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交通事故被害者が医療記録を入手する方法【弁護士解説】

解説の執筆者:弁護士 浅野 英之

交通事故被害医療記録入手方法

交通事故被害にあってしまったとき、被害者側として準備しておきたいのが、医療記録の取り寄せです。交通事故被害で準備が必要となる医療記録は、具体的には、診断書とカルテが重要ですが、その他、入手可能なあらゆる医療記録を入手しておくべきです。

人身被害が生じてしまった交通事故のケースでは、特に被害者の損害が大きく、請求すべき慰謝料額、損害賠償額も多額になりがちですが、適切な証拠を早めに入手しておくことで、回復できる被害額を増やすことができます。

しかし、被害者が死亡していたり意識不明となっていたり、加害者が事故態様を争っていて非協力的であったりして、遺族や家族だけでは医療記録の入手が難しいこともあります。弁護士に依頼いただくことで、病院など医療機関の任意の協力を求めやすくなることはもちろん、証拠保全、文書送付嘱託、文書提出命令などの法的手続きを利用することができます。

今回の解説では、交通事故の被害者やそのご家族の立場から、

  • 交通事故被害者が医療記録を入手すべき理由
  • 取り寄せておくべき医療記録の種類・内容
  • 医療記録を入手する方法

といった交通事故に関する法律知識について、弁護士が解説します。

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

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交通事故被害者が医療記録を入手すべき理由

交通事故被害医療記録入手方法

交通事故の人身被害を受けたときには、まずは治療を行うことが重要です。しかし、ただ漫然と治療を受けるのではなく、治療を受けた経過を記録化し、のちに裁判などの争いとなる場合には証拠として活用することが必要となります。

交通事故の裁判において、特に重要視されるのが、医療機関の作成した医療記録です。当事者が作成する資料よりも、専門家である医師が作成している点で、医学的な専門知識に基づく症状の正しい分析がなされているからです。

そして、交通事故被害者にとっては、以下の理由から医療記録を速やかに取り寄せる必要があります。

医療記録は重要な証拠となる

交通事故においては、事故の態様や損害の程度、内容等が争いになることが多く、裁判に至った時には、それらについて客観的な証拠と共に証明する必要があります。

医療記録を証拠として提出すれば、被害にあった交通事故がどのような事故であり、被害者が被った損害がどの程度であるかを医学的な見地から客観的に証明することが可能となります。

また、医療記録は、通常医学的な知識・経験を有した医師等が作成するため、内容の信用性も高く、証拠として重要な価値を持ちます。

後遺障害等級の認定を受け、慰謝料を増額できる

これ以上治療しても完全には治らない時点を「症状固定」といい、症状固定時に障害が残ってしまうことを「後遺障害」といいます。

交通事故によって後遺障害を負ってしまったときには、後遺障害によって精神的な苦痛が生じたときには慰謝料請求、収入が減少するなど得られなかった利益については逸失利益の請求を、加害者に対して行う必要があります。

後遺障害による損害額を決めるにあたっては、事故による後遺症がどれほど重いか、「後遺障害等級認定手続」で判定してもらう必要があります。後遺障害等級は1級から14級まであり、後遺障害等級が高いほど、後遺障害慰謝料は高額になります。また、後遺障害の逸失利益も、等級が高いほどになります。

後遺障害等級認定手続においては、交通事故から症状固定までの治療や回復の経過が重要視されるため、これを証する医療記録は必須の証拠です。治療状況を記録したカルテ等の医療記録を添付することで、交通事故被害者に有利な後遺障害認定を獲得できれば、慰謝料を増額することができます。

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取り寄せるべき医療記録の種類とその内容

ひとことで「医療記録」と言っても、その内容には様々なものがあり、交通事故の態様などによって必要となる資料は変わってきます。そのため、交通事故の当事者はまず、医療記録の種類や内容について正確に把握しておく必要があります。

交通事故の被害者が取り寄せるべき医療記録の種類と内容には、次のようなものがあります。

  • 診断書
    診断書とは、医師が患者の症状について診断した結果を記録した書類をいいます。診断書には、むちうちや捻挫といった具体的な症状、治療期間、原因、作成日付、及び医師名等が記載されています。
    診断書のなかでも、後遺障害等級認定を申請する際に必要となる「後遺障害診断書」が、慰謝料などを請求するために最重要の証拠となります。
  • カルテ(診療記録・診療録)
    カルテ(診療記録・診療録)は、医者が患者の診療内容や経過などを記載し記録・保存する文書です。電磁的記録として管理されるものを「電子カルテ」といいます。
    医師は、診療したときには、遅滞なく記録し、病院又は診療所において5年間保存しなければなりません(医師法24条1項、2項)。
    診療記録(診療録)には、以下で説明する看護記録・検査記録・手術記録・各種画像などが含まれます。
  • 看護記録
    看護記録とは、病院などにおいて看護師によって記入される関互譲の諸事項の記録のことです。一般的に、治療における資料としたり、管理運営上の作業効率を上げることが目的で作成されます。
  • 検査記録
    患者を検査した結果を記録したものの総称を検査記録といいます。レントゲン写真、MRI画像等は、検査記録に該当します。
  • 手術記録
    手術記録とは、手術の内容、手術方法、手術時間等を記載した記録をいいます。外科系の診療録の中では、重要性が高い診療記録になります。
  • 各種画像
    CTやレントゲン画像、MRI画像も診療記録です。これらの画像は、交通事故の態様や損害等を証明する上で重要な証拠になります。
  • 診療情報提供書(紹介状)
    診療情報提供書とは、医師が他の意思、あるいは医療機関へ患者を紹介する際に発行する書面です。一般的には、紹介状と呼ばれ、診断・治療など、現在までの診療の総括や紹介をする目的等が記載されています。
  • 診療報酬明細書(レセプト)
    診療報酬明細書とは、患者が受けた保険診療について、医療機関が市町村や健康保険組合等に請求する報酬の明細書をいいます。内容としては、患者の氏名、保険番号、病名、診療報酬点数等が記載されています。
    患者が領収書と共に受領する書面は、診療明細書といい、各医療機関で様式が異なることはありますが、記載内容は基本的に診療報酬明細書と同じです。
    診療報酬明細書には、実施された画像診断の内容(CTやMRI検査等)が記載されており、後遺障害等級認定申請の際にも必要な書類となりますので、事前に記載内容に間違いがないか等を確認しておく必要があります。

交通事故被害者が医療記録を入手する方法

交通事故被害医療記録入手方法

交通事故の被害者側が入手しておくべき医療記録の種類と内容を理解していただいたところで、次に、医療記録の入手方法について弁護士が解説します。

医療記録は、医療機関が作成するものですので、医療機関に申請して入手することが原則です。しかし、その交通事故が法的トラブルに発展しているときや、医療機関が非協力的なときには、弁護士に依頼して法的手続きによるサポートを受けたほうがよいケースもあります。

なお、医療記録を入手できたら、その検討・精査を直ちに行うことがが重要です。損害の程度や後遺症の症状を第三者に正確に伝えるために、医療記録をきちんと検討しなければなりません。

もっとも、カルテなどの診療記録は、電子化される前であれば、判読しづらいことも少なくなく、医学的な専門用語が多く記載されています。医療記録の精査には、交通事故に関する専門的な法律知識とともに、診療記録や医療に関する基礎的な知識が必要となります。

本人が直接病院に開示を申請する方法

患者本人であれば、医療機関に直接申請することによって、医療記録を開示してもらうことができます。交通事故の被害者自身が死亡してしまったとき、その遺族もまた同様に医療記録を入手できます。

本人からの申請のみを受け付けている医療機関も少なくありませんので、事前に確認する必要があります。交通事故はもちろんのこと、多くの医療記録の開示申請を受けている医療機関であれば、所定の申請手続きを教えてもらえます。

弁護士に代理で開示を申請してもらう方法

交通事故被害の状況によっては、被害者が自ら開示申請することが難しい場合もあります。そのような場合には、交通事故問題に詳しい弁護士に依頼し、代理で医療記録の開示申請をしてもらうことが可能です。

代理申請の場合には、委任する弁護士に同意書、委任状などを渡すことで、弁護士が代わりに申請することを医療機関に伝えることができます。この場合、交通事故の被害者本人がわざわざ病院に行って手続きをする必要はありませんので、手間を省くことができます。

また、医療機関が法律に詳しくなく、カルテなど医療記録の開示に非協力的なとき、弁護士から通知を送ってもらうことで速やかに取り寄せることができます。

第三者が法令に基づき取得する方法

例えば、被害者に意識がない場合など、被害者本人の同意が得られない場合には、当然ながら本人から申請することはできませんし、本人の委任を受けて代理で申請することもできません。このような場合でも医療記録の重要性、必要性は変わりません。第三者が法令に基づいて医療記録を請求することを検討することになります。

また、医療機関の中には、医療記録の提出を拒否したり、不当に高額な金銭を要求したりする機関も残念ながら存在します。このような場合も同様に、強制的に医療記録を入手することのできる法的手続きの利用を検討してください。

法的な手続きとして、交通事故被害のサポートでよく利用されるのは弁護士会照会、証拠保全、文書送付嘱託、文書提出命令です。

  • 弁護士会照会
    :弁護士会照会とは、弁護士会が弁護士法23条の2に基づいて、公務所や公私の団体に照会をし、証拠・資料の収集や事実の調査を行う制度です。
    弁護士会照会自体は、弁護士会が行いますが、弁護士が弁護士会に申請をする形で行います。事件を弁護士に依頼することで、弁護士会照会によって医療記録の収集が可能となります。
  • 証拠保全
    ・証拠保全の手続きは、裁判所が予め証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認める時に行うことが可能な手続きです(民事訴訟法234条)。
    医療機関から情報開示がされない可能性が高い場合には、弁護士に依頼し、証拠保全の手続きを行うことも有効な方法の1つです。
  • 文書送付嘱託
    :文書送付嘱託とは、裁判所が、当事者からの申立てによって、文書の所持者に対して文書の送付を依頼する手続きです(民事訴訟法226条)。
    文書送付嘱託によって、医療機関が保持している医療記録を証拠として収集することが可能となり、訴訟を有利に進めることが可能となります。
  • 文書提出命令
    :文書提出命令は、相手方や第三者が文書を所持する場合において、その文書を提出する義務があるときに限り、裁判所がその所持者に対して当該文書の提出を命じる手続きです(民事訴訟法220条)。
    相手方と事故態様が真っ向から対立する場合には、文書提出命令の申立てをし、ドライブレコーダー等の証拠を収集することも紛争を早期に解決し、被害の回復を迅速に図ることに繋がります。

医療記録を保険会社に請求する方法

ここまでの方法は、医療記録の第一次的な作成者である医療機関から入手する方法でした。

一方で、交通事故のケースの中で、当事者間の争いがそれほどないケースでは、加害者側の保険会社が、医療機関に対して治療費を立替払いしているケースがあります。加害者側の保険会社は、治療費を立替払いするときには、被害者の症状や治療経過を知るために、医療記録の提出についての同意書を取得し、医療記録を収集しています。

このようなケースでは、交通事故に関する法的問題がそれほど多くないことを前提に、加害者側の保険会社に請求して医療記録の提出を求めることもできます。

弁護士に依頼している場合には、弁護士が保険会社に連絡をし、必要な医療記録を入手しますので、被害者自ら手続きを行う必要はありません。

交通事故被害は浅野総合法律事務所にお任せください!

交通事故被害医療記録入手方法

今回は、交通事故被害者の立場で、医療記録の重要性と、どのような医療記録をどのような方法で収集したらよいかについて弁護士が解説しました。

交通事故の相手方が事故態様や損害額などを争っているケースでは、専門的な知識に基づいて適切なタイミングで医療記録の収集することや緻密に医療記録を精査することが、十分な慰謝料を得るためにとても重要です。

また、事故直後において交通事故被害者自ら医療記録を収集したり、交渉を行うことは精神的にも容易ではないため、交通事故案件に精通した弁護士に依頼して解決することをおすすめします。

浅野総合法律事務所では、交通事故被害に関する数多くの解決実績があります。交通事故被害でお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へ法律相談ください。

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