交通事故

保険会社から「治療費を打切る」といわれても、通院を継続する方法

2020年6月10日

治療費打ち切り

交通事故の被害者になってしまったとき、首や腰などに痛み、シビレが残り、入院・通院を継続しなければならないことがあります。

しかし一方で、加害者側の保険会社からは、約3か月程度で、「治療費の支払いを打切るので、通院継続をストップするように」と伝えられることがあります。まだ痛みやシビレが残っているとき、加害者側からこのような要請を受けると、従わなければならないのか、ご不安なことでしょう。

本来、医学的な判断は医師がおこなうものであり、保険会社がおこなうものではありません。治療を継続することは可能ですが、それによって交通事故に関する有利な解決から遠ざかるようでは、元も子もありません。

そこで今回は、保険会社から通院を終了するよう連絡を受けてしまったときの交通事故被害者側の適切な対応と、治療を継続して解決に至るための方法について、弁護士が解説します。

「交通事故被害」弁護士解説まとめ

治療は継続できる

治療費打ち切り

交通事故の被害において、ケガの治療は、「治癒」もしくは「症状固定」となるまで続ける必要があります。

特に、交通事故被害の症状の多数を占める頸椎捻挫・腰椎捻挫などの、いわゆる「むちうち症」では、頑固な痛み・シビレが残り続け、長期間の通院が必要となることが少なくありません。

「治癒」とは、交通事故によって負ったケガが治ったということ、「症状固定」とは、交通事故によって負ったケガがこれ以上治療を重ねてもよくなることはないという状態のことを意味しています。なお、治癒すればそれで終わりですが、症状固定の場合には、後遺障害の認定を取得し、残存した損失を回復することとなります。

加害者側の保険会社としては、支払う費用が少なければ少ないに越したことはありません。また、交通事故態様や過失割合などに争いがある場合、治療費の満額を支払う必要はない可能性もあります。そのため、他覚所見のない頸椎捻挫などの場合には3か月程度、それ以外の場合でも6か月程度で、治療費の支払を終了する旨の予告をしてくることが少なくありません。

しかし、「治癒」も「症状固定」も、医学的な判断を前提として決定されるものであり、医師の診断がとても重要となります。決して、保険会社の判断で決まるわけではありませんから、保険会社の要求にしたがって治療を中止する必要はありません。

治療を継続しなければならない理由

治療費打ち切り

保険会社が治療費の立替払いをストップしたとしても、症状が残存しており(治癒しておらず)、治療をすれば成果があがる場合(症状固定もしていない場合)には、むしろ、治療を続けなければなりません。

これは、治療を継続しなければならないことには、交通事故被害を有利に解決するための理由があるからです。

すなわち、治療費を打切られたとしても、医師の判断にもとづいて治療を継続し続けることは、交通事故被害の最終的な解決において、次のような有利な解決を勝ち取るために有益です。

因果関係

因果関係とは、交通事故とケガとの間の原因と結果の関係のことをいいます。交通事故によって生じたケガでなければ慰謝料や損害賠償請求などの対象とはなりませんから、因果関係があることが重要となります。

因果関係を認めてもらうためには、そのケガが、交通事故によって生じたことを立証しなければなりません。

この点で、事故直後から継続的に通院を続けることによって、ケガの原因が事故以外には存在しないことを示すことができ、交通事故とケガとの因果関係を認めてもらいやすくなります。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故によって入院・通院をせざるをえなくなることによる精神的苦痛に相当する慰謝料のことです。

そして、交通事故の入通院慰謝料は、継続的に入院・通院した期間が長ければ長いほど、獲得できる入通院慰謝料が高額になります。入通院による治療は交通事故被害の回復のためにおこなうものであり、慰謝料の算定も治療期間に応じてなされるからです。

なお、通院頻度がまばらな場合、通院期間ではなく、通院日数の3倍程度を参考に入通院慰謝料を算出することもあるため、その点でも、通院を継続的に行うことが有益です。

後遺障害認定

通院し、治療を継続しても、ケガが治癒せず、かつ、治療を継続してもこれ以上よくはならない状態のことを「症状固定」といいます。

症状固定した場合には、残存した症状の程度に応じて後遺障害等級の認定を受け、認定された等級にしたがって後遺障害慰謝料、逸失利益を請求することとなります。

継続的に通院を続けるほど、より高い等級の後遺障害認定を得やすくなり、獲得できる後遺障害慰謝料、逸失利益が高額になります。特に、他覚所見のないむち打ちの場合、症状が残存することを証明するためには継続的な通院が必須となります。

他覚所見のない頸椎捻挫など、いわゆるむちうち症の場合には、後遺障害14級「局部に神経症状を残すもの」もしくは後遺障害12級「局部に頑固な神経症状を残すもの」と判断されますが、より高額の慰謝料を勝ち取れる12級と評価されるためには、事故当初より一貫した症状を訴え、適切な治療頻度で治療を継続していることが重要な判断材料となります。

参 考
むちうちで他覚所見のないときでも、慰謝料を増額するためのポイント

交通事故の被害者となってしまったとき、特によく生じる症状が「むちうち」です。 むちうちは、後遺障害の認定を受ければ後遺障害慰謝料を請求することができます。しかし、むちうちは痛みやシビレなどの体の不調が ...

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治療費の立替払いを延長してもらうための対応方法

治療費打ち切り

保険会社が、治療費の立替払いを終了することを通知してきたとき、これによって治療を中止しなければならないわけではないことは先ほど解説したとおりです。むしろ、加害者側の保険会社のプレッシャーに負けて通院を終了してしまえば、将来的に得られるはずであった入通院慰謝料、後遺障害慰謝料や逸失利益などを失うおそれがあります。

しかし一方で、治療費の支払を打切られてしまうとその後の治療費は自己負担となる可能性もあるため、できるだけ治療費の立替払いを延長してもらうための対応をおこなうことが有益です。

医師の意見を聴取する

加害者側の保険会社は、事故態様や症状などから一般的に想定される通院期間を過ぎると、治療費の打ち切り、通院の終了を予告してくることが多いです。しかし、これはあくまでも一般的な期間に基づいた判断であり、具体的な治療の必要性を加味したものではありません。

治療の必要性は、症状や治療経過を具体的に観察した上で、医師による医学的な判断を尊重して行うものです。

保険会社から治療費の打ち切りを通告されたとき、まずは、医師との面談をおこない、治療経過と今後の見通しについて、医師の意見を聞くようにします。その上で、治療継続の必要性を医師も認めてくれる場合には、診断書を作成してもらい、保険会社に提出してください。

交通事故当初に、治療費立替などに必要であることから、医療情報を保険会社に提供する旨の同意書を提出していることが多くあります。このような場合に、保険会社から医師に対して、治療を終了するよう働きかけがあることがあります。

医師からの治療打ち切りなどの対応がとられないよう、交通事故に詳しい信頼できる医師を選択するとともに、継続的に通院し、症状が存在し、治療継続の必要があることを伝えてください。

セカンドオピニオンを求める

医師に対して症状を継続的に伝え、治療の必要性を訴えても、担当医がこれを認めずに治療打ち切りとなってしまうことがあります。

特に、事故態様に比して重い症状を訴えている場合には、一般的な治療期間が経過すると、それ以上の治療をおこなってくれない場合があります。医師側でも、交通事故被害者の治療費の負担などを苦慮してこのような判断となることがありますが、治療の必要性が存在する場合には、セカンドオピニオンを求めることも検討してください。

セカンドオピニオンとは、主治医とは別の医師に、医学的な意見を求めることをいいます。

ただし、セカンドオピニオンが良い結果だったとしても、担当医の変更には慎重な判断が必要となります。事故直後からの継続的な通院、治療が重要であるため、担当医を変更すると、治療経過の継続性が薄れてしまうおそれがあるためです。

弁護士の意見書を提出する

保険会社から治療を終了するよう通告を受けたとしても、治療の必要性がある場合にはあきらめてはいけません。特に、他覚所見のないむちうち症の場合、画像診断などにも症状が現れないことかた詐病を疑われることもあります。

しかし、症状が残っている限り、加害者側の保険会社からの圧力に負けてはいけません。

このような場合、医師による医学的な意見、診断書などとともに、弁護士による法律的な意見を示す意見書を作成し、保険会社に提出します。

将来、交通事故被害について裁判による争いに発展したとき、医学的な意見はもちろん重要となりますが、必ず裁判の結果が医学的な意見のとおりになるとは限らず、最終的には裁判官による法律的な判断がおこなわれるからです。

健康保険に切り替える

治療費立替の延長についての交渉が奏功せず、治療費の支払が打ち切られてしまったとしても、治療の必要性があるのであれば治療は継続すべきです。「治療費が支払われないのであれば、治療はしない」というのであれば、「そもそも治療の必要性はなかったのではないか」と疑われてしまう危険すらあります。

保険会社からの治療費打ち切り後は、「第三者行為による傷病届」を健康保険に提出すれば、健康保険を利用して交通事故の治療を継続することができます。

このように健康保険に切り替えることが重要となるのは、保険会社からの治療費打ち切り後の治療は、裁判などの重要な争点に発展する可能性が高く、万が一にも敗訴した場合には自己負担となるリスクがあるためです。

打切り後の治療費も請求する

加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを宣言され、治療を終了するよう予告された場合でも、その後の治療は可能であることを解説しました。そして、治療費打ち切りの後も、治療の継続が必要であり、かつ、交通事故との因果関係のある治療費については、加害者側に請求することができます。

治療費の打ち切りは、あくまでも加害者側の保険会社の判断です。

そのため、治療費打ち切りの後も治療を継続した場合、その治療費が交通事故による損害に含まれるかどうか、最終的には、裁判における争いが必要となります。診断書、カルテなどの証拠を収集し、あきらめず請求をしてください。

治療費を打切られづらい通院の方法

治療費打ち切り

加害者側の保険会社が治療費の打ち切り、治療の終了の予告は、保険会社として、多くの交通事故対応の経験をもとになされる一般的判断としておこなっていることが多くあります。

そのため、少なくとも、次のような態様の交通事故、治療経過である場合には、治療費を打切るという判断をされやすくなるため、注意が必要です。

  • 症状に比して、交通事故の態様が軽微である場合
  • 通院頻度が少ない場合
  • 診断内容が軽微である場合
  • 施術されている治療内容が簡易である場合

少なくとも、週2回程度の通院頻度を確保することがお勧めです。また、治療の内容についても、湿布や塗り薬の処方などの簡易なものだけでなく、電気治療など、交通事故被害に効果があるとされる治療方法や、整骨院への通院を併用するようにしましょう。

通院頻度や施術される治療内容は、医師による医学的花判断に基づいておこなわれますが、他覚所見のないむちうち症などの場合には、どの程度の治療がなされるかは、被害者が症状をどのように伝えるかに影響されることがあります。

「交通事故被害」は浅野総合法律事務所にお任せください!

治療費打ち切り

今回は、加害者側の保険会社から、治療費の立替払いを打ち切るよう、また、治療を終了するよう通告を受けたときの適切な対応方法について弁護士が解説しました。

治療費の打ち切りを保険会社が通告してきたとしても、それはあくまでも保険会社の判断であり、従わなければならないわけではありません。治療の必要性があるときには、医師の医学的な判断を受け、治療を継続した上で、後日、裁判などの法的手続きによって治療費を請求するようにしましょう。

治療費の打ち切り、治療の終了を予告されたとき、今後の裁判なども含めた将来の見通しを踏まえて判断する必要があります。

交通事故被害にお困りの方は、ぜひ一度当事務所へ法律相談ください。

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