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国際結婚では婚前契約書(プレナップ)が重要!公正証書化すべきケースと注意点

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

「迅速対応、確かな解決」を理念とし、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

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国際結婚では、婚前契約書(プレナップ)を締結することが重要となる場面があります。

日本ではまだまだ馴染みの薄い婚前契約ですが、海外では広く利用されています。当事務所でも、国際結婚を検討している方から、次のような相談を受けることがあります。

  • 「パートナーからプレナップを結ばないと結婚しないと言われた」
  • 「万が一離婚の話し合いになったとき、国際結婚だと不安が大きい」
  • 「夫婦の財産について、結婚前に取り決めておきたい」

国際結婚は特に、夫婦の財産関係について、法の適用関係が不明確になったり、文化や慣習の違いからトラブルが生じたりしやすいため、結婚前に約束ごとを定めておく意義が大きいです。

今回は、外国人と結婚する際に注意すべきポイントとして、婚前契約書(プレナップ)の作成を中心に、弁護士がわかりやすく解説します。

この解説のポイント
  • 婚前契約(プレナップ)は、国際結婚や富裕層の結婚で活用されている
  • 夫婦財産契約は、結婚前に取り交わしておく必要がある
  • 婚前契約(プレナップ)に定めた約束を守らせるために、公正証書化を検討する

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婚前契約書(プレナップ)とは

婚前契約書(プレナップ)とは、結婚をする前に、主に夫婦の財産についての取り決めを文書化し、ルールを定めておくための契約書のことを指します。英語の「Prenuptial Agreement」を和訳したもので、主にアメリカで慣習として定着しています。

婚前契約書(プレナップ)を作成する動機・目的は、主に、個人資産の保護にあります。この契約書には、以下のような事項を定めるのが一般的です。

  • 財産・資産の取り扱いに関するルール
  • 離婚時の財産分与の取り決め
  • その他の離婚条件(親権・面会交流・養育費・慰謝料など)
  • 夫婦生活における義務やルール、禁止事項
  • 夫婦生活におけるルール違反のペナルティ(不倫・暴力・DV・モラハラなど)

婚前契約書(プレナップ)を作成するのは「ロマンチックではない」「結婚前に切り出すと信頼を損なうのではないか」といった不安を相談されることもあります。しかし、国際結婚の場合、外国人配偶者(パートナー)側から作成を求められるケースも珍しくありません。

国際結婚で婚前契約書(プレナップ)を作成する理由

悩む女性

結婚は、夫婦の話し合いと合意のもとで進めるのが基本となります。

婚前契約書(プレナップ)の締結を求められると不安を感じるかもしれませんが、相手が作成を希望するなら真剣に向き合わなければ、後のトラブルが拡大してしまいます。また、自身が、婚前契約を締結しておいた方がよい属性に当てはまっている人もいます。

弁護士の視点から見て、婚前契約書(プレナップ)を作成しておいた方がよい人は、例えば次のケースです。

  • 財産や資産の格差が大きい夫婦
  • 一方が経営者であり、離婚後に財産分与の争いが予想される夫婦
  • 離婚歴があり、前の婚姻関係が完全に整理できていない場合
  • 再婚で子供がいて、特定の財産を優先的に分与したい場合
  • 一方が家庭に入り専業主婦(主夫)になることを予定している夫婦
  • どちらの国の法律に従うかトラブルが予想される国際結婚

これらの状況では、離婚時に財産の分配や条件を巡る大きな争いが予想されます。

婚前契約(プレナップ)というと、ハリウッドスターやプロスポーツ選手のような「富裕層の問題」と思いがちですが、莫大な資産がなくても、離婚時に揉めることはよくあります。

国際結婚の場合は特に、文化や風習、人種や宗教の違いから、明確に文書化しておかないと「言った・言わない」の水掛け論になります。日本人同士であれば「言語化しなくても理解し合えるはずだ」と思っていたことが予想外の紛争を生みます。言語や文化の壁がある国際結婚では、婚前契約書(プレナップ)を作成しておけば回避できたはずのトラブルで悩む方も少なくありません。

離婚までの流れ」の解説

国際結婚の婚前契約書(プレナップ)のポイント

案内する女性

次に、国際結婚の婚前契約書(プレナップ)を作成する際のポイントを解説します。

婚前契約書(プレナップ)がない場合、国際結婚でも、日本で生活をしている場合は日本法が適用されます。その結果、財産分与では、婚姻中に増加した財産を2分の1ずつに分けるのが原則です。

しかし、一方の財産が高額である場合や、財産を優先的に残したい対象(連れ子など)がいる場合、このルールに従うことが一方の配偶者の希望に沿わず、争いの火種となることがあります。

関係が良好なうちに作成する

「恋は盲目」とも言うように、初期の段階では気づきにくいものですが、国際結婚の場合、異なる文化や慣習、言語を持つパートナーと結婚するため、多くのリスクを伴います。

国際結婚の婚前契約書(プレナップ)を作成する際は、パートナーとの関係が良好なうちにしっかりと話し合い、内容を詰めておくことが重要です。一度作成した契約書を後から変更することは可能ですが、関係が悪化してからでは交渉が困難なことも多いため、早めに準備してください。

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どの国の法律を適用するか

国際結婚・国際離婚の際には、「どの国の法律を適用して決めるか」(準拠法)が争いとなります。世界には、日本人にとっては驚くような結婚や離婚のルールが存在する国もあります。

国際結婚でも、結婚後の夫婦生活を日本でするなら、日本法に従って決めるのが一般的です。ただし、争いになった後で話し合うと必ず揉めるので、トラブルを避けるためには「どちらの国の法律に基づくか」を事前に取り決めておくことが重要です。

どの言語で作成するか

外国人パートナーの中には、日本語が堪能ではない方もいます。

夫婦間の会話が日本語ではない(相手の母国語や英語で意思疎通している)家庭も多いでしょう。この場合、日本語のみで作成してもパートナーに理解してもらえません。

日本語の読めない外国人との国際結婚で、婚前契約書(プレナップ)を作るときは、英訳・母国語訳の準備が必要となります。「会話はできるが、読むことはできない」という方も少なくないため、生活に必要な会話ができたとしても油断は禁物です。

公正証書化しておく

最後に、作成した婚前契約書(プレナップ)は、公正証書化しておくのがおすすめです。

公正証書は、公証役場で作成される公文書で、「強制執行認諾文言」を付けることで、契約に基づく金銭請求について、裁判を経ずに強制執行(財産差押え)を可能とする強い効力があります。つまり、パートナーが公正証書の内容に従わなかったとき、金銭請求については、裁判所に申し立てて強制的に実現することができるのです。

公正証書は、本人同士で作成する以外にも、委任状があれば弁護士に依頼することも可能です。結婚予定であってもパートナーが海外在住である場合、弁護士に依頼すれば、来日することなく公正証書を作ることができます。

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国際結婚のその他の注意点

ポイント

最後に、婚前契約書(プレナップ)の作成に加えて、国際結婚のその他の注意点について解説しておきます。

在留資格・永住権・帰化

外国人のパートナーが日本に住み続けるには、在留資格(ビザ)の取得が必要です。通常、日本人と結婚する場合は「日本人の配偶者」(通称「日配(ニチハイ)」)という資格を取得します。さらに、日本の滞在歴が長く、結婚生活が安定した場合、永住権の取得や帰化申請を希望する方もいます。これらの手続きは、外国人問題に詳しい行政書士に相談するのがおすすめです。

DV・モラハラ問題

DV(ドメスティックバイオレンス・家庭内暴力)やモラハラは許されない行為であり、どのような理由があっても容認されません。しかし、国際結婚では、文化や風習の違いが些細な行き違いを生み、それがきっかけで家庭内のトラブルがエスカレートすることがあります。

小さな衝突が積み重なり、DVやモラハラに発展するケースは少なくありません。DVやモラハラをきっかけとする国際離婚では、パートナーが母国に帰国してしまって離婚手続きを進める支障となることがあります。また、この際に子供を連れ去るケースもあり、さらに深刻化します。

外国人との子どもの問題

外国人との国際結婚で特に注意を要するのが、離婚時の「子の連れ去り」問題です。

国境を超えた子供の不法な連れ去りについては国際的な取り組みがなされており、「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)」がその指針となります。

この条約は、外国人との国際結婚はもちろん、日本人同士の結婚であっても、国境を越えた不法な子供の移動に関する問題のルールとなっています。国際結婚において、離婚時に子供の安全と権利を守るため、条約を理解し、適切な手続きを進めることが不可欠です。

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国際結婚の婚前契約書(プレナップ)に関するよくある質問

最後に、国際結婚の婚前契約書(プレナップ)についてよくある質問に回答します。

国際結婚で婚前契約書を作成しないとどうなる?

国際結婚でも、婚前契約書(プレナップ)は必須ではありませんが、作成していないと、財産分与や親権の取り決めでトラブルになりがちです。

特に、国際結婚では、どの国の法律を適用するかに争いが生じたり、それぞれの背景とする文化や風習が異なることが対立につながったりします。そのため、夫婦間のルールを文書化するため、国際結婚こそ婚前契約書(プレナップ)の意義は大きいです。

婚前契約書を作成するタイミングは?

婚前契約書(プレナップ)は、必ず結婚前に作成します。

結婚後でも、夫婦間のルールを取り決めることは可能ですが、婚前契約書(プレナップ)として扱うことはできません。

離婚時に争いとなる財産分与のルールは、結婚に向けた準備の中で早めに決めなければ、冷静に話し合うのは困難でしょう。また、結婚直前に作成を急ぐと、内容を十分検討せずに署名してしまうリスクがあるため、早めに準備してください。

国際結婚の婚前契約書の作成を弁護士に依頼できる?

国際結婚の婚前契約書(プレナップ)は、弁護士に依頼して作成することが可能です。

弁護士に依頼することで、法的に有効で、かつ双方が納得できる内容の契約書にすることができるメリットがあります。外国法の絡む国際結婚は特に、家事事件に詳しい弁護士のサポートが重要です。

作成にかかる弁護士費用は、内容や分量、複雑さによりますが、11万円〜33万円程度が相場の目安です。公正証書化を希望する場合には、別途手数料がかかります。作成に数週間〜1ヶ月程度かかるため、早い段階で相談しておくのがよいでしょう。

【まとめ】国際結婚の婚前契約書

弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、国際離婚における婚前契約書(プレナップ)について解説しました。

日本人同士であっても、夫婦仲が悪くなると双方の主張が対立し、話し合いでの離婚が難しくなってしまうケースがあります。まして、文化や慣習が異なる国際結婚ではなおさらです。

夫婦間の協議で解決しない場合、離婚調停や離婚裁判(離婚訴訟)に進みますが、国際離婚では準拠法が複雑になり、外国法が絡むケースもあるため、紛争が長期化するリスクがあります。これらの国際結婚に伴うリスクを避けるためにも、婚前契約書(プレナップ)が重要となります。

婚前契約を通じて夫婦のルールを明文化することは、国際結婚とその離婚時のリスクを軽減することにつながります。結婚前に作成する必要があるため、検討している方は、ぜひお気軽に、弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 婚前契約(プレナップ)は、国際結婚や富裕層の結婚で活用されている
  • 夫婦財産契約は、結婚前に取り交わしておく必要がある
  • 婚前契約(プレナップ)に定めた約束を守らせるために、公正証書化を検討する

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