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事業場外労働のみなし労働時間制とは?有効性と残業代請求のポイント

事業場外労働のみなし労働時間制は、オフィスの外での労働など、実労働時間の把握が難しいとき、実際に働いた時間にかかわらず、一定の時間だけ労働したものとみなす制度です。営業職など、オフィス外での活動の多い職種でよくとられます。

事業場外労働のみなし労働時間制が適用されると、会社が労働時間を把握しなくなり、実際にどれほど長時間労働していたとしても、残業代請求できなくなってしまいます。

「残業代を発生させない」という労働者にとって不利益の大きい効果のある制度なので、事業場外労働のみなし労働時間制が有効であると判断されるためには、労働基準法に定められた厳しい要件を満たさなければなりません。制度設計が不適切だったり、労務管理が不十分だったりするとき、みなし制自体が無効となり、残業代請求することができます。

今回は、事業場外労働のみなし労働時間制の内容と、有効となるケース・向こうとなるケース、残業代請求するときの注意点といった法律知識について、労働問題にくわしい弁護士が解説します。

この解説でわかること
  • 事業場外労働のみなし労働時間制には、会社の定め方によって3種類ある
  • 事業場外労働のみなし労働時間制が有効となるために、労働時間の算定が困難であることが必要
  • みなし制が無効となるとき、未払い残業代を請求できる

まとめ 未払い残業代を請求する労働者側が理解すべき全知識【弁護士解説】

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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事業場外労働のみなし労働時間制とは

悩む男性

事業場外労働のみなし労働時間制とは、事業場外で労働していて、実労働時間の把握が困難なとき、一定時間だけ働いたとみなす制度です。労働基準法38条の2に次のように定められています。

労働基準法38条の2

1. 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。

2. 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。

3. 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

労働基準法(e-Gov法令検索)

労働時間規制の原則は、会社が労働時間をきちんと把握し、「1日8時間、1週40時間」(法定労働時間)を超えたときは残業代を払うというものです。

残業代の対象となる労働時間
残業代の対象となる労働時間

しかし、外回りの多い営業職、保険外交員、新聞記者など、社外での活動が常となっている職種では、労働時間をすべて把握するのが難しいケースも多いです。事業場外労働のみなし労働時間制を利用すれば、労働時間を把握する義務を逃れられ、かつ、残業代も支払われません。「みなす」とは、法律用語で「実態にかかわらず、そのように扱う」という意味です。

つまり、みなし制により労働時間を把握しなくてもよいため「実際にどれだけ労働したか」がわからない代わりに、あらかじめ定めた「みなし時間」だけ労働したものと扱うという意味です。「みなし」の効果は、実際はみなされた労働時間よりも長く働いていたと証明できても(逆に短いことを立証したとしても)、みなされた労働時間は変わりません。

事業場外労働のみなし労働時間制には、みなし労働時間の定め方に応じて、①所定労働時間みなし制と、②通常労働時間みなし制、③労使協定みなし制の3種類があります。どの制度でも、「残業代を請求できなくする」という労働者にとって不利益な効果を持つため、労働基準法で厳しい要件が定められています。制度が認められるための要件は、次章以降で解説します。

所定労働時間みなし制

所定労働時間みなし制は、事業場外の労働について「所定労働時間だけ労働した」とみなす制度です(労働基準法38条の2第1項本文)。「所定労働時間」とは、会社が定めた労働すべき時間(始業時刻から終業時刻までの間の時間)を指します。

所定労働時間みなし制とは
所定労働時間みなし制とは

例えば、会社が就業規則で、所定労働時間について「始業時刻:午前9時、終業時刻:午後5時30分(うち1時間休憩)」の7時間30分労働と定めていたとします。このとき、所定労働時間みなし制が適用されると、労働者が実際には何時間働いても、所定労働時間である7時間30分だけ労働したものとみなされるため、残業は発生せず、残業代請求ができません。

通常労働時間みなし制

通常労働時間みなし制とは、事業場外の労働について「その業務に通常必要とされる時間だけ労働した」とみなす制度です(労働基準法38条の2第1項但書)。

この制度をとるとき、「通常必要とされる時間」は、客観的に決まると考えられています。通常労働時間みなし制は、ある業務を遂行するのに通常必要とされる時間が、先ほど解説した所定労働時間だけでは足りないときに利用されます。

通常労働時間みなし制とは
通常労働時間みなし制とは

例えば、先ほどと同様、会社が就業規則で8時間労働を定めていたとします。しかし、オフィス外で働く営業職について、8時間では終わらず、9時間程度はかかる業務を任せたとします。このとき、通常労働時間みなし制が適用されると、労働者が実際には何時間働いたとしても、その業務の遂行に通常必要とされる9時間だけ働いたものとみなされるわけです。この場合、「1日8時間」を超える1時間分について、残業代請求ができます。

労使協定みなし制

労使協定みなし制は、事業場外の労働について「あらかじめ労使協定で定めた時間だけ労働した」とみなす制度です(労働基準法38条の2第2項)。

労使協定みなし制とは
労使協定みなし制とは

先ほど解説した通常労働時間みなし制では、「通常その業務にどれほどの時間がかかるか」について労使対立が生じるリスクがあります。会社側としては残業代請求を回避したいため、「それほど長い時間はかからない」と主張し、その結果、不当に残業代請求が拒絶されてしまうおそれがあります。

あらかじめ過半数労働組合もしくは労働者の過半数代表との間で労使協定でみなし時間を定め、労基署に届け出ておくのが、労使協定みなし制です。業務実態をよく知る労使双方が意見を出しあい、あらかじめみなされる時間を合意で決めておく方法であり、事業場外労働のみなし制を、最も公正に運用できます。

事業場外労働のみなし労働時間制の要件

ポイント

事業場外労働のみなし労働時間制がとられると、会社は労働時間を把握しなくてもよくなり、その結果として、残業代が支払われなくなります。そのため、ブラック企業の中には、この制度を悪用して残業代支払いを回避しようとする会社があります。

そのため、事業場外労働のみなし労働時間制が有効と認められるためには、労働基準法で厳しい要件が定められています。

これらの要件を満たさないときは、制度自体が無効となり、その結果、未払いとなる残業代を請求できます。

【要件1】事業場外の労働であること

要件の1つ目は「事業場外の労働であること」です。つまり、業務の全部または一部が、会社の外で行われていることが必要となります。例えば、外回りの営業職がオフィスを出て客先を回って行う販売活動、外交活動、出張労働などが、「事業場外労働」の典型例です。

このとき「事業場」というのは、会社の業務が行われる場所を指しているため、労働者の自宅でおこなわれる在宅業務もまた、1つ目の要件を満たすこととなります。

【要件2】労働時間の算定が困難

要件の2つ目は「労働時間の算定が困難であること」です。この要件は最も争いとなることが多いため、制度の有効性を判断するときにとても重要なポイントとなります。

事業場外労働のみなし労働時間制で、会社が残業代を支払わなくてもよいのは「労働時間の算定が困難だから」です。逆に、労働時間の算定が容易であれば、むしろ原則に戻って、きちんと労働時間を把握して残業代を支払うべきです。したがって、この要件を満たすためには、「会社が十分な努力をしてもなお、労働時間の算定が難しいのか」という視点で検討する必要があります。

行政通達(昭和63年1月1日基発1号)によれば、次の3つのケースでは、会社の具体的な指揮監督が及んでおり、労働時間の算定は可能であると判断されています。

  • グループで事業場外労働をし、グループ内に労働時間の管理をする者がいるケース
    グループ内に社長や上司など、労働時間管理の権限を有する者がいるときは、労働時間の算定は容易なので、たとえ会社の外での労働だったとしても、みなし制の要件を満たさない。
  • 事業場外でも、通信端末などでいつでも指示を受けられるケース
    通信機器の発達により、携帯電話でいつでも連絡が容易にとれる状態にあるときや、チャットやテレビ電話、ビデオ会議などで労働時間を算定することが容易なとき、みなし制の要件を満たさない。
  • 具体的な指示を受けたのち、事業場外で指示どおり業務し、事業場に戻るケース
    業務のスケジュールが正確に決められ、これを遵守する必要があるときは、労働時間を算定することが容易。事後的に日報、業務日誌などで正確に業務報告することが義務付けられているときも同様。

この行政通達からわかるとおり、技術が進歩すればするほど、事業場外労働のみなし労働時間制が認められる幅が狭くなります。現在は、スマホやビデオ会議などでコミュニケーションをとっていれば労働時間が把握できる場合が多いですし、これらの通信端末を使う暇もないほど移動しているときは、その移動の規則性によって労働時間を把握できるケースが多いと考えられます。

【要件3】みなし労働時間を適切に定めていること

要件の3つ目は「みなし労働時間を適切に定めていること」です。

先ほど説明した3種類のみなし制に応じて、次のとおり、適切なやり方でみなし労働時間を定めていなければ、労働者にとって不当な扱いとなってしまうおそれがあるためです。

  • 所定労働時間みなし制
    所定労働時間は、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えない範囲で定める必要がある。
  • 通常労働時間みなし制
    あらかじめみなし労働時間を定めておく制度ではないが、結局「通常かかる時間」がどれほどかが事後的に争いになる。
  • 労使協定みなし制
    労使協定を適切に定め、労働基準監督署に届出をする必要がある。

いずれの場合にも、事業場外労働のみなし労働時間制を適用することについて就業規則に定めておかなければならず、かつ、定めた時間が実労働時間に比べて不当に長時間とならないようにする必要があります。

事業場外労働のみなし労働時間制でも、残業代請求できるケース

時間

事業場外労働のみなし労働時間制がとられていても、残業代請求できるケースがあります。そのため、会社から「事業場外労働のみなし労働時間制の対象だから、残業代は発生しない」と拒否されてもあきらめてはいけません。

特に、この制度がとられる職種には、営業職に代表されるように「成果があがっていなければ、長時間労働は無意味」というような成果主義的な発想を植え付けられることがあります。

しかし、正しい制度運用がされていないブラック企業では、労働に対する正当な対価を受け取れていないおそれがあります。このようなとき、事業場外労働のみなし労働時間制は違法、無効と判断され、残業代請求が可能です。

なお、未払い残業代の正しい計算方法は、次の解説を参考にしてください。

制度が違法・無効で残業代請求できるケース

事業場外労働のみなし労働時間制をとっていても、その制度が先ほど解説した要件を満たさなければ、制度自体が違法・無効です。そして、この場合は原則に戻って、会社は労働時間を把握し、残業代を支払わなければなりません。

そのため、「みなし制の要件を満たしていないのではないか」という疑いがあるときは、まずは就業規則、労使協定といった、制度について記載のある重要資料を確認するようにしてください。

就業規則、労使協定はいずれも、労働者に対して周知すべきものであるため、規定が存在しない、見ることができないというときは、要件を検討するまでもなくみなし制度が違法・無効である可能性があります。実際、「営業職であれば労働時間がわからないから残業代は払わなくてもよい」という誤った考え方に基づいて、特に制度の要件を検討することなく残業代支払いを怠っている会社は多く存在します。

みなし時間が法定労働時間を超え、残業代請求できるケース

事業場外労働のみなし時間制の3種類のうち、通常労働時間みなし制、労使協定みなし制をとっている会社では、これらの方法によって定められたみなし時間が、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えるとき、残業代請求することができます。

例えば、次のケースです。

  • 通常労働時間みなし制
    業務を遂行するのに通常要する時間が、「1日8時間、1週40時間」を超えているとき、残業代を請求できます。
  • 労使協定みなし制
    労使協定に定められたみなし時間が、「1日8時間、1週40時間」を超えているとき、残業代を請求できます。

これに対して所定労働時間みなし制では、所定労働時間だけ労働したものとみなされるため、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えることはありませんが、所定労働時間では到底終わらない業務量を指示されているときなどには、そもそも制度自体の要件を満たさない可能性が高いです。

みなし対象外の休日・深夜労働の残業代を請求できるケース

事業場外労働のみなし労働時間制の対象とならない休日労働、深夜労働があるときも同様に、それぞれ休日割増賃金、深夜労働割増賃金を請求できます。

みなし制を、どの範囲の労働者の、どのような範囲の労働時間に適用するかは、会社が制度によって定めることができます。

そのため、「自分がみなし制の適用を受けるのか」、「どの労働時間について適用を受けるのか」がわからないときは、就業規則、労働契約書(雇用契約書)、労働条件通知書などを確認する必要があります。

みなし時間以外の労働について残業代請求できるケース

事業場外労働のみなし労働時間制がとられているときでも、みなし時間以外に労働しているときには、その時間については残業代請求することができます。

みなし労働時間以外の時間は、残業になる
みなし労働時間以外の時間は、残業になる

例えば、オフィス外の営業活動についてみなし制が適用されているときに、会社に帰社した後で、業務日誌、報告書の作成などの事務作業を行うことを指示されているケースがこれにあたります。

このような場合、事業場外労働のみなし労働時間制によってみなされた労働時間に、事務作業に要した労働時間を加算した時間が、「1日8時間」の法定労働時間を超えるときには、その超えた残業時間について、残業代が発生します。

事業場外労働のみなし労働時間制について判断した裁判例

裁判例

残業代請求がされた裁判例でも、事業場外労働のみなし労働時間制の有効性が、よく争点となります。

ここでは、さまざまな業種・職種ごとに、みなし制の有効要件を判断するにあたり、裁判例がどんな事情を重視しているかを知り、残業代請求に役立ててください。

なお、情報通信技術の進歩やリモートワークの拡充にともなうサービスの進歩、時代の変化により、事業場外労働のみなし労働時間制の有効性は、ますます認められづらい方向に変化していると考えられます。

旅行会社の添乗員の例

阪急トラベルサポート(第2)事件(最高裁平成26年1月24日判決)では、旅行会社の添乗員の業務について、「労働時間を算定し難いとき」(労働基準法38条の2)の要件を満たすかどうかが争われました。

最高裁は、①「業務の性質、内容やその遂行の態様等」、②「旅行会社と乗務員間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等」を考慮し、「勤務の状況等を具体的に把握することが困難であったとはいえない」として、事業場外労働のみなし労働時間制の適用を否定し、残業代請求を認めました。

この裁判例では、次のような重要な事情が考慮されています。

  • あらかじめ旅行日程によって日時や目的地が定められていて、添乗員が決定できる範囲が狭いこと
  • 添乗員用のマニュアルによって具体的な業務内容が決められていること
  • 携帯電話に常時電源を入れ、旅行会社に報告し、指示を受けることが求められていること

営業職社員のケース

ワークスアプリケーション事件(東京地裁平成26年8月20日判決)では、顧客企業に対する営業活動が主な業務だった新入社員が、退職後に残業代請求をした事例で、事業場外労働のみなし労働時間制が争点となりました。

最高裁は、阪急トラベルサポート(第2)事件判決を引用し、次のような事情を考慮の上、「労働時間を算定し難い」(労働基準法38条の2)の要件を満たさないとし、残業代請求を認めました。

  • 顧客訪問のために外出する頻度はそれほど多くないこと(約6か月間に24回)
  • 直行直帰は少なかったこと
  • 訪問先を、必ず上司に業務報告していたことをしていたこと
  • 新入社員であり、先輩社員が同行していたこと

直行直帰を含む出張労働のケース

ヒロセ電機事件(東京地裁平成25年5月22日判決)では、直行直帰を含む出張中の労働時間について、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されるかどうかが争われました。

最高裁は、次のような事情を考慮し、事業場外労働のみなし労働時間制の適用を認めました。

  • 時間管理を行う者が同行していないこと
  • 訪問先や訪問先が明示されているものの、どのような業務を行うかなど詳細な指示を受けていないこと
  • 事後的にも具体的な報告をさせていないこと
  • 携帯を所持していたが、随時会社から指示を受けてはいなかったこと

事業場外労働のみなし労働時間制の注意点

最後に、事業場外労働のみなし労働時間制をとっている会社ではたらく労働者が、気をつけておきたい注意点について弁護士が解説します。

残業代請求の証拠収集について

事業場外労働のみなし労働時間制がとられている会社で、残業代請求を検討しているとき、会社側では、労働時間についての証拠を十分に保存していないおそれがあります。

そして、オフィスの外で働いていることから、よく気をつけていないと、労働時間がまったく証拠に残りません。事業場外労働のみなし労働時間制で、残業代請求をしたいとき、特に次の証拠を入手しておくようにしてください。

  • 外回りの移動時に使用した交通系ICカードの履歴、タクシーの領収書
  • 会社の出入りがわかるセキュリティカード、社員カードの履歴
  • 業務日誌、日報、週報などの報告書

在宅勤務とみなし制度について

在宅勤務は、私生活の場である自宅で行われる労働であることから、「事業場外の労働」ということができ、事業場外労働のみなし労働時間制の対象となり得ます。在宅勤務では労働と休憩の区別が難しいため、労働時間の算定も困難であるように思えます。

しかし、現在は、通信機器の進歩によってチャットやテレビ会議ツールを活用し、業務報告をしっかりとさせていると、労働時間の算定は容易なことが多いです。会社がパソコンのモニタリングをしているとき、さらに労働時間の算定は容易です。

特に、情報通信機器の活用により、携帯電話をオンにしておくことが求められていたり、チャットに即時応答することが求められていたりなどのとき、事業場外労働のみなし労働時間制の要件を満たさず、残業代請求することができます。

まとめ

今回は、事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法38条の2)について、その基本的な知識を解説するとともに、有効性の判断方法、残業代請求のポイントなどを説明しました。

この制度は、オフィスの外の労働が多い営業職などについて、労働時間を適切に評価するために役立つ制度ですが、一方で「残業代を発生させない」という効果があるため、ブラック企業に悪用されると労働者の権利を不当に害されてしまいます。

「営業職だから残業代は発生しない」、「事業場外労働のみなし労働時間制だから残業代を払う必要はない」と残業代請求を拒否されたとき、今回の解説を参考にして、制度が適切に運用されているかどうか、検討することが重要です。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所
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弁護士法人浅野総合法律事務所では、労働問題に精通しており、残業代請求について多数の解決実績があります。

残業代請求を検討している労働者は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

残業代請求のよくある質問

事業場外労働みなし労働時間制とは、どんな制度ですか?

事業場外労働みなし労働時間制とは、実際に働いた時間とは異なった時間を労働時間とする「みなし制」の一種で、事業場外、つまり、オフィス外で働いていて労働時間の把握が困難な時間について適用できる制度です。労働者側の立場では、残業代が請求できなくなる不利益な効果を生むことが多いです。詳しくは「事業場外労働のみなし労働時間制とは」をご覧ください。

事業場外労働みなし労働時間制でも残業代請求できるケースはありますか?

事業場外労働みなし労働時間制は、残業代を請求できなくなってしまうという不利益があるため、要件が厳格であり、その要件を満たさなければ無効となり、原則に戻って残業代請求できます。また、制度自体は有効でも、みなし労働時間ではない時間について残業があるときにも、残業代請求ができます。もっと詳しく知りたい方は「事業場外労働のみなし労働時間制でも、残業代請求できるケース」をご覧ください。

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