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痴漢で後日逮捕される可能性はある?逮捕されないためにすべきこと

痴漢の現場から逃げきれたとしても、後日警察がきて逮捕されてしまうケースがあります。現行犯逮捕されずに帰宅できても、実際には捜査が続いていたケースも少なくありません。

痴漢のほとんどは、現場で取り押さえられ、駅員から警察に引き渡される現行犯逮捕になりますが、後日逮捕も少なくありません。後日逮捕のケースでは、防犯カメラ映像や乗車履歴などからあなたの個人情報が特定され、被害者や目撃者の証言などから痴漢したことの十分な証拠を確保していることが多いです。そのため、被疑者側で争うハードルも高くなっています。

いつ警察が来るか不安で眠れない方もいますが、このようなときこそ、痴漢で後日逮捕されてしまわないためにも今できる弁護活動をしっかり行わなければなりません。

今回は、痴漢で後日逮捕されるケースと、後日逮捕されないための弁護活動を、刑事事件にくわしい弁護士が解説します。

この解説でわかること
  • 痴漢では現行犯逮捕が多いが、後日逮捕されることもある
  • 後日逮捕されるとき、防犯カメラ映像や乗車履歴、目撃者証言、DNA検査などが犯人特定につながる
  • 痴漢して逃げてしまったとき、後日逮捕されてしまわないよう示談交渉などの弁護活動が重要
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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

「迅速対応、確かな解決」を理念として、依頼者が正しいサポートを選ぶための知識を与えることを心がけています。

豊富な知識・経験に基づき、戦略的なリーガルサービスを提供するため、専門分野の異なる弁護士がチームを組んで対応できるのが当事務所の強みです。

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痴漢で後日逮捕されるケースとは

説明する男性

痴漢は、行為の悪質性の高いケースは不同意わいせつ罪(刑法176条)、悪質性の低いケースでも迷惑防止条例違反となる犯罪行為です(参考解説:「痴漢で成立する犯罪の種類」)。

痴漢で、犯行現場で取り押さえられてしまえば、そのまま現行犯逮捕されるのが通常です。しかし、あなたが現場から逃げ切れたり、その場では被害申告がなかったりして、現行犯逮捕されなかったとしても、その後に警察がきて逮捕されてしまうおそれがあります。

はじめに、痴漢で後日逮捕されるケースにどんなものがあるかを、弁護士が解説します。

怖くて痴漢被害を言えなかったケース

誰が、どんな痴漢行為をしていたか、その場で十分にわかってはいたが、被害者が怖くて痴漢被害をすぐには言い出せなかったというケースは少なくありません。

被害者が、不安や恐怖といった理由で痴漢被害を言い出せなかったときでも、あなたが立ち去ったらすぐに、駅員や警察に相談をされてしまっているケースもあります。そのため、このようなケースでは、過去の痴漢を理由にして後日逮捕をされるおそれがあります。

防犯カメラから特定されるケース

痴漢では、現行犯逮捕しないと誰が犯人かわからなくなってしまい、特定が難しいという問題点があります。そのため、後日逮捕のケースでは、犯人が特定できるかどうかがハードルとなります。

しかし、駅構内や電車内には多くの防犯カメラがあります。防犯カメラ映像にはっきりと顔が映っていれば、そこから犯人が特定されて、後日逮捕につながるケースも多くあります。また、同じ駅を使い続けていると、駅員や警察官の張り込みによって、あなたが犯人だと特定され、過去の痴漢を理由にして後日逮捕されてしまうことがあります。

痴漢の後日逮捕で、犯人が特定される理由
痴漢の後日逮捕で、犯人が特定される理由

乗車記録から特定されるケース

同じく、現行犯逮捕しておらず犯人の特定ができずにいたときでも、あなたのSuicaやPASMOなどの乗車記録から個人の割り出しが進み、後日逮捕につながるケースがあります。

あなたが逃げ去ったときに防犯カメラに映っていたり警察の記憶に残っていたりしたとき、そのとき使用した交通系ICカードの乗車履歴、定期券の使用履歴などから、個人情報を追跡するという捜査活動が行われることはよくあります。

目撃者証言から犯人がわかるケース

目撃者の証言から犯人があなただと特定されてしまうケースもあります。

友人や知人に見つかるような場所で痴漢をする人はさすがに少ないでしょうが、通勤や通学によく使う電車だったとすると、あなたの顔に見覚えがあると申し出る目撃者がいて、警察の張り込みの結果、後日逮捕につながる場合があります。

DNA検査から特定されるケース

痴漢では、現行犯逮捕でないと目撃者の証言を得られず、痴漢行為の態様を証明することが難しくなってしまうという問題点があります。

しかし、あなたのDNAが被害者の衣服や下着から検出されれば、目撃者の証言がなくても痴漢行為を証明することができ、後日逮捕されるおそれがあります。

なお、その他に考えられる痴漢の証拠については次の解説もご参照ください。

痴漢で後日逮捕されてしまう可能性はどの程度あるのか

発覚したときに逮捕される可能性

逮捕で身柄拘束されてしまうと大きな不利益となります。罪を犯したからといってかならず逮捕されるわけではありません。

逮捕には要件があります。つまり、犯罪をおこなったと十分に疑われるという「嫌疑の相当性」と、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれという「逮捕の必要性」のどちらもが認められてはじめて、逮捕されることとなります。

逮捕の要件
逮捕の要件

痴漢をしていながら現場から逃げてしまったとき、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれは非常に高いと評価されます。そのため、後日犯行が明らかとなったときに逮捕されるリスクは相当高いといわざるをえません。

痴漢で後日逮捕されるまでの期間

痴漢では現行犯逮捕されるケースが多いように、単純な事案では捜査にそれほど時間がかかることはありません。後日逮捕だったとしても、痴漢から1週間程度で警察がきて逮捕されてしまうケースが多くあります。

しかし、捜査機関の都合、事案の内容などによってはかかる期間もさまざまで、刑事事件を多く扱う弁護士でも、「必ずこの程度の期間で警察が来るはずだ」とか、逆に「長期間警察が来なかったから後日逮捕はないはずだ」といった断定的なアドバイスはできません。

防犯カメラや目撃者証言などを精査して犯人を特定したり、被害者の証言を聞いて犯行態様を特定したりといった捜査にはおのずと時間がかかります。ケースによっては数ヶ月〜1年経過後に逮捕されてしまった例もあります。

公訴時効経過後は逮捕されない

犯罪で起訴することができる期限のことを公訴時効といいます。

痴漢事件の公訴時効は、痴漢行為の時点から起算して、不同意わいせつ罪となる痴漢であれば12年、迷惑防止条例違反となる痴漢であれば3年です。公訴時効を経過すれば裁判を起こすことができなくなりますので、逮捕もされません。

実際には触ってない、痴漢冤罪のとき

実際には触っていない、痴漢冤罪のケースでも、残念ながら逮捕されてしまうことがあります。痴漢は、被害者と犯人に面識がないことが通常で、被害者が悪意をもっていることは少ないですが、被害者の思い込みや、他の人の行った痴漢行為の犯人とされてしまうといったケースは実際に存在します。

冤罪のケースほど、痴漢だと疑われると怖くなって逃げてしまう方が多いですが、むしろあなたにとって有利な証拠も消えてしまうおそれがあるため、逃げるのはおすすめではありません。触っていない、痴漢冤罪だというのであれば、なおさら逃げるべきではありません。

逃げてしまうと、現場で微物検査をしたり目撃者証言を集めたりといった努力で、冤罪を晴らせる機会を失ってしまいます。

痴漢で後日逮捕されないためにすべき弁護活動

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

最後に、痴漢をしたけれども逃げてしまって後ろめたい方に向け、後日逮捕されてしまわないために今のうちにしておくべき弁護活動を、弁護士が解説します。

いずれの方法も、逮捕されるリスクがまったくなくなるわけではありませんが、精神的ストレスを抱えながら逃げ続けるよりも良い結果となるケースが多いです。

なお、後日逮捕されなくても、それですべて解決するわけではなく、在宅事件扱いとなって捜査が続く場合には、起訴されて前科がつかないようにする弁護活動も必要です。

自首する

逮捕されてしまうのではないかと不安なまま待つのではなく、こちらから自首することで逮捕を回避し、罪を軽くしてもらうことができます。自首とは、犯罪を告白し、処分に服することを捜査機関に示す行為です。

痴漢で後日逮捕される可能性が高いのは、逃げた人には逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれが強いと判断されるからだと説明しました。これらのおそれがあると、逮捕の要件を満たしてしまいます。逆にいえば、自首して、これらのおそれがないことを示せば、逮捕の可能性を下げられます。

刑法42条1項で「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と定められているとおり、起訴されても軽い刑罰になることが期待できます。

なお、自首したとしてもかならず不起訴になるとは限りません。犯行が悪質だったり被害者の処罰感情が強かったり、くり返し痴漢した前科があるときなど、自首しても起訴され処罰を受けることもあります。

万が一にも自首してすぐ逮捕されてしまわないよう、弁護士を同行する方法が有効です。

示談交渉をする

弁護士浅野英之
弁護士浅野英之

痴漢のように被害者のいる事件で、被疑者にとって最も有利な情状として考慮されるのが示談です。示談をしていれば、被害者の処罰を求める感情はなくなったと判断できるからです。

そのため、痴漢で後日逮捕を防ぐためには、示談交渉するのが有効です。痴漢をして逃げてしまったとき、身柄拘束されていないからといって被害者に自分で会いに行ってはいけません。危ない人物と見られれば、後日逮捕を早めてしまいます。また、痴漢では被害者の連絡先がわからないことが多く、弁護士を通じて捜査機関に照会して進めますが、このとき犯人と犯行が明らかになってしまうため、あわせて自首も行うのがおすすめです。

痴漢で逃げてしまって、後日逮捕されるおそれのあるケースでは、被害者の処罰感情が強く相当高額な示談金を要求される例もありますが、弁護士に依頼することで、適正額でしか示談しないことをつたえて交渉できます。

任意同行・出頭要請に応じる

痴漢をして逃げてしまったあと、警察から連絡が来て後日逮捕されてしまうケースもありますが、そうではなく、任意同行を求め、取調べされるケースもあります。どちらになるかは警察の判断次第ですが、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれという逮捕の要件があるかどうかによって判断されます。

一度は現場から逃げてしまったとしても、任意同行を求められたときや取調べのため警察署へ出頭を求められたときには、素直に応じることが、痴漢で後日逮捕されてしまう事態を回避するためのポイントです。

怖いからといってさらに逃げたり、出頭要請を無視したりしていれば、逮捕されるリスクが高まります。

まとめ

痴漢で現行犯逮捕されず、もしくは、現場から逃げきったときでも、後日逮捕されてしまうケースについて解説しました。

駅構内には防犯カメラが設置され、逃げ切れたとしても、あなたが痴漢の犯人だと判明し、後日逮捕されてしまうおそれは十分にあります。「どれほどの期間逃げきれば大丈夫か」とう基準はないし保証もないため、強い不安を感じるでしょう。

不安を解消するとともに、万が一後日逮捕され起訴されてしまい、厳しく処罰されてしまうといった最悪のケースを防ぐためには、早めに自首し、刑の減軽を求めるなどの弁護活動がおすすめです。

当事務所のサポート

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所では、刑事事件について多くの解決実績があり、痴漢をはじめとした性犯罪についても解決した経験が豊富です。

痴漢などの性犯罪をはじめ、刑事事件にお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

痴漢弁護のよくある質問

痴漢で後日逮捕されてしまうことがありますか?

痴漢で逃げたとき、警察から連絡がきて、後日逮捕されてしまうケースがあります。後日逮捕では、証拠が十分に固められているケースが多いため、言い逃れが難しくなってしまいます。もっと詳しく知りたい方は「痴漢で後日逮捕されるケースとは」をご覧ください。

痴漢で後日逮捕されないために、なにを準備しておけばよいですか?

痴漢で後日逮捕されないためには、逃げてしまった後、警察が来るまでの間に、できる弁護活動を尽くしておくのが大切です。被害者と示談交渉を進めるとともに、状況をみながら自首を検討するようにしてください。詳しくは「痴漢で後日逮捕されないためにすべき弁護活動」をご覧ください。

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