離婚協議をしている最中でも、できるだけ本人同士で会うのと同じ効果を生みたいなら、特別に話し合って、対面や手紙で連絡することが許されるケースもあります。なお、あくまで例外的な扱いなので、本人同士の連絡が可能かどうか、有利になるかどうかは、自身の依頼する弁護士に相談してから判断すべきです。

離婚調停中の手紙の渡し方は?

離婚協議がうまく進まず、離婚調停に発展してしまったケースでは、調停委員を通じて手紙を渡してもらう方法が確実です。

離婚調停中でも、弁護士同士で協議したり、手紙をやり取りしたりすることもできますが、相手の弁護士が、必ずしも本人に手紙を渡してくれるとは限りません。特に、相手本人が強く離婚を望んでいたり、特定の離婚条件に固執していたりするケースでは、弁護士も依頼者に配慮して手紙を渡さなかったり、手紙の存在のみ伝えて内容を見せなかったり可能性もあります。

相手(夫または妻)の離婚やその条件のこだわりが強いほど、中立的な立場にある調停委員に手紙を託す方が、書いた内容や思いが正確に伝わる可能性が高いのです。

ただし、いずれの方法であっても、手紙を読んでもらえるかどうかや、仮に読んでもらえたとして、心を動かす効果があるかどうかは、手紙の内容次第と言わざるを得ません。

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まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、離婚調停や離婚協議などの争い中に「手紙」を渡す方法について解説しました。

離婚の流れは、離婚協議から調停、訴訟という順で発展しますが、「手紙を出して思いを伝えたい」と考えるなら、できるだけ早い段階で着手するのが効果的です。争いが激化し、相手の考えが固まってしまった後では、せっかく良い手紙を出しても、相手の思いを変えるのは難しいでしょう。

離婚の争いを自身にとって有利なものとするために、手紙を戦略的に活用するなら、手紙に書くべき内容をよく理解しなければなりません。うまく活用できれば、自分の思いをダイレクトに伝えたり、相手の譲歩を引き出したりすることができます。

状況によっても書くべき手紙の内容は異なるため、弁護士に相談して、効果的な手紙についてアドバイスを得るのがおすすめです。

この解説のポイント
  • 協議や調停中に手紙を送ることで、直接会わずに真剣な思いを伝えられる
  • 手紙は、反省と改善、楽しかった思い出や子供のことなどを書くのが効果的
  • 感情的な内容や相手を責める表現は避け、あくまで冷静な手紙とする

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参考解説

離婚調停を有利に進めるには、財産分与や親権、養育費、不貞行為の慰謝料請求など、状況に応じた法律知識が必要です。お悩みの状況にあわせて、下記の解説もぜひ参考にしてください。

複数の解説を読むことで、幅広い視点から問題を整理し、適切な解決策を見つける一助となります。

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