
弁護士法人浅野総合法律事務所
代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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代表弁護士
浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。
「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。
路上痴漢とは、路上で行われるわいせつな行為のことを指します。
「痴漢」と聞くと、電車内での犯行をイメージする方が多いですが、人通りの少ない夜道や住宅街などの路上で行われる痴漢も、重大な犯罪です。例えば、自転車で追い抜きざまに尻を触る、突然背後から抱きつく、胸を揉むといった行為が、路上痴漢の典型例です。
路上痴漢は、行為の態様や悪質性により、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪(刑法176条)などの犯罪が成立します。不意を突かれた被害者は抵抗が困難であるため、転倒してケガを負う危険もあり、防犯カメラ映像や被害者の証言などをもとに逮捕されるケースも少なくありません。
今回は、路上痴漢で成立する罪名と刑罰、逮捕されるケースやその対処法について、弁護士が分かりやすく解説します。

はじめに、路上痴漢で成立する罪名と刑罰について解説します。
路上痴漢では、その行為の態様や悪質性によって、迷惑防止条例違反か不同意わいせつ罪(刑法176条)のいずれかが成立します。このことは、典型的な電車内での痴漢と同様です(なお、「痴漢で成立する犯罪の種類」もご参照ください)。
路上痴漢には、例えば次のような行為があります。
いずれも、加害者側が軽い気持ちであっても、被害者には大きな精神的・身体的苦痛を与える重大な犯罪行為であることに違いはありません。
路上痴漢のうち比較的軽微なものは、各都道府県の迷惑防止条例違反となります。
典型的には、公共の場所で、相手の意思に反して衣服の上から身体に触れる行為が該当します。その他、迷惑防止条例違反で処罰される行為には、次のような例が挙げられます。
東京都の迷惑防止条例では、「6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という刑罰の対象となります(都道府県ごとに条例が異なるため、確認しておいてください)。
一般的に、胸よりも尻や脚など身体の周辺部に触れた場合や、接触時間が短い場合ほど軽微だと評価され、迷惑防止条例違反にとどまる傾向があります。ただし、路上痴漢では、後述する不同意わいせつ罪との境界が明確ではなく、突然触る行為が「暴行」と評価されると、衣服の上から触れただけでも不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。
被害者の意思に反するわいせつな行為には、不同意わいせつ罪(刑法176条)が成立します。
不同意わいせつ罪では、暴行・脅迫その他これに準ずる事情が認められることが要件となります。法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑」であり、迷惑防止条例違反よりも重い罪です。
例えば、次のような悪質な行為は、不同意わいせつ罪に該当する可能性が高いです。
また、暴行・脅迫は必ずしも強度である必要はなく、被害者の意思に反するわいせつ行為と評価できる程度で足りるとされます。路上痴漢では、突然身体を触る行為自体が暴行と評価されることも多く、電車内の痴漢よりも不同意わいせつ罪が成立しやすい傾向があります。
電車内の痴漢では「衣服の上から触れた場合は迷惑防止条例違反、衣服の中に手を入れた場合は不同意わいせつ罪」と整理されることがありますが、路上痴漢ではこのような区別はなく、暴行や脅迫を伴うか、被害者の意思をどの程度制圧したかなど、行為全体を踏まえて判断されます。
さらに、被害者が16歳未満の場合、暴行・脅迫などがなくても、わいせつな行為自体で不同意わいせつ罪が成立します。そのため、16歳以上であれば迷惑防止条例違反にとどまる、尻や脚を短時間触る行為や衣服の上から軽く触れる行為でも、被害者が16歳未満だと不同意わいせつ罪に問われるおそれがあります。
路上痴漢の際、無理に押し倒したり、逃げようとする被害者を転倒させたりしてケガを負わせた場合、不同意わいせつ致死傷罪(刑法181条)が成立する可能性があります。 被害者が抵抗して擦り傷を負ったといった比較的軽いケガでも対象となり得ます。また、犯行による精神的なショックからPTSDを発症した場合に適用されるケースもあります。
不同意わいせつ致死傷罪では、法定刑は「無期または3年以上の拘禁刑」と非常に重く設定されています。そのため、単なる痴漢行為にとどまらず、被害者が負傷しているケースでは、極めて重大な犯罪として扱われる点に注意が必要です。
次に、路上痴漢で逮捕されるケースと、その際の対処法を解説します。路上痴漢が刑事事件になると、現行犯逮捕されたり、捜査が進んで後日逮捕となったりする可能性があります。
路上痴漢をした直後に、その場で逮捕されると、現行犯逮捕となります。
現行犯逮捕となる具体例は、次の通りです。
路上痴漢の最中に捕まったケースだけでなく、犯人として追いかけられている間であれば現行犯逮捕が可能です。ただし、路上痴漢の多くは夜間に行われ、被害者の不意を突く形で犯行に及び、すぐに逃走するケースが多いため、現行犯逮捕で解決されるケースは多くありません。
路上痴漢は、突然触ったり抱きついたりした後、その場から立ち去る態様が多いですが、後に犯人として特定されれば、後日逮捕されることがあります。この場合、犯行時に現場から逃げ去っているため、逮捕の要件である逃亡や証拠隠滅のおそれが高いと判断されます。
都心部の路上には多くの防犯カメラが設置されています。「逃げ切れた」と思っても防犯カメラ映像を分析して身元を特定され、後日逮捕となるケースは増えています。自分の生活圏内で行った路上痴漢では、目撃者や近隣住民の証言から逮捕に至るケースもあります。
「痴漢で後日逮捕される場合」の解説

路上痴漢で逮捕された後の流れについても理解しておきましょう。
逮捕後48時間は警察、その後、検察に送致されてから24時間は検察で身柄拘束を受けます(合計72時間)。勾留を請求されて裁判所の決定を受けるとさらに10日間、延長決定によって最大10日間を限度に拘束され、逮捕・勾留を合わせて最大で23日間の身柄拘束を受けます。
以上の最大23日間の中で、検察官が「起訴か釈放」かを判断します。起訴されると、およそ1ヶ月後に公判が開かれ、裁判所の判決が下されます。一方で、不起訴処分となれば釈放されます。

起訴のうち、罰金刑が相当と考えられる場合には略式起訴が選択されることもあります。略式起訴では、被疑者の同意のもとに罰金刑となります(迷惑防止条例違反には罰金刑がありますが、不同意わいせつ罪には罰金刑がないため略式起訴にはなりません)。
なお、身柄拘束から解放されたからといって解決したわけではなく、在宅のまま取調べがなされ在宅起訴されて有罪となるケースもあるため、弁護活動を怠らないでください。
「起訴前弁護」の解説

路上痴漢をしてしまった場合は、逮捕による身柄拘束や、起訴されて前科がつくことを避けるには、できるだけ早い段階で適切な対応を取ることが重要です。特に、自首や被害者との示談は、処分の軽減につながる可能性がある重要な弁護活動です。
自首が成立すれば、起訴された場合でも刑が減軽される事情として考慮されます。
自首とは、自ら出頭して事実を申告することを指しますが、警察に犯行や犯人が発覚する前でなければ「自首」とならないため、逮捕の回避や処罰の軽減を目指すなら、早めの対応が必要です。自首することで逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと評価されれば、逮捕されにくくなります。
自首を検討する際は、事前に弁護士へ相談し、適切なタイミングや方法について助言を受けることをおすすめします。
路上痴漢事件では、被害者との示談が成立すると、不起訴処分や刑罰の軽減につながります。特に、初犯や比較的軽微な事案なら、示談が成立すれば不起訴となる傾向にあります。もっとも、被害者との交渉には慎重な対応が求められ、進め方を誤ると逆効果となるおそれもあります。示談の具体的な方法や注意点は、次章「路上痴漢で示談するときの注意点」で詳しく解説します。

次に、路上痴漢の示談交渉を進める際に、注意すべきポイントを解説します。
路上痴漢をはじめ、被害者のいる犯罪では、示談が成立すれば、早期釈放、不起訴処分、執行猶予の獲得といった有利な解決につながります。
示談を成立させるには、被害者に謝罪と反省の意思を誠実に伝えることが不可欠です。
路上痴漢の事例では、恐怖や不安を感じている被害者と直接会うのは適切でないため、謝罪文や反省文を作成し、弁護士を通じて気持ちを伝えるという進め方が通常です。突然の路上痴漢は、被害者が見ず知らずの他人であることがほとんどで、連絡先は捜査機関を通じて照会します。
路上痴漢の被害に遭った人は強い恐怖を感じることが多いです。転倒してケガを負うと、処罰感情が非常に強く、示談成立は困難なケースもあります。感情的になった被害者が過大な要求をしてきたとき、適正な額で示談するために、「痴漢の示談金の相場」の解説も参考にしてください。
路上痴漢は、「酔っ払って抱きついてしまった」「ついムラムラして衝動的に触った」というような突発的なケースが多く、中には犯行の記憶がない人もいます。相当過去の犯行が、防犯カメラ映像などから犯人が特定された場合、「いつのことかすら記憶がない」という方もいます。
しかし、加害者側に記憶がなくても、被害者ははっきりと覚えている場合がほとんどです。そのため、謝罪文や反省文の内容が曖昧だったり、的外れだったりすると、かえって被害者の怒りを買い、示談が成立しなくなるおそれがあります。
また、路上痴漢の余罪がある場合や、複数の被害者から告訴された場合は、公判請求されて厳しい処罰を受けるリスクも高まるため、取調べの対応を慎重に行う必要があります。
「痴漢を疑われた場合」の解説

路上痴漢は、加害者と被害者が同じ生活圏に住んでいるケースが多い特徴があります。
示談を申し入れられた被害者が、「また遭遇するのでは」「復讐や仕返しが怖い」と不安や恐怖を感じると、示談交渉は難航します。そのため、示談を成立させるために、被害者との直接の接触を一切控えることが特に重要です。示談成立のため、加害者が生活圏の変更を誓約する、もしくは被害者の転居費用(引越し費用)を負担するといった条件を提案するケースもあります。
被害者に接触をする可能性があるのではないかと危惧されると、罪証隠滅や再犯のおそれにつながり、身柄拘束からの解放の大きなハードルとなる点にも注意が必要です。

最後に、路上痴漢をしてしまった方が、弁護士に相談すべきメリットを解説します。
路上痴漢の事件で弁護人としてサポートを依頼し、身柄の早期釈放や示談を目指して弁護活動をしてもらうには、刑事事件の解決実績の豊富な弁護士を選ぶべきです。
路上痴漢では、事件発生の直後に、速やかに初回相談を実施しましょう。刑事事件はスピード勝負であり、無料相談を実施する事務所も多いため、不安なときは気軽に相談すべきです。刑事事件では、土日も対応可能で、すぐに予約が取れるフットワークの軽い弁護士がおすすめです。
路上痴漢のように被害者のいるケースでは、弁護士は、依頼を受けたらすぐに捜査機関に被害者の連絡先を確認し、示談を申し入れます。また、状況を正確に把握し、ケースによっては自首に同行したり、有利な情状を主張する意見書を捜査機関に提出したりといった弁護活動が可能です。
当事務所では、無罪を勝ち取るのか、それとも示談して不起訴を目指すのか、有利な情状を主張して執行猶予を目指すのかなど、状況に応じて戦略的なアドバイスができます。痴漢事件の解決実績も豊富にあるため、一人で抱え込まず、安心してご相談ください。
今回は、路上痴漢について、成立する罪名や刑罰、逮捕の可能性や対処法を解説しました。
路上痴漢は、行為の内容によって、不同意わいせつ罪や迷惑防止条例違反が成立する重大な犯罪行為です。現行犯逮捕されなくても、後日逮捕される可能性もあるため、逮捕や起訴を避けるためにも、早期の対応が欠かせません。
路上痴漢の犯行態様では、突然被害者に接触するケースが多く、その行為自体が「暴行」と評価され、不同意わいせつ罪が成立するおそれがあります。また、現場から逃げ去ると「逃亡のおそれ」が高いと判断され、逮捕につながりやすい点にも注意が必要です。
被害者との示談交渉を行い、捜査機関への対応を誤らないことが大切です。路上痴漢の疑いをかけられた場合や逮捕された場合は、一人で対応せず、早期に弁護士へ相談してください。