交通事故

将来介護費は、交通事故の損害賠償請求が認められる?

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将来介護費の交通事故損害賠償請求

将来介護費とは、示談成立時や裁判の口頭弁論終結時にはまだかかってはいないけれども、将来かかる可能性がある介護費用のことです。

交通事故の被害にあってしまったとき、現実には支払ってはいないものの、将来には介護費用の支出を余儀なくされることが容易に予想される状況となることがあります。交通事故によって負ったケガの症状が固定した後も介護が必要となる可能性が非常に高いようなケースです。

このようなとき、将来支出を余儀なくされるであろう介護費用について、そのときにあらためて再度請求をするのではなく、現在において損害賠償請求をすることが認められるかどうか、という点が争いとなることがあります。

一方で、将来介護費について、現実に支出するより前から損害賠償請求の対象とするためには、将来かかるであろう相当程度の可能性が必要となります。将来介護費を損害として認めた後で「結局介護は不要であった」というのでは、将来介護費分だけ交通事故被害者が得をしてしまうこととなるからです。

そこで今回は、交通事故の損害賠償を請求するときに知っておきたい、将来介護費の取り扱いについて、弁護士が解説します。

「交通事故」弁護士解説まとめ

将来介護費とは

将来介護費の交通事故損害賠償請求

将来介護費とは、交通事故の被害者が将来介護を要する可能性が高いときに、その介護及び付添にかかる費用のことをいいます。

将来介護費が争点となるのは、交通事故被害の中でも、次のような、介護が必要となる可能性が高い重度の後遺障害が残るケースです。

  • 遷延性意識障害(いわゆる「植物状態」)
  • 失調麻痺
  • 高次脳機能障害
  • 脊髄損傷

症状固定後の将来介護費は、積極損害に分類されるものの、将来の支出を余儀なくされるかどうかについて、将来の蓋然性の判断を前もってしなければならないことから、とても難しい問題で、裁判例でも認められたケース、認められなかったケースと結論は事案によって様々です。

ここでは、交通事故の損害として将来介護費の請求を認めてもらうために考えるべき、裁判例で特に重視されている3つのポイントを解説します。

介護の必要性

将来介護費の問題を考える際のポイントの1つ目は、「介護の必要性」です。

後遺障害が残ってしまい、将来ずっと介護が必要であるという場合には、金銭的な負担はもちろんのこと、精神的、肉体的な負担も相当大きいものとなるため、損害賠償請求の中で加味すべきです。

将来の介護の必要性が高いと判断される場合でなければ、将来介護費は交通事故による損害とは認められません。つまり、将来の介護の必要性がどの程度あるのかによって、将来介護費が損害として認められるかどうかの判断が分かれるということです。

介護の必要性は、被害者の身体の状況や残存した後遺障害の状況、それによって被害者が受けている日常生活動作の制限の程度などを総合考慮して判断されます。

自賠責保険の後遺障害等級認定では、「介護を要する」場合として、次のような定めがあります。

別表第一

第1級
1. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

第2級
1. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

しかし、実務的には、これら自賠責保険で第1級、第2級の等級認定を受けられた場合に限らず、第3級以下の等級認定であっても、具体的な状況に応じて介護の必要性があると判断され、将来介護費の請求が認められるケースは多くあります。

上記のように日常生活動作において身体介護が必要となる場合だけでなく、身体は健康で事由が聞く場合であっても、患者がどのような動静をするかわからず見守り看護、声掛けが必要な場合もまた、介護の必要性があると認定される可能性があります。精神的な負担については、このような介護のほうが、身体の機能の補助よりも大きい場合もあります。

そのため、たとえ後遺障害等級認定の結果が第3級以下であっても、高次脳機能障害など介護が必要となる可能性が高い場合には、介護者の精神的負担が大きいことを主張して将来介護費を請求すべきです。

介護の態様(介護の主体・介護の場所)

将来介護費の問題を考える際のポイントの2つ目は、「介護の態様(介護の主体・介護の場所)」です。

介護の主体について、家族や親族などの近親者が介護するのか、それとも、介護職などの専門家である職業付添人が介護するのか、もしくは、両者を併用するのかによって区別されます。また、介護の場所についても、在宅介護であるのか施設介護であるのかによって分けられます。

つまり、施設介護なのか在宅介護なのか、それとも併用なのか、現在は施設介護でも在宅介護に移る可能性があるのか、といった事情によっても、交通事故の損害として算定される将来介護費が変わってきます。

介護の期間

将来介護費の問題を考える際のポイントの3つ目は、「介護の期間」です。

介護の期間については、実務的には、交通事故被害者の平均余命までの期間を算定することが多いです。ただし、被害者の状態が悪化しており平均余命まで生きる可能性が低いなど、特別な事情がある場合にはその限りではありません。

そのため、どの程度の期間だけ生存する可能性があるのか、という点が、交通事故の被害者側、加害者側での大きな争点となることがあります。

将来介護費として認められる金額は?

将来介護費の交通事故損害賠償請求

交通事故被害について、将来介護費の請求が認められるとして、次に、どの程度の金額を請求することができるのか、すなわち、請求すべき将来介護費の計算方法について解説していきます。

将来介護費の一般的な相場

交通事故被害の損害賠償額の相場を定める書籍に、いわゆる「赤い本」と「青本」があります。

「赤い本」は正式名称を「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故センター東京支部編)、「青本」は正式名称を「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター本部編)といい、いずれも、交通事故ケースの裁判例をもとに、典型的なケースごとの損害賠償額の目安をまとめた書籍です。

「赤い本」によれば、交通事故の損害のうち介護費について「医師の指示または症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認める」とされ、「職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円。但し、具体的看護の状況により増減することがある」とされています。

また、「青本」によれば、「実際に支出されるであろう費用額に基づき相当額を認定する。近親者が付添を行う場合には、常時介護を要する場合で1日につき8000円~9000円を目安に算定を行う」とされ、「常時介護を必要としない場合には、介護の必要性の程度、内容により減額されることがある」とされています。

将来介護費の計算方法

交通事故被害の事案において、請求すべき将来介護費の計算方法は、次のとおりです。

将来介護費 = 請求日額 × 365日 × 年数
(中間利息を控除したライプニッツ係数)

後ほど解説するとおり「年数」は平均余命を基準とすることが実務であるため、できるだけ高額の将来介護費を請求しようとするのであれば、「日額」の請求を高くするよう主張立証していくことが大切です。

なお、将来介護費が損害として認められるような交通事故ケースでは、重度の後遺障害が残っていることが一般的ですので、上記の金額に加えて、後遺障害慰謝料、逸失利益なども損害として認められます。

後遺障害の残る交通事故ケースにおいて、慰謝料、逸失利益などの高額の請求を認めてもらうために、次の解説も参考にしてください。

参 考
後遺障害のある交通事故で、高額な慰謝料を獲得する3つの方法

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将来介護費の日額

まず、将来介護費の計算をするにあたり、将来介護費の日額を計算し、365を乗じて年額を算出します。

近親者が介護したり、在宅介護としたりする場合には、上記に解説した「赤い本」「青本」の相場である1日8000円程度を目安として、後遺障害の程度や介護の必要性のほか、1日のうちどの程度の時間を介護に費やす必要があるかといった事情を考慮して決定します。実際には、1日8000円よりも低額な将来介護費となってしまうことも少なくありません。

職業付添人に介護を依頼したり、施設介護としたりする場合には、実費を参考にして決めることとなります。ただし、将来介護費の場合には、将来の不確定な状況があるため実費がそのまま認められるとは限らず、現在支払っている介護費、被害者の後遺障害の程度、回復の可能性、負担額が変更される可能性などを総合的に考慮して決定します。

そのため、必要な将来介護費を損害として認めてもらうためにも、将来介護する必要があるほど後遺障害が重大であることを主張するようにしてください。

当初は近親者による介護をしていても、時間が経過するにつれて肉体的・精神的負担が大きくなり、その後は職業付添人による介護、施設介護へ移行することがよくあります。

このような場合、一定の年齢を境として、その後は施設介護をすることを想定した将来介護費を請求することが実務ではよくあります。

将来介護費の年数(ライプニッツ係数)

将来介護費の計算式において考慮される介護の年数は、中間利息控除を考慮しなければならないことから、年数そのものではなく、その年数に対応するライプニッツ係数を用いることとなります。

これは、金銭の価値は時間の経過とともに低下することから、「10年後に100万円もらえること」と「今すぐ100万円もらえること」とを比べたとき前者のほうが後者よりも価値が低いためです。これは「今すぐ100万円をもらう」方を選べば、その金額に利息を加えたお金をもらうのと同じことだからです。

そのため、将来介護費は、「将来発生する損害であるけれども、その可能性が高いために現在において一括で支払ってもらう」という性質があるため、時間の経過によって価値が低減する分だけ、中間利息を控除しなければなりません。

中間利息控除のときに考慮される法定利息は、2020年3月31日までは「年5%」ですが、2020年4月1日に改正された民法が施行され「年3%」となりました。

支払期間は、平均余命までとするのが一般的です。平均余命とは、交通事故被害者が、今後何歳まで生きられるかという統計データです。平均余命より長く生きたとしても増額されるわけではなく、平均余命より早く亡くなったとしても得られた将来介護費を返還しなければならないわけではありません。

裁判例における考慮要素

裁判例において、特に、近親者の介護による場合に、将来介護費の金額が争われることがあります。

これは、近親者の介護が家族として当然のこととして行われることも多く、また、介護をしていない時間には家事をしてるというように常に介護をしているわけではないなどの理由から、相当低い金額とされることが多いためです。

裁判例において、交通事故の損害として認められる将来介護費を決めるにあたって考慮される要素は、次のようなものです。

  • 被害者の後遺障害の内容・程度
  • 被害者の要介護状態
  • 日常生活の自立の程度
  • 必要とされる介護の内容・程度
  • 介護のために必要となる時間
  • 介護主体の属性(性別・年齢・健康状態
  • 介護仕様の家屋の建築
  • 介護用具の使用の有無

これらの事情を総合的に考慮して、介護者にとっての肉体的、精神的負担の程度を具体的、実質的に検討することとされています。

また、常時介護による場合に比べて、随時介護の場合には、その介護の程度や回数を考慮しながら、認められる将来介護費を2分の1程度としていることが多いとされています。なお、将来介護費は、重度の後遺障害が残る場合に、余命までの分が考慮されるため相当高額の請求となることも多く、その争いは長期化、複雑化するおそれがあります。

将来介護費に関する法律問題Q&A

将来介護費の交通事故損害賠償請求

最後に、将来介護費を請求するような交通事故事案においてよく生じる法的問題について弁護士が解説します。

将来介護費の定期金賠償を求めるべきか

定期金賠償とは、将来支払ってもらうべき損害賠償額を、現在において一括で支払ってもらうのではなく、毎月定額で支払ってもらうことをいいます。

将来介護費を計算するにあたって、中間利息控除が行われると解説しました。中間利息控除の際に考慮される利息は、2020年3月31日までは年5%、2020年4月1日の新民法施行後は年3%と、いずれにせよ預貯金の利息などに比べて高利です。

このような利息の負担を回避するために、将来介護費を現在において一括で支払ってもらうのではなく、毎年定期的にもらうという方法があります。このような方法を「定期金賠償」といいます。

定期金賠償は、金利負担を回避することができるというメリットがある反面、賠償を行う保険会社が倒産してしまった場合に支払が滞ってしまうというデメリットがあります。

平均余命よりも短命で亡くなってしまった場合には、定期金賠償のほうがもらえる介護費用が少なくなるおそれがあります。一方で、平均余命よりも長生きした場合、定期金賠償のほうが、平均余命を超えて生きた分の介護費用を支払ってもらうことができるというメリットがあります。

つまり、定期金賠償のほうが、中間利息控除をされないという利点の反面、保険会社の倒産、当事者の死亡といった不確定リスクを背負うという欠点があるということです。

公的扶助(介護保険給付など)は控除されるか

介護費用の負担を考える際に、介護保険給付など、公的扶助制度を利用することができる場合があります。

この場合、介護費用のうち、介護保険給付が既に給付されている部分については、「損益相殺」の考え方により調整をし、損害として請求することはできないという考え方が実務です。

これに対して、将来介護費について給付される可能性のある介護保険給付については、損益相殺を行わないことが一般的です。この点について裁判例は「公的扶助の制度が設けられているとしても、公的扶助を受ける義務を負うものではないし、同制度が将来にわたって存続する保障もない」(仙台地裁平成9年10月7日判決)と理由を示しています。

介護用品代、自宅改装費を請求できるか

自宅介護を選択する場合には、介護用のベッドを購入するなど介護用品代が必要となったり、バリアフリー仕様とするなど自宅改装費がかかったりすることが少なくありません。

これらの将来介護にかかるであろう費用についても、介護の必要性、相当性が認められる限り、請求をすることができます。そのため、これらの費用については、介護に必要となるであろう事情と、その請求額が妥当なものであることを基礎づける事情とを用意しておかなければなりません。

この点について、既に介護を開始している場合には、介護実績を証明するための介護日誌、日記や、介護用品の領収書、自宅改装の業者見積りなどの証拠を収集しておくことが大切です。

近親者介護と職業介護のどちらがよいか

将来介護費を請求するような重大な交通事故ケースにおいて、近親者介護と職業介護のいずれがよいか、また、在宅介護にするか施設介護とするか、という問題はとても困難な判断を伴います。

将来介護費の観点からいえば、職業付添人に依頼をし、その費用を支払った方が、費用請求は認められやすい傾向にあります。しかし一方で、実際に費用を支払った後でその費用が裁判で損害として認められなければ、自己負担となってしまいます。

大切なことは、「できるだけ高額の将来介護費を請求したい」という視点だけでなく、交通事故被害の実態に即した介護プランを策定することです。

近親者介護、職業介護のいずれか一方ではなく、組み合わせることにより、「当初は近親者介護とし、患者が高齢になったタイミングで職業介護に移行する」「基本は近親者介護とし、介護者の休憩にあわせて職業介護を併用する」「事故直後の緊急時は職業介護とし、その後は近親者介護とする」といった様々な方法があります。

成年後見人を選任すべきか

交通事故による後遺障害により、被害者の判断能力が十分ではなくなってしまった場合、成年後見人の選任が必要となるケースがあります。

この点で、将来介護費の請求を検討するような交通事故ケースでは、遷延性意識障害(いわゆる「植物状態」)、高次脳機能障害のように、被害者本人では正常な判断ができなくなってしまっている場合が少なくありません。

このような場合には、損害賠償請求や示談に先立ち、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。

「交通事故被害」は浅野総合法律事務所にお任せください!

将来介護費の交通事故損害賠償請求

今回は、交通事故に関する法律問題のうち、将来介護費が問題となるような重大なケースについて弁護士が解説しました。

将来介護費用は、遷延性意識障害(いわゆる「植物状態」)、失調麻痺、高次脳機能障害、脊髄損傷など重度の後遺障害が残存するケースで、法的な争点となります。そして、後遺障害が重大であり、余命までの期間が長いほど、その請求額は高額となる可能性が高く、加害者側(とその保険会社)も激しく争ってくることが予想されます。

その争いは裁判になることが多く、裁判例では、被害者の要介護状況、日常生活の自立の程度、将来必要となる介護の内容、程度などを細かく事実認定をするため、ケースに応じて認められる将来介護費の金額は大きく変わります。

交通事故被害の法律問題に強い弁護士にご依頼いただくことによって、より高額の将来介護費を損害として認めてもらうための主張立証をサポートしてもらうことができます。

「交通事故」弁護士解説まとめ

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